デジタル著作権

 従来の著作権・著作物という概念が、情報のデジタル化と情報流通機構のネットワーク化(グローバルなインターネットによる包摂)により、急速に、そして大きく変化している。ここでは、デジタル著作権の構造論として、アナログからデジタルへの変化の原因と、変化の特徴を論じた上で、さらに、個別の論点を法的な観点から再検討し、解決を試みたものである。

デジタル著作権を論ずる意味

デジタル著作権を論ずる意味

あえてデジタル著作権と題して、現在の著作物(著作情報)の流通検討するのは、次の観点からである。

まず、デジタル化だけを問題にしているのではない。デジタル化と、ネットワーク化とを総合した時の情報流通の限りない可能性と、人類の資産の拡大と言う崇高な課題が実現できる可能性を論ずるものである。現時点で展開されている新たな状況をまず正面から捉えようと思う。そして、さらに新しい可能性を的確に掴み、評価することが、デジタル著作権を論ずる意味だと考えている。

デジタル化など、と嘲笑する人たちが、むしろ多いのは理解している。これまでの情報流通の枠組みで生きている以上、その枠組みの変化を嫌悪するのはいわば当然とも言える習性である。枠組みの変化・枠組みの破壊は、自らの生活の否定だと信じ込んでいる限り、淘汰される運命にあると私は思う。新しい変化を、素直に受け止め、それに敏感に反応していくことで、新しい状況を切り開き我が物にすることが必要なのである。

枠組みの変化とはなにか。

現在の情報流通に関する法律構造は、通信法制、放送法制に別れ、その他の広大な部分は自由な言論を支える分野として新聞・出版などが位置している。技術が産業を生み出し、産業が法制度を求めたといっていい。活版印刷が生み出されて出版と言うメディアと出版業界が形成された。かつては出版法などが存在した。新聞と言う紙を利用するメディアが作られ、新聞業界ができ、新聞法などと言ったものが生み出され、淘汰された。その後、銅線のなかを電気を通すことができるようになり、モールス信号から始った通信が電話産業へと飛躍的に成長する。その中で現在の通信法制度が生み出された。更に電波が発見され、放送産業が形成され、放送法制度が作られてきたのである。

こうして、まず技術が生み出され、情報流通メディアが作られ、産業を構成し、規制のための法制度が求められてきた。従って、我々は、現在インターネットと言う新しい技術・システムが、新しいメディアとして成長し、あるいは新たなメディアを生み出してきていること、産業を構成しつつある現実を肯定するのであれば、それに応じた法制度を考える必要がある。更に、いま、インターネットがすべてのメディアを飲み込もうとしている時、これまでのメディアの構造が変化することを半ば認めつつある。通信と放送の融合と言う言葉に代表されるメディアの変化を見る時、それに象徴される産業界の変化を正確に捉える必要を感じるのである。

テレビはもはや、これまでのテレビではありえないし、新聞ももはや今までの新聞ではあり得ないだろう。テレビは新聞と合流し、インタラクティブ(双方向性)になってきており、新聞業者はインターネットを通して放送を開始し、新たなメディアとして成長しつつある。こうした変化が今起きているのである。

インターネットと言うネットワークの普及により、産業界が変化している。その変化は産業構造までを大きく変化させるもである。決して今までのままではない。ではどう理解し、どう対応するのか、それが問題なのである。

「デジタル化」自体は確かに特別なものではない。表現者の目から見れば、表現形式が、アナログからデジタルに変化しただけである。いってみれば、羽ペンが、万年筆に変化し、それがワープロ、パソコンに変化しただけと言っていい。問題はそこにはない。それが、ネットワークと結合することによって、流動性を得たこと、情報が翼を持ったこと、そしてそれが産業界の主流になりつつあることが重要なのである。デジタル化しない限り、ネットワークには乗らない。その意味でデジタル化は必須であった。また、ネットワークがなければ、デジタル化は極めて矮小化された「マルティメディア」化に過ぎないものとなる。デジタル化とネットワーク化が結合して、次にその便利さゆえに、新たな創作活動が始る。創作物はこれまでの放送とか、通信、出版と言った既定概念や規制の流通メディアを乗り越えて新しい姿をとろうとする。新しいイメージが無限の可能性を引き出し、無数の創造者を生み出す。こうしてようやく自由な表現時代が到来したのである。

デジタル著作権を論ずる意味は、本当の自由な情報流通を論ずることでもある。

 

デジタル著作権の課題

デジタル著作権を議論する上でもっとも重要な問題は、徹底した情報流通の確保、保証と、その合理的管理の実現である。

まず第一に重要なこと、それは如何に広く、自由に情報流通を確保し、世界中に情報を行き渡らせるか、ということである。法規制はこうした流れを否定し、法を認めない流通形式を否定する。本末転倒の議論を強制する。枠組みが変化している時に、旧来の規制法は無力となる。法を否定し、新しい流通制度を形成し、それを保護する必要がある。これが第一の課題である。

同時に、著作者のインセンティブを保護するための著作情報の管理が必要となる。著作情報の管理が、徹底した流通を促進するように、そして更には著作者のインセンティブ(動機付け)より確実なものとなるようにデザインすることが真の課題である。これまでの著作権ビジネスが、著作者のためのものでなかったことはあまりにも明白である。著作者は創造者でありながら、メディア産業界の奴隷とでもいうべき存在であったのではないか。これからもこの不合理な奴隷制度を維持しようとしてはいないか。

現行著作権の既存の権利を拡大するという戦略は果たして正しいのか。根本から検討する必要があるのではないか。これが最大の課題である。

 

デジタル著作権の可能性

デジタル著作権は、著作物をデジタル化し、流通可能な情報とした。

この流通に載せるだけで、拡散する可能性はある。著作者達は、この拡散を恐れ、著作物、著作情報を無料で無断使用されること、そしてそのことが経済的価値を失わせることを恐れ、デジタル化に拒絶反応を示すことがおおい。

デジタル化・ネットワーク化が、著作情報の無法地帯を作り出し、著作者への還元を失わせしめ、怠惰な鑑賞と、享楽的使い回しを常態かするのか。そしてそれは、著作物を陳腐化させ、著作者のインセンティブを失わしめ、創作への情熱を失わせるものになるのか。もしそうだとすれば、深刻に議論する必要がある。

そうした病理現象を鼻から否定する気はない。問題点はより明らかにする方がいい。

情報流通形態と、その中でのルール作りは、創作者達の創作意欲をより刺激し、より創造的な作品群を生み出すべくデザインする必要がある。デジタル化は確かにあらたなデザインを可能としてくれた。

しかしネットワーク化と、その普及は新しい現象と可能性を生み出しつつある。

今や、読者と著作者が、直接結びつくことができる。あたかも劇場で観衆を前に演ずるようなライブ感覚が確認できるのではないか。読者からの真摯な反応や、批判を受けながら、更に創作性を高めることも可能なのではないか。こうした可能性を追求することが我々の課題であり、著作権を論ずる意味なのではないか。

デジタル著作権の議論は、この可能性を追求する議論でもある。

 

 

第1   構造論

1   デジタル化の持つ意味

(1)これまではアナログ著作権時代

著作権が創造的表現を対象としこれを守り、利用関係を調整するものであることから、創造的表現のあり方と、移転の方法、経路、利用の形態が著作権の議論の基礎になることは言うまでもない。創造的表現を情報記録媒体に収録し、保管し、固定したうえで、その情報記録媒体自体を直接に聴衆に頒布するという形態がこれまでの基本的な情報流通形態であった。情報記録媒体は、一般には、文字や絵に付いて書籍など(紙、布、皮など記載できるもの)、音楽はレコード、動作は映画、イメージは造形や建築に、それぞれ表現され、固定化され、流通におかれた。こられは全て物の流通として考える他なく、物の管理が必須の事柄であった。

放送においては、収録した情報を再生し、あるいわ「LIVE」のまま、これを電波に載せることで広範囲にその表現行為を情報として伝送することができたが、映画やビデオの再生に比べると受信環境によってはみにくかったりもした。わが国でも、放送法制度によって放送施設、放送局は厳格に限定され、私人による放送内容の再放送といった事態はおおよそ考えられないものであった。放送事業者は、みずからが専門家として広く国民に送信することが第一であって、視聴者がみずから受信したあとの再利用に関してはほとんど関心を示さなかったと言って良い。

これまでの時代の各種の法制度は、情報が物に付着していることが大前提となっており、「情報=物=著作物」といった見方が基礎にあり(1)、平成9年改正、同11年改正以前の、従前の著作権制度もこうした物を基礎とし、その上に成立していた。情報が、アナログ(情報が連続した波の形態で、強弱や高低などの連続的な物理的変化を読み取る仕組み)情報の形態をとっていたこれまでの時代には、創作的表現(情報)の「伝達」は量的変化としてのウエーブ等の電送により可能であったが、「固定化」は物の上にその量的変化を記すことで行ってきており、情報自体が物を離れて転々流通することは考えにくいものであった。

この時代の著作権法は、情報が物に化体され、物を手に入れなければ情報を利用することができなかったため、物を管理する方法を確保すれば良かった。劣化することもいとわず創作物(オリジナル)と同一に近いものを作ってこれを利用すること(複製)を阻止し、真似しにくいものを真似すること(翻案)を規制することで事足りた。

(2)デジタル化と言うことの意味

こうした事態を根底から覆したものがデジタル化であった。情報がデジタル化するというのは、創作的表現自体が、信号、それも0と1(オンとオフ)の組み合わせと言う単純なものに置き換えられたということである。文字情報が数値となるだけでなく、強弱、濃淡、凹凸などもすべて数値化され、デジタル信号となる。創作的表現が、数値としての情報に置き換えられるのである。これ自体は、思想が、ペンを通して、インクの染み(可視的信号と言っても良い)としての文字になったことや、写真がインクの粒によって紙に焼く付けられると言ったのと、仕組み的には変わらないとも言えそうである。しかし、インクの染みやインクの粒子にはそれ自体に大小や濃淡があり、また紙に付着することで始めて一定の面積に広がり、インクの物理的な量の変化が目に見えることになるのであって、量の変化を理解することから逃れられない。デジタルになると表現行為の内容が、数に変換され、表現できるようになり、その数が伝達され、蔵置され、移転していくことになるのである。情報が一定の数(0と1の単純な組み合わせ)で示されると言うことは、情報は、物(紙、布、板、皮、レコード盤、プラスティック版など)に化体されることなくデジタル情報そのものとして存在し、移転し、複製・コピーされ、利用されるのである。

(3)オリジナルと複製

別の視点では、デジタルにおけるオリジナルと複製の関係は、これまで異なるものが出てくる。

まず、これまでと基本的に変わらない二つのケースの存在がある。これは、情報の形が問題になるケースではなく、何を情報とするか、という点での「表現」そのものと、それからある特徴を捉えた結果としての「情報」との関係が問題とされるケースである。

たとえば創作行為がそのものとして瞬間的にのみ存在する場合、パフォーマンス、演技、演奏、演説、歌唱、動作などといった場合は、それらの表現行為としてのオリジナルはその場で消えてしまう。したがって、それらを記録するものは、オリジナルを一定の条件で観察し、必要な情報(動作、音声など)を選択してこれらを情報として記録する過程を取る。こうした消えてしまうオリジナルを、一定の情報として記録するという点では、作成された記録はすべて「複製」であり、そこにデジタルと、アナログとの差はほとんどでない。

次に、創作行為が物に対して行われるような場合、絵画、書道、彫刻、塑像作成、陶器創作などと言ったものの場合も、こうした物がオリジナルであって、それを写真に取り、あるいは型を取っておなじ型のものに引き写したりといった「複製」行為を行うことになる。ここでも、通常オリジナルは1点しかなく、「複製」との関係は明瞭である。

次に、「表現」そのものが、「情報」の作成行為として存在する場合は、極めて大きな質的変化を招来することになる。

デジタルの次元で創作行為が行われた場合、すなわちコンピュータグラフィックの創作やワープロで直接原稿を書き込んだ時、あるいは写真を撮る時にデジタルカメラで撮影した時など、創作表現はすべてデジタル情報として存在することになる。実はこのような創作行為の場合、奇妙な現象がおきることになる。まず、著作者が創作活動を行うが、その結果としての創作結果は、デジタルデータとして、記憶メディア(FDD、MO、MD、DVD、メモリスティック、その他のメモリ・デバイス等)に一時的に記録され、電気的に保持される。そして、創作者はそのデータを自ら利用しているパソコンなどを利用して、モニターに再現させ、プリントさせたりして利用する。この時創作者が見ているのはデジタルデータそのものと言うよりも、デジタルデータと全く同一のデジタルデータ(これを複製と言うのか、どうか)が一時的にメモリに転写され、その情報を一定の装置やシステムで変換し、人間の目に見えるように加工したものである。この時、元の情報は書き換えられることなく、元のメディアの中に存在している。では、モニターではなにを見ているのか。元の情報を見てはいないのか、と言う疑問に突き当たることになる。

創作者ですら、自分が書き込んだデータそのものを見ているのか、それともその複製を見ているのか、明らかでない。デジタルデータの場合、その情報と完全同一内容の情報の作成は極めて簡単であるが、出来上がったものと基のものとの区別がまったくできないため、これまでの「オリジナル」と「複製」と言う関係で示すことができない。「オリジナル」には、それを示すものは存在せず、情報としての完全同一性が簡単につくれるため区別すること自体が不可能なのである。デジタルデータの場合は、複製行為と言うよりも、同一体の「増殖」と言うにふさわしい。情報が転々流通する中で、元と言う概念は消え、全てが等価値の情報となる。利用者は勿論のこと、提供者も、創作者も、「写し」やり取りして、写しで仕事をしているのではなく、作られた「データそのもの」を利用している感覚をもつ。

こうして、創作結果が次々と細胞分裂し、増殖し、そして元のものと完全に同一であるものが次々生まれ、利用されるという関係になり、情報がデジタル情報として独立し、物を離れて存在するため、一方では、情報の利用が極めて簡単・手軽に、便利になったのだが、同時に、著作者や著作権管理者にとっては情報の管理が極めて困難・複雑になるという面をもたらした。

2   ネットワーク化の持つ意味

デジタル化だけであれば、情報流通は静的であって、拡散する危険性も極めて少ないと言える。私的な情報の拡散程度で、さしたる問題にもならなかったかもしれない。

ところが、情報のデジタル化とネットワーク化はいわば不可分一体になって到来したのである。デジタル化して情報流通が可能となり、ネットワーク化はその情報を高速に、自由に流通させることで、さらにネットワークを広げ、広がったネットワークを媒介して、さらにデジタル化が促進されると言う相関関係にあった。

(1)ネットワーク化の意味

ネットワーク化とは、各種ネットワーク(企業内LAN、WAN、地域LAN、草の根BBS等と言った管理型ネットワーク)が多数次々と連関し、交錯し、世界的な広がりを持った大きなネットワークになっていったことを言う。これを、インターネットと総称するのであるが、インターネットは単なる連関と言う意味をこえ、質的変化を招来させた。これまで管理型ネットワークが、ネットワーク内を管理することができたのは、それが開かれていない場合であった。すなわち、中央管理機構があり、そこが流通自体を監視、管理することができる時代は、相当な管理ができた。ところが、ネットワークが繋がると言うことは、一定の共通の言語とも言うべき情報流通の約束事をし合う必要があり、一般にこれを「プロトコル」と呼ぶようである。通信の約束事を共通にすることで、相互にストレスなく、情報流通ができるのである。こうした共通のプロトコルとして、IPプロトコルが提案され、世界標準となった。この過程で、各種ネットワークは、ネットワーク内のプロトコルを利用しつつも、世界共通の一プロトコルを採用することで、相互に関連し、結合し、より大きなネットワークとして広がって行くことになる。ネットワークが開かれたと同時に、ネットワーク内の参加者はネットワークに拘束されることなく、より広い世界で情報交流を始めるため、ネットワークの管理の能力も、可能性も更に低下し、それぞれのネットワークは接続環境提供のためのインフラ提供者としての地位に変質していった。

こうした相互接続を果たしたネットワークは、やがて大きな一つの巨大なネットワークとなり、そのネットワーク、すなわちインターネットは巨大で自由な情報流通機構として確立されて来たのである。こうした自由な情報流通は、双方向性と言われ、誰もが発信者になり、同時に受信者となると言う、これまでにない情報流通機構を作り上げたのである。

(2)デジタル化とネットワーク化との相関

そうは言っても、仮に電話回線が世界中と結ばれた結果、誰でも自由に世界と話ができるとしても、それだけでは、情報流通の自由な市場は形成されない。情報が情報として独立して、誰もが自由に利用でききるものにならない限り、回線が繋がっても、それは本来の力を発揮できないのである。情報のデジタル化と言う、情報に対する独立性の付加があって始めて、ネットワークが本物になるのである。

何時でも誰もが、自由に情報を送受信できると言うこと、そしてその場合の情報と言うのはすべてデジタル情報であるため、情報のデジタル化とネットワーク化が相関することによって、初めて情報流通は自由に、オープンにできるのである。

以上をまとめると、デジタル化は情報の形態変化をもたらしたのであり、ネットワーク化はそうして形態変化した情報を高速に、かつ同時に万人に対し提供できる情報流通経路を提供したのである。流通しやすい情報(デジタル情報)と、流通させる場の出現は情報流通の大きな変化を生み出したのであり、情報流通の変化は、著作という表現情報の流通を大きく変化させたのである。

 

3 アナログ著作権法の改正

 わが国でも、1995年頃からデジタル著作権問題が本格的に検討されるようになり、そうした方向を踏まえて97年、99年に著作権法が大きく改正され、デジタル化に対する大幅な変更を進めることになった。

ここで、改正の概要を見てみることにする。あわせ、文化庁の審議も検討することとする。

第一期 アナログ著作権とコンピュータ化の時代

昭和58年5月9日著作権審議会第一小委員会報告書によれば、「レコードをはじめとする著作物の複製物のレンタル業の普及あるいはテープの高速ダビング業の出現により新たな著作権問題が生ずるにいたつている。」との認識のもとで、(1)著作物の複製物の貸与の取扱い及び映画の頒布権の見直し、(2)貸レコードに関する実演家、レコード製作者の権利の取扱い、(3)第30条の規定(私的使用のための複製)の明確化等の問題が検討された。
昭和60年9月著作権審議会第7委員会(データベースおよびニューメディア関係)報告書によれば、コンピュータを駆使したデータベース化の流れに対する詳細な検討が為され、データベースの著作権性に関する検討が行われた。
第一期の成果 著作権法の60年、62年改正により、「有線送信権」の創設、「プログラム著作権」等を認める。

第二期 デジタル化の流れ

平成4年4月30日著作権審議会第1小委員会は、著作権審議会総会からの付託を受けて、デジタル化の波を踏まえて、1)電子出版の展望と著作者等の権利、2)メディアの複合化(マルチメディア化)と著作者等の権利等を検討した。
平成4年著作権法改正において、デジタル録音媒体による私的な録音録画に対する補償金制度が創設される。
平成5年11月著作権審議会第9委員会(コンピュータ創作物関係)報告書は、コンピュータ化(ハードウエア・ソフトウエアの急速な発展)に伴う、創作活動の変化と創作物の変化を指摘し、その法的問題を詳細に検討した。この中で、「コンピュータ創作物」と言う用語を提供し、コンピュータ化の中での情報の変化を指摘した。すなわち、「「コンピュータ創作物」とは、このようなコンピュータ・システムを使用した各種の創作活動の成果として、コンピュータ・システムから出力された表現である。」として、これまでの創作物とは異なる次元で創作活動が為されていく様子を詳細に検討したのである。
第三期 デジタル化とインターネット化の認識(大幅な改正の実現)

1、平成7年2月著作権審議会マルチメディア小委員会ワーキンググループ検討経過報告によれば、デジタル化とネットワーク化の相互関連が視野に入り、それを基礎にして、著作権法制度の全般に付いて詳細な議論が行われたことが分かる。

その詳細は各論で触れるとするが、揮発性メモリでの一時的蓄積に付いて、欧米諸国やECのディテクティブにある「複製」と解する見解に対しては、強い疑念が示され、わが国は国際的動向を見ながらも、引き続き「複製」には含まないと言う考えを持つ考えが多数を占めたようである。また、放送権・有線送信権を前提にしながら、双方向性の電気通信の発達を踏まえて、有線無線にとらわれない送信の権利関係を明確にすること(平成9年改正で、「公衆送信権」として明確化)が指摘され、さらに、ディスプレイ権利といった議論が為された(平成11年改正で一般的な「上映権」として認められる)。更に著作物等の複製規制の解除装置制限問題(平成11年改正で明確化)など、改正法で克服された議論も多数含まれ、改正の基礎となる議論が多かった。

平成8年12月WIPO外交会議で「WIPO著作権条約」「WIPO実演・レコード条約」が可決され、わが国でも国内法制度の整備の必要性に迫られた。これを受けて、著作権審議会マルティメディア小委員会は、①実演・レコード製作者に関して「リクエストを受けて行う送信」概念を創設すること、②「公衆に提示される状態におくこと」を送信概念に含めること、③同一構内でのプログラム著作物の利用に関しては権利を及ぼすこと、④無線、放送、リクエストを受けて行う送信と言った概念を整理すること、の4点を早急に解決すべき問題として指摘した(平成9年2月24日審議経過報告書)。
平成9年著作権法改正
公衆送信権(第2条第一項第7号の2)の明確化
「自動公衆送信」( 第2条第一項第9号の4)、「放送」「有線放送」の3概念を整理して、それらの上位概念として包括する「公衆送信」概念を創設した。

「放送」の概念を同一内容の同時送信に限定(第2条第一項第8号)、これまでの有線送信を「公衆送信」に変更、92条のみ「有線放送」に変更(実演家・レコード製作者の送信可能化権創設との関係)。 同様に、必要な範囲で「放送」の用語を上位概念の「公衆送信」に変更した。

自動公衆送信概念の明確化(第2条第一項第9号の4)。これまでは、インタラクティブ送信などと呼ばれてき自動双方向の通信概念を明確にした。
送信可能化権の明確化(第2条第一項第9号の5)と「公衆送信権」への吸収(第23条第一項)
著作者に、新たにアクセスできる状態にする権利=アップロード権=送信可能化権を認めた。これは本来は「可能化」は、「公衆送信」の前段階であり、通常「公衆送信」に至る上、本来は必要ない規定とも言えるため、「公衆送信権」の中に含めることにしたという。さらに、公衆送信をするには、通常著作物をサーバなどに蔵置=「複製」するものであり、「複製権」で処理することで足りるはずだが、正当に入手したCDをそのままネットワークに繋がったCDプレーヤーに入れネットワーク経由で誰でも利用できるようにしたと言ったような場合のように、複製権侵害を伴わない形態も考えられる等から、必要性が指摘されている(「著作権法不正競争防止法改正解説」有斐閣 著作権法例研究会、通産省知的財産政策室編69頁)

実演家・レコード製作者に、アクセスできる状態にする権利=アップロード権=送信可能化権を認めた(実演家につき第92条の2、レコード製作者につき第96条の2)。
同一構内でのコンピュータ・プログラムの利用制限(第2条第一項第7号の2)
同一構内で、LANを経由して、1つのプログラムを多数の端末で利用することができるが、これを認めるのではプログラムの利用に応じた経済的対価の支払が確保できないとして、これを制限して、同一構内でも「公衆送信」とすることで、著作権者の許諾を必要とするものとした。元々メモリへの一時的蓄積を複製と捉える諸外国では要らないものの、わが国ではこれを複製と考えないため、LANを経由する場合に、他の端末で利用する時には複製権侵害とならないため、敢えてこうした制限をおく必要があるとされる。

4 平成10年12月著作権審議会第1小委員会審議のまとめにおいては、平成8年12月のにWIPOにおいて、デジタル化・ネットワーク化の進展等に対応した著作権等に関して「WIPO著作権条約」及び「WIPO実演・レコード条約」の二つの新条約が採択されたことを受けて、二つの条約の批准に向け著作権法の改正を検討した。とくに著作物等一般に対する頒布権、「公衆への伝達権」が検討され、長年積み残してきた音楽の著作物の演奏権に係る経過措置(附則第14条)の取扱いも改正する方向で議論された。

 

5 平成11年改正

技術的保護手段の回避にかかる規制
著作権の保護のためにコピープロテクトをかけることがあるが、これを無断で回避する装置やプログラムの製造販売、貸与を行うことを規制すると共に、こうした回避手段を利用した複製であることを知って行う私的複製を例外から外した(第30条第1項第2号、第120条の2第1号および2号)。

権利管理情報の改変等の制限
著作権に関する各種情報を著作物、著作データに埋め込んで、著作物管理を行うことが提唱されており、これらの情報を利用することで、違法な著作物利用を容易に発見することができるなど著作権管理に資するものであるとして、こうした管理情報を改変することを規制し、虚偽記入・除去・改変を規制し、あわせて、情を知って頒布し、輸入、所持、公衆送信し、送信を可能とする行為をも規制した(第113条第3,4項、第119条第1号、第120条の2第3号ならびに123条)。

譲渡権の創設
これまで映画の頒布権と言う特殊な譲渡形態に関する権利保護規定があった(頒布の内容に関する著作者の権利などを認め、かつ、これらの権利は消尽しないとされている)が、これは映画産業自体を保護するものとして独自の意義があるとして変更せず、これと区別して、映画の著作物を除く著作物一般に対して、公衆に提供する権利としての「譲渡権」を新設し、但し適法に公衆に譲渡された以降は「譲渡権」は消尽するとした(第26条の2)。

また、複製権を制限し、複製を可能とされた場合の複製物売買は、当初から予定されていたものであって、「譲渡権」で制限したのでは、複製を認めた理由に反することとなるため、この場合も「譲渡権」を制限することとした(47条の3)。

上映権の拡大(第2条第1項第17号、第22条の2)
これまで映画の著作物を上映する権利(26条)、著作物の上演・演奏権(22条)、口述権(24条)、展示権(25条)のほか、一般に認められる公衆送信権・伝達権(23条)があったが、静止した著作物等の展示上映は認められてこなかった。従って、美術品などをテレビ放送で流すといった場合には、原画の展示でもなく、上映権がないと処理できないといわれていたし、また写真や絵画のCDの再生を、大型ディスプレイで行って上映するような場合にも、権利関係が処理できないとされた。そこで、新たに一般の著作物の公衆への「上映権」を認めることにしたのである(22条の2)

 

静止系著作物

絵画・写真・言語の著作物

公衆送信権 伝達権

×

音楽・言語・パフォーマンス

公衆送信権 伝達権

×

演奏権

口述権

演劇・舞踊(録画の再生)

公衆送信権 伝達権

上演権

映画

公衆送信権 伝達権

上映権

⑤演奏権にかかる経過措置の廃止

これまで営利でないバックグラウンドミュージックの利用(駅、レストラン、事務所、工場など)については、これを自由にしていいという経過規定があった(プラーゲ事件)が、その規定を廃止して、国際的に歩調を合わせた。

 デジタル著作権問題は、こうした背景を持つものであるが、ここでいうデジタル著作権とは、デジタル情報に関する利用(入手、保管、加工、切除など)、作成公開(アナログデータのデジタル化、アップロード、公衆送信など)、データベース化などに関するルール、及びこれらの情報利用に関する著作者・管理者の管理方法や著作権料回収方法に関するルールを議論するものである。

 従って、ここではデジタル著作権というのは、「デジタル情報に関する著作権」ということができ、従来の著作権の変容を議論することにポイントがある。

 デジタル化とネットワーク化の中で、結局どのような変化が起きたのかという点に付いて検討すると、次のような点が明確になる。

1)複製(増殖、分裂など)が極めて簡易

2)加工が極めて簡易

3)頒布・送信などの移転行為が極めて簡易

4)遠隔地への送信が極めて簡易

5)類似創作(翻案、アイデアや画風の利用)がきわめて簡単

6)情報の複製などにコストがかからない

こうした点において、これまでのアナログ著作権とは異なる問題が明らかになってきたのであり、今後こうした多くのポイントを具体的に解決する作業が必要となってくるのである。

第2章   法律上の問題点

第1 著作者の権利

1 複製権概念

著作者の権利の起源は、複製権である。作品の複製を作り、それを流通させることの許諾権が著作権の源泉であり、中心的権利である。真似することがすべての始まりであり、教育もまた真似から始る。したがって、真似をする好意そのものを否定する必要はない。

問題は、真似で儲けることの不当性である。真似することで、その真似した内容をあたかも自分の表現として売りものにすることが、不当なのである。そうして得た利益を取得させることは正しくないだろう。

そこで、ここでは真似すること自体ではなく、真似したこと、他人の創作性を盗んだことで、不当な利益を得たり、正当な利益を侵害したりする行為を否定するものでなければならない。

複製とは、「有形的再生」(物の中に再生可能な形で固定すること)および脚本等の上演、放送や、図面から建築することなどを言う(2条1項15号)とされており、いわゆるコピーの他、データの実現といったものも複製と捉えるものだとする。従って、「物まね」は、真似はしているのですが、物の中への固定がなく複製ではないのです。

デジタル化との関係

デジタルデータ等を他の磁気記憶媒体へ複写することは、複製になる。

しかし、私的範囲での複製は許されているので、デジタル化自体は違法ではない。

プロバイダ 複製ではない ストリーミングなど

サーバ

公衆送信

アップロード §23 画像・音楽など再生

送信可能化 複製になる §21

§23 複製行為

利用者個人

送信 蔵置行為

複製行為

複製 §23・・・§30

複製行為 送信しなければ私的複製で合法

情報発信者

 

(1) RAMへの読み込みは複製か

わが国では、パソコンでデジタルデータを再生し、あるいは受信した情報をディスプレイに表示する時などに、一時的に揮発性メモリにその情報を蔵置することになるが、これは「瞬間的かつ過渡的なものであって「複製」には該当しないと言うのが一般的である」(著作権審議会第2、第6委員会報告書、およびマルチメディア小委員会)と言われている。こうした事態は情報の閲覧に伴い一時的に生ずる事実上の使用に過ぎないため、取りたてて権利性を認めることは不合理である上、著作物利用を制限することになると共に、本来求められる著作物利用促進すら害されることになるため、到底認めら れないものであると考える。

確かにECディテクティブ(91年5月)では、上記一時蓄積を複製と解し、著作者の許諾が及ぶものとし、ただし適法な複製物の所有者の場合は原則として許諾を要しないとする(同第5条)規定が存在し、そうした主張も強かったのも事実である。

しかしその後、96年11月のWIPO外交会議では、一転して、これまでと反対の結論に至った。「条約案には、著作権の内容である「複製」には、過渡的なものも含まれることを明記した条項(第一条約案7条)が含まれており、コンピュータのメモリーへの一時的蓄積も「複製」になるという説明が付けられていた。提案は、コンピュータを使ってインターネットを拾い読み(browse)すること自体も著作者の排他的権利の対象にするものでないかと懸念された。この点については長時間の議論が行われたが、提案を推進する側は最終日に急遽提案の全面削除に意見を変え、結局この提案は条約に全く反映されないこととなり、著作物のコンピュータ・メモリへの一時的蓄積を「複製」とすることを明確な世界的原則にしようとする試みは成功しなかった。 」(日本評論社「インターネット法学案内」「第7章ネットワーク環境と著作権」藤本英介著部分より引用) こうして、わが国の常識の線に沿った方向が一応選択されたと言って良い。

(2)ネットワーク・キャッシュ(CACHE)は、複製か 

ネットワークのパケット通信をより合理化する技術的な工夫の一つに、キャッシュがある。これはインターネット回線の基幹にあたる部分などにおいて、利用されている情報を一時的に蓄積しておくことで、同じ情報をリクエストする他の多数の利用者に対して、情報の発信元まで行くことなく、その蓄積された情報を送りかえすことで、トラフィックを回避することができるシステムである。

しかし、EUの著作権保護に関する司令の提案によれば、著作権保護の観点から著作物の違法な複製全般を禁止しているが、キャッシュに関しては、これを例外としていない為すべて禁止されることになる。そこで、ISOC(インターネットソサャティー)は、これに対して「ウェッブ上のキャッシュ禁止に対して」と題する見解を出して、欧州議会に対して再考慮を求めている。彼らの主張は、キャッシュがインターネットにおける情報流通の促進、情報経路の確保において必須であること、HTML言語自体が、コンテント掲載者自身に「ウエッブ・キャッシュの制限」の方法を提供しており、著作権問題を解消している。したがって、HTMLで制限されていないものについては、キャッシュはまったく自由でなければならない、としている。

論点1 著作者の許諾を得ないで、その複製をキャッシュサーバ上に置いてもいいのか。

ヨーロッパの考え方 キャッシュが元の著作物のデジタル・データの写しである以上は、複製というほかない。

わが国の考え方 キャッシュが一時的、揮発的なものであって、「複製」に当たらない。

本質的には、キャッシュが多数のトラフィックを解消する為に、同一データを、経路の途中で自動的に機械的に生成されるのであって、一時的かどうかが、どれほどの意味をもつかの議論もしなければならない。

論点2 複製などに関し、許諾が必要か。許諾がない時はキャッシュしてはいけないのか。

合意推定説 複製権であって、事前承諾が必要だとして、かつ、キャッシュが原則として複製権侵害の可能性があるとしても、複製利用についてのあらかじめの合意がある、と解することが合理的であることは言うまでもない。

ISOCも指摘するように、HTTPによってキャッシュ制限の方法がある為、これを利用しないものはあらかじめ、キャッシュという方式での複製を承諾していると見るほうが自然である。

この問題は、わが国の著作権法改正において、管理情報の保護という規定ができたため、実質的には解消したものといえる。

 

2 LAN環境での利用

複製か・公衆送信か

(1)企業の中で、新聞のニュースを切り取り、クリップしてホームページに張付け、企業内LN(イントラネット)の中で公開することがある。同様にして、一定のプログラムを、企業の枢要なマシンにインストゥールして、そのマシンに蔵置しておき、LANに繋がるどの端末マシンからでも自由に利用することができるとする利用方法がある。

何が問題か

LANの中だけでの利用だから、大変便利であって、合理的である 利用者の考え

著作物を利用者分購入せずに使いまわしをするのは、違法複製と同じ 著作権者の考え

(2)LAN内での利用は、複製か、それとも公衆送信か

まず、複製かどうか、を検討する。

複製というには、情報を固定化する必要がある

例えば、紙にコピーをする、ハードディスク上に固定化するなど

極めて技巧的なことになるが、アナログ情報をアナログ情報へ、デジタル情報をデジタル情報へ複製することが一般であるが、アナログ情報をデジタル(デジタル化)へ、デジタル情報をアナログ(ホームページの紙への印刷等)への複製もある。アップロードするのであれば、送信可能化権の問題となるが、、複製の範囲の議論では、デジタル化という方法による複製も考えられる。

 

プログラムを走らせる、あるいはデータを蔵置するだけであれば複製ではない

(複製に関するメモリーへの一時的な記憶を複製としない日本的理解で)

特に、プログラムそのもの、CD(音楽、映画、写真、文学、新聞、判例など)そのもの、データ(ニュース配信されたもの、データ配信されたものなど)そのものを蔵置しておくというのは全く複製になっていない。したがって、オンラインに置かれたCDデバイス、CDオートチェンジャー等を利用したLAN内での利用形態については、現時点では複製行為が存在しないので、複製権侵害ということにはならない。

次に、従って、こうしたものをLANに接続して公開することが、公衆送信権、上映権その他の権利を侵害していないか、が問題となる。

(3) 公衆送信権侵害か

従来から、同一構内での送信行為は適法とされてきた。コンサート会場のロビーや控え室に流すといった場合に承諾を取る必要があるとすることの不合理が指摘され、同一構内での利用に対しては著作者の権利を及ぼさないこととしてきたのである。

しかし、LANの中での、前述のような利用に関しては、多少問題もあると言われ始め、議論の対象となってきた。

平成9年の法改正で、暫定的に解決が図られ、

(7)の2 公衆送信  

公衆によって直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(有線電気通信設備で、その一の部分の設置場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。

とすることで、プログラムの利用の場合に限って、公衆送信権違反とすることにしたのである。

すなわち、同一構内の中での送信行為は「公衆送信としない」のだが、プログラムに限っては例外として「公衆送信とする」との判断をしたのである。すると、プログラム以外のものに関しては、現時点では、「公衆送信」にはあたらず、従って、複製権侵害、公衆送信権侵害も送信可能化権侵害もなく、従来通り適法と考えていいことになる。

こうした区分、対応の差は実に場当たりであり、到底理論的とは言えない。いわば、むき出しの利権構造の法律への反映でしかない。ここにも、現在の法律のほころびを見ることができる。

 

 

 (4)  その他著作物の利用の場合

例えば

     新聞の記事をデジタル化(複製)した上で、LANで利用

違法・・・・デジタル化した時点で、違法複製行為となる可能性がある。

複製は、複製権の及ぶところであって、私的複製(32条)、教育利用(35条)といった例外がない限り、原則的に許されないとされている。従って、LANでの公開を目的とした複製行為は、私的利用等の目的ではなく、違法とされることが多いであろう。

他方、こうした複製物(データ)をアクセス可能な状態にした(アップロード)ないしLAN接続した行為については格段に、独自の判断はなされない。こうした行為は本来は公衆送信権問題となるのであるが、デジタルデータのLAN内での利用は、同一構内であるという前提で、そもそも公衆送信にならない(前記条文)のであるから、デジタル化を超えて、送信行為が問題とされることはない。

        ニュースクリップ(デジタルデータ)を保存、他人のアクセスを禁止しない場合

ニュース配信されたものや、メールマガジンなどが、LAN接続されたPC端末に保存され、それが特段移動され、複製されたりすることなく、単純に読み出すだけという環境であることを前提に、配信データが自動的に当該パソコン内部に取り入れられて、LANから参照、利用可能になるといった場合には適法と考えたい。もちろん、データ配信の契約行為でどうなっているかによるが、違法複製行為を介在させない限り利用可能であろう。

3 公衆送信権(送信可能化権)§23

公衆送信権とは
公 衆 送 信 権

放 送 権 (無線送信)

無線送信

著作物 放送 公衆送信 自動公衆送信

有線送信

有線放送権 有線送信権

キャプテンシステム等

送信可能化

放送と言うのは、同一内容を同時に送信すること、と考え、それを電波で行う場合を「無線放送」と規定して、有線を利用する場合を「有線放送」(ケーブル放送「CATV」や、「有線放送」など)と規定する(§2、1項8号)。そして、異なる時期に、公衆からの求めに応じて自動的に送信する行為を「自動公衆送信」ということにした(§2、1項7号の2)。自動公衆送信の前提となるホームページサーバへの送信を「送信可能化」として、実際に自動送信する前の状態を捉えることにした(§2、1項9号の4)。

オンデマンドによる送信も公衆送信となるため、オンデマンドによる著作物の配信やファックスニュース送信等も公衆送信概念に入る。また、ホームページ利用だけでなく、自動ファックス回答サービスも、自動公衆送信に入ることになる。

インターネット放送は、現時点では純然たる放送概念(同時に同一内容を送信する)に入るか、疑問もある。むしろオンデマンド方式である点で「自動公衆送信」の概念にいれるべきだとする有力見解がある(加戸「著作権法逐条講義」三訂新版181頁)。

更に、ここには伝達権なるものの規定がある。公衆送信されたものを更に、直ちに、受信と同時に公衆に提供して、伝達すると言う権利である。しかし、同時に、放送に関しては§38条3項で、無料に伝達するのであれば自由であり、家庭用受信機で伝達するのは全く自由とされており、実質的には意味のない規定といっていい。

(2)送信可能化権とは

プロバイダの管理するWWWサーバの、指定の位ディレクトリなどに記憶・蔵置して、公衆に送信すべく設定することを言う他、既に公衆に提供する内容を記載した、記載された記憶媒体を、オンラインにすること(インターネット回線に接続すること)をも含む(§2、1項9号の4)。

(3)送信可能化だけが問題となる時

送信するためにデータをプロバイダーなどに蔵置しているホームページ上にアップすることが、通常複製になり、同時に送信可能化としており、送受信が行われることで、公衆送信権侵害となるのです。

こうして、多くの場合は公衆送信権侵害の場合は、複製権を行使することになります。しかし、極めて例外的に、適法に複製されたもの(CDなど)を、オンラインにおくことができる場合には複製はなく、単なる公衆送信問題となることが明らかとなります。また、実際に送受信されれば、公衆送信権侵害となるのですが、いまだ送受信はされていないものの、アップした時点で差し止めるといった場合には、送信可能化権が問題となり、これがあることで始めて対応できるケースもあるといわれています(審議経過報告書)。

(4)ファックス送信・自動送信など 公衆送信 61頁

デジタルデータの配信に止まることなく、ファックスによるアナログデータの公衆対する配信作業も、公衆送信となるものです。これもまた、複製の概念で、遠隔地に対する複製なのですが、公衆送信とされています。自動ファックスサービスとか、ファックスニュースといった配信行為がこれにあたります。送信可能化も、公衆送信権も、全く同様に考えることになります。

(5)音楽のアップロード(MP3問題)

許諾なくアップロードするのは違法です。MP3ファイルへの変換自体はまったく問題になりません。私的利用の範囲ではどのように処理しても差し支えありません。ところが、こうして作成した音楽ファイルを、ホームページで公開したり、FTPなどで利用できるようにする行為は違法になります。

こうした行為は、許諾なく私的利用の範囲を超えた複製行為を行うものであり、更に公衆送信権を侵害するものです。したがって、違法なのです。

(6)Napster(ナプスター)、Gnutella(グニュテラ・ヌーテラ)問題

最近次々と新しいシステムが開発されています。

まず、Napster(ナプスター)ですが、各利用者が特定のプログラムを働かせてMP3ファイルのやり取りをするものですが、ある特定の仲介役になるサーバが存在します。そこに利用者が持っているファイル名をアップするなど掲示板のような機能を働かせます。従って、利用者はその掲示板のようなところにアクセスすることで、必要なファイルがどこにあるか発見でき、ダウンロードできるというものです。

既にアメリカでは違法だとして差止め請求がなされ、これに対して米国地裁は差止めを命じた(2000年7月26日)のですが、その直後、連邦高裁は、この決定を延期するという判断を行い(同7月28日)結局いまだに結論が出ていません。

次に出て、問題になっているのが、Gnutella(グニュテラ・ヌーテラ)です。これはNapster(ナプスター)とことなり、仲介役のサーバが存在しません。ピア・ツウ・ピアと呼ばれる方式で、それぞれのPCが、1対1で打診し合うものです。Gnutella(グニュテラ・ヌーテラ)というソフトを利用しているPC同士で情報のやり取りをして、順次検索していくというものです。必要なファイルを探す方法として、どこかのPCにアクセスして、そのファイルの存否を検索し、検索結果を反映しますが、探しているものがない時は、更に他のPCに、全く同様にリクエストするというもので、ネットワークの関連性を利用したファイルの検索システムというわけです。

これは、MP3を探すというよりも、様々なファイル、情報を探すためのごく一般的汎用的ソフトウエアーであり、一定の仲介役サーバがあるわけでもない点が、Napster(ナプスター)との最大の違いです。

さて、Napster(ナプスター)、そしてGnutella(グニュテラ・ヌーテラ)は著作権法上はどのように判断すべきなのでしょうか。まず、MP3音楽ファイルを無断で作成し・公開したことに関しては複製権侵害になると指摘しました。したがって、同じ脈絡で、Napster(ナプスター)に対してファイルをアップロードすることは違法複製といえるのですが、自体はそうも単純ではありません。Napster(ナプスター)サイトは、音楽ファイルを登録させるのではなく、どこにそうしたファイルがあるかを交通整理するだけの管理掲示板であって、そこには「リンク」が書かれているだけです。ファイルを置いていませんので、違法な複製ではないのです。

リンクをどう解釈するかに関わる重大な問題となるわけです。今後アメリカの高裁で議論されるのがこの点です。この場合のリンク責任論はNapster(ナプスター)サイト、そのサーバ管理者の責任問題であって、個々のPC利用者の問題ではありません。身近で重要な問題は、むしろ、実際にMP3ファイルを自分のPCで不特定多数に公開している個々の利用者の責任問題でしょう。オンラインに接続して、自分の持っているファイルを公開するのですから、少なくとも承諾なく他人のファイルを公衆送信していることになるのでしょう。公衆送信権侵害となる可能性があります。MP3ファイルが私的利用の範囲を超えて複製されておれば、違法複製問題にもなります。

次に、Gnutella(グニュテラ・ヌーテラ)問題は更に困難です。誰も仲介に立たず、それぞれのPCが、相互にやり取りをするのであって、形式的には、複製行為を行っていますが、私的複製の範囲を超えていると常に言いうるかという点で疑問があります。厳格に理解すると、友人に自分で作成したMP3音楽ファイルを送信する行為が違法か、私的範囲かという問題、その友人が、更にその後の友人に広げる行為をどう捉えるかという問題、更に不特定の第三者にまでそうした「手渡し」を行うことに対する規制を及ぼせるのか、という問題となります。これは、通信の秘密と大変深い関係をも持つことになります。

基本的にすべての通信は、通信の秘密によって守られており、これを干渉することはできず、また、一般的なファイルのやり取りまで監視、検閲することは違法とされる。したがって、犯罪用通信と特定できるわけでないため、違法な手段を利用しない限り通信傍受(盗聴)もできないでしょう。大きな暗礁に乗り上げた形になります。

(7)著作物のデジタル化、ホームページへの掲載

出版権(79条以下)といった著作物の複製権があります。著作者は、出版権を設定することで、複製権の重要な部分(出版行為)が、設定を受けたものに移転し、文書図画による出版を排他的になしうる権利を付与する制度になっています。従って、当該設定を行った著作者は、当該著作物の出版に関しては、原則として3年間は全集その他に編纂できないとされます(80条)。

では、出版されたものと同一内容のデータを、デジタルデータの形で公開することはどうか。書籍とは別に、内容をデジタルデータの形で形成し、ホームページなどで公開する行為である。この著作者による公開、アップロード行為は出版概念には入らないため、出版権者の容喙できる内容とはならなりません。この点、争いもあるようであるが、デジタルデータでの利用には、出版権は及ばないというのが多数の見解であって、文化庁も同様に解しているようです。したがって、基本的に自由にできると解釈されます。

出版物のそのもののデジタル化は複製にあたるため、著作者の承諾なくして行ってはならないとされます。したがって、出版者、その他の複製権者といえども、デジタル化に関する許諾なき限り、無断でデジタル化・公開を行ってはいけません。書籍に添付するという形であっても、CDが直接オンラインにて利用されることも可能である以上、許諾は厳格にされなければならないでしょう。

著作者に対して無断でデジタル化も含めて複製ができるのは図書館において絶版に準ずるような書籍の保管のために認められているケースぐらいです(31条3号)。

更にこれらと関連して、デジタルデータ類の複製がどのような範囲で求められるか、という難しい問題もあります。CDなどで納品されている書籍などに関して、他の書籍同様図書館での複製、私的複製が可能なのかどうか、検討を要します。この点は、複製権の制限のところで議論することにしましょう。

 

4 リンク問題

リンク・ルール総論
① リンクの位置づけ

リンクの機能と意味を考えるにあたっては、インターネットの中でのリンクの意味を考えておく必要が有る。インターネットを支えているものの一つが、このリンクである事を理解する事が、リンク問題理解の第一歩である。

インターネットの実際の形

  インターネットに接続された企業LAN、大学LAN、地域LAN、そして、事業者(会員制 ISP、インターネット接続済みパソコン通信事業者)、OCN等の利用により独自ドメインを所有するなどして接続している個人、といったものから構成されている。

  こうして接続されたネットワーク内の各種の情報は、一定の、それぞれ独自のアドレスがつけられているため、情報自体を参照し、利用することが極めて容易に出来る。この、参照機能を自動化したものが、いわゆるリンクである。これは、発行された書籍が、すべて国会図書館に所蔵され、いつでも、誰でもその書籍を参照できるというのと基本的に同じである。この、参照機能をネットワーク上で可能にしたのが、リンクといわれるシステムである。

  リンクがその機能を発揮するためには、まず、情報の存在、情報の場所の確保と整理、すなわちアドレスの付与と、名前の付与が必要となり、この付与は、それぞれのネットワークのシステム管理者が実施し、その後は、DNSサーバ等がこれを管理する。

  こうした情報の保管、管理、提供を行うのが、インターネットに接続された、各ネットワークとなる。それは、既に存在するものとしては、日本各地の私設、公設の図書館、資料館、美術館等であり、それをネットワーク上で利用することを想定すればよい。

  情報提供そのものの問題点や、民事刑事の責任論は、そうした情報提供行為の性格などを考慮して、書籍(情報)の発行者、編集者、販売所(販売書店)、購入して掲示貸出ししている図書館、といったようにそれぞれの情報とのかかわりを基礎にして、責任論を論ずる必要がある。

 これに対して、リンク論の基本は、リンクすることからくる、参照される情報と参照するものとの関係で、上記の法的責任がどのように変化するか、あるいは変化しないか、論ずることになる。     

 

②リンクとは何か

ホームページの公表者、すなわち情報提供者がみずからのホームページにおいて、他の情報を参照するシステムである事から、権利関係としては、参照するもの(ホームページ管理者)と、参照されるもの(リンクとして、その有する情報のアドレスを記載されたもの)の関係を言う事になる。

リンクの対象となる情報について

情報の内容に関する責任は、第一義的には情報発信者が負担する。この原則は一般に受け入れられている。第一次的、かつ最終的責任者である。ホームページの主催者であることもあれば、掲示板への投稿者である時もある。常に、情報を提供してものそのものの責任として議論される。

リンクする側の問題

何らかの問題のある情報にリンクすると言うことの意味は、紹介者の立場ないし保証者の立場、あるいは報道としての立場など様々な関係がある。それぞれのケースで、リンクの意味や機能、利用者による使われ方などが議論され、「リンクするものの立場」が問題とされる。

また、リンクされたものに対する関係もある。情報を利用される、情報の価値や名声に便乗される、といった問題である。リンクすることがグループ性や親近性を表示したりすることがある。リンクされることでイメージが悪くなるという場合もある。リンクされると言うことの意味と、影響力を考えるとしても、リンク自由の原則から考えると、困難な問題もある。

③リンクの動き

――――リンクするなと言えるか、リンクの責任論の基礎として――――

リンクは、ホームぺージ上では、単に

<P>

日本法律事務所 および日本語のホームページ(☆は無料法律相談の表示があるものです)

<TABLE>

<TR>

<TD>牧野法律事務所<BR>

<A href="http://www.asahi-net.or.jp/~VR5J-MKN/">Makino Law Office </A>    

/</TD></TR>

</TABLE> <A HEAR

という用に記載されているだけである。

ディレクトリ内のリンクと、ディレクトリ外のリンク

情報の参照といっても、極めて簡単で、上記の例はディレクトリ外の情報の参照であり、ディレクトリ内の情報参照と基本的にかわらない。ディレクトリ内の場合は

<A href="makino.txt">Makino Law Office </A> と記載するだけで、ファイル名の指定部分が、同一アドレスである事からそのアドレスの一部が省略されるだけで、特別な違いが有るわけではない。

 

画像のリンクと、その他ファイルへのリンク

ホームページなどで、様々なコンテンツをそのホームページ内に掲載する事になるが、その場合、一つのホームページが、様々なファイルから構成され、それらが、別々のホームページからなっている事が分かる。

 

自己情報内でのリンクと他人情報へのリンク

仕組みに注意する必要がある。

HTML上では、ただ、アドレスを、アドレスとして書くだけである。

従って、違法な複製行為をしているわけではない。しかし、見ているものにはあたかもリンク先画像などが、今見ている(自分のパソコンに表示されている)ページの中に埋め込まれて表示されているため、一体として見えているのである。表示という点から見れば、著作物の違法な流用、引用ということは言えそうである。しかし、法的には、からなずしも明確ではない。

 

 

5 リンク各論

(1)著作権問題

リンクの機能が、参照である事から、他人の情報を利用する事の可否が問題とな る。これは、他人の情報が、情報(データ)そのものである時と、その情報が著作 物となっている時とを考えなければならない。

著作権とは、著作物を所有し、管理し、利用処分する権利であり、著作物とは、

「 一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」(著作権法第二条定義)

とされている。

現在、著作物と言うのは、人の手で、一定の工夫がなされている場合には、広く成立すると考えられている。

データ

情報の中でも、情報の基礎というようなデータそのもの、すなわち、何らの加工もされていない数値そのもである情報に付いては、客観的なものであって、著作権は生じないと考えられている。皆既日食の時間とか、緯度、経度との関係などの数値など、また、前日の野球の点数だとか、誰がヒットを打ったとか、いった事実に関わる数値はデータそのものなので、どのように利用しても問題はない。

その他の著作権の無い物

法令(法律、政令、通達など)、判例、行政情報など。

ひまわりの映像、定点観測のデータ、など

著作権があるもの

複数のデータの集合体で、一定の加工をしたものは、編集著作物として著作権があるとされている。電話帳、各種名簿などにも編集著作権がある。

その他、特に指摘のない限り、原則的に著作権があると理解したほうが良い。

絵画や写真、イラストは、ほとんどの場合著作権があるとされる。フリー素材といわれて販売されているものは基本的に著作権がない事を確認するか、自ら作成しているはずであるが、安易に信用する事は出来ない。確認が必要な時もある。

(2)リンクが著作権違反になる場合、許されるリンクの範囲

許される参照と、許されない参照

リンクの基本的機能が、参照機能である以上、その利用の許される範囲は、法的に許される参照の範囲という事になる。

許される参照の範囲とは、著作権法32条の引用の範囲である。

 

 

(3)商標法違反など

他人の登録している、あるいは著名な商標を無断で利用することは、商標法に違反します。トータルニュース事件の場合も、クリックするボタンに商標を貼りつけていたと言う批判がなされていました。自社の販売増加の目的などで、他社の商標を利用することは違法となるので、そうしたリンクとなっていないか、検討する必要があります。

 

(4)不正競争防止法違反

他人のホームページと紛らわしい表示をしている為、あるいはリンクしている形態があたかもリンク先と連携して事業を展開しているような表示となっているような時は、不正競争防止法の問題が起きるかもしれません。バナー広告を貼りつけて、そのバナーが見えるようにして、フレームをきって、その中に他人のコンテンツを表示すると言う方法で、商業的に利用する行為は不正競争行為とされる場合があるでしょう。注意が必要です。

(5)一般不法行為

リンクをしたことで、例外的に発生するかもしれない事故について、場合によっては不法行為が成立する可能性もあります。

そのホームページが一定の会員制(子供会員など)のものなどであって、特定の会員のために有料でその情報を提供しているか、あるいは通常会費に見合うサービスの一環として提供している情報(今週のお勧め情報など)であって、利用者において、その情報がそのホームページ主催者の検討を経た推薦や賛同、協力しているものと考えられるような場合(一種の編集責任、保証責任があるような場合)で、かつ、リンクする前に一定のチェックをすれば容易にその危険性を判断できる程度に危険なもの(予見可能性がある場合)であって、そうした、通常行われる程度のチェックによって、その結果発生を回避することが容易であった場合には、一種の保証責任としての不法行為が成立することがあるでしょう。一般には、会員契約上があることが多く、会員契約の不履行が問題とされると思います。ただ、最近では、何ら契約もしないで、一定のメンバーに対する特定サービスを提供するという情報提供のサイトが多数できており、そこでの利用者の安全確保の観点からの要請も強いので、会員契約がないと言う場合でも責任が問われることがあるでしょう。

たとえば、リンク先がウイルス配布サイトで、アクセスして、そこにあるコンテンツをダウンロードしたらウイルスに感染すると行った場合は、財産的損害が発生するので不法行為となると思います。また、わいせつな作品を「子供にお勧めの優良書籍」として紹介すると行った場合、お勧めレストランなどと銘打って食事のサイトとして紹介しているのに、見ると気持ちの悪くなるようなサイトであったりした時は、精神的損害(慰謝料侵害)が発生しますので、立証は多少困難ですが、やはり不法行為になると思います。これらの点は、現在のところほとんど議論されていませんので、実務上今後どのように扱われるか見守る必要があるでしょう。

 

(6)適法なリンク

原則として、通常のリンクは適法であり、法的問題を生じません。日本新聞協会などの見解で、リンクをしたら連絡してくれ、とあります(注3)が、これも例外的に問題となるような、トータルニュース的なものを検討すると言うものであって、連絡のないリンクを違法とすること言うのではありません。

リンク表などで様々なリンクを扱うのは、まったく問題がありません。

 

(7)自由競争、表現の自由としてのリンクの自由

リンクすると言うことは、情報の流通を自由にすると言うことです。自分のホームページにリンク表を付けたり、リンクページを作ったりするのは、なぜなのでしょうか。 ホームページを持つと言うことは、インターネットと言う大きなネットワークの中で、情報流通に参加することを意味します。インターネットのある部分を占めて、更にその部分が情報の泉となり、利用者に更にインターネット利用の便宜を提供し、情報提供することは、閲覧者を更にインターネット上につなげて行くことを意味します。その意味で、リンクはインターネット自体を強化し、豊かにし、広げて行く行為なのです。それは、自由競争に裏打ちされたものであり、表現の自由の現われでもあるのです。

リンクをすることに決して消極的になる必要はありません。ただ、相手の立場に立って、うれしいことならば良いが、相手が嫌がるとおもわれるリンクの場合はそれが適法かどうか冷静に考えてみる必要はあるでしょう。

 

 

 

(8)関連問題

    リンクは複製権侵害か、公衆送信権侵害か 

    トータルニュース事件

トータルニュース社が、世界各国の新聞社のホームページにリンクを張り、そのリンクをクリックすることで、自らのホームページ内の、フレームの中にリンク先の新聞社の記事が表示される仕組みを作ったことが、著作権法違反等として問題とされた。

ところが、リンク自体が、著作権法に違反していると言うには疑問があり、にわかに結論を出せないようであった。まず、新聞社の記事に対する同意なく複製したか、という点で複製権侵害が問題となるが、どこに複製行為があったと言えるか、明確でない。複製とは、「有形的再生」(§2、1項15)といわれており、どこにも有形的再生はない。むしろわが国では、メモリ内での複製を、複製と捉えないため、どこにも複製がないと言うべきである。

次に、公衆送信権侵害が問題となるが、当該内容は自動公衆送信に付され、誰でも自由に利用でき、たまたま受信者のモニター内で、フレーム内に表示されると言うだけであって、ここでも無断で公衆送信したわけでもなく、公衆送信権侵害は問題とならない。

従って、本来は著作権違反問題ではなく、他人の著作物を不当に利用して儲けているという点で、不正競争防止法違反と考える必要がある。その点から見れば、こうした利用方法自体が、不正競争行為と考える余地があることになる。残念なことに、判決は出ておらず、非公開の和解で解決した。

  チケットマスター事件

マイクロソフトのエンタテイメント紹介ページにおいて、各種のチケット情報、取り扱い内容を収集し、リンクを貼って利用していたが、リンクを貼られたチケットマスター社が、リンクを貼られることによって、紹介されたページ・コンテンツだけが利用され、本来の業務としてのトップページからのアクセスが侵害され、不当にマイクソフト社が儲けたと言うことを問題として、訴訟が提起された。

この議論も、トータルニュース社の議論と全く同様のものである。

 

6 キャラクター権

キャラクター権・・それ自体としては認められていない

商品化権というもの キャラクター等を販促の手段として利用する権利

著作権法・商標法・意匠法・不正競争防止法・民法

著作権法上のキャラクタ 漫画などの著作物の権利、表現されたものを保護する事の

限界

名称の保護 著作権としては困難 商標法で

但し先に商標法登録されれば対抗できない 偽者が勝つ

商標法29条 著作権優先規定

デジタル化での変容は

7 ブリシティ権

パブリシティー権とは何か

経済的肖像権と言うべきもので、俳優やタレントなど、その姿、容貌、顔、声などを利用して、経済的利益を上げているものに対して、その経済権を、権利として評価して、保護しようとしたもの。著作権とは異なる概念であるが、実に良く似た議論となる。

タレントなどは、その姿や顔に対して、一定の評価なり希少価値を見出して、それを商品として管理して、販売対象化し、多額の費用をかけて多くの宣伝媒体を利用しその経済性を確保した。こうして生まれたその俳優や、タレントの個性に対する評価に対して、その管理権を与える必要がある。

有名になることが、ややもすればその俳優の情報(写真等)の過剰流通による経済的陳腐化を促進することがある。そのため陳腐化しないための各種のコントロールが行われることになる。テレビ出演制限や、写真を出さない、顔を見せない、などといったものから、タレント商品の高額化で流通量を制限して、コントロールするなどの方法も取られている。

こうした、パブリシティ権を保護するには、違法な複製物の販売や、キャラクターグッズの製造販売等と言った行為を規制することになる。現在では仮処分などで、販売・製造規制がかけられている。

パブリシティーと言える要件

経済的権利であることから、肖像権者のものであることが必要である。権利者はその肖像権を持つ俳優、タレントそのものである。従って、その俳優の属している事務所や企業が、間接的に経済的被害を受けるとしても、経済的肖像権を持つものは被害者本人、すなわち俳優などの本人である。

従って、被害内容も被害者本人の被害として計算されなければならない。本人に反映しておらず、本人には何らの被害も発生していないと言ったケースでは、本人の経済的肖像権は存在しておらず、被害はないと言うほかない。

漫画の主人公

俳優 矢沢永吉事件 S60

物 尾長鶏(高知県)事件 S59・10・29

クルーザー事件 H3・11・28

デジタル化での変容

 

8 映像に関する権利

映画の著作権

(1) 映画製作者の著作権性

オールドオーサー

原作者、脚本家、音楽家などは元々の原作等の著作権者であって、映画の基になる著作群である。映画は、これらの著作群の二次著作であって、完成した「映画」著作物の、その原作としての「原著作物」の著作権者がある。これらを映画の著作権者と区別して、オールド・オーサーと呼ぶ習わしがある。こうして、オールド・オーサーと呼ばれる著作権者群は、映画の著作権とは別に自らの著作権を有するものとして、別個の扱いを受けることになる。

デジタル著作権時代にあっても、CG、アニメ、SF映画、マルティメディア(総合情報芸術)著作物などにも、必ず原作や、原構想を記載した脚本、イメージをデータ化した作品などがあり、それら自体が一つの作品であって、(原)著作物となる。

これを基礎に物を作るものが、一種のモダン・オーサーになるものと考えられる。

 

モダン・オーサー

映画を全体として、創作的に寄与したものを呼ぶ。

制作、監督、演出、撮影、美術等の側面で、映画全体を通して、創作的に寄与したものを、映画の著作者と呼ぶ。16条

俳優などは入るか・・・・全体的に創作的に寄与しておれば入る場合もあるし、部分的に監督の指揮に従って、監督の創作性を支えただけであれば、実演者として、著作隣接権として保護される。

映像作家がみずからCGを操るなどして、SFなどの作品を作るような場合には、その人がモダン・オーサーである。この点では、映画の著作権とは異なり、共同作業というよりも、一人のクリエーターの私的な作業や個性の発現に対する協力作業といったものが多いように思われる。従来のような分担によれば複数のモダン・オーサーが出ることになるし、一人が総監督のように自らの作品としてすべてをコントロールするのであれば、そのものだけがモダン・オーサーと呼ばれることになる。

(2) 映画の著作権の体系

映画(2条3項、10条1項7号)などの総合芸術の関しては、著作者も多数になり、権利関係は極めて複雑になる。

原作の著作者、脚本の著作者(二次著作権)、音楽の著作者、作詞家等(映画の著作物の著作者ではない 16条)といったものから、映画そのものを指揮して作成させる監督、プロデューサー、カメラマン、美術監督、そして更にはさまざまなパフォーマンスを上演・演奏する俳優などといったように、関連する著作者の範囲は極めて広い。そこで、ベルヌ条約では、映画の製作に寄与することを約したものは、その著作権利用に反対できないとし(14条の2第2項(b)参照)たうえで、著作権の帰属は各国の法制度によるとしている。

わが国では、映画の著作権の帰属は次のように規定している。

映画の著作物の著作権者とは・・・・

制作、監督、演出、撮影、美術などを担当してその映画の製作に、創作的に寄与したもの

(16条)

映画の著作権の帰属

著作権の権利帰属(29条)

法人著作 例外として、そもそも法人が著作権者であって、法人そのものに元始的に帰属する。

1項でも、2,3項でも同様。法人著作となれば、その他の帰属を論ずるまでもなく、製作会社たる法人に原始的に帰属することになる。

29条1項 法定帰属といわれ、基本は著作者(監督など全体的形成に創作的に寄与したもの)に発生する(16条)のだが、合意があることを前提に、当然に(何らの手続きも要することなく)製作者に移転することを意味している。

原始的に著作者に帰属したままとする著作者説 インド

元々製作者に帰属する フィルム・コピーライト 英国

 

口頭でも良い。映画製作者の行う映画製作に参加するという、意思表示があることが重要。

この合意があることで、著作権(著作人格権を除く)が映画の製作者に帰属するということ。事業者の権利としてこの点を書面化し、明確にしておく必要がある。

帰属の体系

一般的映画の著作権 映画製作者(会社)に帰属する
著作権者の権利 上映・複製・頒布権などを専有する

放送事業者に帰属する映画の著作権(放送権・伝達権・複製権・頒布権)
動画として作成されるもの(放送されるもの全般)については、いずれも映画というものにする方法が取られ、何らかの物(ビデオテープ、フィルム、記憶媒体など)に固定化され、これを利用する方法が取られることが多い。

こうした映画に付いては、通常映画製作者に帰属するものであるところ、放送という目的に沿って作成されたものについての、放送関連の権利は放送事業者に帰属するとしたのである。

有線放送事業者に帰属する映画の著作権(放送権・伝達権・複製権・頒布権)
2)と同じである。

放送・・・放送に関する著作権が放送事業者に帰属すると言う意味

それ以外の基本的な権利は映画製作者に帰属するという意味。

放送事業者とプロダクションの共同制作は本条の適用無し

もっぱら、放送事業者が、もっぱら放送技術的手段として、作製したものについての権利

帰属するのは①放送する権利 ② 複製を作製して他の放送事業者に頒布する権利 である。

従って、複製物を頒布するには、映画製作者の頒布権による必要がある。

 

 

(5)   上映権

著作者は、その映画の著作物を「公に」「上映」する権利を専有するとされる。

「公に」とは、「公衆に直接見せ、または聞かせることを目的として」(22条参照)行われることをいうのであって、個人的にあるいは私的に、見せたり聞かせたりするものと区別される。

上映とは、著作物をスクリーンに映写することをいい、これにともなって著作物に固定されている音を再生することを含むというもの(2条1項18号)。

映写の意味は、従来は銀幕に投影することであったが、近時の技術の進展にともない、大型モニターや巨大スクリーンで表示することもこの映写の意味に理解するほかない。今後はハリウッドの映画もフイルムがなくなり、全世界へのデジタル情報配信という形で行われることになるので、こうしたデータの表示も映写に含むことが必要となる。

 

(6)   頒布権(26条)

映画には他の著作権にはない特殊な権利として、販売、貸与、譲渡に関するけんりとして、頒布権というものが認められています(26条)。貸与権(26条の3)という映画の著作権以外のものに認められる特別な権利がありますが、これは頒布権より狭い概念です。

レコードを貸す事業が流行ることで、レコード製作者を圧迫するということで、頒布権に近接したものとして考えられたものであるが、本などについては、図書館による貸与や、貸し本業があるため、付則によって当面書籍については適用しないという規定が置かれています。

そもそも複製権を中心に著作権は構成されており、複製したものがその後どう扱われるかはほとんど規制できないのですが、29条と26条の3とが、複製物の利用方法についてまで規制するという意味で、重要な例外規定となっています。

映画の頒布権とは、頒布の方法、頒布期間、頒布地域等を、著作権者が決め、制限できるというものです。従って、著作権者が「販売専用」としたものをレンタルしたり、レンタル用とした物を販売するというのは、頒布権を侵害するものになります。

頒布権が認められているのは、映画の製作・流通に関わる独特な関係があるからです。まず、映画の著作物の特殊な流通形態を保護する必要があるといわれています。例えば、映画の 持つ劇場上映、ビデオ発売、テレビ放映という幾つかの公開方式があるのですが、いずれも文化的・歴史的な仕組みを持っているので、これら(市民の娯楽施設としての映画館など)を保護したいという点があります。更に、映画の著作物の製作には莫大な資金が必要です。現在数十億といった話は日常的に聞くことです。こうした巨額の資金を回収するためにはその回収方法を保護する必要があります。したがって、回収方法としての約束事を保護するというわけです。

(7) 譲渡権(26条の2)貸与権(26条の3)からの排除の意味

     デジタル放送、デジタル通信によるコンテンツ流通の加速度的増加

     配信方法の変化、経路の高速化によるコンテンツ内容の変化

 

(8)様々な問題

録画 影像を連続して物に固定したもの・・・・ただ撮っているだけのもの、固定カメラによる放送

2条1項14

絵画の撮影画像 編集のもていないだけのデータ等 3項

(映画の著作物にならない)・・・・・・写真でもない・・・?

映画と録画は違うのか、どこで区分するのか

創作性(編集行為)があったか否か

独立した創作物になっているか否か

一貫した創作性、全体としての統一された創作性の有無

 

映画には頒布権等の規定があるが、録画には何もないのか

まず著作権(所有権)の帰属問題が異なる

映画の著作権は映画製作者に帰属するが、録画は同様ではない。

映画とゲームの違いは

テレビゲームの著作性=映画 東京地裁昭和60年3月8日

中古ゲームは劇場用映画とは異なる。映画の頒布権はない。 東京地裁平成11年5月27日

中古ゲームも映画の著作物に該当する。 大阪地裁平成11年10月7日

ゲームの著作者は誰か

どの立場でも、著作人格権はゲームを直接書いた人?プログラムを実際に書き込んだ人?

単なるプログラマであっても、現行法上はそうなる。

では、著作権自体は誰に帰属するか。映画の著作権説を取れば製作会社に帰属する可能性

が高くなる。ゲームが映画ではなく、通常の著作物であるとすれば、通常のプログラム著

作物となると考えられる。

 

 

放送・有線の違いはあるのか

法制度上は異なるものとしているが、果たしてそうか

放送のデジタル化によって生じる多チャンネル化によって、どの様な変化が起きるのか。多チャンネル化によって、周波数の割り当てといった許可制の基礎(有限性)が失われる。法改正が行われるか?

 

 

        

9 複製と翻案

     アイデアの利用・盗用は複製か、翻案か

     キャラクターの利用 

       

10 著作者人格権

     自己同一保持権  切除問題、表示問題

     簡易改変、改変ソフト、

    

11 プログラム著作権 

     何が著作なのか、ホームページは?  CGIは? アプレットは?

     フローチャート、プログラム仕様書は? ドキメントが含まれる場合

     特許との違い、関係

 

12 データベース著作権

     情報不正抽出問題

       EU指令

        米国「ファイスト判決」

         著作権法での規制と、不正競争法での規制

著作権のない情報を公開、提供して、自由競争・利便性を確保することの必要性フランステレコムに対する加入者リスト提供命令(仏最高裁の判断)

科学的な分野でのデータ利用は自由とすべきではないのか、と言う主張あり

 

13 法人著作

     プログラム作成、CG作成における技術者の利用、人材派遣などとの関連

 

 

第2 複製権制限

 

私的利用のための複製

私的利用とは

私的利用目的

私的範囲での利用

私的利用の複製とデジタルデータの複製

デジタルデータの複製を含むのか

   プログラム著作物も複製が可能か

  私的利用と補償金との関係

   保証金制度とはなにか 著作権者への著作料の支払ではない

   「債権者のいない請求権」「まったくの擬制」北川善太郎教授

 

 

2 教育用利用

学校教育と著作権

教育目的利用における著作権の扱い

例外規定の内容 31、33、34、35、36

デジタル化と教育利用に関して

図書館でのデジタル化利用は適法か

35条での利用とデジタル化

     デジタルデータの複製・配布は可能か

   教育目的の上演を記録すること、ホームページに載せることについて

       

複製権制限の内容

(私的使用のための複製)

第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とする場合には、公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう(注1))を用いて複製するときを除き、その使用する者が複製することができる。

2 私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(放送の業務のための特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性能を有するもの及び録音機能付きの電話機その他の本来の機能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するものを除く。)であつて政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金(注2)を著作権者に支払わなければならない。

    (昭五九法四六・一部改正、平四法一〇六・1項一部改正2項追加)

(注1)自動複製機器

 ビデオデッキ、ダビング機器などのように複製の機能をもち,その装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。しかし、当分の間,文献複写機等,もっぱら文書又は図画の複製に供するものを含まないこととなっている(附則5条の2)。このため、コピーセンター、複写センター、コピーサービス店などのコピーは、基本的に自由に行っていいことになり、私的複製のために提供しているということであれば、真に私的利用か否かは、使用者・複製者の行為自体を問題とすることになる。

(注2)私的録画補償金規程 認可  平成11年6月7日

(目的)

第1条  この規程は、特定機器(デジタル方式の録画機能を有する機器であって、著作権法施行令第1条で定められたもの。)により、特定記録媒体(特定機器によるデジタル方式の録画の用に供される記録媒体であって、著作権法施行令第1条の2で定められたもの。)に著作物、実演又はレコードを私的使用の目的で録画する場合の補償金(以下、私的録画補償金という。)の額を定めることとする。

(購入時支払いの場合の私的録画補償金の額)

第2条  著作権法第104条の4第1項の規定に基づく、購入時において支払う特定機器1台及び特定記録媒体1個あたりの私的録画補償金の額は、次により算出した金額に、当該金額に消費税率を乗じて得た額を加算した額とする。

 (1)特定機器

    当該特定機器の基準価格(製造業者又は輸入業者が国内において最初に流通に供した際の価格に相当する額をいう。以下、同じ。)に1%を乗じて得た額、又はデジタル録画機能1個を内蔵する機器にあっては1,000円のいずれか少ない額。

 (2)特定記録媒体

    当該特定記録媒体の基準価格に1%を乗じて得た額

以下略

個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること

私的利用ということですが、人数や範囲などについては、学説上区々に分かれる。人数も数人から十数人、範囲も家庭内というものから、学校、友人、企業内の研究会、大学内研究会など様々である。したがって、明確な基準はないが、常識的に見て、市場を抑圧するような、通常は購入するであろう場合については、指摘範囲を逸脱すると見るべきである。メーリングリスト、クラス全員、部局全員、有料講習会などは、私的利用の範囲に属さないと考えるべきである。

私的利用における補償金支払いについて

私的利用については基本的に無料で、複製ができると言うものであるが、大量の複製や品質劣化の無い形での複製が進んでいるため、これらに対して一定の補償を必要とする。補償金の徴収・分配を行う私的録画補償金管理協会(SARVH)は平成11年3月に設立された。

補償金支払いが必要とされているのは

平成 5年 DAT DCC MD が指定される (録音媒体)

平成10年 CD-R CD-RW が指定される (録音機械)

平成11年 DVCR D-VHS が指定される (磁気テープ)

風景などを撮ることが中心のデジタルビデオカメラや、パソコン関連は汎用品として、対象外とされている。

 (図書館等における複製)

第三十一条

図書、記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設で政令で定めるもの(以下この条において「図書館等」という。)においては、次に掲げる場合には、その営利を目的としない事業として、図書館等の図書、記録その他の資料(以下この条において「図書館資料」という。)を用いて著作物を複製することができる。注1

 一 図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分(発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個個の著作物にあつては、その全部)の複製物を一人につき一部提供する場合

 二 図書館資料の保存のため必要がある場合

 三 他の図書館等の求めに応じ、絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料の複製物を提供する場合

(注1)図書館等が複製サービスをする際の注意事項

(1)複製行為の主体が図書館等であること。従って、利用者に勝手に利用させてはならない。

(2)営利を目的としない事業として複製すること。実費を取ることは問題ない。

(3)図書館等が所蔵している資料を用いた複製であること。

(4)公表された著作物の一部分を一人につき1部提供するための複製であること。

(5)保存のための複製の場合は,損傷の激しい資料等であること。

(6)他の図書館への提供のための複製の場合は,絶版等一般に入手することが困難であること。

 

図書館にかぎられていると言うこと

大変奇妙にも感じられるかもしれないが、図書館でのコピーは一般には著作物の一部だけをサービスとして、複写してもらうのであって、複写する権利が国民に保障されているわけではない。図書館は、サービスとして複写させても良いというだけであって、主体は図書館であるとされる(平成4年判決)ため、図書館の判断に従うことになる。

 

 (引用)

第三十二条

公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

2 国又は地方公共団体の機関が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。

公正な慣行に合致すること,引用の目的上,正当な範囲内で行われることを条件とし,自分の著作物に他人の著作物を引用して利用することができる。同様の目的であれば,翻訳もできる。(注)国等が行政のPRのために発行した資料等は,説明の材料として新聞,雑誌に転載することができる。

(注)引用における注意事項

 他人の著作物を自分の著作物の中に引用する場合には,

(1)他人の著作物を引用する必然性があること。

(2)かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とを明確に区別すること。

(3)自分の著作物と引用する著作物との主従関係(質的差)が明確であること。

(4)自分の著作物が量的にも過半を占め、引用するものの量が少ないこと。

(5)出所の明示がなされていること。(第48条)

    (参照:最判昭和55年3月28日 「パロディー事件」)

 

 

 

 (教科用図書等への掲載)

第三十三条 公表された著作物は、学校教育の目的上必要と認められる限度において、教科用図書(小学校、中学校又は高等学校又は中等教育学校その他これらに準ずる学校における教育の用に供される児童用又は生徒用の図書であつて、文部大臣の検定を経たもの又は文部省が著作の名義を有するものをいう。)に掲載することができる。

2 前項の規定により著作物を教科用図書に掲載する者は、その旨を著作者に通知するとともに、同項の規定の趣旨、著作物の種類及び用途、通常の使用料の額その他の事情を考慮して文化庁長官が毎年定める額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

3 文化庁長官は、前項の定めをしたときは、これを官報で告示する。

4 前三項の規定は、高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)の通信教育用学習図書及び第一項の教科用図書に係る教師用指導書(当該教科用図書を発行する者の発行に係るものに限る。)への著作物の掲載について準用する。

    (平一〇法一〇一・1項4項一部改正)

学校教育の目的上必要と認められる限度で、教科書に掲載することができるが、掲載には著作者への通知とともに著作権者への所定の「補償金」の支払いが必要となっている。

 

 

 (学校教育番組の放送等)

第三十四条 公表された著作物は、学校教育の目的上必要と認められる限度において、学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠した学校向けの放送番組又は有線放送番組において放送し、又は有線放送し、及び当該放送番組用又は有線放送番組用の教材に掲載することができる。

2 前項の規定により著作物を利用する者は、その旨を著作者に通知するとともに、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

    (昭六一法六四・見出し1項一部改正)

 

 (学校その他の教育機関における複製)

第三十五条 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

 

各教科の担任は、その教育上の資料として、公表された資料(新聞、雑誌、研究報告書、小説、書籍、ホームページデータなど)を、必要な範囲でコピーして利用することができる。この場合は、複写機を利用して複製するのが通常であり、質的劣化もあり、複製の範囲も限定されており、問題とはならない。但し書は、学習用のプリントや問題集、試験問題など、その利用のために作製されたものを複製したのでは、そうした資料の販売事業者が害されるため、そうした資料の複製を制限している。

ところが、近時、生徒に調べ学習をさせるため、生徒に各種資料を複製することを求めることがあるが、本条が、教育の担任を主体としていると言う字義解釈から主体が生徒であってはならないと言った形式的解釈をするものが多いが、極めて不当である。教科の中で必要な範囲で複製されるのは当然に含まれていると解釈する必要がある。

 

 

 (試験問題としての複製)

第三十六条 公表された著作物は、入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験又は検定の問題として複製することができる。

2 営利を目的として前項の複製を行なう者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

 

 (点字による複製等)

第三十七条 公表された著作物は、盲人用の点字により複製することができる。

2 点字図書館その他の盲人の福祉の増進を目的とする施設で政令で定めるものにおいては、もつぱら盲人向けの貸出しの用に供するために、公表された著作物を録音することができる。

 (営利を目的としない上演等)

第三十八条 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、口述し、又は上映することができる。ただし、当該上演、演奏、口述又は上映について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。

2 放送される著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、有線放送することができる。

3 放送され、又は有線放送される著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、受信装置を用いて公に伝達することができる。通常の家庭用受信装置を用いてする場合も、同様とする。

4 公表された著作物(映画の著作物を除く。)は、営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供することができる。

5 映画フィルムその他の視聴覚資料を公衆の利用に供することを目的とする視聴覚教育施設その他の施設(営利を目的として設置されているものを除く。)で政令で定めるものは、公表された映画の著作物を、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物の貸与により頒布することができる。この場合において、当該頒布を行う者は、当該映画の著作物又は当該映画の著作物において複製されている著作物につき第二十六条に規定する権利を有する者(第二十八条の規定により第二十六条に規定する権利と同一の権利を有する者を含む。)に相当な額の補償金を支払わなければならない。

    (昭五九法四六・1項一部改正4項5項追加、昭六一法六四・1項一部改正2項追加)

 (時事問題に関する論説の転載等)

第三十九条 新聞紙又は雑誌に掲載して発行された政治上、経済上又は社会上の時事問題に関する論説(学術的な性質を有するものを除く。)は、他の新聞紙若しくは雑誌に転載し、又は放送し、若しくは有線放送することができる。ただし、これらの利用を禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。

2 前項の規定により放送され、又は有線放送される論説は、受信装置を用いて公に伝達することができる。

 

 

 (政治上の演説等の利用)

第四十条 公開して行なわれた政治上の演説又は陳述及び裁判手続(行政庁の行なう審判その他裁判に準ずる手続を含む。第四十二条において同じ。)における公開の陳述は、同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。

2 国又は地方公共団体の機関において行なわれた公開の演説又は陳述は、前項の規定によるものを除き、報道の目的上正当と認められる場合には、新聞紙若しくは雑誌に掲載し、又は放送し、若しくは有線放送することができる。

3 前項の規定により放送され、又は有線放送される演説又は陳述は、受信装置を用いて公に伝達することができる。

 (時事の事件の報道のための利用)

第四十一条 写真、映画、放送その他の方法によつて時事の事件を報道する場合には、当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物は、報道の目的上正当な範囲内において、複製し、及び当該事件の報道に伴つて利用することができる。

 

 (裁判手続等における複製)

第四十二条 著作物は、裁判手続のために必要と認められる場合及び立法又は行政の目的のために内部資料として必要と認められる場合には、その必要と認められる限度において、複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

 (翻訳、翻案等による利用)

第四十三条 次の各号に掲げる規定により著作物を利用することができる場合には、当該各号に掲げる方法により、当該著作物を当該各号に掲げる規定に従つて利用することができる。

 一 第三十条第一項又は第三十三条から第三十五条まで 翻訳、編曲、変形又は翻案

 二 第三十一条第一号、第三十二条、第三十六条、第三十七条、第三十九条第一項、第四十条第二項又は前二条翻訳

    (平四法一〇六・一号一部改正)

 (放送事業者等による一時的固定)

第四十四条 放送事業者は、第二十三条第一項に規定する権利を害することなく放送することができる著作物を、自己の放送のために、自己の手段又は当該著作物を同じく放送することができる他の放送事業者の手段により、一時的に録音し、又は録画することができる。

2 有線放送事業者は、第二十三条第一項に規定する権利を害することなく有線放送することができる著作物を、自己の有線放送(放送を受信して行うものを除く。)のために、自己の手段により、一時的に録音し、又は録画することができる。

3 前二項の規定により作成された録音物又は録画物は、録音又は録画の後六月(その期間内に当該録音物又は録画物を用いてする放送又は有線放送があつたときは、その放送又は有線放送の後六月)を超えて保存することができない。ただし、政令で定めるところにより公的な記録保存所において保存する場合は、この限りでない。

    (昭六一法六四・見出し2項一部改正2項追加)

 

 (美術の著作物等の原作品の所有者による展示)

第四十五条 美術の著作物若しくは写真の著作物の原作品の所有者又はその同意を得た者は、これらの著作物をその原作品により公に展示することができる。

2 前項の規定は、美術の著作物の原作品を街路、公園その他一般公衆に開放されている屋外の場所又は建造物の外壁その他一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置する場合には、適用しない。

 

 

 (公開の美術の著作物等の利用)

第四十六条 美術の著作物でその原作品が前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置されているもの又は建築の著作物は、次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。

 一 彫刻を増製する場合

 二 建築の著作物を建築により複製する場合

 三 前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置するために複製する場合

 四 もつぱら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製する場合

 

 (美術の著作物等の展示に伴う複製)

第四十七条 美術の著作物又は写真の著作物の原作品により、第二十五条に規定する権利を害することなく、これらの著作物を公に展示する者は、観覧者のためにこれらの著作物の解説又は紹介をすることを目的とする小冊子にこれらの著作物を掲載することができる。

 

 (プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等)

第四十七条の二 プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において利用するために必要と認められる限度において、当該著作物の複製又は翻案(これにより創作した二次的著作物の複製を含む。)をすることができる。ただし、当該利用に係る複製物の使用につき、第百十三条第二項の規定が適用される場合は、この限りでない。

2 前項の複製物の所有者が当該複製物(同項の規定により作成された複製物を含む。)のいずれかについて滅失以外の事由により所有権を有しなくなつた後には、その者は、当該著作権者の別段の意思表示がない限り、その他の複製物を保存してはならない。

    (昭六〇法六二・追加)

 (出所の明示)

第四十八条 次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。

 一 第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十七条、第四十二条又は第四十七条の規定により著作物を複製する場合

 二 第三十四条第一項、第三十九条第一項又は第四十条第一項若しくは第二項の規定により著作物を利用する場合

 三 第三十二条の規定により著作物を複製以外の方法により利用する場合又は第三十五条、第三十六条第一項、第三十八条第一項、第四十一条若しくは第四十六条の規定により著作物を利用する場合において、その出所を明示する慣行があるとき。

2 前項の出所の明示に当たつては、これに伴い著作者名が明らかになる場合及び当該著作物が無名のものである場合を除き、当該著作物につき表示されている著作者名を示さなければならない。

3 第四十三条の規定により著作物を翻訳し、編曲し、変形し、又は翻案して利用する場合には、前二項の規定の例により、その著作物の出所を明示しなければならない。

    (昭六〇法六二・1項一号一部改正)

 (複製物の目的外使用等)

第四十九条 次に掲げる者は、第二十一条の複製を行つたものとみなす。

 一 第三十条第一項、第三十一条第一号、第三十五条、第三十七条第二項、第四十一条、第四十二条又は第四十四条第一項若しくは第二項に定める目的以外の目的のために、これらの規定の適用を受けて作成された著作物の複製物を頒布し、又は当該複製物によつて当該著作物を公衆に提示した者

 二 第四十四条第三項の規定に違反して同項の録音物又は録画物を保存した放送事業者又は有線放送事業者

 三 第四十七条の二第一項の規定の適用を受けて作成された著作物の複製物(次項第二号の複製物に該当するものを除く。)を頒布し、又は当該複製物によつて当該著作物を公衆に提示した者

 四 第四十七条の二第二項の規定に違反して同項の複製物(次項第二号の複製物に該当するものを除く。)を保存した者

2 次に掲げる者は、当該二次的著作物の原著作物につき第二十七条の翻訳、編曲、変形又は翻案を行つたものとみなす。

 一 第三十条第一項、第三十一条第一号、第三十五条、第三十七条第二項、第四十一条又は第四十二条に定める目的以外の目的のために、第四十三条の規定の適用を受けて同条各号に掲げるこれらの規定に従い作成された二次的著作物の複製物を頒布し、又は当該複製物によつて当該二次的著作物を公衆に提示した者

 二 第四十七条の二第一項の規定の適用を受けて作成された二次的著作物の複製物を頒布し、又は当該複製物によつて当該二次的著作物を公衆に提示した者

 三 第四十七条の二第二項の規定に違反して前号の複製物を保存した者

    (昭六〇法六二・1項柱書一部改正三号四号追加2項全改、昭六一法六四・1項一号二号一部改正、平四法一〇六・1項一号2項一号一部改正)

 (著作者人格権との関係)

第五十条 この款の規定は、著作者人格権に影響を及ぼすものと解釈してはならない。

 

  

 

3 引用

引用とは

許される引用の範囲

引用は、量的側面と、質的側面から検討する必要がある。

① 量的に、主従の関係にある事

② 質的に、主従の関係にある事

③ 社会的慣行の範囲である事

デジタルデータの中での引用

4 報道のための利用

報道の定義

個人のホームページ利用と報道

スポーツ観戦と私的報道

 

 

 九  著作権管理方法と管理団体

    政府の考え  集中管理体制の確立

      大量複製コピーを禁止するのではなく、コピーする度に課金されるようにする

      問題はそのための手段、制度だとする

       超流通(森亮一教授、情報埋め込み型、電気料私用情報加算と同じ従量制)

          コンテンツ流通規制ではなく、情報に課金情報を入れて、利用者のPC

          に「課金モジュール」などがあり、その情報を読む。電気メータがごと

          し。この「課金モジュール」がないと読めないため、こうして従量制課

          金を確実に行うことができる、など。

 

       コピーマートシステム=JCIS著作権権利情報管理システム(文化庁)

          北川善太郎教授 比較法研究センター http://www.kclc.or.jp/

          著作権情報データベース

          著作物管理情報データベース

 

   

    著作権の利用の価額設定と回収

       いくらでもコピーできるものになぜ一定の価額が付くのか

       同じお札をいくらでも印刷できるのと同じではないか

       製作者・著作者、管理者の観点から見る=一定の価額で販売する

       利用者の立場で考える =利益の度合いによって還元する

         ソフトをシェアしあい、利益を

         もシェアし合う構造

                ↓

         より多くの還元のために、ソフトを改良する

                ↓

         弁護士は勝訴した時に成功報酬を獲得する

         成功した時に、その成功をシェアし合う構造

         プログラムの作成にあっても、費用請求とライセンスないし売り上げに応じたバッ

クペイを確保する方法は、この方式に近い

 

      シェアウエアが今後の基本になるのではないか

     マイクロペイメント、簡易支払方式の実現

 

情報の転々流通はすべてみとめるべし。

ライセンス契約を締結し、ぞの情報をデータに入れること、そしてライセンスとしてコントロールしていくと言うことで良いはず。転々流通自体を拘束すること自体には意味はないはず。

 

 

 

第3 デジタル時代の著作権のあり方 まとめに代えて

デジタル時代の特徴は、デジタル化とネットワーク化である。

この中で、著作権がどのように変化するかに着いて概観する。

制作 ・・・ 流通 ・・・ 管 理(料金徴収) ・・・ 再利用

1、制作段階での変化

デジタルでの作製 オリジナルの消滅?

複製物とオリジナルの差がなくなる

アナログからオリジナルばかりでなく、アナログでなく直接デジタルがある

感性、ひらめき、発想、アイディアなどが直接デジタルデータになる

ネットワークでの作製作業

法人著作の枠に止まらないグループウエアの可能性が広がる。法人といった強固な仕組みではなく、任意の数人のアーティストの繋がりによる創作活動が可能となる。そうした活動から様々な作品が生まれてくることになるが、それらの著作物は共同著作物になるだろうし、作製の際に一定の合意による著作権の行使の合意をしておく必要がある。共有著作権は、全員の合意が必要とされ、原則として合意がなければ利用できないし、処分もできない(65条)。したがって、映画の著作権のように、一定の合意を行うことで、著作人格権とは切り離して著作権を個々人から切り離して合理的に管理する必要が出てくる。

新しい作品の出現

動画・ライブ作品のようなリアルなものや、いくつかの芸術的な思考が複合するような総合作品といった趣のものなどが作られている。更に、即興的なパフォーマンス(実演ではなく創作行為そのもの)が、録画されるというものもある。

斬新なひらめきの重要性

様々な刺激や、創造性の融合の中で生まれる斬新な「ひらめき」「発想」「方向性」が重要な位置を占めることがある(映画のような作品になった場合は著作権16条、その帰属合意29条などがあることから、著作物としての保護は比較的明確となる)。

こうした「ひらめき」などが、著作物としての完成体にならないまでも、体系性を持つ一定の完成された仕組みとなるのであれば、それをノウハウとして保護する必要性も、またその可能性も出てくる。現時点であればビジネススタイル特許やプログラム著作権登録等といった方向での保護が考えられる。更にはその構成要素、仕組み、発現形態のバリエーションを明確に記録して、「営業の秘密」(不正競争防止法)として、機密管理し、その旨徹底させ管理する方法が考えられる。

2、流通段階での変化

完全複製が可能・劣化しないことなど

デジタル作品は複製の作製、加工、切除、部分利用など等の再利用が極めて簡易である。従って、まず、大量に複製を行い、全国配信し、あるいは異時配信することが可能となる。映画の世界同時配給もフイルムベースではなくデジタルデータベースで可能であるし、オンライン・オフラインを問わず世界的に同時に公表することも可能となる。

オンライン配本、オンラインでの上映、実演など、同時に勝つ流通経費なく、配信・提供する仕組みとして役立つことになる。

また、作品の発表とほぼ同時にこうした各種可能性とともに、無断での複製の作製、加工、切除、部分利用など等の危険性が発生することになる。但しこれは管理方法によって克服できるはずである。

メディアミックスによる流通現象

放送・・・地上波放送

BS,CSなどのデジタル放送網

有線・・・CATV網

有線放送網

電話回線・・有線インターネット

携帯電話網

こうした回線・ルートを総合的に、あるいは組み合わせて利用する方

法がある。従って、仕組みがそろうことで、著作権法上の放送と通信

の区別等は必要なくなることになる。

 

 

3、流通と管理・支払

無料放送と有料放送 放送自体の仕組み・・・無料放送が普及してきたが、コンテンツを売るので

はなく、広告を売るということで、企業からの広告収入によって運営する。利用者は支払う必要がない。

他方で、有料放送があり、NHKの定額性受信料システムやCSなどの定額性プラス番組利用料といった徴収システムもある。

無料送信と有料送信 固定網、移動体ともに無料配信と、有料配信とが存在する。

情報自体の配信(ストリームなどによる送信鑑賞のみ)を優良とするものと、データ(テキストデータ、FDFファイルなど、電子書籍など)を売買対象とするものとがある。電子データ配信で始った新しい流通と、徴収システムもある。

料金徴収システム 課金情報による徴収システム

独自会員制度 事実上困難

クレジットカードによる課金 不安感・利用促進上の問題

プリペイドカードなどによる課金 販売手数など

プロバイダによる課金徴収代行 一般接続に便利

電話料金として課金徴収 極めて簡易・合理的

4 超流通とコピーマートシステム

超流通・・ 森 教授

流通させることで、著作物を最大限に利用しようというもので、著作者が著作権情報を自由に設定できるものとし、どのような管理も可能とするシステム。特段の仕組みを用意せず、情報に著作権情報を埋め込んでその情報による管理を行う方式。

コピーマート・・北川善太郎教授

データベースによる集中管理方式。データベースを著作権データベースと著作権管理

情報データベースとに分け、相互に関連付けながら、集中的管理を実現する方式。

 

現実的方式 電通のシステム「Melodies&Memories 」

コンテンツを管理する権利許諾情報管理システムとしてのデータベースの構築と運

用を検討し、実践しつつある。

大量の情報の適正な管理、支払の確保、確保した使用料の適正分配の実現などを実現するものとして登場・・ポイントは著作物を従来の著作概念、グループ分けではなく著作物の性格ごとにID分け(コンテンツID)をして、客観的に、正確に管理するというもの(特許出願)。

権利関係を一定の整除された項目に分解して、それぞれの特徴を客観化し、数値化して、これをデータとして管理する方式である点が特徴である。管理するデータベースとしては「許諾ファイル」「料金・料率ファイル」「権利者ファイル」「分配データ」といった4部構成になるという。

要するに、著作権管理団体の手間を軽減し、より効率的な管理を実行するもの。

著作権管理団体の増加

利権集団化・・著作者の権利を守るということはどういう事なのか

著作者の権利以外のもの・・管理者の権利・・隣接権利者の権利

著作権ビジネスの方向について

経済権としての著作権をどのようにスマートに流通させるか

デジタル著作権

管理委託 アナログ出版

デジタル出版

放送(上映)

公衆送信(上映)

映画化 頒布

ベルヌ条約 第十四条の二〔映画の著作物の著作権者の権利〕

(1) 映画の著作物は、翻案され又は複製された著作物の著作者の権利を害することなく、原著作物として保護されるものとし、映画の著作物について著作権を有する者は、原著作物の著作者と同一の権利(前条に定める権利を含む。)を享有する。

(2)(a) 映画の著作物について著作権を有する者を決定することは、保護が要求される同盟国の法令の定めるところによる。

  (b) もつとも、法令が映画の著作物の製作に寄与した著作者を映画の著作物について著作権を有する者と認める同盟国においては、それらの著作者は、そのような寄与をすることを約束したときは、反対の又は特別の定めがない限り、その映画の著作物を複製し、頒布し、公に上演し及び演奏し、有線で公に伝達し、放送し、他の方法で公衆に伝達し並びに字幕を挿入し及び吹替えをすることに反対することができない。

  (c) (b)に規定する約束の形式が(b)の規定の適用上書面による契約(これに相当する文書を含む。)によるべきかどうかの問題は、映画の著作物の製作者が主たる事務所又は常居所を有する同盟国の法令によつて決定される。もつとも、その約束が書面による契約(これに相当する文書を含む。)によるべきことを定める権能は、保護が要求される同盟国の立法に留保される。この権能を行使する同盟国は、その旨を宣言書により事務局長に通告するものとし、事務局長は、これを他のすべての同盟国に直ちに通報する。

  (d) 「反対の又は特別の定め」とは、(b)に規定する約束に付されたすべての制限的条件をいう。

(3) (2)(b)の規定は、国内法令に別段の定めがない限り、映画の著作物の製作のために創作された脚本、せりふ及び音楽の著作物の著作者並びに映画の著作物の※主たる制作者については、適用しない。その法令において(2)(b)の規定をその※主たる制作者について適用することを定めていない同盟国は、その旨を宣言書により事務局長に通告するものとし、事務局長は、これを他のすべての同盟国に直ちに通報する。

注 「主たる制作者」とは、条約の原文にあるフランス語 realisateur principal(英語ではprincipal director)の訳語であり、通常の場合、劇場用映画にあつては「監督」を担当し、テレビ用映画にあつては「演出」を担当して、映画の著作物の創作の中心的存在となつた者を意味する。