エンジンオイル交換と圧縮圧力

5000Km走行のオイルを新油に交換すると差が現れるのだろうか? そこで、エンジンオイル交換前後で圧縮圧力はどう変わるのかを測定してみた。もちろん検体は銀プレッサバンだ。

'04.8.27 108316Km でオイル交換を行った。
'05.3.16 113306Km で再びオイル交換。この間、約5000Km、7ヵ月だ。

使用したオイルは常に同じオイル。ロドスタでも使っている英国製オイル 半合成 SL/CF 10W-40 である。交換前にフラッシングを行い、オイルとオイルエレメントも同時に交換した。

7ヵ月間 5000Km走行のエンジンオイルを交換直前に圧縮圧力を測定、新油に交換して1週間ほど走ってから再び圧縮圧力を測定した。交換直後に測定したかったのだが、時間が無くて断念...(^^; ま、1週間走ってオイルを馴染ませたって事にでもしておいてください(笑)

測定前に十分に暖機運転を行う。銀プレッサバンはビックボア故にピストンの熱膨張の影響が大きい。水温が上がっていてもピストン温度が十分に上がっていないとピストンクリアランスが大きくなってしまう為、圧縮圧力が下がってしまう。測定前に十分な暖機運転を行う必要が有る。3000回転くらいをキープして暖める。空ぶかしも行い、ピストン温度を十分に上げる。スバル特有のピストンスラップ音が聞こえなくなるくらいまで暖機運転する。油温はオイルパンに触って手温度計(笑)で80度以上、水温は電動ファンが断続的に回転を繰り返すくらい。

圧縮圧力の測定はバッテリ電圧の影響を受けないように、始動電流600Aを流せる外部バッテリを接続して行った。

約5000Km走行のエンジンオイルと、約50Km走行のエンジンオイルで圧縮圧力に差は出るのか? 僅かに上昇すると読んでいたのだが、あまりの差に驚いた。単位がMpaなので解り難いが、近似的には1Mpaを10Kg/cm^2と読み換えて頂いても大差は無い。

1番 2番 3番 4番
エンジンオイル交換前 1.12Mpa 1.18Mpa 1.12Mpa 1.18Mpa
エンジンオイル交換後 1.33Mpa 1.36Mpa 1.40Mpa 1.36Mpa
圧縮上昇率 18.8% 15.2% 25.0% 15.2%

これはスゴい。最大で25%も圧縮圧力が上昇している。フラッシングの効果なのか? 新油効果なのか? それは定かではないが、ピストン、ピストンリング、シリンダ、それぞれの密閉性が上がった結果だろう。ピストンリング溝の汚れが落ちて動きが良くなったのかもしれない。まったく同じオイルでオイル交換をやっただけで、コレほどハッキリした圧縮圧力の差が出るとは思ってもみなかった。

ちなみに私は今回のオイル交換後、特に体感的な違いには気付かなかった。もしかして交換直後に圧縮圧力を測定して、圧縮圧力が大きく上昇している事を知ってから走ったらプラシーボ効果により「違う」と感じてしまったかもしれない。しかし、今回は時間の都合で交換直後には測定はやらずにそのまま1週間走ったわけである。特に期待もしてなかったので何とも思わずに乗っていた(笑)。

オイル交換だけでコレだけのハッキリした数値の差が出るのである。オカルト添加剤に高価な金額を払って購入してしまう添加剤信者は、期待たっぷりにプラシーボ効果満点でオイル交換と同時にその添加剤を入れるわけである。その添加剤がまったく無意味なただの安物オイルだったとしても、「素晴らしい効果っ!」 と感じてしまうのは当然の結果だろう。普段はやらない無意味な加速を試し、「トルクアップした、レスポンスが上がった」と感じてしまう。そりゃそうだ、普段は踏まない領域までアクセルを踏めばトルクが出て当然(笑)。「滑らかに回る」そりゃそうだ、劣化したエンジンオイルを新油に交換して粘度が適正に戻ったのだから当然だ。

そしてこの手の添加剤信者は次々に違う添加剤に乗り換えて試し続けるヒトも多いようだ。効果は半永久的(笑)と言うテフロン系を入れていたかと思うと、今度は塩素系やリン系などの極圧剤系、セラミックだマイナスイオンだと、次々に有害物質やオカルトモノを試す。その金でガソリンを買った方が遥かにマシだと思うのだが?(笑) おっと、話がソレてしまった...(^^;

さて、するどいヒトはもう気付いていると思うが、今回の実験は次のネタへの布石である。実験前の基礎体力測定だったわけだが、期待してなかった大きな差が出てしまったので面白いから単独ネタにしてしまったのである。





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