2012年 仙人の会1月例会発表


日時:1月7日(土)  14:00〜18:00

場所:法政大学大学院棟 6階601号室
 JR中央線・地下鉄南北線飯田橋あるいは市ヶ谷駅または  JR中央線・地下鉄南北線/有楽町線/東西線飯田橋駅下車、徒歩約10分
 現地へのアクセスについては、こちらをご覧ください。
   交通アクセス(市ケ谷)(Copyright (c) Hosei University)

発表者(1):卯田 宗平氏(東京大学東洋文化研究所・特任講師)

発表題目
 環境の変化と適応―長江中流域・ポーヤン湖における鵜飼い漁師の事例―

要旨
【目的】長江中流域・江西省ポーヤン湖を生業の舞台とする鵜飼い漁師たちを対象に、近年の漁場面積の減少を事例として取り上げ、漁師たちの対応のメカニズムを考察する。
【方法】まず鵜飼い漁師たちが直面している漁場面積の減少をRS技術によって明らかにする。その後、漁師たちの対応を現地調査の結果を踏まえながら検討する。
【結果】操業可能な水域は過去15年間に70%以上減少し、漁場面積の減少には大きく二つの原因があった。こうしたなか漁師たちは、川幅の広い河川で多くの漁師が一緒に操業できる集団漁を開始した。その結果、鵜飼い漁は@一連の操業において移動に費やされる時間が以前に比べて短くなり、逆に漁獲(実際にウを使って魚を獲る作業)時間が増えた。A活動強度の強い漁獲作業の時間が増加したため、出漁一回あたりの身体活動量が増加した。
【考察】環境の変化に直面した鵜飼い漁師たちがこのような対応を選択した要因について考察する。

発表者(2):小林 宏至氏(首都大学東京大学院 社会人類学教室、宗教情報リサーチセンター)

発表題目
 宗族システムをデコード(decode)する―中国客家社会の集合住居の居住形態から―

要旨
 本発表の目的は、福建省永定県客家社会における円形の集合住宅、客家土楼を調査対象とし、居住者による各部屋の所有形態 を整理・分析することで、これまで客家社会および土楼建築をめぐる研究で一般的とされてきた「不均衡に発展した宗族の一分節が独立して新たな宗族(土楼)を形成していく」という「学術的」解釈を批判的に検討することである。本稿では特に次の二点を議論することで、この問題を明らかにしていく。第一に、これまでほとんど報告されてこなかった、客家土楼居住者による土楼内部の空間の所有形態と宗族組織との関係性を明示すること。第二に、大規模宗族が発展していく過程を、新たに土楼建設していく過程と対応させて考察し、その際に宗族組織における成員の編成について詳細な分析を行うことである。これら二点の分析を通して、中国東南部の客家社会における宗族の発展形態に関し、新たな視座を提示することにしたい。


※例会終了後には、会場近くで懇親会を予定しております。

 本会では発表希望者を募集しております。
 発表者には懇親会費無料の特典つき。
 発表希望または例会についての問い合わせは幹事までお願いします。
 sennin.no.kai@gmail.com(←@を半角にしてください)

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