では何故、庭園においては廃虚のように永遠に封印されてしまわないのかというと、庭における主役である植物に再生循環性という大きな特徴があるからです。人にとって植物とは、短い周期で生命の循環(枯れまた甦る)を目のあたりにできる存在であり、水や大気と土壌とともに地球エコロジー的システムを理解させてくれる大切なパートナーです。そしてこの植物を通してアルカディア的なものとユートピアとの間で、つねに庭は揺れ動いてきたわけです。植物との共感は、私たちの個的感覚を地球生命体の意識へと解放してくれます。このとききっと、〈神〉が熱い感情とともに私たちの心に流れ込んできます。われわれもまた、エデンの園にいるのです。
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