2006年 仙人の会1月例会発表


発表者:楊志強氏(貴州大学人文学院教授)

日時:1月15日(日) 14:00−18:00頃まで

場所:法政大学 市ヶ谷キャンパス 大学院棟 (お堀の外側の校舎になります) 601号教室

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 JR中央線・地下鉄南北線飯田橋あるいは市ヶ谷下車、徒歩約10分
 交通機関については、こちらをご覧ください。
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発表題目 
「苗」から「苗族」(ミャオ族)へ―近代民族集団の形成及び民族的アイデンテイテイ再構築の過程―

要旨
 ミャオ族は「多民族国家」とされる中国では、早くから、「歴史の最も古い民族」として知られてきた。ところが、その一方、「ミャオ族」とされるこの民族集団(エスニック・グループ)の内部では、文化及び生業形態など、それぞれ異なり、少なくとも新中国成立する前、「ミャオ族」という共同体の実体及びアイデンテイテイが一度も見られなかった。
 80年代以降、ミャオ族社会の知識人集団によって展開されてきた民族的アイデンテイテイの再構築は中国南方の各少数民族社会の動きのなかでも最も注目される現象の一つとして、時には主流社会と激しく衝突してきた。しかし、その具体的な内容を探ってみれば、殆ど「ミャオ族」を代表する何らかの「共通なしるし」(祭り、祖先など)の創成の段階に留まっていることがわかる。ここで、論者はミャオ族が「近代民族集団」として如何にして歴史的に形成されたのかについて論じると同時に、80年代以降のミャオ族社会の知識人集団による民族的アイデンテイテイの再構築の内容及びプロセスについても、20年間にわたる観察を通して明らかにしようとも努めている。また、ミャオ族の事例を通して、王朝体制から近代国家への移行期における「他者」による「民族集団」形成などの問題をも取り上げて論じたい。