日時:12月18日(日) 14:00〜17:00
場所:法政大学大学院棟 6階601号室
JR中央線・地下鉄南北線飯田橋あるいは市ヶ谷駅または
JR中央線・地下鉄南北線/有楽町線/東西線飯田橋駅下車、徒歩約10分
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交通アクセス(市ケ谷)(Copyright (c) Hosei University)
キャンパスマップ(市ヶ谷)(Copyright (c) Hosei University)
発表者:山口 睦氏(東北大学東北アジア研究センター専門研究員)
発表題目
近代日本社会における公的贈与の生成と転換―慰問袋の贈与を事例として―
要旨
本発表は、近代日本社会における公的贈与の生成と転換のメカニズムを、戦時下の兵士に贈られた慰問袋を事例として検討するものである。20世紀の日本社会においてどのような公的贈与が生まれ、それらは私的な贈与からどのように転換したのかを、新聞資料の分析から検討し、新たな共同体としての近代日本社会の姿の一端を明らかにすることを目指すものである。
D.チールは、イギリスのクリスマスにおける企業による慈善団体への寄付を事例として公的贈与(public gift)と、個人間でおこなわれる私的贈与(private gift)を規定した(Cheal 1986)。伊藤幹治は、この自発的に無償で行われる公的贈与として、古くは、貧者や社会的弱者への寄付行為、宗教的寄付行為などがあり、現代にいたってボランティア活動、献血、臓器提供、開発援助など、国外や国内の不特定多数の人びとに対する慈善行為として展開していると指摘している(伊藤2006)。
この公的贈与と私的贈与は、静的な二分類ではなく、私的贈与が公的贈与へと転換されるという動的なつながりが確認される。たとえば、バレンタインデーのチョコを寄付行為に転換するという事例が確認できる。“私的”な“愛情”にみちたバレンタインデーのチョコが、“見も知らぬ他人”への“利他的”な寄付行為へと転換したのである。
本発表で扱う慰問袋は、戦時下の日本において兵士を慰めるために銃後の国民から贈られたものという認識があるが、実際は孤児、病人、災害被災者などの社会的弱者へも盛んに贈られていた。このように贈られる相手が異なる慰問袋の間の相違とは何か、転換の時期、私的贈与と公的贈与の重なり合いなどを検討する。
ひとつの贈与機会や贈り物がもつ動機、行為者、品物などの要素は、私的贈与と公的贈与という性質の違いにより個別に変化する。その変化、ゆらぎ、多様性を分析することにより、贈与行為にあらわれる日本社会の公共性の理解につながるのではないかと考える。
今年度も残すところあと僅かとなりました。
毎年恒例ではございますが、仙人の会では12月18日の例会後に忘年会を開催いたします。
皆様のご参加をお待ちしています!
日時: 12月18日(日)例会終了後17:30〜
会場: 場所:法制大学の周辺
会費:4000円程度
忘年会参加ご希望の方は、恐れ入りますが人数把握の必要上12月3日(土)までに幹事のメールアドレス、
sennin.no.kai*gmail.com(*を@にしてください)
までお申し込みください。
忘年会からの参加も歓迎いたします!