tIn DujwIj：私の船は大きい。

tInbe' DujlIj：あなたの船は大きくない。

bIyoH：あなたは勇敢です。

yoH SuvwI'：戦士は勇敢です。

Duj tIn：大きな船

Duj tInqu'：とても大きな船

DujwIj tIn：私のとても大きな船

SuvwI' yoH SoH：あなたは勇敢な戦士です。

DujwIj tInqu'Daq Such SuvwI'pu' yoHqu'
：私のとても大きな船にとても勇敢な戦士たちが訪れる。

【単語】tIn：大きい、DujwIj：私の船、DujlIj：あなたの船、 yoH：勇敢である、SuvwI'：戦士、SoH：あなたは〜です、Such：訪れる

• 「大きい」「赤い」...等のものの状態・様子を表わす語は、英語と日本語では形容詞に分類されますが、クリンゴン語文法では形容詞という分類はなく、これらの語はみな動詞扱いになります。

• 要するに、概要の項で説明した「付属語−述語−主語」の「述語」の位置に来るわけです。以下の例文を比較してみて下さい。

  クリンゴン語：tIn Duj（tIn：大きい、Duj：船）
  　　　日本語：船は大きい。
  　　　　英語：The ship is big.

• クリンゴン語では「主語＝Duj」と「述語＝tIn」の２つの要素から文が出来ています。日本語でも同様に、文は「主語＝船は」「述語＝大きい」の２つの要素から出来ています。しかし、英語では、「主語＝the ship」「動詞（述語）＝is」「形容詞（補語）＝big」と、３要素になります。

• このため、英語話者に対するクリンゴン語の説明では、『形容詞はなく、「be動詞＋形容詞」で一つにまとまった意味を持つ動詞があるのみである』とされており、いろいろと厄介な説明が必要になります。しかし、上の例に見る通り、日本人にとってはそれほど説明はいらないでしょう。

• 当入門では、一応伝統に則ってこれらの語を動詞に分類し、便宜上、形容詞的動詞と呼びます。しかし、これらは動詞と言っても普通の動詞とはちょっと違う用法もあります。日本人の場合は、単に形容詞と言い替えた方が分かりやすいかもしれません。

• 普通、形容詞には「述語的用法」と「限定用法」の二通りの使われ方があります。「述語的用法」とは、「船は大きい」と言う時の様に述語として使うことです。「限定用法」とは、「大きな船」と言う時の様に他の語（名詞）を修飾する使い方のことです。

• クリンゴン語の形容詞的動詞は「述語的用法」では普通の動詞と全く同じ扱いになります。接辞も動詞と同じものが付きます。

  tIn DujwIj：私の船は大きい。
  （tIn：大きい、DujwIj：私の船）

  bIyoH：あなたは勇敢です。
  （yoH：勇敢である）

  Qatlhbe'：難しくない。
  （Qatlh：難しい）

• 「限定用法」つまり修飾語として使う場合は、修飾する語の後ろに付きます。

  Duj tIn：大きな船
  （Duj：船、tIn：大きい）

  SuvwI' yoH：勇敢な戦士
  （SuvwI'：戦士、yoH：勇敢である）

• 「限定用法」では接辞の付け方は少し特殊になります。

• 動詞としての接頭辞は付きません。動詞接尾辞は、強調を示す浮動辞-qu'以外は付きません。この場合の-qu'は「とても」という意味になります。

  Duj tInqu'：とても大きな船
  （Duj：船、tIn：大きい）

  *Duj tInbe'：大きくない船　...は間違い。

  SoH yoH：勇敢なあなた
  （SoH：あなた、yoH：勇敢である）

  *SoH bIyoH：*あなたは勇敢なあなた　...は間違い。

• 名詞接尾辞は、当然名詞の方（修飾される方）に付きますが、
  第５類接尾辞（-Daq, -vo', -mo', -vaD, -'e'）だけは「名詞＋修飾語」の後ろに付きます。浮動辞-qu'がある場合にはその後ろになります。

  DujDaq：船で／へ
  Duj tIn：大きな船
  Duj tInDaq：大きな船で／へ
  Duj tInqu'Daq：とても大きな船で／へ
  （Duj：船、tIn：大きい）

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