日常生活の法律問題

道路・通路問題

−−土地の合理的相互利用関係の確立が不可欠−−

道路問題、通行権問題
道路問題と、囲繞地(「いにょうち」とよみます)通行権


 道路問題 



道路と言えば、誰でも解りきったもののようですが、時と場合によっては、とても困難な問題を発生させます。道路といえども、土地所有権が絡みますので、国 道(国有地)、県道(国有地や県の土地)、都道(都の土地など)など、公道と呼ばれるものは、公共団体の所有物であり、公的な機関がしっかりと管理してい ます。したがって、権限も公共団体にありますが、万が一公道に穴があいたり、水が噴き出したり、ガスが吹き出したありしたときは、国などの道路管理者がそ の責任をとることになります。
 

 私道の特徴 



ところが、私道の場合は、問題が複雑です。所有権は当然ながら私人にあります。私人が、私道の管理が出来ないし、持っていてもしょうがないと言って国や、都に寄付すれば、以後公共団体の所有となり、その管理になります。
お かしなことに、国や都は、寄付を受ける道路についてのいろいろと条件を付け、なかなか寄付を受け付けません。要は、きちんとした道路になっていて、構造も しっかりしていて、通り抜けが出来て、側溝がついていて、等々難しい基準があるのです。これは、国や都が、受け取った後には公的な管理責任が出るので、国 や都が、責任がとれるものでないと、言葉を換えれば、責任が出てこないようなしっかりしたものでないといらない、受け取らないと言うことのようです。
結局、簡単には私道は公的なものにはならないので、自分で管理するほかないことになるのです。
そうは言って も、現実には、水道は水道局や県の水道課が管理することになっていますし、ガス管は東京ガスなり、地方のガス会社がその管を所有し、管理しています。水道 などを新たに引くときには水道管などの施設の「敷設負担金」等というものが支払われるなど、個々人から徴収される料金や公的な資金によって、運用がなされ ているわけです。
こうして、個人は、管理らしい管理はしなくてよいわけですし、事故の責任というものも、基本的にはないのです。一般公衆が通行のように今日しているもので あれば、公道と言う概念に入りますので、公的な道路として、警察的な規制、取り締まりの対象となりますので、現実的には問題は生じないでしょう。
そうは言っても、道路に穴があいたとか、道路がへこんだとか、道路が土砂によって通行できないとか言ったときには、やはり管理者の責任が出てきます。それが面倒であれば、公衆用道路にして、補助金をもらうなどして、公的な扱いをしてもらうべきでしょう。
 

 私道の権利関係 



では、私道と近隣住民の関係はどのようになるでしょうか。まず、通行に関しては、全く自由であり、土地所有者といえど も一般公衆の通行を妨害することは許されません。これは、たとえ個人の有する私道であっても、道路交通法に言う「一般交通の用に供するその他の場所」(道 路交通法第2条)と言う概念に含まれることになるからです。従って、たとえ、土地所有者といえども、通行を妨害してはならず、料金を支はらはないと通さな いとすることもできません。近所の人は、安心して通行することが出来ます。
次に、建築基準法に関する私道問題があります。公道は基本的には問題ないでしょう。公道でも、4メートル未満のものが あり、その道路が昭和25年以前のものであれば、例外として「見なし道路」となっているものがあります。これは、本来道路でないものを道路と見なしている だけです。従って、新たな建築については、4メーター道路にした、その道路に2メーター以上接する必要があります。この場合、全部を4メーター道路とする のは不可能ですから、自分の土地の前だけでも、セットバックして、その部分の道路幅を4メートにして、その4メートルとなった道路に、2メートル接するこ とによって、建築可能になるわけです。言って見れば、「蛇が豚を飲み込んだ」状態、一部分だけがぽっかりと太くなっている状態を想像してください。それで も良しとすると言うことです。
 

 道路位置指定問題 



次の問題は位置指定道路の問題です。
私道でも、この建築基準法に定める方法によって「道路位置指定」を受けることによって、「道路」として扱われることになります。
たとえその私道が、4メートル無いときでも、立派な道路とされるわけです。もちろん、新たな建築の際には、セットバックが必要なのは言うまでもありません。
この「道路位置指定」、予定道路の関連する地権者(土地所有者)全員の同意が必要となっています。従って、意外に少ないのです。
この実際は、建築課などにある「道路位置指定図」と言ったものに、赤い線が引かれている部分がその指定があるところとして表示されていますので、誰でも確認が出来るようになっています。
もしあなたの家が、この位置指定のない部分に接しているのであれば、それも、4メートル未満のところであれば、「見なし道路」と見てよいでしょう。
完全に道路とつながっていない建物というのはないはずですから、よく調べてみましょう。
 

 私道の地下利用料 



さて、私道の地下利用権の問題は、大変困難な問題です。囲繞地の地下利用権の問題は別の角度からの問題があるので、次に囲繞地通行権とともに、検討するとして、ここでは、囲繞地ではないものについて検討しましょう。
私 道一般の問題として、所有権と、利用権という観点で考えますと、他人の土地の表面を通るだけであれば、道路交通法もあり、また土地に影響を与えませんか ら、問題はありません。しかし、地下を利用するときは、その土地を掘り返すものでもあり、土地に変更を加えるものですから、自ずと違いが出てきます。
他人の土地を通してもらうと言うことから、当該土地の所有者の承諾は必要でしょうし、場合によっては使用契約も必要でしょう。相当な範囲での利用料を支払う義務も出てくると言うべきでしょう。
 

 袋路通行権 



最後に、囲繞地(袋路)通行権・導管袋路の問題を検討しておきましょう。
まず、囲繞地(いにょうち)通行権は、純然たる囲繞地、完全に他人の土地に囲まれてしまった土地に関して発生するものですが、判例上は、「準袋路」なる概 念も認められてはいますが、これも、どう見ても現実的には完全な袋路に近いものにつき認められていると言っていいでしょう。
いずれにしても、囲繞地・袋路は、運命的に、他人の土地を通るほか無いので、当然に通行権が発生するのです。
また、なぜ、こうした囲繞地が発生したかと言えば、もともと一つの土地を、何回かに分割したことから生じたものなのですから、分割したもとの土地との関係で言えば、もともと通行地があったのです。
もともとあったものを、後から、分割によって通路を塞いだと言うのが、本当でしょう。
そうであるならば、塞いだ人が、塞いだ土地が、犠牲になって、通行地を提供するのが道理でしょう。
こうして、囲繞地通行権は、当然の権利として認められるに至っているのです。ただ、その場所と、幅員については問題があります。通行地の場所は、通行地提供場所の中でもっとも被害の少ないところとされていますが、これを認定するのが一苦労でしょう。
しかし、もっとやっかいなのが、その幅員です。その幅員は、各種の事情を考慮して、個別に判断するほか内容です。
大きく分ければ、新規に囲繞地になったことで新規に通行地を作る場合は、近隣が宅地の場合で、建築を基本とすれば4メートルに近いものとなる
でしょうし、昔から囲繞地で、既設の袋路があるときはその幅員が基準となるでしょう。それをどのように変更するか、しないか、でしょう。
これまでの判例では、明確な基準はないようです。

 

 袋路地下利用権



これによく似たものが、「導管袋路」と呼ばれるものです。導管袋路とは、書いて字のごとく、地下に埋設する水道管やガ ス管を引くに際し、ほかを通すことが出来ない、本官につなぐには、現実的には迂回が出来ないなどから、通行に関しては囲繞地ではないが、導管については袋 路になるというものもあり、両者ともに完全なる袋路というものもあります。
袋路というものが、もともと袋路なのではなく、分割等によって袋路になったということから、当然の法的な権利として、通行権が認められたのと全く同様に、
導管袋路についても、「法定袋路導管権」「法定袋路地下利用権」なるものを考えてよいのです。判例はそうした用語はともかくとして、信義則や、権利濫用法理を使って、地下利用権を認めています。
ところが、現実には、もっと困った問題があるのです。水道の布設にしても、ガスの敷設にしても、現実の工事に際しては、「地主の承諾」が必要だという問題です。
これは、各工事が後のトラブルをさけるため、土地所有者の諒解を取るという原則論に立脚したもので、別におかしなものではありません。当然の規定とも言うべきものでしょう。
こうした制限から、結局、当然の権利ではあっても、それを土地所有者の合意無く強行することは現実に出来ない以上、裁判によって「合意に代わる判決」をもらい、それを利用して工事をするほかないようです。

 

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