アイドル不調?

あまりにも同じ質問が繰り返されるのでWebにしてみた。アイドルスピードコントロールの概念を理解していれば、どうすれば直るのか?、なぜ不調になるか?、と言った疑問は簡単に解決する。

以下にISCの概念図を示す。ベクトル系のソフトを持ってないのでペイントブラシで書いた(笑)。

真ん中のでっかいバルブがスロットルバルブ。右側がエンジン側で、左側がエアフロ側。ISCVは電子制御されている小さなバルブだと思ってね。アイドルアジャストスクリューは単純にネジが通路を塞ぐ形。ネジを緩めれば通路が広くなってエア流量が増える。アジャストスクリューはNA6CEの場合はスロットルボディ上部、NA8Cに場合は真横に付いている。奥まった穴の中に見える金色のネジがそれ。ゴムのフタが付いているカモ。

アイドル時はスロットルバルブはほぼ全閉になっている為、アイドルに必要な空気は、ISCVによりスロットルバルブをバイパスしてインマニへと流れ込む。このISCVはECUにより開弁率をコントロールしている。目標回転数よりも低ければISCVは開き、高過ぎれば閉じる。ECUは実際のアイドル回転数を常に監視して目標回転数に近づくようにフィードバック制御している。A/C、ファン、ヒータブロア、ヘッドライト、などの電気負荷の大小によって目標回転数は細かく設定されている。

んで、良くあるトラブルは...

● エンジンブレーキからクラッチを切ると、500回転くらいまで下がって止まりそうになってから、再び回転が上がってくる、或いはそのまま止まる。

● ヒータやヘッドライト、ラジエタファンなどの電気負荷が掛かると、上のパターンと同様に回転が下がって止まりそうになる、或いはそのまま止まる。

●アイドルが不安定で500〜1000くらいで上がったり下がったりする。

って感じかな。なんでそうなるのか考えてみましょう。回転が上がっている間(アクセルを踏んでいる間)はISCVは基本位置(半開き)にセットされる。アクセルを離すと燃料カットが働き、規定回転数で燃料カットから復帰する。そして更に回転が下がって、目標回転数以下まで下がってからECUは慌ててISCVを開く。すると回転が上昇する。上がり過ぎるので今度はISCVを閉じる。これがアイドルが上下してしまう原理だ。つまりISCVが基本位置に有る時にアイドル回転数が低すぎるからそうなるわけ。その分アジャストスクリューを開いてエア流量を増やしてやれば良い。

じゃ、どうすれば直るのか? 上の図のアイドルアジャストスクリューを開いてやればバイパスされる空気の量が増えるから、その分ISCVは閉じる。その調整方法を以下に示そう。

点火時期&アイドル調整方法完全版

1、ダイアグノーシスコネクタのTENとGRDをショートさせる。
2、点火時期をBTDC10度に調整する。
3、アイドルアジャストスクリューを調整して800rpmにする。
4、再び点火時期をチェックする。
5、点火時期が BTDC10度 の時に 800rpm になるまで2〜4を繰り返す。
6、TEN端子を開放する。

1の作業でISCVは基本位置に固定される。この時点で800より遥かに低いようなら先にアイドルアジャストスクリューを緩めて回転を上げ、その後に点火時期をチェックする。点火時期は 800rpmの時に BTDC10度 になっていればOK。 ここまでやれば完璧なんだけど、アイドル不調を直したいだけなら、1、3、6、の作業だけでも良い。出来れば点火時期も調整して欲しいけどね(笑)。

余談になるが、某ロドスタ専門雑誌で 「アイドルアジャストスクリューを外してカーボンを落としたら高回転の伸びが良くなった」 などと書かれていたが、理力ある読者ならその話が真っ赤な嘘である事は理解して頂けると思う。アイドルアジャストスクリューが規制しているのはアイドル時のバイパス空気だけ。ある程度スロットルを踏めば何の関係も無くなる。そんな物掃除したところでアイドル回転が上がってその分ISCVが閉じるだけなのだ。雑誌なんか信用してはいけません(笑)。確かにカーボンは溜まるのだが、掃除なんかしなくてもその分開いてやればそれで良い。掃除したってすぐに汚れるんだし、とりあえず必要な空気が流れてくれればそれで良いのだ。全開にしても足りなくくらいにカーボンが溜まったのなら掃除してやるしかないけどね。

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