日時:2月5日(日) 14:00〜18:00
場所:法政大学大学院棟(92年館)3階301号室
JR中央線・地下鉄南北線飯田橋あるいは市ヶ谷駅または
JR中央線・地下鉄南北線/有楽町線/東西線飯田橋駅下車、徒歩約10分
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発表者:櫻田 涼子氏(京都大学大学院GCOE研究員)
発表題目
子どもの養育実践から描くマレーシア華人家族のかたち
要旨
これまで漢民族社会研究の系譜上に位置付けられ、父系社会として固定的に分析される傾向があったマレーシア華人社会を、父系による関係だけではない双系的ネットワークにより維持されるより柔軟な社会であるという視点から検討することを目指し、子育てと労働を両立させる華人女性をめぐる養育実践と家族関係の変化について明らかにすることを目的とする。
マレーシア華人社会では、子どもの養育は父系系譜関係にのみ維持される実践ではなく、父系あるいは母系のゆるやかなネットワークを維持しながら、あるいは非親族やナーシングマザーといった外部の協力、地域コミュニティとの関係性によってその実践が可能となる。
これまでの調査からは以下の点が明らかとなった。
1. 母親の賃金労働への従事は、子どもの養育に優先する
2. 都市への移住・出稼ぎが多い地域では、母方親族との密接な紐帯が女性の婚出後も維持される
3.子どもの養育はリタイアした祖父母が担う事例が多く、何らかの事情により祖父母が養育に関われない場合に外部(ナーシングマザー・ナーサリー)サービスを受ける事例が多い
華人社会における都市労働と移住に焦点をあて変化する親族関係を明らかにしたジュディス・ストラウチは、世帯単位の農業生産を基礎とする父系社会において「娘」や「嫁」という女性に付されてきた役割は、賃金労働に基づいた経済システムに移行すると曖昧になり、従来の伝統的父系社会にみられた親族関係が変化することを指摘している。つまり、都市化する父系社会では母方親族とのつながりが強まり、父系と母系の双方の親族関係を維持する双系的傾向がみられ、父系出自や父方居住といった漢民族社会の伝統的親族関係が弱体化することを指摘しているが、この点は、本研究においても明らかになった点である。女性が賃金労働に従事することが優先されるマレーシア華人社会においては、子どもの養育はもはや母親である女性が単独で担うものではなく、父方母方の親族ネットワークと外部支援などにより柔軟に行われるのである。
本発表では、父系系譜関係だけではないより大きな社会関係により維持され実践可能となるマレーシア華人の子どもの養育実践から家族のありかたについて検討したい。
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