2022年 仙人の会4月例会(オンライン開催)


日時:4月24日(日) 14:00~16:30

ZoomミーティングURL:幹事の山岸哲也までお問い合わせください

発表者:高山陽子(亜細亜大学)

発表題目
現代日本における銅像の地域性:武将の銅像とキャラクター銅像の事例を中心に  

発表要旨
 本研究は、現代日本における銅像の地域性について、武将とキャラクター銅像の事例を通して考察する。日本では明治初期に兼六園にヤマトタケルの銅像が設置されて以来、武将や偉人、政治家など様々な銅像が駅前広場や公園などの公共空間に建てられてきた。廣瀬武夫のような英雄や二宮尊徳(金次郎)のような模範的な人物の銅像のように、銅像はその種類も数も増え続けた。しかし、多くは、戦時期の金属供出で撤去され、さらに撤去を免れた銅像もGHQの命令によって移設させられることになった。
 戦後、イデオロギー性の強い銅像の設置が難しくなったため、武将やキャラクター、動物などの銅像が登場した。城址公園の天守や櫓、御殿の再建が進められる中で、商工会議所や社会奉仕団体などが主体となって記念行事の一環として武将の銅像が作られる。また、NHK大河ドラマの舞台となることも武将の銅像設置につながり、近年では今川義元や明智光秀の銅像がゆかりの場所に設置された。
 キャラクター銅像の始まりは埼玉県長瀞の鉄腕アトム像であるが、全国的な普及は鳥取県境港の水木しげるロードの成功がきっかけとなった。東京都桜新町および福岡市早良のサザエさん像、敦賀駅前の『銀河鉄道999』『宇宙戦艦ヤマト』のキャラクター像、東京都葛飾の『キャプテン翼』のキャラクター像などがあるが、これらは一体一体が小さく、シリーズとして複数体が設置されることが特徴として挙げられる。
 地域活性化という目的は共通するものの、武将の銅像は地域の歴史を遡るのに対して、キャラクター銅像は同時代性や未来性を志向している。こうした地域性の志向の違いはなぜ生まれるのかなどを考察する。


※懇親会は予定しておりません。