日時:5月23日(土) 14:00〜
場所:亜細亜大学総合研究棟2階第8会議室
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※会場がこれまでと異なっていますので、ご注意ください。
発表者:田本 はる菜氏(筑波大学人文社会科学研究科歴史・人類学専攻博士課程)
発表題目
外来技術導入をめぐる選択と部分的受容:台湾原住民族の織物と「技術移転」を事例に
要旨
発表者はこれまで、台湾におけるオーストロネシア語族系先住民(台湾原住民族)の織物技術および伝統的服飾の制作・利用の動態について、原住民族をとりまく社会的文脈とミクロな技術実践との関連性に注目して研究を進めてきた。本発表では、日本統治期と戦後に原住民族の機織りに対して行なわれた、外部からの「技術移転」に注目し、現地におけるその受容のあり方を明らかにすることを試みる。
台湾原住民族の機織りに関する先行研究は、日本統治期の物質文化研究に連なる、在来技術の記録・分類・比較を目的とする研究群と、戦後以降にみられる、伝統的社会の変容と織物習俗の変化を論じたものの二種類の視点が主流をなしてきた。すなわち従来の研究は、外的要因を排除した在来の織物技術そのものに関心を抱いてきた一方で、その変化を描く際には織物にまつわる観念や慣行という社会的側面を強調してきたといえる。本発表で扱う、外来技術の導入という事象は、前者では議論の対象とならず、後者では社会的側面への影響に還元されてしまう。
これに対して本発表では、過去の「技術移転」に注目することで、今日現地でみられる織物技術が、どのように外来技術と接合されつつ維持されてきたのかを理解することを目指す。具体的には、資料および南投県セデックの集落での調査から、(1)在来の糸・織り機・技術習得と作業サイクルが、当初の外来技術導入の仕方に変更を加えるものだったこと、(2)技術移転により結果的に現地に定着した素材や織り機が、複数の制限のなかで利用されていることを明らかにし、これらに見られる特徴を、「技術的選択」の観点から考察する。
※当日は資料・お茶代として200円いただきます。
(例会終了後には、会場近くで懇親会を予定しております。)