劇団「京」第19回公演「賢者の贈り物」

観劇日:1995年12月3日
劇場:東京芸術劇場 小ホール2
原作:O・ヘンリー
演出:吉沢京夫
舞台監督:向井一裕
舞台美術:孫福剛久
出演:永井一郎、ほか

物語:
O・ヘンリーの代表作、「警官と賛美歌」、「ハーレムの悲劇」、「最後の一葉」、「善女のパン」、「20年後」、「手入れのいいランプ」、「賢者の贈り物」の7編を巧みに組み合わせて、ニューヨークを舞台に繰り広げられる様々な物語。

所感:
私が劇団「京」に初めて出会った記念すべき公演です。
O・ヘンリー短編の多くはニューヨークの街で生活している人々を描いた、どちらかというとハッピーエンドとはいいがたい物語です。ですが、どういう訳か親しみのもてるのはその作品中にちりばめられたリアリティとニヒリズムでしょう。今回の公演はそんなO・ヘンリーの短編をバラバラにして巧みに組み合わせて一つの物語にしてしまっています。
舞台の転換をニューヨークの街の都会の喧噪に置き換える所など演出のうまさを感じます。全編を通じて長く場面転換は多いのに少しも違和感がありませんでした。また、舞台の要所々々に姿を見せる黒いケープの老人が登場するのですが、その老人がストーリーテラーかO・ヘンリーのニヒリズムの象徴のようにおもえます。
特に印象に残ったのが「最後の一葉」と「善女のパン」で、「最後の一葉」では老画家バーマンの役を「サザエさん」でお馴染みの声優 永井一郎さんが演じています。「善女のパン」ではドイツ人の建築家を演じた浦崎さんが印象的でした。この物語の最後は「賢者の贈り物」で公演も12月と言うことでクリスマスらしく締めくくっています。
この公演以来、私はすっかり劇団「京」のファンになってしまいました。劇団「京」は普段は下北沢の「京ホール」で公演しています。

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