2019年 仙人の会10月例会


日時:10月20日(日) 14:00~18:00

場所:法政大学92年館(大学院棟) 201教室
 JR中央線・地下鉄南北線飯田橋あるいは市ヶ谷駅または  JR中央線・地下鉄南北線/有楽町線/東西線飯田橋駅下車、徒歩約10分


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発表者:リーペレス ファビオ(東北大学大学院文学研究科助教)

発表題目
 「現代のストレンジャー」へのアプローチ -ライフストーリーと「折り合い」の視点から  

発表要旨
 本発表の目的は、国籍が異なる両親を持ち複雑な移動の遍歴を持ち、多言語・多文化的環境で育ち、「〇〇人」という既存の枠組みでは捉えきれない3人のライフストーリーを通して、「ストレンジャー」という「生き方」を考察するである。
 本発表では、ヨシとナタリアとファビオの3人のライフストーリーを取り上げる。ヨシは、韓国人の母と日本人の父を持ち、韓国で生まれた。その後、南アフリカとアメリカで過ごし、現在は日本で就職している。ナタリアは、日本人の母とスウェーデン人の父との間に日本で生まれた。日本とスウェーデンの間を行ったり来たりする生活を送った後、カナダとイタリアで留学し、現在は香港で生活している。ファビオは、メキシコ人の母と韓国人の父との間に韓国で生まれた。メキシコ、日本、マレーシア、韓国、アメリカ、カナダを転々と過ごし、現在は日本で生活している。このように、3人は、いわば人の移動が広大化し多様化しかつ複雑化した社会を生きる「現代のストレンジャー」である。特定の社会集団へと視点を限定すると、複数の社会間を移動するストレンジャーの全体像は見えてこない。
 そこで、本発表では、従来のストレンジャーをめぐる移民研究にみられる「ルーツ探し」や、いずれかの社会集団との関係に焦点を当てたアプローチを批判的に検討し、3人のライフストーリーを通して、彼ら / 彼女らの移動の軌跡を辿り、主流社会から周縁化されている存在だと自覚しながらも、どのようにして自分の持つ「差異」と向き合い、どのように「他者」と関わってきたのかを明らかにする。

※当日は資料・お茶代として200円いただきます。
(例会終了後には、会場近くで懇親会を開催いたします。)