2009年 仙人の会10月例会発表


発表者:吉川 太惠子氏(法政大学国際文化研究科博士後期課程)

日時:10月18日(日) 14:00〜18:00ごろ

場所:慶應義塾大学三田キャンパス 大学院校舎5階352教室
 JR山手線・京浜東北線 田町駅下車、徒歩8分
 都営地下鉄浅草線・三田線 三田駅下車、徒歩7分
 都営地下鉄大江戸線 赤羽橋駅下車、徒歩8分
 現地へのアクセスについては、こちらをご覧ください。
   三田キャンパス案内(Copyright (c) Keio University)

発表題目
 「難民」としてアメリカに移住したラオスのモン(Hmong)族―30数年の時を経て受け継がれる伝統と新しいモン族の諸相―

要旨
 中国歴代王朝によるモン族平定化に抵抗し、漢民族の排斥を受け続けたモン族は、18世紀頃からインドシナ半島へ南下し、タイ北部やラオス北部の山岳地帯に移り住んだ。第一次インドシナ戦争ではフランスに、第二次インドシナ戦争(ベトナム戦争)では、米国の傭兵として、モン族は最も危険な前線部隊を担った。このため、ラオスに1975年に共産政権が樹立されると、行き場を失ったモン族は、多くが共産勢力に殺戮され、生き残った人々は、自由勢力側に協力した代償として、タイの難民キャンプを経て、西欧諸国に「難民」として移住した。
 発表者は、エスニック・マイノリティのグローバル・ネットワークに関して、アメリカ合衆国、フランス、オーストラリアの三カ国に再定住したモン(Hmong)族[1] について研究を行っているが、本報告では、最も多くのモン族を受け入れたアメリカ合衆国におけるモン族の現状について発表したい。
 なお、発表者は、モン族のアニミズムにもとづいて行われる儀式のなかでも、最も重要とされる葬式を、ミネソタにおいて2009年7月に、「身近な一親族」という扱いで参与観察する機会を得た。4日間続いたモン族の伝統的な葬送の儀式を事例に挙げながら、受け継がれる彼らの伝統が、親族関係内の「スペース」、すなわち人々の絆に基づいていることを報告したい。
 このように、“Hmong American”として、アメリカ社会に溶け込んでいるモン系アメリカ人の現状と、一方で伝統的社会の中に生きるモン族の諸相を本報告で発表することで、アメリカ社会における一少数民族であるモン族の生き様を伝えたいと考える。

[1] モン族(Hmong)は、中国ではミャオ(苗)族と呼ばれ、中国・チベット語族。英語表記では、Hmongと書かれる。ミャンマー南部に住む、モン・クメール語族のモン(Mon)族は全く別の民族。

※例会終了後には、会場近くで懇親会を予定しております。

 発表希望または例会についての問い合わせは幹事までお願いします。
 sennin.no.kai@gmail.com(←@を半角にしてください)

なお、メーリングリストで送られてきたメッセージにそのまま返信しますと、 会員全員に配信されてしまいますのでご注意ください。