クロエ・ベンジャミン作品のページ


Chloe Benjamin  米国サンフランシスコ生。ヴァッサー大学卒業後、ウィスコンシン大学で小説専攻のMFA(芸術修士号)を取得。2014年発表のデビュー長篇にてエドナ・ファーバー小説賞を受賞。18年発表の長篇2作目「不滅の子どもたち」は刊行後直ちにニューヨークタイムズ紙ベストセラー入りを果たし、全米で50万部を超える売り上げを記録し、ワシントン・ポスト紙「注目の一冊」他、いくつものメディアで年間ベストブックに選ばれた。21年現在、夫ともにウィスコンシン州マディソン在住。

 


                          

「不滅の子どもたち ★★
 原題:"The Immortalists"
       訳:鈴木 潤




2018年発表

2021年04月
集英社

クリエイティブ(2800円+税)



2021/06/02



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ユダヤ人のゴールド一家、ダニエルが言い出し、きょうだい4人(ヴァーヤ13歳、ダニエル11歳、クララ 9歳、サイモン 7歳)は揃って近所で評判らしい占い女の元を訪ねます。そしてその女から一人一人別々に告げられたのは、それぞれが死ぬ日。
それから4人は・・・・。

ストーリィは、4人それぞれの人生を描く4部構成。
第1部はゲイのサイモン、第2部はマジシャンを目指すクララ、第3部は軍医となったダニエル、第4部は研究者の道を進んだヴァーヤ。
死ぬ日を予言されるなんて、とんでもない。しかし、この姉妹兄弟4人、まだ子どもの頃の出来事だったからこそ、そしてその予言どおり、末っ子のサイモンが真っ先に死んでしまったのですから堪らない。
どうせ○○までしか生きられないのなら・・・と、クララとサイモンは自分たちの人生を切り開こうと2人で家を出るのですが、ダニエルとヴァーヤはその後の2人の運命に自責の念を抱え込まずにはいられない。その結果・・・。

人が知るべきではないことのひとつが、自分の寿命だろうと思います。死ぬ時を知らないからこそ、人は普通に生きていくことができる、どう進むか選ぶことができる、と思います。
世迷いごと、どうせ占いだからと忘れてしまえばそれまでだったのかもしれません。それがそうでなかったからこそ・・・。

結局最後は、年老いた
母ガーティとヴァーヤの二人だけ。
初めてヴァーヤから占いのことを打ち明けられたガーティが、ヴァーヤに投げかけた言葉が忘れ難い。
両親と3人のきょうだいをアウシュビッツで失ったガーティだからこその言葉なのですが、生きる上での指針となる言葉だろうと思います。


プロローグ.ヘスター通りの女/第1部 踊れ!/第2部 プロテウス/第3部 異端審問/第4部 生命の場所

               


    

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