発表者:三宅俊彦氏(専修大学文学部兼任講師)
日時:10月21日(日) 14:00〜18:00ごろ
場所:法政大学 92年館(大学院棟) 6階601号教室
JR中央線・地下鉄南北線飯田橋あるいは市ヶ谷下車、徒歩約10分
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発表題目
「ベトナム北部の一括出土銭の調査」
要旨
中近世における東アジアの銭貨は、中国で鋳造された銭貨を主体とした方孔の銅銭が広く流通していた。そして、それら銅銭は王朝・時期・地域などを異にしながら、東アジア規模でダイナミックなうごきを見せていたのである。
しかし、これまで銭貨を考古資料としてあつかう研究は、ほとんどされてこなかったのが現状である。本報告であつかう一括出土銭(一度に大量に埋められた銭貨)を、考古学的に分析するという試みも、日本国内では集成が行われていたが、中国をはじめとする東アジア各国では、ほとんど行われてこなかった。
本報告では、最近報告者らが行っている、ベトナム北部出土の一括出土銭の調査状況を紹介し、その分析結果から得られる歴史的背景などについて、若干の考察を加えたい。
この調査は、ベトナムにおいて行われた、ほぼ最初の考古学的な一括出土銭の調査である。
報告では、考古学が専門でない方々も多く参加されると思われるため、
まず考古学的な分析の方法と、そこから得られる成果について、簡単に説明したい。
合わせて、報告者が集成した中国の一括出土銭の事例を紹介し、
得られた成果や、日本の一括出土銭との比較において得られた見通しなども報告したい。
そして、本題であるベトナム北部の一括出土銭の調査の報告を行う。
今のところ報告者らは、3点の一括出土銭の資料を調査中である。それぞれ壺や甕などの容器に容れて土中に埋められていたもので、出土地点は残念ながらベトナム北部としか分からないが、非常に良好な資料である。年代は、それぞれ14世紀末、15世紀前半、19世紀初頭のものと推測している。
報告では、それらの資料を、考古資料の整理作業の様子も交えながら紹介していきたい。さらに、その分析結果から、埋められた銭貨の流通状況や歴史的背景などに関して、若干の考察を加える。
これらの資料は現在調査中のため、初歩的な考察にとどまらざるを得ない。しかし、例えば19世紀初頭の資料からは日本の寛永通寳が発見されたり、雲南地方との繋がりを示唆する資料が見られたりするなど、興味深い結果が得られており、当時の東アジアの銭貨流通を解明する上で、有用な資料になりうると考えている。
懇親会
例会終了後には、会場近くで懇親会を予定しております。
例会についての問い合わせ等は幹事まで御連絡ください。
幹事:横田祥子・野本敬
※幹事連絡先が変わりました。
sennin.no.kai@gmail.com(←@を半角にしてください)