ピストン&バルブ

Fire号に付いていたピストンとコンロッドの重量を測定してみた。デジタル秤で分解能0.1gのモノを借用して測定した。

ピストン、ピトンピン、サークリップ、コンロッド、メタル、すべてを一緒に測定した。

1番 939.3g
2番 939.9g
3番 940.9g
4番 936.4g

4番だけがちょっと軽いが、他の3つは1g程度の間に収まっている。トータルでは4gくらいの誤差が有るようだ。人の話しでは、新品のピストン単体で4gくらいの誤差が有るのも珍しくないとの事なので、Fire号はマシな方だと思う。クランクの曲がりが少なかった事と、ピストン他の重量差が少なかった事が、Fire号が8500まで回しても振動が出なかった事の理由と思われる。当たりと言われる660型ヘッドと共に、このバランスの良さが波動エンジンと呼ばれたFire号パワーの秘密であると思われる(笑)。

さて、今度使うファミリアピストンの新品状態での重量も測定してみた。ピストン単体での重量である。

1番 276.0g
2番 275.4g
3番 275.0g
4番 275.1g

重量差は1gに収まっている。当たりのピストンセットと言える。バルブリセス加工と研磨、燃焼室容積合わせとが終ったら、重量バランスも取り直す事にする。


これはノーマル。コンロッドには識別の為にペイントマーカでマーキングしてある。普通のマジックは簡単に消えるが、ペイントマーカは洗油で洗っても消えない。 某雑誌に出ていたショップではポンチを打って識別マークにするらしいが、コンロッドにポンチを打てば強度が落ちるのは当然の事。鏡面研磨にしてまで強度を稼ぐというモノに、ポンチを打つなんてとんでもない。ショップ&雑誌おそるべしなのだ。


ピストンピンクリップを外せば、フルフローのピストンピンは簡単に抜ける。


手前がノーマルピストン、奥左がファミリアピストン、奥右はバルブリセス加工中のファミリアピストン。面研によってバルブの交点が下がり、バルブリセスの位置関係がズレてしまう。この為、1mmほど外側にリセスを広げたいのだ。


こんな感じに広げていく。リセス周辺の鋳肌はかなりデコボコしている。


とりあえずこのくらいでやめておく。リセス付近の鋳肌は軽く研磨した。仮組してバルブとの間隙を調べて問題が有ればリセス加工を追加、問題が無ければピストン側容積合わせをやってから本格的に研磨する。

話はブッ飛んでバルブ。抜けてきたバルブガイドを直す為に、5/100mmほど外径が大きいオーバサイズバルブガイドを作ってもらった。


左が抜けてきたモノ。真ん中はオーバサイズガイドを旋盤で穴加工したモノ。右は下穴だけで未加工のオーバサイズガイド。旋盤で穴を加工したモノは、バイトの跡が結構激しく残っているので使えない。失敗作である。 下穴だけのモノをヘッドに打ち込んでから、リーマ加工で穴を空ける事にする。当然、この加工は内燃機屋さんにお願いする。左のノーマルはポート側に突き出してた部分をポートとツライチに削ってあったので先端がナナメになっている。新たに製作したオーバサイズガイドは3mmほど短く作ってあるので、ポート側には突き出さないようになっている。ガイドを交換したあとでポート側を加工する手間を省く作戦である(笑)。

バルブシートは当たり幅が基準値の2倍くらいに広がっていた。B6は10万キロくらい走るとシート摩耗が進んで当たり幅が広くなるのが普通らしい。ハイリフトカムで高回転まで回すと、バルブがバルブシートに激しく打ち付けられるので、バルブシートの摩耗も早い。こうなるとバルブの密着度が落ちて低速トルク不足やアイドル不調になる。当然、これはシートカットをやって正規の当たり幅に直す。シートカットと共にバルブ側の当たり面も研磨するので、バルブを研磨してから加工屋さんに出したかったが、時間が無くて研磨できなかった。軽くカーボンを落としてマーキングしてから加工に出すことにする。


ドリルにチャッキングして回転させ、特製のハイスピードスチール製バイト(単なる金ノコの刃を削って作ったモノ(^^; )を使ってカーボンを落とす。更にサンドペーパーを当てれば綺麗になるのだが、時間が無いので400番で軽く磨いただけ。


光っているのが軽く研磨したモノ。時間が無いのにわざわざ中途半端に研磨したのは、識別用のマーキングをしたかったからっていうだけなんだけど(笑)。カーボンの上からマーキングしても消えちゃうんだもん。 ちなみに某雑誌に出ていたショップでは、バルブフェイスにポンチを打ってマーキングしていた。鏡面研磨にしてまでホットスポットを無くしたい燃焼室側に、ポンチで凹みを作るなんて言語道断、愚の骨頂。またしてもショップ&雑誌おそるべしである。

シートカットから上がってきたら、バルブの研磨は徹底的にやるのはもちろんである。

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