日常生活の法律問題

隣りや近所との争いごと

−−相隣関係に見る隣や近所の「迷惑」事の法的な解決を目指して−−

相隣関係
隣や近所の「迷惑」事(騒音・悪臭・日照などを中心に)


・ 相隣関係の法律問題の基本


 1 フレキシブルな近隣関係を目指して



近隣関係の基本は、相互の譲り合いと、お互いの権利を認め合いにより、フレキシブルな人間関係を作ることでしょう。
昔から、隣近所との問題は多かったようで、争いが絶えなかったのでしょう。我が国の民法にも、「相隣関係」を制御する規定があります。
たとえば、隣から水があふれてきた、隣の水が自分のところで溜まってしまったとか、隣との間の境界線をどうするか、境界線上の設置物はどうするか、共有の塀が壊れてきたがどうしようか、等、多くの問題があったようです。こうした生活に密着した興味深い問題は、民法の関連規定を読んでみてください。きっとおもしろいと思いますし、隣の問題に困っている方は、大いに参考になるでしょう。是非見てみてください。

 



 2 侵害行為を考える


さて、隣同士の問題で、より深刻になるのは、どちらかが侵害しているときでしょう。どちらも、そこで生活しているので、生活がかかっていますから、なかなか折り合えないこともあるようです。
我が国の生活環境は、決してよいものではありません。一人当たりの専有面積は他の諸国と比べ10数分の1とも言われています。ですから、狭いところにひしめき合って、生活し、仕事をしていますので、摩擦も多くなるのです。
ではここで、生活上の摩擦について、より深刻な問題を見てみましょう。 深刻な問題は、近隣の生活権を大きく侵害している場合でしょう。その程度がどの程度かが問題になります。その程度が、社会的に、許される範囲かどうかは、生活するものにとって、許せる範囲かどうかです。
すなわち判例で言うところの「受認限度」を越えるような、侵害行為を行っているか、否かということです。

 



 3 受認限度論とは


 「受認限度」とは、近隣に住むものとして、一般に我慢すべき範囲を越えるほどの侵害があったかどうかを、客観的に判断すると言うことです。
たとえば、一つの架空の事例として、隣が鶏を飼っていて、かなり強い悪臭がすると言う場合を想定してみましょう。
このとき、「悪臭がする」と言うことだけでは、受認限度を越える違法行為があるとは断定でません。  こうした場合には次のような事項をチエックして、その上で、総合的に判断します。
  • 1 悪臭の内容 自然発生するような臭いか、科学的な臭いか
  • 2 悪臭の時間 毎日か、何時間か、連続か
  • 3 悪臭の原因 人為的か、自然現象か、生活上必然的に発生するものか
  • 4 悪臭の改善 改善措置はしているか、努力は認められるか
  • 5 周囲の住民の反応はどうか
  • 6 悪臭の原因は前からか、それとも生活を始めた後か、
  • 7 悪臭の防衛方法、防止方法があるか
  • 8 悪臭の防止のために取るべき措置による損害と、悪臭を我慢することによる損害との均衡
  • 9 地域全体の環境
     こうした項目を一つづつ検討します。こうして、その臭いというものが、客観的に見て悪臭と言うべきか、どうかをまず判断します。次にその程度を検討します。その地域の中で、一般的なものであれば、相当臭いものでも我慢するほかないかもしれませんし、また、そうした臭いのあるところに自分から進んで住むようになったというのでは、危険接近の法理と言ったもので、自己責任があると言われることが多いでしょうし、既存の権利関係が尊重されることが多いでしょう。




     4 受認限度を超えたら


     判例上、「受認限度」を越えた事例というのは、客観的に見て我慢の限界を超えるものであるという内容のものがほとんどで、その点では、判例上はかなり我慢強くないと生活できないような内容になっているともいえるでしょう。
     現在、あなたの生活を侵害するものがあるとして、その内容を、前の9項目に当てはめてみてください。どの項目でも、あなたの主張が通るようであれば、一度隣の人に交渉して、侵害をやめてもらうようにしてみる必要があるでしょう。
     それに対し誠意ある対応がないときは、毅然たる態度でのぞみ(喧嘩をすると言うことではありませんよ)、行政相談に行き、紛争解決のための制度を利用してみてはどうでしょうか。
    それでもだめなときは、弁護士に相談して、証拠を集め、裁判を準備するほかないでしょう。

    「受認限度」を越えていたらあなたの求められる請求  
    侵害の程度に応じた損害賠償請求
    侵害の程度が強度であれば侵害停止
    侵害停止の強制執行

    と言ったものが考えられます。
    相手も生活しているのですから、何らかの合理的な解決方法を考えたいものですね。(J)

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    Last modified 96.4.12 Maintained by Jirou Makino