日時:2002年 1月27日(日)14:00〜17:00ころ
場所:東洋大学白山キャンパス2号館15F社会学研究所
- 都営三田線白山駅、営団南北線本駒込駅下車、各徒歩5分。
(地図はこちら)
発表者:澤井 充生(東京都立大学大学院社会科学研究科社会人類学専攻博士課
程)
題目:“只許娶進,不得嫁出”――寧夏回族自治区W市における回族の民族内婚
- 回族の諺に「只許娶進,不得嫁出」というものがある。これは,回族と非回
族の通婚に際し,回族の男性が,他民族の女性を娶ることは可能でも,回族の女性が
他民族の男性に嫁ぐことは許されない,という意味である。こうした伝統的な観念
が,回族と他民族とのあいだの集団的境界線を形成し,延いては,回族が清真寺(モ
スク)を中心に形成するコミュニティを維持させてきたと国内外の研究者によって指
摘されている。
しかし,それはあくまでも理念上の話であり,実際の状況は明らかにされていな
い。例えば,清真寺の破壊,都市開発にともなう回族と漢族との混住化,回族の脱宗
教化などの諸要因から,回族の伝統的な婚姻観も変容を迫られている。そこで,本発
表では,寧夏回族自治区W市の回族集住区でおこなったフィールドワークにもとづ
き,回族の民族内婚と異民族通婚に関する民族誌的資料を提示し,回族の人々が民族
内婚にこだわる論理(逆に,こだわらない論理も)を探ってみたい。
前のページにもどる