総まとめ

そうそう、忘れたけど今回のGRPテスト時には、オイル添加剤のGRPと、燃料添加剤のTEを併用してた。TEはGRPと同じ原理で共晶膜を形成するモノなのだが、燃料に混ぜる事で燃焼室側から潤滑しようというモノだ。耐熱性を上げて燃えないようにしてあるんだとか。燃焼室側から潤滑する為、オイルリングより上の部分も潤滑出来るってのがポイントかな。TEに関しては車のエンジンオイルと添加剤のページに詳しく出ているので参照して頂きたい。最近新型に切り替わって塩素フリーになって更に性能アップしたらしい。私がテストしたのは旧型だけど。

さて、GRPテストを私のロドスタでやったわけだが、添加剤によるパワーアップやトルクアップ、フィールアップなどは残念ながら私には体感できなかった。 元々オイル管理や油温管理が行き届いた私のクルマでは差が現れにくいのも確かだろう。オイルクーラさえ装備してないロドスタで、過走行気味のエンジンならもしかしたら体感できるのかもしれない。圧縮圧力が上がったのは事実なんだし。それでも元々圧縮が高いハイコンプ仕様エンジンでは差が出にくいかもしれない。私のクルマでのテストは添加剤にとっては不利な条件が揃っていると言える。

GRPが摩擦を低減し、摩耗を減らし、極圧性を10倍にまで高めてくれるのは事実だ。しかし、普通のオイルでもいきなりエンジンが焼き付いたりせずにちゃんと回っているって事は、普通のオイルでも最低限必要な極圧性能は確保されていると言う事。それを10倍まで高めたところで10倍もの極圧が発生するか? と言ったら大きな疑問なわけ。つまり、10倍の極圧性を持っているから、摩耗が10分の1になるとか、10倍の耐久性が得られるとか、燃費やトルクが大幅にアップするとか、そういう事には直接繋がらないのだ。

摩擦を低減したところで、それをパワーアップとして体感できるか? 無理だろう。測定機で2馬力くらいは上がってるのかもしれないが、それを体感するのは無理なのだ。 GRPは確かに優れた添加剤だと思う。しかし、それにパワーアップやフィールアップを求めて使うなら、やめた方が良いと思う。 その効果は体感も出来ないし、見えないモノ。そう、長い目で見たときにエンジンの摩耗を減らし、寿命を延長してくれるって事なのだ。大切なエンジンをいつまでも長く維持したい、そんな思いを込めて使うなら私は良いと思う。

だが、添加剤を入れた事でオイル交換サイクルを延長してしまうヒトが多い。それでは何の意味も無いのだ。GRPの共晶膜によって摩耗は防止出来るかもしれないが、油圧の維持は粘度に依存するし、清浄分散性はオイルにデフォルトで含まれている添加剤の性能に依存する。これらの粘度調整剤や清浄分散剤、酸化防止剤と言った、オイルにデフォルトで含まれている添加剤成分の劣化は避けられないわけだし、ポリマーの分解も進む。燃料希釈や水分の混入も避けられない。ブローバイに含まれる炭素などの不純物もオイルがオイル中に取り込む事によってエンジンの汚濁を防止している。これらによってオイルの性能はどんどん劣化して油圧も下がるし、オイル中の不純物も増加していく。たしかにGRP効果で摩耗だけは防止出来るかもしれない。でもそれ以外の性能は維持できないし、それ以外の性能だって重要なのだ。オイルに求められる性能は潤滑能力だけではない。GRPがオイルを助けられるのは共晶膜形成による潤滑能力だけなのだ。だから、クルマを大切にしたいなら、GRPを入れようがなんだろうが、オイル交換はマメに行なうべきであり、添加剤を入れた事でオイル交換サイクルを延長してしまうなら本末転倒なのだ。

特にロドスタはラッシュアジャスタと言う非常に壊れやすい上にオイル性能にとても敏感な部品を使っている。ロドスタのエンジントラブルで最も多いトラブルはこのラッシュアジャスタ関連のトラブルだろう。油圧の低下や不純物の混入はラッシュジャスタを直撃する(テフロンのような固形物なんか入れたらラッシュジャスタに壊れてくださいってお願いしているようなモンですぜ!)。 油圧を維持するには、固めで高温に強いタイプの高性能オイルを使う、或いは油温が上がらないようにオイルクーラなどを装備する、油温が上がる前に走るのを止める(笑)、と言った対策以外に道はない。GRPとて油圧の維持には無関係なのだ。 添加剤は万能ではない。オイルに要求される数多くの性能のほんの一部を向上させるモノに過ぎないのだ。効果と目的をハッキリさせ、その意味を解かった上で使って欲しい。

ちなみに、GRPは産業界では大きく普及しているそうです。某メーカのハードディスクの軸受けなどにも密かに採用され驚異的に耐久性をアップさせる事に成功しているんだとか。モータの軸受けなどの潤滑には最高でしょうね。自動車のエンジンではブローバイガスや高温によるオイル成分の劣化は避けられませんが、モータなら関係ないですもんね。これはほんの一例で、実際には紹介しきれないくらいに多くのメーカで色々な製品に採用されているらしいです。あまり詳しくは書けないんですが、各企業で密かに採用しているらしいんですよね。まぁ、驚くべき潤滑能力と摩耗防止効果はホンモノでしょう。

# オイルメーカが自社オイルにデフォルトの添加剤として採用していないのは、単に政治的問題だそうです。

追加: そうそう、GRPの共晶膜形成によって、オイルが減りやすい車の場合はオイル消費量が軽減されるとの事。Fire号では新車の頃からオイルが減る傾向がある。GRP添加後1200Kmほど走った段階では、オイルの減りに関しては変化が見られなかった。が、更に500Kmほど走った現在、オイルの減りが確認できくなった。エビスサーキットまでの高速道路往復約450Kmでオイルの減りは皆無だった。以前は500kmも走ればレベルゲージで減りが確認できたのだが...。遅効性のGRP効果が今ごろになって現れたのだろうか? だとしたら各種計測データは、GRP効果が完全に現れる前に測定してしまったのかもしれない。

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