日時:7月29日(日) 14:00〜18:00
場所:法政大学大学院棟(旧92年館)3階301号室
JR中央線・地下鉄南北線飯田橋あるいは市ヶ谷駅または
JR中央線・地下鉄南北線/有楽町線/東西線飯田橋駅下車、徒歩約10分
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発表者:奈良 雅史氏(筑波大学大学院博士課程・日本学術振興会特別研究員)
発表題目
「漢化」と「イスラーム化」の間で進展するイスラーム復興
−中国雲南省昆明市回族社会の事例から−
要旨
本発表は、中国雲南省昆明市の回族社会の事例から、改革・開放以降の回族社会の急激な変化の下、イスラーム復興がいかに進展しているのかについて明らかにすることを目的とする。
1978年に改革・開放政策が導入されると、経済改革に伴う急激な社会変容により、特に昆明市などの都市部ではモスクを中心とする伝統的な回族コミュニティは解体してきた。それに伴い、回族はより一層漢族を中心とする主流社会にコミットしなければならない状況に置かれ、多くの回族がイスラーム実践を行わなくなり、「漢化」してきたとされる。その一方で、改革・開放以降、宗教政策が緩和され、それを契機にイスラームが復興してきた。そうした中、昆明市の回族社会では、留学経験者や海外のイスラーム思想に関する翻訳書籍、イスラーム系ウェブサイトなどを媒介として「認識安拉」(アッラーを知る)し、イスラームに目覚めた回族はより厳格にイスラームを実践するものこそがムスリムであるとみなすようになり、信仰と実践の一致を求める厳格な宗教言説が影響力を増している。このように回族社会では、「漢化」と「イスラーム化」が同時に起こり、二極化の傾向にある。
イスラーム復興を扱った先行研究では、イスラーム復興は一義的に宗教意識の問題とされ、イスラーム復興運動をイスラーム化したムスリムが、まだ信仰に目覚めていないムスリムに働きかけ、イスラーム化を社会的に拡大していく運動として理解されてきた。また、調査地においても宣教活動などのイスラーム復興運動は、敬虔な回族が漢化した敬虔ではない回族に働きかけるものとして表象される。
しかし、実際の活動を見ていくと、その活動の担い手には必ずしも日常的に礼拝などの宗教実践を行わない「漢化」した回族も多く、イスラーム復興運動が必ずしも宗教意識の高まりの結果として起こっているわけではないことが明らかになる。本発表では、主に宣教活動の事例から、より一層漢族との関係が密になる社会的現実と影響力を増しつつあるイスラーム主義的宗教言説との間で、宗教性の異なる回族がいかに結びつき、それがイスラーム復興運動をいかに進展させているのかを分析することを試みる。
※当日は資料・お茶代として200円いただきます。
(なお、例会終了後には、会場近くで懇親会を予定しております。)
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