日時:7月3日(日) 14:00~16:30
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李婧(東京都立大学 博士後期課程)
発表題目
「狐の行列」は「適当に」始まったのか?―新興都市祭礼の誕生過程にみる創出と持続
発表要旨
本発表の目的は、東京における新興都市祭礼の担い手の語りや実践に焦点を当て、彼らがいかに都市祭礼を創出したのかを明らかにすることである。
本発表の事例として取り上げる「狐の行列」は、東京都北区王子で1993年から行われている比較的新しい都市祭礼である。発表者がこの「狐の行列」の起源について複数名の王子住民に尋ねたところ、決まって返ってくる答えが「適当に始まったよ」というものであった。「狐の行列」の過去の歴史について住民に聞いてみても、確かに1993年よりも前にはなかった祭礼であり、即興的に創られたものにみえる。ところが、発表者が彼らとの対話を続けてみると、1950年代から「狐」をテーマとして続けられてきた行事への言及に折々出くわすことに気づいた。さらに、王子住民は「適当に始まった」という語りをしながらも、近隣の町とのやりとりについての当時の情報を度々交換している。ここからは「適当」という語りに反して、「狐の行列」が必ずしも一から立ち上げられたものではないことがわかる。
本発表では、この「適当に始まった」という彼らの語りを手掛かりにしつつ、「狐の行列」の誕生過程をその場で一から創造されたものとして捉えるのではなく、創出的な側面と持続的な側面が折り重なったものとして考察を行う。
※懇親会は予定しておりません。