2006年 仙人の会5月例会発表


発表者:野原敏江氏(東京都立大学兼任講師)

日時:5月28日(日) 14:00−18:00頃まで

場所:法政大学 92年館(大学院棟) 6階601号教室

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 JR中央線・地下鉄南北線飯田橋あるいは市ヶ谷下車、徒歩約10分
 交通機関については、こちらをご覧ください。
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発表題目 
現代中国の文学テクストに現れた動物の表象―羊と狼を例に

要旨
 動物は、人間の民俗信仰・神話・文学と深くかかわってきた「他者」として世界に存在してもいる。中国では「山海経」、「捜神記」、「聊斎志異」、「西遊記」、「封神演義」などの古典作品にもよく現れる。だが近現代になると、特に1930 年代から70 年代末の間は、猫や犬のような人間にもっとも身近な動物でさえも文学作品に登場するのは少ない。戦争・自然災害・政治運動などの影響で、人間は普通の生活さえも保証されなかったことが原因として挙げられる。近代中国文化において「動物」の表出は、時代性と政治性のファクターに制約されてきたと言えるだろう。
 文化大革命が終結し改革開放をへて現在まで、その三十年近くのあいだに、動物と文学作品の関係は新しい動向を見せ始める。現実的な描写、暗喩的な登場、神話やミステリー風の起用など、作品ごとに実に色彩豊かである。
 本発表はとくに90年代以降の文学作品を対象とし、テクストにおける動物の役割に迫りたい。そのさい、可能な限りで歴史的な動物信仰、現代人と動物(ペット事情)、ことばの中の動物(故事成語など)といった視点も参照しながら考えたい。

※ご出席の方は、ご面倒ですが清水享(qingshui@chs.nihon-u.ac.jp)までお知らせ下さい。