差出人: Shin'ichirou Koubuchi [vz4s-kubc@asahi-net.or.jp] 送信日時: 平成 13年7月11日水曜日 午後 9:04 宛先: klingon@ml.asahi-net.or.jp 件名: [klingon 730] 新シリーズ お久しぶりです。コウブチです。 しばらく音信不通でしたが、毎度のことですのでご容赦ください。6月から、また仕 事が忙しくなってしまって、他に何もできない状態でした。この忙しさは8月中旬ま で続きますので、当分はメールも少なくなると思います。8月以降は未定です。ま あ、だいたい毎年夏になると、このメーリングリストはメールが途絶えるのが常です よね。 さて、ここからが本題です。 最近のスタートレックの動向については、私よりも皆さんの方が詳しそうなので、も うすでに皆さんご存知かもしれませんが、アメリカでは5月にボイジャーが最終回を 迎え、新シリーズの製作が発表されました。 題名はずばり「Enterprise」! まだ正確なところはわかりませんが、「Star Trek: Enterprise」ではなく、単に「Enterprise」のようです。時代設定はなんと22世 紀、カーク船長の5年間の調査飛行の150年前、私たちの時代からは100年後の 世界です。21世紀2063年に人類がバルカン人とのファーストコンタクトを果た し、宇宙に乗り出し始めた少し後の時代です。つまり人類にとって宇宙にはまだ、人 類の想像を絶する新しい文明、新しい生命が待ちうけていた時代です。(本当はTO Sがそうだったのですけどね。) この時代を舞台に、様々な種族とのファーストコ ンタクト、そして惑星連邦の創世が描かれるのです。まさにその後のスタートレック 史の土台となる興味深い時代設定です。 ============================== 以下に、気になる登場人物を紹介します。カナ表記は不正確かもしれませんので、ご 注意ください。また、階級名にもまだ不明な点がありますので、訳していません。今 まで(というか今後)の宇宙艦隊にはない Sub Commander という階級が含まれてい ます。 ◆ジョナサン・アーチャー(スコット・バクラ)  Captain Jonathan Archer: Scott Bakula もちろんエンタープライズ号の船長です。肉体派で好奇心の旺盛な船長で、勇敢な人 物(a physical and intensely curious captain with a bold personality)です。 使命感が強い(have a strong sense of duty)が、同時に少し反抗心もあり(is also a bit of renegade)、自分が正しいという直感があれば、命令に異義を唱えた り、背くことさえ辞さない(is not afraid to question orders or even disobey them if he feels in his gut that he is right)という人物です。ということは、 結局は今まで(とうか今後)の船長・艦長・司令官たちと同じですよね。事実、その 後の宇宙艦隊の艦長たちの模範・原型(the prototype for Starfleet captains to come)とも説明されています。 演じるスコット・バクラは「タイムマシーンにお願い」Quantum Leap の主人公サム ・ベケット博士(Dr. Sam Beckett)役でご存知の方もおられるでしょう。2枚目な んだか野暮ったいのかなんとも判断しにくい、ヤボ・ハンサム系の顔で、スタート レックというよりも、ギャラクシー・クエストの方が似合うかもしれません(どうい う批評だ?)。女性ファン獲得を狙ってる? ところで、今までエンタープライズ号の船長は、初代がロバート・T・エイプリル船 長、2代目がクリストファー・パイク船長、そして3代目がジェームズ・T・カーク 船長ということになっていますが、アーチャー船長はどういう扱いにするのでしょう かね? ◆ドクター・フロックス(ジョン・ビリングスリー)  Dr. Phlox: John Billingsley 医療主任のフロックスはその変な名前からもわかる通り、異星人です。エンタープラ イズ号では、当然のように地球人ばかりが乗員の大半を占めるわけですが、その健康 管理を異星人に任せるというのも見物です。ボイジャーのホログラム・ドクターの系 譜ですかね。 演じるジョン・ビリングスリーは現在東京で木曜日深夜に放映中の「霊能者アザー ズ」The Others で、民俗学者のマイルズ教授を演じています。東京の人は今のうち からアザーズを観て予習しておきましょう。 ◆チャーリー・タッカー(コナー・トリニアー)  Commander Charlie Tucker: Connor Trinneer 機関担当。TOSでは機関主任のスコッティが、カーク、スポックに次ぐ地位にあ り、両者不在の時にはスコッティが船の指揮を取っていました。機関士の地位が高い のは、TOSの時代まで続く伝統のはしりかもしれませんね。TOSの日本放映時に は、スコッティはチャーリーと改名させられていました。今回のチャーリー機関士の 登場で、混乱が...起きませんよね、今さら。 ◆ティポル(ジョレーヌ・ブラロックス)  Sub Commander T'Pol: Jolene Blalocks 名前からわかる通り、バルカン女性です。Sub Commander という今までにないロミュ ランのような階級が興味を引きます。ただし、副官(first officer)ということで すので、Sub Commander は階級名ではなく役職名である可能性が強いです。だとする と、上のチャーリー・タッカーよりも上になります。 ◆マルコム・リード(ドミニク・キーティング)  Lieutenant Malcolm Reed: Dominic Keating 武器システム担当。名前からすると、スコットランド系? ◆ホシ・サトウ(リンダ・パーク)  Ensign Hoshi Sato: Linda Park 名前からわかる通り、日本人(のよう)です。ちなみに、女性です。「佐藤ホシ」だ なんて、なんだかお婆さんみたいな名前ですね。きっと22世紀には流行が変わって おしゃれな名前なのでしょう。おそらく、ケイコ・オブライエンのように、22世紀 の“進化”した日本文化を見せてくれることでしょう。期待大? いまだに日本に関 心を持ちつづけているスタッフに感謝。 ◆トラビス・メイウェザー(アンソニー・モンゴメリー)  Ensign Travis Mayweather: Anthony Montgomery 航法士。 ============================== 次に、予習として21〜22世紀の歴史をざっと見ておきましょう。 2063 コックレイン博士、ワープ航法を実現。 2063 異星人(バルカン人)とのファーストコンタクト。 2065 S.S.ヴァリアント号、深宇宙探検に出航。      TOS "Where No Man Has Gone Before" 2067 英国の天文学者ジョン・バーク、シャーマン惑星を星図に記載。      TOS "The Trouble with Tribbles" 2067 ラビニアス5号星、神経系寄生生物に襲撃される。      TOS "Operation: Annihilate!" 2069 クリンゴン皇帝崩御。以後、継承者なし。 2082 ステファン・リッチー大佐、セータ第116恒星系で死去。      TNG "The Royale" 2103 火星植民開始。 2105 地球で複数の女性、ナイフで殺害される。TOS "Wolf in the Fold" 2113 地球に世界政府誕生。 2117 アルファ・ケンタウリ星系に移住したコックレイン博士、      87歳で宇宙に旅立ち行方不明。(なんか年齢が合わない?)      TOS "Metamorphosis" 2123 宇宙船マリポーサ号、ファイカス星域への植民のため出航。      TOS "Up the Long Ladder" 2132 野球選手バック・ボカイ死去。 2133 ベイジョーのカイ・タルノ、デノリアス・ベルトを探検。      DS9 "Emissary" 2159 オーストラリア、地球世界政府に参加。TNG "Attached" 2156 ロミュラン戦争勃発。 2156 アルファ・エリダニ2号星で女性2人がナイフで殺害される。      TOS "Wolf in the Fold" 2160 シャロンの戦いでロミュラン大敗。ロミュラン戦争終了。      アルジェロン条約締結。中立宙域設定。 2161 惑星連邦誕生。宇宙艦隊結成。 2164 オルナラ星で疫病対策にブレッカ産のフェリシウムが使われる。      TNG "Symbiosis" 2165 バルカンのサレク誕生。 2165 ガイナン、Qと遭う。TNG "Q Who?" 2165 デネバ星に植民。TOS "Operation: Annihilate!" 2167 宇宙船アーコン号、ベータ3号星を訪れる。      TOS "Return of the Archons" 2167 U.S.S.エセックス号、マブー6号星で遭難。TNG "Power Play" 2168 宇宙船ホライズン号、シグマ・イオティア2号星に      書籍「Chicago Mobs of the Twenties」を置き忘れる。      TOS "A Piece of the Action" 2168 モアブ4号星に植民。TNG "Masterpiece Society" 2170 北アメリカ先住民の一団、新天地を求め宇宙に旅立つ。      TNG "Journey's End" 2196 宇宙艦隊、デーダラス級航宙艦を廃止。 ============================== 具体的に何年が舞台になるのかはまだ不明ですが、番組中では、上記の出来事のうち 地球が関与しているものへの言及があるものと思われます。特に、惑星連邦の創設と ロミュラン戦争が物語の中心に据えられる可能性が高いでしょう。映画10作目でも ロミュラン人が悪役として登場しますが、これも新シリーズへの伏線になるのかもし れません。 異星人としては、ロミュラン人以外に、アンドリア人、テラライト人などの古株種族 が新たに詳しく描かれるかもしれません。 宇宙船はデーダラス級が活躍した時代のようですが、今度のエンタープライズ号も デーダラス艦になるのでしょうかね? また、制服もがらりと変わることでしょう。 もしかして、ボタンやチャックなどの付いた、“旧式”なものになったりするかもし れません。装備も、もっと古めかしくなることでしょう。通信機、フェイザーガン、 トライコーダーの三種の神器が、いつ発明されたものなのかはわかりません。通信機 はもちろん、バッジ組み込み式でなく、手に持つタイプになることでしょう。パイク 船長の時代にはレーザーガンを使っていましたし、フェイザーの採用は2200年以 降という説もありますので、フェイザー兵器は出てこない可能性が高いです。トライ コーダーは、多分もっと大きくてかさばる代物になるのではないでしょうか。転送機 はどうなるのでしょうかね? ホロデッキは、当然出てこないでしょう。 こうして考えてみると、時代的にかなり制約のある設定となっています。未来との整 合性を取りながら、今までにない新しいこともやらなければならないのですから、と ても困難です。しかし、その分やりがいもあることでしょう。個人的にはボイジャー が始まる時よりも、楽しみが大きくワクワクしています。おそらく、すべてが初心に 帰ることになり、今までのシリーズでは当たり前になっていたことが、まったく新し い視点で描かれ、驚異に満ちた素晴らしい冒険物語を復活させることが出来るでしょ う。 ちなみに、クリンゴンとのファーストコンタクトは2218年なので、クリンゴンは 出てこないと思われます。まあ、何らかの仕掛けを駆使して絶対登場させると思いま すけどね。 とにかく楽しみに待ちましょう! (その前にフジテレビ、TNGの最終回を早く放映して!) "The final frontier has a new beginning" 「最後の開拓地には新たな始まりがある」 veH QavDaq taghchoH vay' chu'. Qapla’! コウブチ 追伸: 新シリーズ「Enterprise」はまだ企画段階なので、ここに紹介した内容は変 更になるかもしれないことにご注意ください。