日時:6月10日(土) 14:00〜18:00
場所:静岡大学静岡キャンパス 共通L棟204教室
【静岡駅から静岡大学へのアクセス】
●バス
静岡駅北口から約25分。
料金は200円程度。JRのICカード使用可。
(共通L棟はバス停から徒歩2〜3分です。
キャンパスは傾斜のきつい坂が多いのでご注意ください)
●タクシー
静岡駅南口から約15分。料金は1800円程度。
(正門を通って共通L棟まで直接行ってくれます。
運転手さんが場所を知らない場合は大学正門の守衛さんが教えてくれます)
バスの乗り場など詳しいことはこのURLを参照してください。
【会場の位置】
静大キャンパスマップを参照してください。
地図下方のピンク色で塗られた建物群のうち
もっとも右側にあるのが共通L棟です。
発表者:藤川 美代子氏(南山大学・人類学研究所)
コメンテーター:長沼 さやか氏(静岡大学)
発表題目
水上に住まう―現代中国・福建南部の連家船漁民の生活を描く
要旨
―水上。そこは、人が住まうのに適した空間なのか。あるいは、脱却・忘却すべき空間なのか。本発表は、約百年にわたる現代中国を舞台に、
福建省南部の船上生活者を見つめながら、水上(と陸上)に住まうことの意味を、人類学的な視点から問うものである。
発表者は、(香港を含む)広東社会の水上居民研究が、 概して次の三つの問いにより分断される形で遂行されてきたことに
強い違和感を抱いている。それはすなわち、@彼らはなぜ、船上へと追いやられているのか(=船上生活を生みだす根本的要因の追求)、A彼らはいかに、
マイノリティの立場へ追いやられているのか(=水上居民を排除することで成り立つマジョリティ社会の解明)、B
彼らが脱却したいと望む船上生活とは、いかなるものか(=過去の負の記憶たる船上生活の再構成)との問いである。
なぜなら、これらの問いに通底する「物言わぬ弱き被差別者」という半ばアプリオリな水上居民像こそが、
船に住まう営みに関わる水上居民自身の論理を理解することから遠ざけていると感じるからである。
本発表が目指すのは、船上生活者の水上/ 陸上に住まうという営みを、単なる容器としての船や家屋で寝泊まりする行動に矮小化するのではなく、
あるいは反対にそれを被差別的状況に対する抵抗の実践などと無批判に過大評価するのでもなく、彼らの生き方を示すような、
さまざまな日常実践の総体として捉えることである。そのためには、一見すれば住まうという営みとは関係ないようにも思われる国民化政策、祖先・神明祭祀、
宗族や祖先の観念といった諸事象の絡み合いを重層的に捉える必要があるだろう。
※当日は資料・お茶代として200円いただきます。
(例会終了後には、会場または駅付近で懇親会を開催いたします。)