Text written in Japanese / teksto japane


アニメの中のエスペラント
Esperanto en japana animeo

日本のアニメ作品の中でエスペラント語が使われたり、言及された例を紹介します。よく言及されたセリフだけを抜き出して紹介されることがありますが、エスペランティストとしての関心は、それがどのような状況でどのような意図を以って言及されているかというところにあると思います。ここでは、なるべく前後のセリフや状況説明を載せるようにします。


『それでも町は廻っている』八番地(第8話)「全自動楽団」2010年

雨宿りに入ったコインランドリーに設置された即席うどんの自動販売機の仕掛けに感動した主人公の歩鳥は、「これはもしかして、見た目は古臭いけど、実は宇宙から来た未来のマシーンでは?」と他の自販機も試す……

歩鳥 「よし、チーズハムトーストも買ってみよう」

歩鳥 「わ、あっあっあちあち」

俊子 「んな熱すぎない?」

歩鳥 「宇宙人は加減を知らないんだなあ」

双葉 「ほら、ちゃんと火傷をしないよう気をつけて下さいって書いてあるだろ」

歩鳥 「エスペラント語じゃないんだ」

俊子 「何それ?」

歩鳥 「地球の標準語」

◆ 歩鳥は凝った仕掛けの自動販売機を宇宙から来た超技術と見なしており、この驚異の自販機を作った宇宙人は地球人に向けて「地球の標準語」で注意書きを書くものだと考えての発言でしょう。

『ガールフレンド(仮)』第7話「ドギー&スクランブル」2014年

夏目真尋の執筆する創作小説を巡って……

村上文緒 「あのう、熊本城って日本語しゃべるんですか?」

夏目真尋 「はい、日本の城なので」

文緒 「宇宙人がしゃべれないのに?」

真尋 「宇宙人は宇宙語をしゃべる設定です。あと、地球に来る時に地球標準語のエスペラント語を習ってます」

文緒 「はあ」

真尋 「ちなみにチンゲン菜は美少女です!」

◆ 熊本城、宇宙人、チンゲン菜というは件の創作小説の登場人物です。「地球標準語」という扱いは『それでも町は廻っている』からの系譜でしょうか。

『蒼穹のファフナー EXODUS』第2話「希望の名は」2015年

人類と意志疎通のできない異世界の存在フェストゥムと対話する能力があるという二人の少女の初対面の様子を見ながら……

真壁司令 「遠く離れた二人が意思疎通をしていたというのか」

ボース将軍 「ミールが仲介した奇跡だ」

真壁 「ミール……だと?」

ボース 「フェストゥムの思考中枢であり万物へ変化する超万能構造体。そちらのほうがよく知っていると思うが」

真壁 「あの少女もミールと交信できるのか?」

ボース 「彼女の弟が偶然かけらを手に入れたらしい。北極ミールの一部が生き延びたものだろう。そのかけらと話す方法をエメリーは弟から教わったそうだ」

真壁 「弟はいまどこに?」

ボース 「あるとき彼女がいた街が戦場となった。彼女の弟がミールのかけらを通して殺戮をやめるよう訴えたそうだ」

真壁 「フェストゥムと対話したのか?」

ボース 「そうだ。敵は去った。代わりに彼女の弟と家族がミールに同化された。なぜ彼女だけ生存したかは不明だ。ただ、彼女のようにミールと交信できる者を我々はエスペラントと呼ぶ」

真壁 「希望……」

ボース 「そう、人類が生み出した人工言語の名だ。互いに理解し争いをなくすために造られた言葉。真の希望だ」

◆ エスペラント語について正しく把握したうえで作中の用語として採り上げていることがうかがえます。真壁司令は「エスペラント」のことを「希望」と言いますが、正しくは「希望する者」という意味です。現時点ではこの第2話までしか見ていないので何とも言えませんが、作中人物・総士の回想的なナレーションの内容は、この二人の「エスペラント」の出会いがとてつもない悲劇を招くようなことをほのめかしており、なかなか不安を掻き立てます。

『蒼穹のファフナー EXODUS』第5話「新世界へ」2015年

堂馬広登(どうま ひろと)と立上芹(たてかみ せり)の司会する竜宮島(たつみやじま)の島内テレビのインタビュー番組で……

ナレイン・ワイズマン・ボース将軍 「今の世にジャーナリズムが生きているとは、本当に素晴らしい島だ」

立上芹 「そんな大したものじゃ……」

堂馬広登 「将軍はなぜ島に来たのでしょう?」

ボース 「エスペラントの導きに従い、希望と危機を知らせるためだ」

広登 「希望とは何ですか?」

ボース 「敵の中枢であるミールと対話し、人類に有益なものへと変化させる。その力を持つエスペラントを集め、危機を防ぎたい」

芹 「危機ですか!?」

ボース 「新たなミールがこの星に接近中だ。我々のミールならどんな存在よりも早く接触できる。そしてエスペラントの力で、この新たなミールを我々の味方にする」

広登 「あなたがたのミールとは?」

ボース 「エメリーが所持していたミールのかけらが成長したものだ。聖なるアショーカ、無憂樹、世界樹と呼ぶ者もいる」

広登 「ナレイン将軍を導いたエスペラント、エメリー・アーモンドさんです」

芹 「あなたがミールを育てたの?」

エメリー 「たくさんの仲間といっしょに。でも、最初に対話の方法を教えてくれたのは弟です」

広登 「弟さんは?」

エメリー 「家族は全員、ミールとひとつになりました。敵から憎しみを消すために」

芹 「え! じゃあその靴、もしかして」

エメリー 「弟のものです。弟は体が弱くて外へは出られず、大きくなったら、これを履いて世界中を歩きたいと言っていました」

広登 「もう片方は?」

エメリー 「故郷に埋めました。私と世界を歩きながら、故郷にもいられるように」

美羽 「みんないっしょにいるっていいことだよっておはなししにいくの。嫌いにになってばっかりじゃだれもいなくなっちゃうって」

真壁司令 「島外派遣は実現の見通しだ。むろん犠牲は想定していない」

広登 「この島は人類からも隠れてきました。いま彼らと交流する理由はなんですか?」

真壁 「同じ目的を持つからだ。敵ミールと人類の共生がかなえば、この戦いはおわる」

大衆食堂「堂馬」にて地元の顔見知り数人が前述のインタビュー番組を見ながらおしゃべり中に……

広登 「ただいま!」

舞(広登の姉) 「ひろちゃん、おかえり!」

カノン(テレビの声) 「派遣部隊の働きと無事を信じている」

広登 「じゃじゃーん 正式に決まったぜ!」

貢 「派遣部隊に参加するのか?」

舞 「なんで? ひろちゃん 島が嫌いなの?」

広登 「違うよ、姉ちゃん。世界と島をつなげるんだ。理解し合うことで人間同士の争いをなくす。それが島のアイドルである俺の役目ってわけ!」

量平(広登の父) 「広登、立派になって」

舞 「芹ちゃんはどうするのよ?」

広登 「ああ大丈夫……って、関係ないだろ!」

◆『蒼穹のファフナー EXODUS』については今後も何度も言及があるはずなので毎回いちいち書き起こすわけにもいきませんが、今回は「エスペラントの導きに従い」というセリフに個人的に感じ入ったのと、また「理解し合うことで人間同士の争いをなくす」というセリフがエスペラント思想の観点から印象的だったので紹介しておきます。

当話最後の回想的ナレーションでは以下のように語っています。

「僕らは可能性に賭けた。それはたしかに希望だったが、平和の道ではなかった。最初の犠牲者が旅立った時、島もまた希望と危機を迎えていた」

この派遣部隊のことを最初の犠牲者と言っており、心穏やかではいられません。

『ハルチカ〜ハルタとチカは青春する〜』#08「初恋ソムリエ」2016年

※この作品は謎解き物です。なるべくネタバレにならないように配慮したつもりですが、もしネタバレになっていたらあしからず。ご承知のうえでお読みください。

思い出の中の初恋が本物だったのか否かを鑑定するという初恋ソムリエに会いに行ったおばの芹澤響子の身を案じた芹澤直子は上条春太、穂村千夏とともに面談の場に乗り込む。そこで響子は、学生運動組織と思しき集団での出来事を森の動物たちに例えたメタファーに乗せながら、初恋の思い出を語りだす。

ある日、響子は森に迷い、擬人化された動物たちの集会に遭遇した。そこで出会った初恋相手の熊はベンジャントと名乗った。

ベンジャント 「僕らは森の仲間たち。僕はおにぎり係のベンジャント」

響子はベンジャントと仲良くなる。

響子 「ありがとう、ベンジャント」

ベンジャント 「君にも名前をあげる」

響子 「え?」

ベンジャント 「ポーラステロ。君の名前」

直子たちに思い出を語り終えた響子は、初恋ソムリエの施術を受けて、何かを悟り、その場を去る。

その後、ベンジャントの消息を追っていった響子を追って、一行は花巻へと向かう。到着した花巻駅に掲げられた宣伝板の記述に春太は気付く。

ようこそ
イーハトーブ
花巻へ

「イーハトーブ」とは、
花巻市出身の
宮沢賢治が名付けた、
「彼の心象世界の中にある理想郷」
を指す言葉であるとされる。
「岩手」をモチーフに、
エスペラント語風に
もじったという説がある。

響子の説明と春太の推理によって、一行はベンジャントと森の仲間たちの顛末について知る。

千夏 「でも、なんのために森の仲間たちを?」

響子 「それは今となってはベンジャントにしかわからない」

春太 「復讐」

響子 「え?」

春太 (「エスペラント辞典」のVenghantoの項を表示した携帯端末を見せながら)「エスペラント語なんです。ベンジャント(Venghanto)、復讐者。」

響子 「ああ彼が、二人だけのとき、いつも自分のことをそう呼んでたの」

千夏 「じゃあ、ポーラステロはどういう意味なの?」

春太 「プーラ・ステーロ(Pura Stelo)、けがれてない星」

響子 「ああ」

春太の携帯端末に表示されたオンライン・エスペラント辞典の内容:

復讐者
読み方 ふくしゅうしゃ
見出し語 vengh/ant/o
類似のフレーズ
復讐する venghi
復讐の女神 furio
復讐心の強い venghema

◆物語の核心をバラしてしまうことになるので、あまり細かく説明できないところが歯がゆいところです。わけの分からない内容になっていたらすみません。「ベンジャント」は一貫して「ベ」にアクセントを置いて発音されますが、最後に意味が明かされる際に、春太は「ジャ」にアクセントを置いて発音します。「プーラ・ステーロ」が、なぜ「ポーラステロ」に化けるのかは不明です。まあ、宮沢賢治の「イーハトーブ」風にもじってみたのですかね。オンライン・エスペラント辞典の表示は、vengh/ant/oというふうに語根で区切ったり、類似表現も記載したりと、なかなか本格的で芸が細かいです。furioは通常は先頭を大文字にしてFurioとします。後半の舞台となる花巻は、エスペラント語に関心のあった宮沢賢治の生まれ故郷で、そこを通る釜石線の各駅にはエスペラント語による愛称が付けられています。

『ヘヴィーオブジェクト』 第20話「名誉に値段はつけられない ビクトリア島緊急追撃戦 I」 2016年

正統王国で内戦が勃発する。反乱の首謀者プライズウェル=シティ=スリッカーについて、主人公たちが語り合う。

ヘイヴィア 「しっかし、インディゴプラズマもクレージーなことをしやがると思ったら、プライズウェル=シティ=スリッカーの部隊だったとはなあ」

クウェンサー 「シティ=スリッカー?」

ヘイヴィア 「血統主義者だよ。悪名高い嫌味な貴族さ」

クウェンサー 「悪名高いねえ」

フローレイティア 「自分を中心に戦争と政治を操ることを至上の目的と勘違いしている馬鹿野郎よ」

フローレイティア 「正統王国の発展が停滞しているのは労働力不足であるとか言ってね。シティ=スリッカーの領地では奴隷制度まで復活させているという噂よ」

クウェンサー 「それはまたずいぶんと時代錯誤な」

ヘイヴィア 「奴はその身分階級の刷新に言葉の壁まで利用する気だ。熱烈な言語保護活動家なんだよ」

クウェンサー 「言葉を話せる話せないで差別するあれのこと?」

フローレイティア 「正統王国公式言語はかつてのフランス語を軸にヨーロッパ各文化の言語をまとめあげたものよ」

ヘイヴィア 「ところが軍事用語やプログラム言語は今でも英語を基準にしている場合が多い。が、シティ=スリッカーはそういったことが許せねえ。しかもやつは血統主義者だ。マフィアと同じで自分の周りは血縁で固めてる。他人なんて信頼しねえ。言語を理由に駒を選別しようってわけだ」

クウェンサー 「ういい……」

フローレイティア 「自分以外はどうでもいいのよ」

敵1機に対して味方3機のへヴィーオブジェクトで交戦するも苦戦する。突如、海中から6機のへヴィーオブジェクトを従えて、シティ=スリッカーが登場し、口上する。

シティ=スリッカー 「敬愛すべき正統王国の友軍の諸君へ。私は正統王国軍第24機動整備大隊のエリート、プライズウェル=シティ=スリッカーである。我々は敵ではない。むしろこの世界戦争の中で、正統王国を勝利させるために立ち上がった。正統王国の発展は停滞している。理由はなぜか? それは意志の疎通が滞っているからだ。我々には正統王国公式言語があるにもかかわらず、多種多様な劣等言語が同時に使用されている。これが意志の疎通を妨げている。一分一秒で世が動くなか、そのわずかなロスの積み重ねが致命的な損失を生んでいる。我々正統王国が勝利を手にするためにはこの問題を解決しなければならない。ゆえに我々はあらゆる劣等言語を根絶する!」

◆直接、エスペラント語に言及しているわけではありませんが、興味深いので掲載します。正統王国公式言語の成り立ちはエスペラント語を彷彿とさせます。公式言語という表現には馴染みがありませんが、公用語と解釈して問題ないでしょう。

第18話「札束の散らばる炭鉱 カムチャッカ半島夜間奇襲電撃戦II」では、敵勢力「信心組織」内の反戦団体が隠れ家の鉱山内で正統王国の言葉を学んでいた跡が見つかります。その学習部屋の壁に貼られた紙には拙いローマ字筆記体で「Jerevtuce a??」「Mercccie ???? t? lea?p??e」「merci Bok」「mensi」など、フランス語っぽい記述が見えます(「?」は判読不能)。登場人物のセリフから、これらが正統王国の文字で、それらのうちどれかは「きれいな水をありがとう」と書かれてあることが分かります。おそらく反戦団体の支援で井戸を得た地域の子供たちからの礼状と思われます。また、机の上には「PAPERBACK FRENCH DICTIONARY」と題されたハードカバー(笑)の辞書が映ります。このことからも正統王国の言語がフランス語系統であることが表現されています。辞書の題名からすると、反戦団体は英語話者で、正統王国公式言語をFrench(フランス語)と呼んでいると思われますが、反戦団体が他国の古い辞書を使っているかもしれないので、正確なところは何とも言えません。

傲慢なシティ=スリッカーは自身の話す正統王国公式言語の優位性を主張し、それ以外の言語を劣等言語とみなして根絶を訴えます。広く社会全体に対して、他の言語を排除して、ひとつの言語だけ使うことを強要する態度を言語帝国主義といいます。エスペラント語を普及させる運動については、今ある無数の民族語を廃止して世界全体の言語をエスペラント語のみに統一しようとしていると、よく誤解されます。実際にはその反対で、英語などの優勢な民族語の力に押されがちな少数派の民族語の存続を守る立場にあり、言語帝国主義に対峙するものです。物語中の正統王国では、フランス語を軸にしてヨーロッパ諸語の共通点を集めて文法を整理した人工的な言語が公用語として機能しながら、各地域には個々の民族語が存続している状態なのかもしれません。

また、シティ=スリッカーは言語の違いが意志の疎通の妨げになっていると主張します。実はエスペラント語が創られた理由も同じ考え方から来ています。互いに言葉が通じれば意志の疎通ができるが、この時に力の強い側の言語に弱い側が合わせるような不平等が生じないようにと、どの民族にとっても母語ではないエスペラント語が考え出されました。このこと自体にはなるほどなと思いますが、実際にはそう単純な話でもないようです。同じ言葉を話している国や地域内であっても、政治や信条や宗教・宗派の違いによって互いを理解し合おうとせずに対立が生じています。一方で、何か困っている外国人旅行者を助けるような場面では、互いに言葉が通じなくても、なぜか心が通じ合うと思います。相互理解のためには、まず相手を理解しようと思う気持ちが大切です。同じ言葉を話すというのは相互理解の第一歩でしかありません。それでも重要な一歩だとは思います。

『ヘヴィーオブジェクト』 第21話「名誉に値段はつけられない ビクトリア島緊急追撃戦 II」 2016年

シティ=スリッカー 「正しい言葉を扱える者は民として、扱えずとも学ぼうとする者は下僕として、扱えず学ぶ意欲もない者には死を。それこそが我が正統王国の経済を潤し、戦争を勝利へと導く唯一の方法である」

『ヘヴィーオブジェクト』 第22話「名誉に値段はつけられない ビクトリア島緊急追撃戦 III」 2016年

シティ=スリッカー 「統一された言語による統率はより大きな力を生む。それは人も機械も同じ。雑多な劣等言語を広める因子は早々に処分しよう」

◆結局、言語差別の件が物語に深く関わることはなくて、単にシティ=スリッカーが移民居住都市を攻撃するためのお膳立てに過ぎない感じです。

『田中くんはいつもけだるげ』 第8話「太田くんの受難」 2016年

英語の自習時間に課題のプリントが配られる。やる気のない田中くんは和文英訳の問題を日本語ローマ字書きで済ませる……

田中 「できた。寝る」

太田 「待て、今は良くても、あとで職員室に来なさいコースだこれは。ローマ字はアルファベットが並んでいるだけで、しょせん日本語だ。ちゃんと英訳しろ」

田中 「はあ、頭使わずに早く終わらせられると思ったのに。だいたい、日本語をしゃべるのすらだるいのに、英語を学ぼうなんて俺には百年早い気がする」

太田 「いや、英語は母国語と同じくらい大切なんだぞ。英語は、約80ヶ国で使われている世界共通語だからな。修得すれば、グローバル化の進むこの社会で、必ず役に立つ」

田中 「80ヶ国……。俺が英語を覚えるより、世界共通語を日本語に変えたほうが早そう。80ヶ国なら今からでも」

太田 「歴史を動かすつもりか。いくらなんでも地球規模の変革は無理だと思うぞ。少なくとも、俺たちが生きている間は」

田中 「そっか、ダメか」

◆だいたい世間では「海外=英語」という発想がまかり通っていますが、これは短絡的な固定観念であって、意外と英語の通じない地域も多かったりします(日本も含めて)。

とはいいながら、外国人旅行者を相手にするとまずは英語で話しかけるというのは、経験上、どこの国でもよくあります。観光地でも国際会議でも国際組織内でもたいていは英語が通用しているのも事実です。国際ビジネスの商談でも英語が主流ですし、ノーベル賞を受賞した人たちを見ても、科学分野では論文を英語で発表していないと、また、文学分野でも作品が英語に翻訳されていないと、受賞候補にはなりにくいみたいです。太田くんの言うように、たしかに国際舞台で英語が重要であることは否めません。

でも、ただなんとなく外国の人たちと交流したいという漠然とした想いしかないような場合、単に英語を話せるというだけでは相手にしてもらいにくいと思います。その点、エスペラント語だと、もともと国際交流をしたいという動機で学ぶ人たちが多いので、それを話すというだけで仲良くしてくれる友好的な人たちが多いです。

やみくもに英語一択というのではなくて、実際に学ぶかどうかは別として、ちゃんとした目的意識を持って、その目的に沿って学ぶべき言語の選択肢を多く持っておくのも、教養のひとつかと思います。

『ヘボット!』 第28話「さらば、愛しのモエカス!」 2017年

モエル(男子)、カスリーナ(女子)、スチャット(ロボット)の3名からなるモエカス3(モエカストリオ)は番組の主人公の座を狙っている。主人公は強くてカッコいいロボットを持っているものであり、モエカス3が主人公になれないのはスチャットが弱くてカッコわるいからだと言い出し、カスリーナはスチャットをお払い箱にする。スチャットは放浪の末、彼にはキャラ付けが弱いと看破したチギル・チギールの下で強いキャラクターを身に付けるために修行する。

モエルとカスリーナがデパートの屋上で漫才の営業活動中に、ソルジャーボット(悪者)の軍勢がデパートを襲う。そこへスチャットが助けに現れ、逞しい姿に変形する……

スチャット 「参上! スーパー・スチャット・スーパー!」

モエル 「お前ほんとにスチャットなのか?」

スチャット 「その通りでスチャ」

カスリーナ 「ぜんぜん面影ないんだけど」

スチャット 「わたくしはもうグズでノロマなメガネではありません。見よ! わたくしが絞り出した、絞り出した、絞り出した、キャラを! ボキャバトル、スタート!」

スチャット目が光り、触手状に伸びる……

モエル 「絞り出した!」

カスリーナ 「気持ちわるい!」

テルテルネジの掛け声 「サンキュー! ミスユー! コールユー!」

スチャット 「わおー! グラシアス・スチャット!」

(キャプション)
グラシアス:スペイン語
意味[ありがとう]

ムカムカネジの掛け声 「はらたちすぎて、お腹がピー!」

スチャット 「うおー! バイラル―(?)・スチャット!」

スチャットは伸ばした目を鞭のように振り回してソルジャーボットたちをなぎ倒していく……

ソルジャーボット 「こ、こんなの、ボキャバトルじゃないボッ……」(倒される)

モエル 「スチャット、あいつあんなに強かったのか!?」

カスリーナ 「ていうか、さっきから言ってるあれなんなの?」

チギル 「感謝の言葉だ」

モエル、カスリーナ 「あ……」

チギル 「スチャットの真面目さと知識とメガネが合わさり、さらに誰かを恨むのではなく、常に感謝の気持ちを忘れないことで、新たなキャラクターが生まれたのだ。あれがニュースタイル・スチャット。スーパー・スチャット・スーパー!」

スチャット 「うおー!」

ビリビリネジの掛け声 「100万へボルト! ビリビリドッカーン!」

スチャット 「とどめです。ドンノバーッド・スチャット!」

(キャプション)
ドンノバーッド:ベンガル語
意味[ありがとう]

スチャット 「はーーー!」

モエル 「す、すごい!」

カスリーナ 「でもボキャバトルってこんなのだったっけ?」

チギル 「ダメダメだったが、ダメではなくなったぞ、スチャット!」

スチャット 「シェイシェイ、サンキュー、アリガトーゴジャイマス、ダンケ」

ソルジャーボット 「くっくっ、む、無念」

爆発するソルジャーボットの爆風に巻き込まれたモエルとカスリーナが吹き飛び、デパートの屋上から落ちる……

モエル、カスリーナ 「ぎやー!」

スチャット 「モエルさん! カスリーナさん! うおー! スチャット・ダーンコーン!」

(キャプション)
ダンコン:エスペラント語
意味[ありがとう]

スチャットが伸ばした目でモエルとカスリーナを掴んで助ける……

モエル、カスリーナ 「あーーー! あ?」

スチャット 「お怪我はありませんか?」

モエル 「ああ、なんかベタベタしてるけど」

カスリーナ 「どうして助けてくれたの? わたし、あなたにひどいことしたのに」

スチャット 「あなたが厳しい言葉を言ってくれたおかげで、わたくしは生まれ変わることができたのです。オブリガード!」

(キャプション)
オブリガード:ポルトガル語
意味[ありがとう]

カスリーナ 「スチャット……」

スチャット 「わたくしは厳しい修行の中で悟りました。モエルさんが主人公になれないのも、カスリーナさんが正ヒロインになれないのも、すべてキャラが弱いからです」

モエル、カスリーナ 「あああ……」

ペケット 「なにげにひどいこと言ってるペケ」

スチャット 「わたくしといっしょに新しいキャラクターを探しましょう」

カスリーナ 「そうすれば、わたし、正ヒロインになれる?」

スチャット 「ええ、もちろんですとも」

カスリーナ 「やるわ!」

モエル 「おれもやるぞ! うおー、燃えるぜ!」

ペケット 「めでたし、めでたしだペケ」

チギル 「ダメだ、ダメだ。つまらん。ふっ……」(3人の和解にまんざらでもない様子)

◆かなり突拍子もない内容のギャグアニメなので、知らない人には状況を説明しにくい作品です。訳の分からないことを叫んでいる箇所は、必殺技を繰り出すときの掛け声です。

「シェイシェイ」は中国語、「サンキュー」は英語、「アリガトーゴジャイマス」は外国訛りを模した日本語、「ダンケ」はドイツ語です。「バイラル―(?)」のところはキャプションもなく、よく聴き取れませんが、モンゴル語の「バイルラー」かも知れません。


映画『銀河鉄道の夜』1985年

劇中に出てくる文字の部分にはエスペラント語が使われています。

◆ 原作者の宮沢賢治がエスペラント語をたしなんでいたことに因んだ演出でしょう。

『ラーゼフォン』2002年

エスペラント語が地球連合の公用語になっているという設定で、作中に登場する組織名TERRA(テラ)はエスペラント語のTereno Empireo Rapidmova Reakcii Armeo(最高天特区機動軍)の頭文字を取ったものとのこと。

◆ 文法的に少しぎこちなく、またエスペラント語であればそもそもTERRAではなくTEROとすべきかと思います。指摘だけして代案を示さないのも建設的ではないので、TEROに合うように自分でもちょっと考えてみました。Tereno-Empirea Rapidreaga Organizajhoという感じでしょうか。まあ、TERRAのほうが語感として格好良いですけれどね。

『ARIA The ORIGINATION』第9話「その オレンジの風につつまれて…」2008年

挿入歌『ルーミス エテルネ』は、歌詞の前半がエスペラント語です。

◆ Lumis eterneは「永遠に輝いた」という意味。日本語だと例えばおとぎ話の結末などで「永遠に輝いたとさ」という表現にあまり違和感がありません。これは日本語の「〜した」はもともと過去形ではないからでしょう(詳述略)。エスペラント語だと、eterne「永遠に」という時制を超越した表現に対して、lumisという過去形を使うことに違和感を覚えます。歌詞前半の「Stelo de l' espero, stelo lumis eterne」が後半の「永遠(とわ)に輝く希望の星よ」に当たると思います。そうだとすれば、stelo lumanta eterneにすべきですし、この「ルマンタ・エテルネ」なら時制の問題を解消できます。でもまあ、ここはあえて語感の綺麗な「ルーミス・エテルネ」を選んだというところでしょうか。

『探偵オペラ ミルキィホームズ』第5話「かまぼこ失踪事件」2010年

メアリーの繰り出したトイズ(超能力)の技名「ヘブンズハイエクスタシーローズピンクビックダイヤモンドドリーム」の意味を調べようと、ネロが参照する本の表紙に「エスペラント」と書かれています。

映画『ドラえもん のび太と奇跡の島 〜アニマル アドベンチャー〜』2012年

舞台となるベレーガモンド島の島名や、登場人物の名前クラージョ、オーロ、フルモ、アルコなど(ドーゴも?)がエスペラント語に由来します。

映画『サカサマのパテマ』2014年

主題歌『Patema Inverse』の歌詞はエスペラント語で、日本エスペラント協会が監修したそうです。

短編アニメ『PP33: POWER PLANT No.33』2015年

WEB配信の実験的な短編アニメシリーズ「日本アニメ(ーター)見本市」の第11話。エンディング曲『はじまり』の歌詞にエスペラント語が使われています。

下記のリンク先で動画を視聴することができました。現在では公開を終了し、関連資料のみ閲覧できます。
http://animatorexpo.com/powerplantno33/


作成者:姫楼しん(きろうしん)/公開日:2015-02-01/更新日:2018-07-20
ホームページ:蜃気書楼/コンケルスピーロ
Farita de Sin Kiro el Japanio / Aperis en 1 feb. 2015 / Shanghita en 20 sept. 2018
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