2022年 仙人の会1月例会(オンライン開催)


日時:1月29日(日) 14:00~16:30

ZoomミーティングURL:幹事の山岸哲也までお問い合わせください

発表者:宋 多情(鹿児島大学)

発表題目
奄美大島住用町における自然利用の変遷と住民意識の変化――三太郎峠周辺の山林域を事例に  

発表要旨
 本発表では、奄美大島住用町に位置する三太郎峠周辺の山林域を対象に、自然利用の変遷にともなう住用町住民(以下、住民)の自然に対する意識の変化について明らかにする。
 奄美大島は、2021年7月に、徳之島と沖縄島北部、西表島とともに世界自然遺産に登録された。本発表の対象地域である奄美大島住用町は、林野面積が広く、その大部分が世界自然遺産登録区域と緩衝地帯に含まれており、住民の生活圏に遺産区域が近接しているのが特徴である。中でも、町の中央部にある三太郎峠周辺の山林域は、現在、アマミノクロウサギの観察場所となっており、観光資源としても利用されている。
 本発表では、まず、三太郎峠周辺の山林域における道路の開発過程から、道路を中心として過去の自然利用を整理する。その上に、アマミノクロウサギの観察に利用される経緯をたどる。次に
、自然利用の変遷につれ、自然に対する住民の価値づけやかかわり方がどのように変わってきたのかを検討する。最後に、発表者が2020~21年に行った「市道三太郎線周辺における夜間利用適正化」に関する聞き取り調査で明らかになった、住民のアマミノクロウサギ観察に対する考え方や身近な自然環境における規制をどのように受け入れるようになったのかについても紹介する。これらを踏まえて、世界自然遺産登録とツーリズムといった新たな価値の付与が、自然に対する住民の意識の変化に影響していることを検証する。


※懇親会は予定しておりません。