日常生活の法律問題

違 反 建 築 問 題

--将来に誇れる町づくりを目指して--

違反建築
建築紛争が発生したときの心構え


建築基準法上の紛争解決の基本

建築基準法の問題は、日照権の問題などを含み、生活に直結するものから、交通違反と言った性格の形式的な違反行為まで、幅広いものがあり、また、現実には、違反建築物が既存不的確という形で現存し、問題をより一層複雑にしています。
 

 町の景観と高層建築



ヨーロッパにおいては、建築法規は非常に厳しい内容で、何百年何千年と変更し得ないものとして、旧市街地をの変化を嫌い、かつてのままに町並みをかたくなに固守し、立て替えなどについても市当局の権限が強力で、許可がない限り手を着けることができないと言うものになっていることが多いようです。そのようにして、歴史と町の景観を守り続けるというよき伝統があり、それを市民がしっかりと受け継いでいるという土壌があるわけです。
ところが、我が国では、そのように町の景観を守るという発想はもともとなく、 近代化、現代化と言っては、より大きなもの、より高いものへと国全体が誘導してきた歴史があり、現在でも地方の市役所などの超現代化は驚くばかりです。東京のある区では、区役所とはとうてい思えないような、数十階建ての超高級ホテル以上の庁舎を建て、良識ある近隣住民のひんしゅくをかっています。これは、週刊誌にも、問題にされましたので、みなさんもご存じのとおりです。

 

 マンションの建築問題



さて、建築違反と言っても、いろいろなものがあります。安全上の問題から制限禁止されていることに違反するもの(避難路の確保、工場の建築、火気取り扱い施設の建築規制など)、合理的な要請に違反するもの(用途違反など)、健康のために望ましいという定めに違反するもの(窓の大きさの規定など)など様々です。次に多くあるものについて概観しましょう。
まず、マンション建築に関する紛争があります。これには、多くの問題が含まれています。
当該建築は
  日照権を侵害しないかどうか、
  ゴミ問題は支障がないか、
  騒音対策は万全か、
  眺望権を侵害しないか、
  電波障害はないか、
  駐車場の問題はどうか、
  通学路の安全対策はどうか、
と言った存在自体に関する内容のもの、また、
  完成までの建築行為自体に関する騒音問題、
  車両の通行上の問題、
  振動や、
  地盤の変化の問題、
  地下水の変化の問題、
  粉塵の問題
などいろいろとあります。
 現在では、行政当局がかなり整備された内容の行政指導を行っていることから、 重大な違法問題の発生は減少しているようです。しかし、日照の問題や、電波障害の問題など、住人に直接関係のある事柄については、住民自身の判断が優先されることや、また住民の同意を条件とする場合も多いことから、積極的に関与する姿勢であれば、住環境の破壊からは守ることができるはずです。

 

「 ゴネ特 」、「 住民エゴ 」問題 一時期のような、異常なゴネ特狙いのための紛争は少なくなっているようです。
 しかし、いまだに、既得権の保護の名の下に、住民のわがままと言うほか無いような主張が無くなった訳でもありません。

 住民サイドとしては、建築紛争を経済闘争と見るのではなく、町づくりという観点から、建築の専門家や、法的な専門家の相談し、感情的な解決ではなく、将来にわたって誇りを持てるような解決方法を模索する必要があります。
 こうした点では、行政はその住民要請を行政自身として客観的に判断し、住民の要求が常識外と考えたときは、住民が反対しても、建築許可を出すことも希ではありません。
 住民としては、行政と意志疎通をよくして、可能な要求と、そうでないものとをよく判断して、冷静に解決して行く姿勢が不可欠です。
建築課の対応が業者に偏っていたり、あるいは住民の言いなりになるというように、公正な立場を維持できないようなときは、建築紛争として、各市区町村に建築紛争処理委員会と言ったものがあり、建築の専門家・学識経験者の方を交えた調整機関があるので、利用してはどうでしょうか。大変有意義でしょう。

 

 建築と道路問題



次に、住宅関係の紛争は、二項道路関係のものと、建物自体のものとがあります。
まず、道路問題に関してよく問題となるのは、二項道路に関する違反問題でしょう。
 道路に関しては、二項指定というものがあり、建築基準法第42条2項によって、4メートルの道幅が無い道路であっても、将来建て替えるときに4メートルが確保できることを条件に、認められたものとされるものがあります(これを二項道路と呼ぶ)。
従って、新たな建築物は、建て替える時は、道路の中心線から2メートルは離して建築しなければならないとされています。これを守ることで、数十年後には、自然に4メーター道路となるというねらいです。
この4メーターというものが絶対の基準であるかどうかは一つの問題ではあるでしょう。ここではひとまず、車の往来の必要から4メートルは最低必要と見て、論を進めましょう。


 セットバックの必要性



 ここでは、本来4メートルの道路幅が無いところには、家を建ててはいけないのであすから、むしろ、そもそもが安全上(火事の際の消防車の進入、避難路の確保、荷物の搬出など)必要な基準をクリアーしていないと言う意味で、不適格な道路なのです。
その場所は、そもそも、道路予定地であり、道路幅を広げることが要請されている部分だと見るべきでしょう。

確かに、素朴に見れば、現在の家のある部分が自分のものであるから、セットバックは権利を放棄するものであるから、絶対にいやだ、それを取るのは所有権侵害で許されない、等という考えもあるでしょう。
しかし、そもそも、そこに家を持っているということは、道路とすべき部分に家を建てて所有しているということなのであって、そこは道路として開ける必要が初めからあったと見るほか無いのです。
現在では、建築物をセットバックしないことは許されませんから、セットバックしないで計画しても、建築許可になりません。
従って、原則的にはセットバックすることになります。
ところが、今の住宅事情では、生活するのに必要な居住面積を取ることが困難で、少しでも使える部分を広げたくなるのが人情でしょう。

 

 塀もセットバックするのか?



 そこで、塀をセットバックさせないでおくとか、さらには、人によってはセットバック前の部分に新たに塀をたてるとかすることがありますが、後者の、新たな設置は大問題です。
これは明らかに違反になります。
既存の塀を壊すかどうかは、本来は前の塀を壊して、きれいにセットバックするのが本来の要請ですが、周りの家がセトバックしていないときには、一人だけすると損をする気分になるものでしょう。
しかし、出来ることならばセットッバックすべきでしょう。しかし、セットバックしないからと言って、そのことが直ちに違法となるわけではありません。
ところが、塀をいったん壊したときは、問題は別です。
いったん更地にした以上、セットバックすべき義務が現実の問題になるからです。基礎があるとか、一部分残っているなどと言う口実は認められないはずです。
一部の補修の程度を越えるときは、もはや手を着けてはならないと言うべきでしょう。補修が必要なほど痛んでおれば、そもそも撤去すべきでしょう。
いずれにしても、原則は、撤去すると言うことですから、その基本線で考えましょう。


 建ぺい率・容積率問題



次に建物の問題に関しては、建ぺい率違反、容積率違反の問題があります。これも、建築基準法上明確に定められていますし、やはり守られるべきものでしょう。確かに、近隣への実害が直ちに現実化するものでもありませんし、目に見えて問題になるほどではありません。しかし、火災の際の延焼を防いだり、緑の多い環境を保全するなど、多くの意味と必要性があるというべきでしょう。是非とも守ってほしいものです。
しかし、違反が見つかったからとか、違反らしいとか言って、いじめのような非難の仕方はいかがなものでしょうか。
それとなく注意をするとか、行政から行政指導の形で修正させるとか、円満に解決してほしい問題です。
頼まれてもいないのに、町の保安官のように立ち回るのは、嫌われやすいので注意しましょう。

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