2017年 仙人の会12月例会


日時:12月16日(土)14:00~18:00

場所:東京学芸大学 二十周年記念飯島会館1階 第三会議室
JR中央線武蔵小金井駅北口から京王バス「小平団地」行き(武41系統)に乗り、5分ほどで 「学芸大正門」に着きますので、そこで下車します。セブンイレブン脇の並木道を北上す ると、学芸大学の正門があります。そこを入ってすぐ左側に木立の中に2階建ての建物が あります(守衛所の向かい)。そこが二十周年記念飯島会館です。第三会議室はその1階で す。

発表者:亀岡 敦子氏(北海道大学大学院文学研究科専門研究員)

発表題目
前近代中国福建南部漳州地域の陳元光信仰と宗族の形成

要旨
 伝統中国の基層社会には、各地各様の土着の神々(土神)による民間信仰が存在していた。とりわけ福建では、土神への民間信仰の盛行と宗族の発達が顕著にみられる。
 両者は人々の生活の場において、人々の自己意識・凝集力の形成、社会秩序維持、国家との関係の媒介等にとって重要な役割を果たしていた。
 宗族と民間信仰の間には相互作用関係が存在し、宗族が民間信仰の主体であるのみならず、民間信仰の形成およびそれに包含される神々に対する取捨選択にも 重要な影響を与えているといわれる。そうであるとすれば、なぜ民間信仰と宗族の相互関係が生まれたのかを実証的に解明でき れば、福建地域社会の特質も自ずと明らかになるはずである。
 これまで、現代の福建地域社会における民間信仰と宗族組織との相互の関連性、村落社会における機能に関して、 社会経済学や人類学の分野おいて、豊富な成果が発表されている。しかしながら、その前提となる前近代の歴史的状況に関する研究は未だ少ない。  福建南部漳州地域における土神である〈開漳聖王〉=陳元光は、現代においては、こ神は台湾や東南アジアにおいても漳州出身者の象徴として篤い信 仰を集めている。しかも漳州地域の宗族の間には、彼らの祖先が唐代に陳元光に付き従って中原(古代中国王朝の所在地であり、現在の河南省とその近郊) から南征し、漳州地域の「蛮族」を制圧して入植・定住したという『伝承』=〈陳元光遠征随伴伝承〉が流布している。
 本報告では、明代後期(16世紀)の漳州社会を基点として、〈開漳聖王〉=陳元光信仰と、陳元光にまつわる移住伝承を信奉している複数の宗族が、 相互にいかなる有機的な関連性を持っていたのかを、唐代~清初(17世紀)までの比較的長いスパンのなかで実証的かつ微視的に把握すること で、福建南部地域社会の歴史的展開を明らかにすることを目指す。  

※当日は資料・お茶代として200円いただきます。
 例会終了後には、会場近くで忘年会を予定しております。
 忘年会からの参加も歓迎いたしますので、例会には参加されない方も是非お越しください。