Mainly written in Japanese / teksto chefe japane

Nigra poemaro de "Nigra Butlero"

〜黒詩集〜

『黒執事』の詩集

シャーロック・ホームズ・シリーズなど、ビクトリア朝時代を舞台にした物語が大好きなので、『黒執事』にも大いにのめり込みました。セバスチャンのスマートな活躍も格好良いし、シエルのツンな美少年振りにも魅了されました。ファントムハイブ倶楽部(略してファン倶楽部)にも入っていましたよ。第2期『黒執事U』は残念ながら見逃してしまいましたので、これから観ていきたいと思います。

というわけで、テレビアニメ『黒執事』第1期だけを観て作った詩をお楽しみください。余裕があれば、愛すべき使用人たちやその他の一癖も二癖もあるキャラクターたちの詩も作ってみたいと思います。

詩に使われている言語は、悪魔の言語(と言われたこともある)エスペラントDEATH☆


Sebastiano de Mikaelo
(大天使ミカエルのセバスチャン)

Jen, oni min nomas la Nigra Butlero.
Mi servas al Mastro pro lia ofero.
Mi gardos sincere lin ghis la momento,
En kiu malfruos kaj vanos la pento.
Neniam trudighu, ghentile, afable.
Mi nur 'stas butlero ghisfine... diable.
(直訳)
はい、人は私を黒き執事と呼びます。
私は彼の差し出すもの故に坊っちゃんに仕えます。
私は彼をその瞬間まで誠実に守るでしょう。
その時には後悔しても無駄ですよ。もう遅いです。
けっして出しゃばらず、礼儀正しく、物腰柔らかく。
飽くまで悪魔で執事ですから。

セバスチャンの解説

はい、私、詩の解説を仰せつかりましたファントムハイヴ家の執事セバスチャン・ミカエリスです。え? 詩の解説など出来るのかですって? ファントムハイヴ家の執事たる者、この程度のことが出来なくてどうします?

まずは私の詩からですね。シエル坊っちゃんを差し置いて先に登場とするとは、おこがましいことですが、主役ですから仕方ありません。

なかなか雰囲気をつかんだ詩です。人間の作にしては、まあまあの出来ですよ。

Mastroは「坊っちゃん」のことです。14歳くらいまでの貴族の子弟に対する敬称です。「若さま」とか「若だんな」などという言い方もありますね。うちの坊っちゃんは年齢的にギリギリな感じですが、きっといつまでも幼いでしょうから、いつまでも坊っちゃんとお呼びしますよ。(余談になりますが、私が「イエス、マイロード」というときは、坊っちゃんを一人前の大人として扱って差し上げているのです。)

ghis la momento「その瞬間まで」というのは、坊っちゃんの復讐が完了するときのことです。そのときが楽しみです。

最後の行は「あくまで執事ですから」という私の名台詞ですね。「飽くまで」と「悪魔で」を掛けてあるのを訳し出すのに苦労した跡が伺えます。まあこの地口をうまく訳し出すのは人間には無理でしょう。悪魔と契約でもしない限り……。

詩形はアンフィブラキック・テトラメーター、つまりアンフィブラックを四つ並べたものとなっています。ちょっと珍しいですね。なに? アンフィブラックをご存知ないですって? やれやれ、そんな教養もなしでは貴族社会ではやっていけませんよ。アンフィブラックとは「弱強弱」、つまりトン・ツー・トンという音のリズムのことを言うのです。ここでは、トン・ツー・トンというリズムが四回繰り返されて、一行を為しているのです。それを意識して声に出して読むと、なかなかリズミカルな音を楽しむことができますよ。あ、もちろん行末では韻を踏んでいるということはお分かりですね。二行づつセットになって同じ音で終わっているのです。

悪魔なのに「大天使ミカエルの」とはちょっと大げさで不釣合いな題名ですが、これは私の姓ミカエリス(Michaelis)がラテン語で「ミカエルの」という意味なので、直訳してみたようですよ。ラテン語は貴族のたしなみです。坊っちゃんは苦手ですけどね。


Ciel Phantomhive(シエル・ファントムハイブ)

La id' de la Graf' el la nest' de fantomoj;
La hund' de l' reghin' kun sekretaj renomoj;
L' ekbril' de la sign' sur la dekstra okulo;
La pruv' de la trakt' kun la nigra kunulo.
(直訳)
幽霊どもの巣窟から来た伯爵家の末裔;
秘密の名声を持つ女王の番犬;
右目にきらめくその印;
黒き同伴者との契約の証し。

セバスチャンの解説

お次はシエル坊っちゃんの詩です。坊っちゃんのダークな面を前面に押し出したクールな詩ですね。本当の坊っちゃんは、こんなにクールじゃないのですがね。

詩形は私の詩と同じくアンフィブラキック・テトラメーターです。これはエスペラント詩に特有の現象ですが、名詞語尾 -oの省略が頻繁にあって、かなり独特の響きになっています。坊っちゃんの高貴な雰囲気と、複雑でどこか屈折した印象をよく表せていると思いますよ。でもちょっと上級者向けですから、綺麗な発音で読むには貴族的な話し方に慣れていないと難しいです。作ったご本人もうまく読めないらしいですよ。

一行目のla nest' de fantomoj「幽霊どもの巣窟」とは言うまでもなく、坊っちゃんの家名ファントムハイブ(Phantomhive)から来ております。誰ですか? ファントム“ファイブ”などと思っているお方は。由緒ある伯爵家の名前くらいきちんと覚えていただきたいものです。

最後のla nigra kunulo「黒き同伴者」とは私のことですね。どこまでもお供いたしますよ。


Robinjo(駒鳥ちゃん)

Shia nomo 'stas Robino.
De Vicgrafo karknabino.
Charmas shi tre bele iel,
Char shi estas vere Ciel!
(直訳)
彼女の名前は駒鳥ちゃん
子爵殿下のお気に入り
どうしたものか、とっても可愛い
だってホントはシエルだもん!

セバスチャンの解説

全国の紳士淑女のみなさんを魅了した坊っちゃんの女装姿を詠った詩ですね。坊っちゃんも嫌がっておいでのようでしたが、内心はまんざらでもなかったようですよ。男の娘イベントでも必ず何人かの駒鳥コスを見かけるほどの人気振りです。あんなに可愛い駒鳥ちゃんが女の子であるはずがありませんよね。ドルイット子爵もお目が高いようで、私も鼻が高いです。

詩形は軽やかにトロカイック・テトラメーター、つまり一行にツー・トン四個です。


おや、三つでお終いですか。しょせん人間の力には限りがありますからね。すべてのキャラクターの詩をお作りになりたければ、是非、私とご契約ください。お力になりますよ……。


作成者:姫楼しん(きろうしん)/公開日:2010-10-16/更新日:2014-06-30
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Farita de Sin kiro el Japanio / Aperis en 16 okt. 2010 / Shanghita en 30 jun. 2014
Chefpagho: Konkelspiro