モンキーレンチ

モンキーってあんまし使わないんだけど、無いとすっごく困る(笑)。安物でもけっこう使えるんだけど、ちゃんとしたモノはやっぱし良いのだ。なにがどう良いのか? 比較してみましょう。


左下はKTC、右上はBAHCO。サイズはどちらも250mm。価格はどちらもほとんど同じで、3000円以下だと思う。BAHCOはヘッドからグリップにかけての首の部分が美しいRを描き、効果的なリブ形状を配する事で応力を分散させている。全体の形状や肉抜きとリブの組み合わせ方は実に良く考えられている。

普通に見かけるほとんどのモンキーがどういうわけだかまったく同じデザインで、KTCもその一つである。ホームセンタのオリジナルブランドの激安品とか、無名メーカの激安品、豊田や日野の車載工具に至るまでまさに瓜二つなのだが、なぜなんだろう?


横から見た時のグリップの厚さに注目してほしい。上がBAHCO。この部分が厚いと手に当たる面積が広いわけで、力を入れた時に手が痛くないのだ。実際にフルパワーを入れてみればその痛さの違いは明確である。痛くないって事は力が入るって事で、痛い工具で緩まないネジでも痛くない工具なら緩むのである。


厚いと言ってもちゃんと真ん中部分は肉抜きしてあるので重量は双方共にほとんど同じ。


左 BAHCO、右 KTC。 ウォームギヤの形状に注目。KTCはネジ山の形状が台形型、BAHCOは正方形型である。KTCも力が掛かる方はネジ山面が垂直に近くなってるんだけど、なぜか使っているとだんだん緩んでくるのだ。使いながらちょこちょこ増し締めしなきゃならん。BAHCOは使っていても緩んでこない。そして、ウォーム表面の滑り止めギザギザ加工を見てほしい。指に当たる面積の広さは一目瞭然である。KTCのものは山が尖っているので痛いし滑りやすい。ギザギザも細かすぎてイマイチ役に立たない。BAHCOのモノは滑りにくいし手に優しい。更に、BAHCOはウォームの両脇が盛り上がっているので使用中にどこかにぶつかってもウォームが回転しにくい。が、ウォームの下側は大きくえぐってあるので親指で回す時は楽なのだ。一方、KTCはウォームの回り全体が中途半端に盛り上がっている。使用中にウォームがどこかに当たると回っちゃうのに、指で回す時には回しにくいと言う最悪のデザインである(笑)。


斜めから見ると更に良く解かる筈。どちらが回しやすいか? どちらが不意に回ってしまうか? 奥まってるのに回しやすいBAHCO、飛び出してるのに回しにくいKTC。


左のBAHCOは使用中のスタイルのままで親指だけで調整が出来る。右のKTCはこのように両面から親指と人差し指を使って回さないと回わしにくい。なのにウォームが飛び出しているので不意に回ってしまうのである。

BAHCOは使えば使うほどにその使いやすさが解かる。価格も安いし絶対にお勧めだ! ...が、なんとなくKTCの方が素材そのものは硬くて頑丈な素材を使ってるような気がする。ジョーの部分の摩耗っつーかキズの付き方とか見てるとBAHCOは意外と素材が柔らかいんじゃないのかなー? って思えてくるんだよね。KTCはパイプを掛けたりして強引に使っても壊れないのは大したモンだと思う(ホントはやっちゃいけない)。使いにくいし良くも無いんだけど、とにかく頑丈っていうのがKTCか?(笑)


もう一つお勧めなのが、TOP工業のモンキーレンチ。写真はトップ工業からのリンクです。これは良いです。ウォームギヤとジョーにスプリングが仕込まれていてバックラッシュがゼロなのだ。このバックラッシュレスの感覚はまさに新感覚! ウォームの両脇を盛り上げて不意に回らないように工夫してあり、ウォームの下側を大きくえぐる事で回しやすさも実現している。すごく良いんだけど、BAHCOやKTCよりも高いです。あと、250mmのモンキーなのに300mmクラスの大きさのヘッドが付いてる。なんだか頭でっかちでカッコ悪い。TOPに言わせると「ワンクラス上のジョーサイズ」って事らしくて開口幅の広さをアピールしてるんだけど、私に言わせれば「ワンクラス下のグリップサイズ」って事になる(笑)。大きな開口幅を要するネジってのは大きいネジなわけで、大きなネジを緩めるには長いグリップが必要なわけ。短いグリップに大きなヘッドを付けても使いにくいだけだと思うんだけどなー? でもバックラッシュが無いってのは良いです。ヘッドが大きいと思うか、グリップが短いと思うか? で評価が分かれますね(笑)。

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