日時:6月29日(土) 14:00〜18:00
場所:法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー5階0504号室
JR中央線・地下鉄南北線飯田橋あるいは市ヶ谷駅または
JR中央線・地下鉄南北線/有楽町線/東西線飯田橋駅下車、徒歩約10分
現地へのアクセスについては、こちらをご覧ください。
交通アクセス(市ケ谷)(Copyright (c) Hosei University)
※いつもの例会会場とは異なりますので、ご注意ください。
発表者:田中周氏(早稲田大学 現代中国研究所 助手)
発表題目
中国共産党による新疆の軍事統合
要旨
本報告は、報告者が現在執筆中の博士論文の一部である。博士論文は1940年代から1950年代にかけて中国共産党がいかにして新疆を統合したかを考察し、
1940
年代に現地テュルク系ムスリムによって樹立された「東トルキスタン共和国」の政治的遺産(政治指導者・軍隊・政治機構・行政区画など)を共産党が巧みに利用したことが統合を成功に導いたことを論ずる。具体的には軍事的統合・政治的統合・経済的統合・文化的統合の各側面から国家統合の過程を明らかにする。
本報告はこのうち、軍の進駐・部隊の配備によって領域の統合を目指す「軍事統合」の試みに焦点をあてる。まず、中国共産党による新疆「解放」の鍵を握った政治リーダーの活動を通じて、
1949
年の「解放」に至るプロセスを描写する。具体的には、「東トルキスタン共和国」(この共和国設立にまつわる一連の運動は「三区革命」とも称される)の指導者であったアフメトジャン・カスィミ、中国国民党の軍人であった張治中、中国共産党員として人民解放軍の新疆進駐の土台を整備したケ力群を取り上げる。次に、
1949年以降に進められた、国民党勢力・三区革命勢力の糾合と解体、抵抗勢力の掃討、各地への部隊配備の過程を明らかにする。
当初、新疆における中国共産党の権力基盤は極めて脆弱であった。このような状況下で中国共産党は、スターリン(ソ連共産党)の助力と三区革命勢力をよすがとして、その人的資源および、軍事力を最大限活用し、新疆の軍事統合を推し進め、支配を確立
していったことを主張する。
※当日は資料・お茶代として200円いただきます。
(例会終了後には、会場近くで懇親会を予定しております。)