日時:5月29日(日) 14:00~16:30
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発表者:山内健太朗(東京都立大学 専門研究員)
発表題目
沖縄県における米軍基地とそのはざま:「基地の町」北谷町の空間的変容
発表要旨
本発表の目的は、米軍とその基地に翻弄され続ける沖縄地域社会を、人類学的フィールドワークに基づき、その空間的変容と再構築の諸実践という観点から再考することである。
沖縄県は、太平洋戦争の「沖縄戦」において米軍の上陸地点となり、その前後から住民の移動が開始された。その後米軍統治下では多数の米軍用施設が建設されたため、住民の帰村は立ち遅れた。米政府による「帰村許可」の発出後も、住民の居住地は著しく制限された。
日本本土復帰後は段階的に米軍基地の一部が返還されるようになり、かつての居住地が解放されるとともに住民の帰村が果たされた。
しかしながら、帰村後も住民にとってかつての共同体の中心にあった御嶽・拝所などの各聖地は荒廃していた。さらには隣接する米軍基地による騒音被害などによって再び移転せざるを得ない住民もおり、現在も米軍用施設の返還の見通しが立たず、戦前の集落が基地の中へと消えている事例もある。
このような状況をふまえ、本発表では沖縄県中部に位置し、町内面積の約53%を米軍施設が占める北谷町を事例に取り上げる。そして、戦前の集落の住民または子孫から結成される郷友会に着目し、その諸実践と人類学的な意義について考察したい。
※懇親会は予定しておりません。