手形

■ 手形の仕組みと利用方法

 

手形を受け取るとき、一抹の不安を持つことはありませんか。手形を 出すときも、慣れないとなかなかぎこちないものです。しかし、一度使 いはじめると、手放せないほど便利ですが、慣れっこになって漫然と使 っていると痛い目を見ることがあるのがこの手形です。

 手形は、確かに便利ですが、便利ということは、同時に、何かを犠牲 にしているのですから、その点も十分認識して、扱うことが肝心です。
手形の機能と役割は何か。
支払、取り立ての機能と支払延期の役割

1 手形の機能と役割を考えてみましょう

手形の機能 「手形は商人の紙幣だ」 
  手形は商人の紙幣であると言われるように、手形なくして取引が考え られないほど手形は頻繁に利用されるています。手形には、約束手形と、 為替手形という2種類のものがありますが、現在、主に使われるのは、 約束手形でしょう。  約束手形とは、売り手と買い手との間で、買い手が支払の代わりに手 形を発行して売り手はこの手形を、商品の代金支払いの代わりに受け取 り、手形記載の期日に銀行にその手形を持ち込み、支払を受けるという ものです。

    これに対し、為替手形というのは、振り出し人が支払人(買い主のこ とが多い)に対し、手形の金額(売買代金)を受取人に対しての支払う ことを依頼し、支払人と指定されたものがその指定の金額の支払いを引 き受け、引受人となることで、手形の受取人が引受人に請求できるとい うものです。

  この手形は、主に振り出し人から引受人に対する支払い請求の手段、 取り立ての手段として多く利用されています。

  こうした手形の制度は、大金を持ち歩かなくていいという意味の安全、 簡易な決済方法であるほか、代金の支払いを支払期日と指定した日まで 延ばす、支払い延期ということに本来的な意味があります。
  商品を仕入れた際、その代金を全てその場で決済するというのでは、 相当大きな資金力がない限り、大きな取引はできません。資金力の関係 で、ほんの少ししか買えないでしょうし、小量ずつではコストがかかり、 手間がかかって、商売にならないことが多いのです。
  現金商売は安全ですが、その商品を買っていく方にとっては何とも厳 しい方法なのです。
  しかし、もしも、その商品の仕入れ代金の支払い時期が、その商品が 売れた後であれば、たとえ大量のものを購入していても、売上げがある のでその中から購入代金を支払うことがでるようになるのです。こうし た制度から、大量販売大量仕入れが可能になるのです。  こうしたことから、手形によって支払期日の延期を行うことは、売り 手にとってもまた買い手にとっても、とても都合のよい決済手段なので す。

  しかし、この手段は、支払を先に延ばすという機能があるので、この 機能の方が一人歩きして、支払の決済資金が窮したときに、苦し紛れに 振り出すということがあり、これが連続して、膨れ上がって、自転車操 業から、債務超過の状態に突き進んで行くことがあります。

 現金商売では、そうした危険はないのですが、手形という、支払い延 期という極めて便利な手段があることから、こうした現象も生まれるの です。
  この現象は、個人のカードの利用が支払い延期の便利さを持つ一方、 利用者が自己規制ができなくなり、過剰利用に陥り、カード破産に至る のと同じ原理です。
  便利な制度であるのと同時に、そうした危険も内包していることを十 分に認識して使う方も、受け取る方も、常に慎重に扱う必要があります。 

2 手形の振り出し・引き受け

       手形の振り出しというのは、文字どおり、約束手形を作成して、振出 人として署名し受取人に交付することです。この行為によって、振出人 は受取人に対し、手形金額を期日に支払うという固い約束をしたのであ り、受取人はこの手形によって、確実な支払いを担保されたということ になるのです。
  この事から、約束手形の振出人は、支払いにおいて第一次の、かつ最 終の、絶対責任を負うものと言われます。
  すなわち、支払に関しては全部の責任を最後まで負いますと言うこと なのです。

  裏書があろうとなかろうと、保証があろうとなかろうと、受取人が誰 であっても、ともかく手形に記載した金額を振出人は必ず支払うと言う ことが、手形法の定めです。

    為替手形ではこの責任は、引受人が負うことになります。引受人が、 振り出し人の依頼に従って、手形の受取人・所持人に対する支払いを引 き受けたことが、第一次のかつ絶対の支払い責任を負担する行為になり ます。  したがって、支払いに対する引き受けのない為替手形は、只の紙切れ にすぎないと言っても、言い過ぎでないほど弱いものなのです。    約束手形であれば、振出人の記載、署名捺印があること、為替手形で は引受人欄に署名捺印があることが、手形としての絶対要件なのです。    

 

 手形の裏書とは、手形を順次譲渡した際に、手形の裏面にその経過を 記載するものです。しかし、それは単に手形の移転の経過を事実として 記載するという意味ではなく、裏書人(手形の売り主)として、その手 形の支払いを保証するものになるのです。  裏書とは、この様に、振り出し人の支払いを保証(これを担保義務・ 遡及義務という)し、かつ、その信用を利用しつつ、その手形を渡すこ とで、手形の額面の金額を支払ったことにしたのですから、万が一、振 り出し人がその手形の決済を出来ないときは、振り出し人に代わって、 手形の決済をおこなう義務、遡及義務というものがあります。  この様に、裏書人は、振り出し人の支払いを担保して、この手形の信 用性を増加させ、かつ利用しているのです。  

無担保裏書の制度

  こうした裏書人の責任を解除して、単に当該手形の譲渡だけを行うも のとして、無担保裏書という制度があります(手形法15条)。  
これをするには、裏書欄にはっきりと、
  「 裏書人は支払いを担保しません 」 
  「 裏書人は引き受けを担保しません 」
と明記する必要があります。  こうすることによって、先ほどの、裏書によって生ずる担保的効力を 排除すすことができるのです。

  しかし、実務上は、裏書人欄には何も記載せず、もちろん一切署名も しないで、当該手形をそのまま引き渡して、利用するという方法を取る ようです。
ただ、信用性は格段に落ちますので、よほど信用のある手形 でないと、流通はしません。  

裏書禁止裏書・裏書き禁止手形

 これらは、手形の移転によって、本来当事者間で主張する事ができる はずの契約上の瑕疵(商品に瑕疵があるとか、品数が足りないとか、変 質しているので取り替えろとか、契約を解除するとか言うトラブルの時 主張できること)などの主張がなくなってしまうことを嫌い、たとえ手 形が流通しても、当事者間の主張、これを人的抗弁と言いますが、そう した抗弁を維持し、手形金の請求に対してはこの抗弁を主張する権利を 保全するというのが、この制度の趣旨です。
  従って、売掛代金そのものを取得したというのと大差ないことになり ます。  
  裏書人が行うのが裏書き禁止「裏書」であり、振り出し人が行うもの が裏書き禁止「手形」となるわけです。この 場合、本来の手形の効力を 減殺するものですから、それを明確にすべく、やはり手形上にはっきり と「 この手形は裏書きを禁止します」と明記しなければなりません。  
  こうした特別な手形は、支払の確実性について、多少問題が生じる危 険があり、その覚悟をもって、受け取るかどうかを考えなければなりま せん。  

手形の保証・共同振り出し

 手形の保証は手形の支払を保証するものであり、その支払の確実性を 増すものです。法人の振り出しに対して、社長個人が保証をするなどが この例です。
  又、単独で振り出すのではなく、共同で振り出すこともでき、共同振 り出しと呼ばれ、より確実なものであり、有効な手段です。
  これらは、手形の支払い能力を増すものでありますから、特別なにか を明確に記載しなければならないということはありません。
  それどころか、逆に、何の制限も、規制もなく、何も明記しなくても、 ただ単に、自分の名称を記入しただけで、ただそれだけで、保証行為と して完全に有効になるのです。ただ単に、自分の名前を記入しただけで も、有効な保証となるのです(手形法31条3項)。判例では、自分の 判子を、ぽんと一つ押しただけでも責任があるとされています。
  従って、いい加減に、覚え書きのつもりで、自分の名前を記入したり、 会社の名称を記入するのは危険です。それだけで、保証人の責任、すな わち振り出し人の絶対責任を負担することになってしまうのです。    

4 手形の取り立て

  取り立てるとは、銀行に持ち込むこと
 手形の支払期日の欄に記載された「支払日」に、取り立てに回すこと になります。取立に回すとは、取引銀行に対して、あなたに代わって、 手形金の取立を委任することなのです。したがって、あなたから銀行に 対し、取立のための「取立委任裏書」をすることになります。
  この取り立ての期間は、当該支払日の後二日間に限られていますので、 気を付けましょう。これを過ぎても取り立てが出来なくなるのではあり ませんが、これ以後に取立に回すと言うことは、その手形の裏書人に対 する遡及義務の追求を放棄すると言うことなのです。
  尚、白地手形の取り立てについては、白地部分の補充をしておかなけ ればなりませんので、注意してください。  

5 手形の不渡り

 手形の不渡りとは、手形の決済資金が無く、手形の決済が出来ないこ とを言います。手形の支払期日の欄に記載された「支払日」に、当該手 形は取り立てに回され、手形の交換に出ます。手形交換所から、決済銀 行に手形が回され、決済資金があれば無事決済となりますが、資金が不 足していれば、不渡りとして、手形を持ち込んだ人に不渡りの付箋を付 けて、「不渡り手形」として返還されます。

   このとき、手形には、付箋が貼られ、「資金不足」「銀行取引なし」 などと書かれます。こうして、その手形は、振り出し人、もしくは引受 人においては決済できなかったことになり、その後は、裏書人等に対す る遡及となります。   

手形が不渡りになっても諦めないこと

 手形の不渡りが出ると、相手方は倒産だとか、手形が紙屑になったと か思いこんで諦める人が実に多いのには驚きます。
  手形を使って、何年も仕事をしながら、不渡りになると、ただそれだ けで、もう駄目だと、諦めてきたというのですから、驚くばかりです。
  手形の機能は、不渡りの時にも支払が得られるように、手形の機能を 充実させています。まず、第一は約束手形の振出人と、為替手形の引受 人の最終の絶対的な手形金支払い義務であり、第二が担保機能を用意し ている点であり、この二つの制度で手形の流通を強化しているのです。
  手形が不渡りになったと言っても、振り出し人などに対しては3年間 追求できますから決して紙屑ではありません。 

  そして、何より重要なのは、手形金支払の担保機能として用意されて いる、手形の裏書き制度であり、保証なのです。
   裏書きのある手形がほとんどです。裏書きのない手形という方が少な いはずです。あまり信用のないとき、支払に不安があるときは、法人と、 その代表者が裏書きをしているはずです。何件か回って来ておれば、も っと良いわけです。それら裏書人が、手形金の支払を担保してくれるか らです。
  すなわち、手形が不渡りになったら、まず直前の裏書人に手形を請け 戻すように要求し、手形金額の返還を求め、手形金を返還してもらうの と引き替えに手形を返してやればいいのです。従って、直前の人が信用 があれば、手形が不渡りになっても、何の心配もないのです。
  この様に、不渡り手形は、最終の所持人から振り出し人に至るまで、 順次裏書人をさかのぼって、巻き戻されてくるのです。こうして、最初 の裏書人、すなわち手形の振出人から直接手形の振り出しを受けた人ま で戻ってくることになるのです。ここまで来ますと、もう他には裏書人 はいないので、振り出し人と引受人に追求して行くほかないのです。  さてこうのように、万が一、手形が不渡りになったからといっても諦 める必要はまったくなく、裏書人の記載があるかをみて、あれば安心し て、裏書人の責任を追及すればよいのです。  万が一、裏書人がなくとも、最低でも3年間は追求できるので、じっ くりと時をねらって、請求すればいいのです。
  手形は、信用が命であり、信用を担保する制度があるので、手形を受 取るときも裏書人にしっかりした人を入れておくような配慮が必要です。  

不渡りに伴う取引停止処分

 第一回目の手形不渡りまず、手形の不渡り(決済不能)が発生すると、 支払銀行(決済銀行)は不渡り宣言を行い、当該不渡り手形を持ち込み 銀行に返還します。
  この不渡り手形は持ち込んだ人に返還されます。支払い銀行は、同時 に手形取引所に不渡りの事実を報告します。これは全銀行に対し、当該 不渡りがあったことを知らしめる効果があります。  こうして第一回の不渡りが処理されます。  

6ヶ月以内の第2回目の不渡りの発生

 第一回目の手形の不渡りから、6ヶ月以内に、2回目の不渡りを出し たときは、銀行取引停止処分が行われます。同日に2本以上の手形の不 渡りが出てもこれは1回と考えるものとされています。
  従って、第一回目から、別の時期に第二回目の不渡りが出ますと、全 銀行との間で、それ以後2年間の間、当座預金取引ができないという制 裁が加えられます。
  即ち、当該処分の後は、当該商人は手形を使えなくなるのです。
  さらに、銀行貸付・融資の禁止がなされます。結局、2年間は、銀行 とのつきあいが一切出来なくなるという強力な処分が行われます。
  この様に、厳しい処分があることから、手形の不渡りが厳格に規制さ れ、手形を使う資格のないものを排除するという制度によって、手形の 信用性を確保しているのです。  

6 手形のジャンプ・依頼返却とは何か。

   どういう意味があるか。「不況の際の神頼み」  手形の期日の意味
    手形の期日 手形の記載すべき事項に「支払期日」というものがあり ます。支払い期日は、約束した支払の期日であり、守られるのが当然で す。
  この項目は、ほとんど記入されて流通します。支払期日が記入されて いるからこそ当該金額の支払う期日が予定でき、支払い資金の準備もで きるのです。支払期日のない手形などは、支払う気のない手形と言うほ かありません。  それほどまでに、手形期日というものは重要なものなのです。  この支払期日というのは、この日に手形の資金決裁があるということ であり、万が一、銀行口座に手形決済の資金がないときは、手形の不渡 りが発生します。この手形の不渡りが、6ヶ月に2回発生すると、前述 したように、厳格な、「銀行取引停止処分」が行われ、商人としての活 動は大幅に制限されることになります。事実上倒産として扱われること になります。

   手形のジャンプは不渡りの前兆
    手形のジャンプの意味 
  いったんは手形を振り出したものの、現実には、手形期日に手形決済 資金の用意ができない、という場合に、このジャンプという問題が生じ ます。
  単に商売がうまく行かなかったと言うだけではなく、時には、受け取 っていた取り立て手形の不渡りに遭遇したとか、取引先が倒産したとか、 手形決済資金が用意できないと言う不測の事態というものはあるもので す。
  こうした不測の事態が発生するなどして、手形期日に資金が用意でき ないときに、「もう少し待ってください。御願いします。」と手形所持 人に頼んで、予定された手形の期日に手形の決済がこないように、手形 所持人に手形を振り込むのを待ってもらう必要が生じます。
  この様に、手形の期日を延期してもらうのが、「ジャンプ」と呼ばれ るものです。

  手形のジャンプには、幾つかの方法があるようです。
  支払期日の訂正 
  ジャンプの一つの方法は、当該手形の支払期日そのものを、削除、訂 正、新しい先の期日の書き入れを行うというものです。
  即ち、例えば、支払期日 3月3日 という部分を二重棒線などによ って抹消し、4月4日などと加筆する方法です。
  この方法は、簡便な方法ですが、幾つかの問題があります。まず、訂 正が行われたときは、訂正印が必要なことです。振出人や引受人が訂正 印を押すことがまず行わなければならないことです。次に、裏書人がい るときは、その裏書人全員の同意と、訂正部分への、全裏書人の訂正印 の押印が必要です。これをしないと、その手形は訂正前の文言のまま有 効とされ、訂正の事実をもって裏書人に対抗することは出来なくなりま す。
  従って、裏書人の同意と訂正印のない限り、裏書人の関係では、当初 の3月3日に支払呈示しない限り、裏書人に対する遡及権を保全できな いことになるのです。
  従って、4月4日に提示したと言っても、その手形については裏書人 は一切責任を負う必要がなくなるというわけです。
  従って、この方法を取るときは裏書人の承諾と、訂正印がとれるのか が、確認すべき重要事項なのです。
  手形自体の差し替えによるジャンプ  二つ目は、新しい支払期日を記載した手形を新たに振り出すというこ とです。そうすることによって、前に手形を返還してもらうという方法 があります。  しかしこの方法は、古い手形に裏書人がいるときはなかなか取りにく いものです。前の手形が返還されるので、その手形の裏書人への遡及権 も一緒に返還され、消滅してしまうからです。
  しかし、だからといって、古い手形を残しておきますと、2通の手形 が流通に回りますので、何かと事故のものであり、絶対に避けるべきも のです。  この方法は、ジャンプする手形に、手形の裏書人がないときには有効 な手段ですが裏書人のいるときは、裏書人の担保力をみすみす捨てるこ とになりますので、なかなか採れない方法でしょう。        

7 手形の依頼返却

 手形を銀行に取立も回した場合、決済資金が無いという理由で返還さ れると、取引停止になってしまいます。
  そこで、どうしても決済日までに手形決済資金が出来ないときは、現 在の手形所持人が当該銀行に言って、当該手形を手形交換所から返還し てもらい、手元に保管するという、手形不渡りの回避方法があります。
  これは、要するに、手形所持人があえて手形を、引っ込めて、手形決 済を行わないと言うことです。これは、親密な取引関係があって、倒産 させるわけには行かないという事情や、手形を振り込んで不渡りにして 法人がつぶれるようにするよりも、最後の手段で、一時救済して立ち直 りができるか様子を見るというものです。
    最後の手段として、手形振り出し人からの依頼で利用される方法です。
  もちろん、手形所持人は満期日に手形を振り込まないのですから、手 形に裏書人がいるときは、裏書人への追求権を失うことになりますので、 慎重にする必要があります。

8 手形のジャンプ、依頼返却への対処

 手形の支払に関しては、スムーズに行かないと言う事態は、そうある ことではないはずで、こういう事態は深刻に受け止めるべきです。
  いかなる意味においても、手形不渡り、倒産、と言うシナリオに、限 りなく近いという事態なのです。勿論立ち直ること、切り抜けることも あるかもしれません。
  しかし、健全な会社ですら経営がむずかしいという状況の中で、経営 困難になった会社が、資力のない中で再建するというのは、並大抵のこ とではありません。極めて困難な事態と言うほか無いはずです。そうし た状況を知った上で、協力によって救済されるとこともありますから、 事態を正確に把握するほかありません。  協力する立場、あるいは協力を求める立場でも、次の点を知っておい てください。本来手形が支払期日に支払われることが原則ですから、そ の原則が守れないと言うことは、異常事態だと言うことです。従って、 まず、その原因を明らかにすること、そしてその対処を明らかにするこ と、新たな事態が確実に前進するかどうかを真剣に分析すること、が必 要です。
  再建できそうもないものは、早くあきらめて、冷静に対処すべきであ り、むやみに先延ばしすることは、傷口を大きくするばかりです。
  こうした判断の下で、不渡りを覚悟して、裏書人の償還義務の追求で 行くべきか、裏書人の責任追及手段を放棄したとしても、救済すべきか、 救済可能かを考えることになります。  その上で、ジャンプや、依頼返却に対しては、手形所持人の最低限の 保護のために一部の金額の支払いとか、保証の差し入れとか、裏書人の 追加とか、考えられる方法を全て検討する必要があります。  これは、手形所持人保護であると同時に、手形を振り出したものの当 然の誠意、取るべき手当であり、ぜひ守ってほしい対策です。
   手形訴訟のための解説と手形訴訟様の訴状はこちらへ

 

9 白地手形問題

 

白地手形とは何か。
どういう機能があるか。その危険

  白地手形の機能

  手形要件の重要性 手形の記載すべき事項を手形要件と言います。
  手形要件は、明確、厳格な記載が必要であり、極めて高度な厳格な約 束になっています。
  手形とは、その表面に記載したとおりの権利関係を示すものであり、 かつ、それしか権利を理解するすべがないのです。従って、記載された 内容が手形の生命であり、もっとも重要なものなのです。

  手形要件を記載しないと言うことがあります。 手形の生命とも言うべ き手形の要件を記載しないというからには それほどの価値のあること があるのでしょう。
その必要とは、たとえば、その手形の支払期日は、1年後にしたいが、 1年後の支払いなどと言うのは、どうも信用性に乏しいのでその振出日 を記載しないで、振出日白地にしておくというような要求、手形金額が きりの良い金額なので、受取人を白地にしておいて、簡単に移転できる ようにしたい、裏書きなどと言う面倒なことをしなくても信用があるの で、そのまま移転させたい、と言った要求、などでしょう。
  売買の代金が決まっていないので、後に記入できるようになどという 乱暴なこともあるようです
  受取人欄を白地にするというのは、転々流通させるという意味で、多 用されるものです。

  金額白地手形の危険

  金額白地の手形の振り出し 金額欄を空白にしておくなどと言うこと は、絶対にしてはいけないものです。

  金額白地の手形など、自分の命を預けたのと同じことなのです。
  金額白地とは、どのような金額が記入されるかわからないものです。
 確かに、振り出しの際に、記入する内容を制限したり、書く前に承諾 を取ることなどと言う約束をすることもあるでしょう。
  しかし、そうした約束は、常に裏切られ、破られるのです。手形の所 持人が、苦し紛れに、かってに書き込んだ時、その危険は限りなく広が ります。
  従って、金額を白地にして手形を発行するなど、絶対にしてはならな いことです。

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