ピストン

ピストンに溜まったカーボンを落としてみた。どうせこのピストンは使わないからどうでも良いんだけどね。 どれくらいのカーボンが付いているのかを確認したかったのと、重量差がどれくらい有ったのかを測りたかったからカーボンを落としてみた。

もっともカーボン付着が激しかったのは1番で、時点が僅差で2番。3番と4番はカーボンがほとんど付いてなくて綺麗なものだが、僅差で4番がもっとも綺麗って感じかな。これって圧縮圧力の測定値のバラツキとほぼ同じ順番なんだよね。オイル上がりが激しかったって事か。

ちなみに圧縮圧力は↓こんな感じ。

- No1 No2 No3 No4
GRPテスト直前 12.5 12.5 13.0 13.0
GRPテスト後 12.5 12.8 13.2 13.2
O/H 直前 12.2 13.1 13.5 13.1

O/H直前のデータで4番がちょっと低いのは、連続してスタータを回した結果、4番目に来てバッテリの元気が無くなってきたからである。GRPテストの時と、O/H直前の時では使用したコンプレッションテスタが違う為、数値は直接比較できないかもしれないが、1番と2番が低めで3番と4番が高めであるという傾向は同じだった。しかし、どちらのテスタも信用できないので絶対的な数字としては信用ならん。あくまでも気筒間の差や、同じテスタを使用して相対的に比較して参考にする程度の数字だろう。これがO/H後にどれくらい上がるのかが楽しみ。

ピストンの重量を測ろうと思って、デジタル式の秤を借りようと思ったら、当日は使用中で借りる事が出来なかった。借用出来たら測定してみたい。


ピストンリング溝は綺麗なモンで、カーボンも無いしリングの動きも非常に良い。ピストンリングとピストンのクリアランスも適正だった。そのピストンリングを外してピストンリングがどれくらい摩耗しているのか調べる。合口隙間の測定である。


ピストンリングをピストンから外して、シリンダに入れる。そして合口の隙間を測定する。摩耗が進んでいれば合口は広くなる。まぁ、どうせボーリングしちゃうつもりだから、これを測定しても大した意味はないのだが、現状の状態を知りたかったという興味本位での測定ですな。


ピストンリングを外すには手でも外れるが、16個もやると血が滲みそうになるので、これを使うのだ。アストロで買った800円のピストンリングプライヤである。ちゃんと使える(笑)。

さて、前回から測定したいろいろな数値をここで公開しよう。 エンジン整備書を持ってないので、基準値や限度値などのデータは車体整備書の巻末にオマケで載っていたモノを参照した。そこに載ってなかった数値は知らないので書いてない(^^;

基準値を超えているモノは黄色、限度値を超えているモノは赤色で書いてみた。

コンロッド関連数値
- 基準値 限度値 実測値
大端部オイルクリアランス No1 0.028〜0.068 0.1 0.05
大端部オイルクリアランス No2 0.028〜0.068 0.1 0.06
大端部オイルクリアランス No3 0.028〜0.068 0.1 0.05
大端部オイルクリアランス No4 0.028〜0.068 0.1 0.05
エンドプレー No1 0.110〜0.262 0.3 0.2
エンドプレー No2 0.110〜0.262 0.3 0.2
エンドプレー No3 0.110〜0.262 0.3 0.2
エンドプレー No4 0.110〜0.262 0.3 0.22
クラッシュハイトNo1 - - 0.17
クラッシュハイトNo2 - - 0.17
クラッシュハイトNo3 - - 0.18
クラッシュハイトNo4 - - 0.18

コンロッド関連数値はすべて基準値に収まっている。基準値の中では広めの方だが、問題無い。クラッシュハイトの基準値は車体整備書には載ってなかった。

クランクシャフト関連数値
- 基準値 限度値 実測値
メインジャーナルオイルクリアランス No1 0.018〜0.036 0.1 0.04
メインジャーナルオイルクリアランス No2 0.018〜0.036 0.1 0.06
メインジャーナルオイルクリアランス No3 0.018〜0.036 0.1 0.05
メインジャーナルオイルクリアランス No4 0.018〜0.036 0.1 0.04
メインジャーナルオイルクリアランス No5 0.018〜0.036 0.1 0.04
エンドプレー 0.080〜0.282 0.3 0.18
クランクシャフト振れ - 0.04 0.015

クランクジャーナルメタルのオイルクリアランスはすべて基準値から外れている。摩耗が進んでいるって事である。限度値には程遠いが、摩耗しているって事は確か。 一方、クランクの曲がりはかなり少ない。ロドスタのクランクは0.30mmくらい振れているのが普通なのだそうだ。ロドスタのエンジンO/Hを多数経験している某氏は、0.015mmなんてのは見た事が無いと言っていた。Fire号のエンジンは8000回転を超えても振動がほとんど出ていなかった。これはクランクの振れが少なかった事も理由の一つだろう。

ピストンリング関連数値
- 基準値 限度値 実測値
トップリング No1 0.15〜0.30 1 0.3
トップリング No2 0.15〜0.30 1 0.3
トップリング No3 0.15〜0.30 1 0.42
トップリング No4 0.15〜0.30 1 0.27
セカンドリングNo1 0.15〜0.30 1 0.67
セカンドリングNo2 0.15〜0.30 1 0.57
セカンドリングNo3 0.15〜0.30 1 0.67
セカンドリングNo4 0.15〜0.30 1 0.75
オイルリング 上 No1 - - 0.85
オイルリング 上 No2 - - 1.00以上
オイルリング 上 No3 - - 0.95
オイルリング 上 No4 - - 0.7
オイルリング 下 No1 - - 0.65
オイルリング 下 No2 - - 0.65
オイルリング 下 No3 - - 0.67
オイルリング 下 No4 - - 0.65

トップリングは基準値ギリギリ〜オーバ、セカンドリングは基準値を大幅にオーバ。オイルリングの基準値が分からなかったが、多分コンプレッションリングと同等の数値の筈。すると、オイルリングの上側は驚異的に摩耗しているって事になる。1mmを超えた時はビックリした。プラグゲージが入るっつーの。 手持ちのシックネスゲージの測定範囲(0.05mm〜1.0mm)を超えてるぜ...。2枚重ねにすれば測れるんだけど、1mmのゲージがスカっと通った時点で思いっきり笑ってしまい、もうそれ以上測る気がしなかったのだ。

こんなに摩耗したピストンリングではオイルが減るのは当たり前。 むしろ、この状態で170馬力以上出ていたのが不思議なくらいである。 ハイコンプエンジンなのに圧縮圧力が12.1〜13.5Kg/cm2程度だったってのもうなずける。 これであれだけパワーが出てたんなら、ちゃんと組めばもっと出るんだろうなぁ。 逆に考えると、腰下がボロボロでも、ヘッドだけしっかりと作ってあればある程度のパワーは簡単に出るって事カモ?

各部の摩耗状態やウォータポンプが死んでた事などを考えると、やはり走行距離6万キロとは思えないのだ。 通常の10万キロ以上に相当するのは間違い無いだろう。 170馬力をフルに引き出して全開走行するのと、町中で20馬力程度の力で走っている場合では各部の負担や摩耗は比べ物にならない。普段の使用で走行距離を伸ばしたクルマと、スポーツ走行で距離を伸ばしたクルマでは全然違うって事は確かだ。

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