間瀬決戦

4月14日に北陸ミーティングに付属したイベントとして間瀬サーキット走行会が開催された。産界の走行会に割り込む形で行われたのだが、ロドスタクラスの走行会と、産界シリーズのレースが行われた。私、友人T、ホーリー氏、ABI氏、の4名は無謀にもレースクラスにエントリー(^^;。敵はほとんどがナンバー無しのレーシングカーのようなミサイル系AE86である。ミサイル系マシンにはあまりお近付きになりたくないのだが...(笑)。我々は単純にタイムを出したかったので、初心者やラジアルタイヤのクルマがいっぱい走る走行会クラスよりも、レース形式の予選タイムアタックでタイムを出す事を選んだ。

ABIT氏は、間瀬に慣れている私に勝負を挑んできたわけだが、ラップタイムで負ける事は覚悟しているようで、ストレートで私をブチ抜く事に命を懸けてきた(笑)。タイムで負けてもストレートで勝って、適当に絡んで遊べるくらいのタイムを出せば良いと考えているようだ。その為にABIT氏は今回Freedomを導入し、連日のセッティング作業でエンジンを仕上げてきた。ストレートスピードには自信を持っているようである。

友人TはDLのD01Jに見切りを付け、ついにBSの540Sをオーダーしたものの、なんと品切れで間に合わなかった。去年の筑波で使ってたD01Jで走る事になる。バルタイを取り直してテキトーにセッティングしたようが、テスト不足で不安はいっぱい(笑)。基本的には去年の筑波から進歩せず(笑)。筑波の時に付いてた借り物ウイングを返して、代わりに茶太郎のFRP製トランクリッドを付けてた。

ホーリー氏は冬の間のバージョンアップでクルマはかなり速くなった。徹底的な割り切りで作ったレーシングロドスタだ。要らんモンを全部外し、要るモンまで外してしまった脅威の軽量車。今回はFRPパーツを多用して更なる軽量化を図って来た。タイヤはYHの048を新調。間瀬だけに的を絞ってファイナルギヤを変更し、コーナでのギヤ比をうまく合わせたところがこのクルマの速さの秘訣か?

みんないろいろやってるようだが、私は基本的に去年の筑波から何の進歩もしていない。筑波の時に借りてた茶太郎のトランクリッドは返したので、筑波の時よりもクルマが重い(笑)。私もクソD01Jに見切りを付け、540Sを導入する事にした。どうせなら15inにしようかどうしようか悩んでいたのだが、15inの安いアルミをゲットできたのでそれを使う事にする。で、運良くそのアルミに195-55-15のタイヤが付いてた。ロドスタにピッタリなのでそれをそのまま使う事にした。タイヤの銘柄は良く解からないのだがDLらしい...


これだ。なぜかミゾが無かったんだよね。ま、これで良いや(笑)。最終兵器だもんな。


Bパドックに集まったロドスタ。黄色いNBはFCRキャブを現場でOHしてた。


燃料漏れだとかなんとか。フロートチャンバのガスケットを交換してたけど、スペアのガスケットを持ってるところが素晴らしい。結局燃料漏れは修理出来なかったようで出走せず。その後直ったのかしらん?


ロドスタクラス走行会。

そして我々のレースクラス予選が始った。ミゾの無いタイヤ(要するに本物にスリックタイヤ(笑))で走るのは始めてなのだが、ステアリングのキックバックはかなり強力。スライドしてカウンターを当ててる時のキックバックなんかかなり激しい。5周目くらいからタイヤのグリップが強力に増してきて本領発揮って感じなのだが、コーナーが遅いくせにストレートが速い86軍団に邪魔されてクリアラップが取れない。そのうちにシケインでコースアウト車両が出てイエローフラッグが出た。ドライバがクルマに乗ってる間はイエローが出るのが当然なのだが、ドライバがクルマから降りてコースから出た後もイエローが出続けている。なんで? っと思ってるウチにレッドフラッグで走行中止。イエローフラッグ無視で追い越しをしたクルマが大量に発生したからだとかって怒られた。私はそんな事はしてないのだが、ドライバがクルマから降りてコースオフした後もイエローを出し続ける方がおかしいと思うんだけど? それじゃ走行終了までずーっとイエローが出ちゃうじゃん。結局、走行時間は10分で終了し、7周しか出来なかった。ブツブツ...

その予選で私は11秒1が出た。慣れとクリアラップ次第で9秒台が出るカモしれない。10秒台は楽勝だろうと思った。この時の予選順位は6位。友人Tはブレーキパッドの選択ミスでタイムを出せず。ホーリー氏は14秒台で18位。ABITはコースに慣れないのか?とんでもなく遅かった(笑)。

この予選タイムを見て表情を失い目が点になるABIT氏(笑)。自分の走りの何が悪いのかを必死に分析する。いろいろとみんなに聞きながらラインやブレーキの使い方など、間瀬のポイントを抑えようと必死になっているABIT氏。

ABIT氏:「俺、ナニが悪いんだろ?」

F氏:「踏んでねぇからだよ」

私:「ドライバが悪いんじゃ?」

ABIT氏:「...」

面白すぎるぞ(^O^)

まったくグリップしないD01Jに怒りまくる友人Tに、今回出走しなかったF氏が540Sを貸してくれる事になった。


540Sに履き替えた友人T号。


左が友人TのD01J、右は裏がえしにした私のD01J。どちらも外側の偏摩耗が激しく、内側はほとんど減らない。外側半分だけしか使ってないような感じ。ショルダー部分はボロボロになって穴が空くし花ビラみたいになる。キャンバを2度に近いくらい付けてもこうなっちゃう。剛性が低くてヨレてるんだろうな。タイヤ接地面を有効に生かせず外側だけが接地して走ってるようなモンだ。クソタイヤである。

そして予選2回目。今度はクリアラップを作る事に専念しようと思いながら走る。が、3周目くらいに私の目の前でミサイル86がZコーナで大スピンコースアウト、コース上に大量の土が出てオイルフラッグが出続けるような事態になった。これでZコーナで踏む事が出来ず、全周に渡る本気タイムアタックが出来なくなった。クリアラップを作って走っても11秒010までしか出せず、9秒台どころか11秒を切れなかった。更に予選後半でクラッチがフェードしてきたので早目に切り上げてしまった。やはりスリックタイヤにクラッチが負けたか? クラッチよりLSDの効きを心配していたのだが、トルセンLSDの効きはスリックタイヤでも十分で、トラクションが抜けてしまう事は一切無かった。

# ちなみにスリックタイヤは私だけではなく、86もスリック履いてました

この予選2回目の走行中にコース上でABIT号に遭遇した。前方に見え始めたABIT号、たちまち追い付いてストレートで一気にブチ抜いた(笑)。ストレートスピードに自信を持っていたABIT氏が凹んでいく。

←(Photo by F氏)
ABIT号は予選2回目で根性の突っ込みブレーキングでスピンしながらミサイルになったようで、後ろ向きに吹っ飛びながら86に突っ込んでリヤフェンダ負傷。ABIT氏が凹んでクルマも凹んだ。


凹んだリヤフェンダ。

私は予選タイム11秒0で11位、ホーリー氏は12秒1で18位、友人Tは540Sで1秒詰めて13秒台まで上げてきたがブレーキ不調で攻めきれなかったかのか22位となった。F氏から借りた540Sは2年モノの熟成済みだったのだが、それでもD01Jよりあっさりと1秒以上速い。友人Tは初めて履いた540Sのコントロール性、グリップレベル、剛性感、すべてにおいて感動していた。2年間に渡ってD01Jで540S勢に勝負を挑んでいた私と友人Tはタイヤで1秒以上のハンデが有ったのか...。もっと早くD01Jに見切りを付けるべきだった。

予選2回目が終ってABIT氏はクルマが静かになったと言って喜んでいる。なんで静かになったのか? なんで静かになると喜ぶのか? 謎は多いのだが全員がサラリと聞き流していた(笑)。ちなみにABITは絶不調で最後尾スタート。その予選タイムを見たABIT氏はもはや幽体離脱の抜け殻状態。

ABIT:「S字は全開として、最終コーナの入り口ってブレーキングするの?」

私:「ポンってブレーキングするよ。ブレーキング無しだと無理だろ?」

ABIT:「...」

をひをひ、ナニ言ってんだおっさん? ブレーキング無しで最終コーナを回れるわけねぇじゃん。セル坊だってブレーキングするぞ? と、私の心のつぶやき...

そしていよいよ決勝のスタートだ。私としては順位にはあまり拘っておらず、レース中のベストラップで9秒台に入れる事だけを考えていた。スターティンググリッドで私より前にいる連中は全員が予選で私より速かったわけだから、こいつらに付いていけば遅いクルマに頭を抑えられる事も無くタイムを出せるハズ。9秒台で走れば上位入賞も可能カモしれないし(笑)。とにかく私は9秒台を出したいのだっ。

スタートはグリッドスタートでシグナル式。シグナルブルーとほぼ同時に5000回転ミートのスーパー半クラッチスタートを決める。クラッチが減ろうがなんだろうがスタートで速い86軍団に付いて行かねばならんのだっ。...ところが、ぶばぁぁぁぁ〜んって回転だけ上がって前に進まない。やばいっクラッチがブッ飛んだか?! と、思ったら音も無くジャダーも無く虚しく激しくホイールスピンしていただけだった。スロットルを戻したらトラクションが掛かったのだが、3000回転までストール、クロスミッションゆえのハイギヤードな1速で加速出来ず、左右からミサイル86がバンバン抜いて行く(^^;;;。5台くらい抜かれたか? ミラーなんか見る余裕も無いし左右に30cmくらいの間隔でミサイル86に挟まれて車線変更も出来ず、ただひたすらコースの真ん中をシケインに向かってヘロヘロと加速するしかなかった。ブレーキング競争でミサイル86と張り合う気にもなれず、1歩引いた私のイン側にホーリー氏の真っ赤なロドスタが飛び込んで来た。イカン、ホーリー氏にまで先に行かれたっ。大失敗のスタートであった。

ここからはホーリー氏の後ろについてラップを重ねる事になるのだが、ホーリー氏の前にはコーナが遅いくせにストレートが速い86がいる。コイツに頭を抑えられて自分のペースで走れないホーリー氏と私。やはりコーナーでタイムを削るロドスタは、コーナーが遅くてもストレートが速いクルマに頭を取られるとどうする事も出来ない。たまりかねたホーリー氏がZコーナ出口から2ヘア入り口で86のインを刺すっ! それはヤバイだろ? 案の定、ホーリー氏に気付かなかった86がそのままインを閉めた為、ホーリー氏は86をインからハジキ飛ばした。クルリとスピンして真横になる86、タコ踊りしながら86をかわしてアウトに逃げるホーリー氏、行き場を失う私、しかし思いきってアウトから86をかわしたものの、ホーリー氏は完璧なブロックラインでその次のS字を抜け、ここぞとばかりに抜こうとしていた私の頭を抑える。なんてヤツだ。86ミサイルどころかあんたがミサイルになってるじゃんか。ホーリー氏おそるべし...。ホーリー氏のインを刺すのは勇気が要るぞぉ〜(^^;。

ホーリー氏の特攻で86が死んだので前は空いてホーリー氏と私の一騎打ちとなる。ストレートはほんの僅かに私が速いのだが、その差は微々たるモンでストレートエンドまでに2メートル程度しか詰められない。テールツーノーズで立ち上がっても半車身割り込む事が出来ないので抜くには至らん。おまけにホーリー氏は私がスリップに付くのを嫌ってストレートで激しく左右に逃げる。コーナリングはスリックタイヤの私の方が速いのは当然なのだが、YHの048を履くホーリー氏のコーナリングも速い。ホーリー氏のブロックラインのせいも有ってなかなか抜く事が出来ない。最終コーナでラインを変えて私が後ろから迫った瞬間、ホーリー氏のテールが僅かにスライド。立ち上がりが一瞬遅れたホーリー氏、理想的に立ち上がった私、ストレート勝負で私が完全にイン側に入り込んだっ! シケインで抜けるっ! ...が、シケインでミサイル86が2台コースアウト、イエローフラッグが出て抜く事が出来ず、チャンスを生かせずイエローフラッグに泣く私、イエローフラッグに歓喜するホーリー氏。このあとチャンスは無く、結局ホーリー氏のケツを拝みながらチェッカとなった。

予選11位からのスタートで決勝結果は12位。スタート大失敗で数台に抜かれたわりにはマシな結果と言えよう。私のレース中のベストラップは11秒7だったのだが、これは6〜7位のマシンに匹敵するくらいのタイムだった。単独で走ればもっとタイムが出てたと思う。スタートの失敗が大きく響いたレースだった。しくしく。


ミサイルホーリー号のレース後の姿。左フロントフェンダで86にインから突っ込み、86がスピンしながらホーリー号の右側に回り込み、右側全体に擦った。合掌...

ABIT号はレース中にノーマルエンジンのNA8Cにまでストレートでブチ抜かれ、もはや完全幽体離脱状態。線香を上げたくなるほどだ。どうしたんだABIT...?

レースは終了し、我々は花見渋滞を避けて海沿いの道を帰る事にする。ここで同じような仕様のエンジンで悩むABIT氏と友人Tがクルマを乗り換えてお互いのクルマを試乗する事になる。試乗を終えた友人Tは「回らん」と一言。ABIT氏は友人T号に付いて多くを語らない。つーか、お互いに多くを語ってない。あんたら何なんだ? そこで私はABIT号に試乗する事に。

ぶおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん...

全開なんだけどまだ1速。ずーっと1速、いつまでも1速、どこまでも1速、しつこいけど1速、どーなってるんだ1速...。要するに加速しない、吹けない、メチャクチャに遅い。これは10年10万キロノーメンテでボロボロのNA6CEより遅いぞ。マジで遅いぞ。なんだこれ?

試乗するのもアホらしいほど遅かったので2速に入れた時点でUターン。帰ってきて開口一番に

「すっげぇ遅いんだけど」

と、幽体離脱ABIT氏の魂に響くトドメの一言(笑)。いや、だって、ホントに遅いんだモン。こんなんで走ってたのか? 最終コーナ入り口でブレーキが要らないって、ブレーキ踏むほどのスピードが出てなかったって事かい? (^^;;;

友人Tが試乗後に多くを語らなかったのは正直に「遅い」と言う勇気が無かった為か? ABIT氏が友人T号について多くを語らなかったのは正直に「速い」と認めたくなかった為か?(笑)

そこでなぜにここまで遅いのかの原因を追求する。Freedomのセッティングが悪いのか? いやいや、高精度空燃比計でちゃんと燃調はとれてる。実際、私が試乗した時のA/Fメータの数値も的確なモノだった。じゃ点火時期か? いやいや、点火時期のセッティングミスによるパワーダウンでここまで遅くなる事は絶対に無い。現状の点火時期が的確かどうはは別としても、ここまで遅くなる原因は他に有るハズだ。バルタイか? バルタイをいくつで取ったのか聞いてみるが、特に問題はない。なんだ? なんなんだ? このインダクションボックスが悪いのか? インダクションボックスへの配管を外して走って見るが変化は無い。

そして、さきほどから気になってたクルマの下を見る。実はナニかがブラ下がってたのだが、ABIT氏が「耐熱バンテージがハゲてるんだよ」と言ってるので気にしてなかった。でも確認の為に覗いて見ると...


マフラーから毛が生えていたっ!? 友人Tと私が二人でコレを見て大爆笑っ! もう笑いが止まらない。

わはははははははははははははは

「コレだよ、コレ、コレに間違い無いよ」

と、笑い転げながら叫ぶ私と友人T、そしてABIT氏とF氏もコレを見て大爆笑!

そう、サブタイコの中身が崩壊、スチールウールが後方に移動、あらぬ所に詰まって排気ブレーキ状態となっていたのだ。全域に渡る重さ、あの静かになってしまったマフラ、間違い無いよ。


手で引っ張るとこんなモンが限りなく出てくる。マフラーのクラックは3/4周から4/5周くらいに渡るようで、マフラが折れるカモしれない。

「これ、マフラが折れるんじゃない?」

まてまて、マフラが折れたらマズイだろ? この瞬間、そこにいた4名全員がほぼ同時に叫ぶっ

「ジャンプするだろ〜っ!」

当然、全員の頭に浮かんだのは例の画像だ。


コレだ。マフラが折れれば間違い無くジャンプするだろう(笑)。それだけは避けねばならん。

という事で、私のガレージに行って対策する事に。ジャンプを恐れながらソロソロと走ってガレージまでたどり着いた。

ハミ出した毛を抜けるだけ抜いて、とりあえずジャンプしないようにアーク溶接機で適当に溶接してあげた。


溶接した後でABIT氏が自分で潜って、万が一溶接部が折れた場合でもジャンプしなようにワイヤで縛る。路上整備である(笑)。

軽く試乗してみると、どうやらパワーは見違えるほど甦ったようだ。ニッコニコ顔で生体エネルギーを取り戻し魂が帰ってきたABIT氏。原因がFreedomのセッティングやバルタイ、エンジン本体などではなかった事に気を良くしたABIT氏はこの後も元気いっぱいだった(笑)。

しかし、原因はどうあれ勝負は私の勝ちだったわけで、リヤウィンドに貼ってあったABITステッカの上にKTCの真っ赤なシールをこっそりと貼ってあげた。わははは。

ノーマルエンジンのNA8Cにストレートでブチ抜かれ、Fire号はあっという間に見えなくなり、最終コーナでブレーキが要らないほどにまで遅かったクルマで必死になって走り、結果を見て幽体離脱、と、我々をたっぷりと楽しませてくれたABIT氏に拍手&合掌である(笑)。

その日の夜の宴会は盛り上がまくり、朝が早かった我々は比較的早い時間に意識を失った。翌日、ABIT氏はタラバガニを買い込み、F氏は栃尾の油揚げを買い込んで帰って行ったのだった。ABIT号の私がテキトーに溶接した部分は最後まで折れる事もなく、ジャンプする事もなく無事に千葉まで帰れたようだ。皆さんごくろー様でした。


尚、現場に居て一部始終を見ていた時のオモシロさのすべては、残念ながらこの文章では伝わっていない。現場ではこの数倍の笑いだったと思って頂きたい。

あー面白かった。

しかし、なんで我々の走行会やレースは毎度毎度こんなにギャグになるんだろう?(^^;

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