ピックツール

ピックツールってご存知? 持ってない人が多いと思うんだよね。ウチのサイトではあちこちの写真にチラホラと登場してるけど、実際に使ってるのを見た事があるヒトも少なかろう。使ってみればこれほど便利なモンは無いって言いたくなるくらいに便利で使う機会も多いんだけど、持ってないどころかその存在を知らないヒトも多い。なぜ一般に知られてないかと言うと、使えるピックツールを発売しているのはSnap-onくらいしかないからだ。Snap-onバンに馴染みが無いと目にする機会が無い。一般の工具屋ではSnap-onを扱ってないところが多いので目にしないわけ。

で、Snap-on以外のメーカはなぜにこんな便利な工具を発売しないのか? そんな疑問から始まって、ABITがオリジナルでPBに企画を持ち込んで開発、そしてついに発売となった。一般の工具店で扱えるPB社の製品が出た事で、Snap-onに馴染みが無い一般のヒトも買い易くなるわけで、こんな便利なモンを買わない手は無いと思うのだ。そんなわけで、ちょいとピックツールってヤツを紹介してみよう。


私が愛用しているのはSnap-onだ。この4種類がデフォルトで組み合わされている。正確な価格は記憶に無いが、確か5000円くらいだったか? もっとも良く使うのが上から2番目の45度と呼んでるヤツ。続いてL型、ストレート、そして一番下の「?」型のヤツは使ったことが無い(笑)。


この絶妙のすくい角がたまらん。あらゆる場面でコレを使う。ハッキリ言ってコレ1本でも良いんだけど、L型やストレートもたまに使うので持ってて損はないだろう。 ?型に関しては意味不明。なんせ使ったことが無い(笑)。


これはアストロで買った400円くらいのピック。ハッキリ言って使い物にならん。


見ての通り、先っぽが一発で曲がってしまう。無理をかけているわけではないのだが、普通の使い方であっという間に曲がってしまうという、まさに一発モノ! 全然使えない。ちなみにSnap-onのモノは無理をかけているつもりでも曲がらない。


そして今回の目玉、PBの新製品だ。価格は3650円(ABIT)なのでSnap-onよりかなり安い。入り組みはSnap-onとほとんど同じなのだが、意味不明の「?」型を無くして変わりに「く」型のモノが入っている。ナニに使うってワケでも無いのだが、?型よりはこっちの方が使えそう。(そもそもピックツール自体がナニに使うって工具でもないのだが...(笑))

# この製品の詳細はABITこちらに出てます。


Snap-onとPBを比較してみよう。グリップの大きさ、ブレードの形状や長さなど、実に上手くSnap-onをパクっている(笑)Snap-onに似ている。PBはブレード根元に滑り止めローレット加工が施されている。グリップより短く持って使う事が多いのでこれは有りがたい。 PBはグリップの色が違うので慣れれば目的のモノを一発で選び出せる。Snap-onはグリップの色が同じなので先端形状を見極めないと駄目だ。Snap-onはステンレス鋼のような感じの素材なのだが、実は錆びる。あんまし使わないヤツは気づくと錆びてたりする。が、PBはメッキ処理がしてあるので錆びないだろう。PBのメッキはそう簡単に剥げることは無いと思うし。こうして比べるとPBはいろんな意味で出来が良い。

硬さと粘り強さやしなやかさを非常に高いレベルでバランスさせるのはPBがもっとも得意とする分野なので、PBのモノもかなりの強度や耐久性を持っていると予測されるのだが、まだほとんど使ってないので真偽は不明。ちなみにSnap-onのモノはかなり無理な使い方でも曲がらないし磨耗もせずに先端の鋭さを保っている。ケガキ針として使っても磨耗しないくらい。


ストレート先端部分の比較。左がSnap-onで右がPB。Snap-onの方が先端が鋭い。


45度先端部分。左がSnap-on、右がPB。やはりSnap-onの方が先端が鋭い。

しかしこれはどちらが良いとも言えない。鋭さが役に立つ場面と、鋭さが困る場面が有るからだ。なので先の鋭さ云々はあんまし気にしなくても良いかと。どっちでもそれなりに使っちゃうと思う。


PBのケース。初期ロットのみオマケでこのケースが付く(ABITで売ってる分のみ)。これはとっても出来の良いケースなので、ケースがオマケで付く今のうちに買った方が良いと思う。グリップの色を覚えておかないとケースに入った状態ではどれがどれだか解らん(^^;。一番使う45度タイプが赤なのはもう覚えたけど。


Snap-onのケースはご覧のようにビニールのペラペラなモノ。透明なので先端形状が一発で見えるのは良いのだが、ホックの部分が切れるし、鋭い先端がケースに穴を開けてくれる。ハッキリ言ってSnap-onのケースはケースっていうより売ってる時のパッケージに過ぎないって感じ。PBのはちゃんとしたケースだね。 ちなみにピックツールは先端が鋭いのでケースに入れておかないと危険が危ない(笑)。道具箱の中をあさってて手に刺さっちゃう。

# 初期ロット以降は別売りでも良いからケースを用意して欲しいぞ>ABIT

それでは実際にこの工具をどんな場面で使うのか紹介してみよう。

写真はNA6CEスロットルバルブ
よくやるのが張り付いてて取れないOリングを剥がすとき。隙間に差し込んで絶妙の角度ですくい上げる。私はクランク角センサのOリングなどもコレで外す。こんな時はキズをつけ難い先端の方が良いわけで、Snap-onよりPBの方が良さそう。

←NA6CEスロットルポジションセンサ
ナニかの接点などを持ち上げてチェックしたりとか。こんな風にナニかを突っついたり引っ掛けたりするのはマイナスドライバの細いヤツでもOKなんだけど、私はピックを使う事が多い。マイナスドライバよりピックの方が細かな作業に対応できるし、ピックならではの角度が使い良い。

←NB8Cリヤキャリパ
こんなミゾ(写真はNB8Cリヤキャリパスライドピン)の中を引っかいてクリーニングしたりとか。キャリパのシール溝の錆びを落とす時なんかにも使っている。錆びをガリガリと引っかいて削ってもピックの先端は磨耗しない。

←NA8Cインマニ
L型のモノはホースプラッカとしても使っている。こんな細い負圧ホースなど、どうしても取れない時はこんな風に隙間を作ってCRCを吹き込めば簡単に取れる。ラジエタホースやヒータホースなどの太いホースでもL型ピックをホースプラッカ代わりに使っている。

←NA6CE B6エンジン
バルブスプリングを組むときにコッタを押し付けている。この角度が絶妙でたまらない。

私の場合、ビットチャージなどのオモチャや電化製品の分解にも使ってる。デジカメの電池接点の修正にも使った。エアガンの分解にも使った。プラモデルやラジコンなどにも便利に使えるだろう。

使い方は千差万別、十人十色、無限大、あらゆる場面で活躍する、めっちゃ便利な工具なのだ。買って損は無い。「こんな便利なのに何で買わないの?」って言いたくなるくらいに便利な工具なのだ。 一般人にも買いやすいメーカから買いやすい値段で発売されたのは実に好ましい事である。オマケケースが付いている初期ロットが無くなる前に買うべし。

Snap-onが欲しいヒトはバンを呼んで買ったほうが良い。バンだと高いけど異常なまでの保証体制で完璧にフォローしてくれる。ピックの曲がりなんか本来なら保証対象外なんだけど、バンなら交換してくれると思う(並行輸入業者の場合はどうなるか知らない)。でも私はかなり無理に使っても曲がったこと無いけどね。

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