発表者:石垣直氏(日本学術振興会特別研究員PD 横浜国立大学教育人間科学部)
日時:10月26日(日) 14:00〜18:00ごろ
場所:東京大学駒場キャンパス18号館2階院生作業室
駒場キャンパス18号館
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交通:京王井の頭線 駒場東大前駅下車
(JR山手線渋谷駅/小田急線下北沢駅/京王線明大前駅より京王井の頭線乗換)
駒場アクセスマップ
発表題目
「土地所有をめぐる現実―台湾・ブヌン社会における保留地継承・分配制度の現代的諸相―」
要旨
「中華民国」の台湾化・民主化が急速に進んだ1980年代、17世紀にはじまる漢族系住民の大量入植以前からこの土地で生活してきた
オーストロネシア語族系の人々(以下、「原住民(族)」)が、「台湾の主人」・「原住民(族)」としての権利回復運動を始めた。
こうした権利回復運動の主眼のひとつとなったのが土地回復運動だった。1980年代末および1990年代初頭には相次いで大規模デモが
実施され、近年では祖先の故地やかつての居住地への「ルーツ探し活動」ならびに「地図作成調査」などを通じて、土地と自集団と
の紐帯の再確認、「伝統領域」の返還が叫ばれている。しかし、一部の人びとが「原住民(族)」としてのかような権利要求を主張
する一方で、現在かれらが使用している土地(保留地)の少なからぬ部分が、1960年代からの政府主導による開発政策の影響もあり、
合法・非合法で漢族系住民に売却・リースされているとも言われる。
本発表では、まず、世界各地の土地制度に注目してきた人類学研究の流れを概観する。つづいて、台湾における原住民政策、とく
に土地政策の変遷を整理した上で、かつて台湾中部山地をその勢力範囲としていたひとつのブヌンの諸村落(台湾中部および東南部
山麓地域)におけるフィールドワークを通じて収集した具体的な事例をもとに、かれらの保留地継承・分配制度の現状を明らかにす
る。さらに発表の後半部分では、先行研究の成果と対照させながら、これらの諸事例にみられる特徴を整理・検討する。本発表では
その上で、土地をめぐりさまざまな語りと実践が展開されるこうしたフィールドの状況を人類学が読み解いていく上での有効なパー
スペクティヴについて検討する。
※例会終了後には、懇親会を予定しております。
発表希望または例会についての問い合わせは幹事までお願いします。
仙人の会 幹事(メーリングリスト管理者)08年度幹事 稲澤 努・娜荷芽(ナヒヤ)
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