手形 小切手 不渡り 法律相談


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よくある”問答”もんどう・・・−19−



182 手形の不渡り
183 白地手形
184 白地の補充
185 裏書きとは何ですか、どんな効果がある?
186 手形と倒産
187 手形用語の解説


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182 手形の不渡り

 手形の不渡りとは、手形の決済資金が無く、手形の決済が出来な いことを言います。手形の支払期日の欄に記載された「支払日」に、 当該手形は取り立てに回され、手形の交換に出ます。手形交換所から、決済銀行に手形が回され、決済資金があれば無事決済となりま すが、資金が不足していれば、不渡りとして、手形を持ち込んだ人 に不渡りの付箋を付けて、「不渡り手形」として返還されます。     
 このとき、手形には、付箋が貼られ、「資金不足」「銀行取引な し」などと書かれます。こうして、その手形は、振り出し人、もし くは引受人においては決済できなかったことになり、その後は、裏書人等に対する遡及となります。  

 手形の不渡りが出ると、相手方は倒産だとか、手形が紙屑になったとか思いこんで諦める人が実に多いのには驚きます。  手形を使って、何年も仕事をしながら、不渡りになると、ただそれだけで、もう駄目だと、諦めてきたというのですから、驚くばか りです。  
 手形の機能は、不渡りの時にも支払が得られるように、手形の機 能を充実させています。  
 まず、第一は約束手形の振出人と、為替手形の引受人の最終の絶 対的な手形金支払い義務であり、第二が担保機能を用意している点 であり、この二つの制度で手形の流通を強化しているのです。  
 手形が不渡りになったと言っても、振り出し人などに対しては3 年間追求できますから決して紙屑ではありません。    

 そして、何より重要なのは、手形金支払の担保機能として用意さ れている、手形の裏書き制度であり、保証なのです。  
 裏書きのある手形がほとんででしょう。裏書のない手形という方 が少ないはずです。あまり信用のないとき、支払に不安があるときは、法人と、その代表者が裏書きをしているはずです。何件か回っ て来ておれば、もっと良いわけです。それら裏書人が、手形金の支払を担保してくれるからです。  

 すなわち、手形が不渡りになったら、まず直前の裏書人に手形を請け戻すように要求し、手形金額の返還を求め、手形金を返還して もらうのと引き替えに手形を返してやればいいのです。  
 従って、直前の人が信用があれば、手形が不渡りになっても、何 の心配もないのです。  
 この様に、不渡り手形は、最終の所持人から振り出し人に至るま で、順次裏書人をさかのぼって、巻き戻されてくるのです。こうし て、最初の裏書人、すなわち手形の振出人から直接手形の振り出し を受けた人まで戻ってくることになるのです。  

 さてこうのように、万が一、手形が不渡りになったからといって も諦める必要はまったくなく、裏書人の記載があるかをみて、あれば安心して、裏書人の責任を追及すればよいのです。  

 万が一、裏書人がなくとも、最低でも3年間は追求できるので、じっくりと時をねらって、請求すればいいのです。  



183 白地手形

 白地手形とは、手形要件を記載しないで、発行することがありま す。白地手形は、確かに、一定の必要性から発行されますが、実は大変危険なものなのです。  
 手形で記載すべき事項を手形要件と言います。手形要件は、明確、 厳格な記載が必要であり、極めて高度な厳格な約束になっています。    

 手形とは、その表面に記載したとおりの権利関係を示すものであ り、かつ、それしか権利を理解するすべがないのです。従って、手 形の生命であり、もっとも重要なものなのです。    

 手形要件を記載しないというのは、それなりに、白地にしておく 必要性があるからです。  
 その必要とは、たとえば、その手形の支払期日は、1年後にした いが、1年後の支払いなどと言うのは、どうも信用性に乏しいので その振出日を記載しないで、振出日白地にしておくというような要 求、手形金額がきりの良い金額なので、受取人を白地にしておいて、簡単に移転できるようにしたい、裏書きなどと言う面倒なことをし なくても信用があるので、そのまま移転させたい、と言った要求、などでしょう。  

 金額白地手形は命を預けるくらい危険なことです。  
 金額白地の手形の振り出しというのは、金額欄を空白にしておく とそのご、どのような金額が記入されるかわからないのです。確か に、振り出しの際に、記入する内容を制限したり、書く前に承諾を 取ることなどと言う約束をすることがあります。  

 しかし、そうした約束は、常に裏切られ、破られるものです。裏 切られた場合は、「そんなはずではない」という言い訳は認められ ません。手形法10条は「所持人に対抗できない」と明記していま す。従って、100万円の約束で振り出しても、知らない所持人から1億円の手形として請求された場合、1億円を支払う必要があり ます。  
 こうしたことを覚悟して、利用するようにしなければなりません。 



184 白地の補充

 手形要件を記載しないで、発行するというのは、そうした手形を 発行する必要性があるからです。その必要とは、たとえば、その手 形の支払期日を1年後にしたいが、1年後の支払いなどと言うのは、 どうも信用性に乏しいのでその振出日を記載しないで、振出日白地 にしておくというような場合、手形金額がきりの良い金額なので、 受取人を白地にしておくことで他の決済に利用したいから簡単に移 転できるようにしたい、などでしょう。  

 こうして、白地手形を発行するということは、通常手形の発行と 同時に、白地部分の補充権を発行するという意味があり、その補充 権もその手形に付随して、転々流通するといわれています。  
 従って、白地補充権そのものは、白地を受け取ったものの権利と いえます。  

 しかし、白地補充権は無制限ではありません。必ず、制限、条件 があるはずです。白地を見たら、ただ単に勝手に補充するのではな く、前者・手形振出人に対して、その補充権の内容・制限・条件を 確認しなければなりません。  

 勝手に補充しても、その補充は有効にはなりません。補充した後 の手形は完成した手形すから、最初から完成させて発行したものと まったく区別はつきません。従って、その手形の取得者は強く保護 されます。しかし、白地手形を受け取ったものは、振り出し時に、 未完成な手形であったことを知ったのですから、もはや、保護の必 要はなく、必ず、振り出し人に確認して、その補充をしなければな りません。  

 こうして確認して、補充した手形は、その時点で完成手形になり ます。



185 裏書きとは何ですか、どんな効果がある?

 手形の裏書とは、手形を順次譲渡した際に、手形の裏面にその経 過を記載するものです。しかし、それは単に手形の移転の経過を事 実として記載するという意味ではなく、裏書人(手形の売り主)と して、その手形の支払いを保証するものになるのです。  

 裏書とは、この様に、振り出し人の支払いを保証(これを担保義 務・遡及義務という)し、かつ、その信用を利用しつつ、その手形 を渡すことで、手形の額面の金額を支払ったことにしたのですから、 万が一、振り出し人がその手形の決済を出来ないときは、振り出し 人に代わって、手形の決済をおこなう義務、遡及義務というものが あります。   
 この様に、裏書人は、振り出し人の支払いを担保して、この手形 の信用性を増加させ、かつ利用しているのです。  

 具体的には、裏書きは次のように機能します。  
 まず、最後の手形所持人が銀行にその手形を持ち込んで、決済に まわします。手形は、銀行間の決済をすべく、手形交換所に持ち込 みます。ここで、決済ができますと、手形は振り出し人の手元に戻 り、すべてが終了します。  

 これに対し、手形の決済ができない事態が発生したとします。こ れが手形の不渡りというものです。不渡りの時、手形は、「償還」 という段階に入ります。すなわち、順次手前の人へ、一つずつ巻き もどすのです。所持人は、自分の前の裏書き人へ、その手形の支払 いを請求します。その裏書き人は裏書きしたことの責任として、支 払いを強制されます。こうして、裏書き人は、裏書きをしたことの 責任として、直後の人に限らず、自分以降の所持人全員に対して、 手形金の支払いを実施することになります。支払うことで、手形を 請戻し、その手形で、自分より前の裏書き人に、請求することがで きます。こうして、順次手形発行人まで、巻き戻しとなるのです。  

 このように裏書きとは、手形の移転とともに、自分以降の人に、 手形金額の支払いを保障し、その支払いを担保するものです。  
 ここから、「裏判」などといって、保証のように考えているので す。  



186 手形と倒産

 手形は、転々流通するもので、いったん発行されると、それがど こへ行くかはわからないものです。従って、支払期日に全額を用意 して待っておれば良いのですが、倒産ともなると、それができない ので、問題を生ずることになります。  

 倒産の事態とは、一部の支払いが不能となった時のことを言いま すが、この事態は大変流動的で、何が起こるかわかりません。また、 原則として民事事件ですから、警察も事件にならない限り身辺警護 などしてくれません。    

 手形は、こうした事態の時には、いち早く回収しないと困難が生 じます。というのは、こういう時の手形は、まったく価値がないは ずなのですが、或る特定の人には役に立つもののようです。  
 すなわち、この手形があることで、債権者になり、正当な地位を 取得するので、それをたてにして会社に乗り込んで商品を引き上げ たり、機械類を持ち出すことが事実上できるからです。さらには、 駆け込みで土地の担保を取るなどしたり、社長の実印、権利書など 重要書類を預かるなど、強硬手段に走ることもあります。遂には、 社長の身柄を確保して、脅迫をするなど、違法行為を繰り返すこと もあります。  

 ほとんど無料で手に入れた手形で、多くの利益を手に入れるとい うことで、暴利をむさぼり、破産の処理が妨害されるのです。また、 任意整理で解決して、債権可能な場合にも、それが不可能になるこ とがあります。  
 こうして、転々流通する手形がある時は、再建、整理が困難にな ります。



187 手形用語の解説

 手形には専門用語や、隠語のたぐいがありますので、ごく簡単に 解説しておきましょう。

1 手形のジャンプ   
 手形の支払期日がくるが、その日までに決済資金を用意できな  い時、現在の手形の所持人に対して、手形の支払期日の変更を頼  むこと。変更が得きれば、その日に手形の不渡りを出さずにすむので、不渡り回避の最終手段とされる。   
 方法は、あたらしい手形の差し入れと、手形自体の支払期日の訂正という二つの方法がある。しかし、裏書き人への償還請求権の保全の観点から問題が多いもの。

2 預手   
 預金小切手のこと。不動産取り引きなどで大金代わりに利用されるもの。現金とまったく同様な評価を受けている唯一のもの。   
 これは、銀行にあらかじめ現金を預金して、その銀行が振り出す、銀行名発行の小切手です。それ以外の金融機関の発行のものは預手とは言いません。

3 二号不渡り   
 通常の不渡りは、資金不足、取り引きなしという理由で不渡りになるもので、不渡り報告の後、銀行取り引き停止処分があるものです。   
 これに対し、手形の偽造、盗難、詐取、契約不履行など、正当な理由による、対抗手段としての不払いがあります。この場合は、 不払いに理由があるとも考えられるので、手形金額と同額の預託金を積み立てて、異議を申し立てることによって、銀行取り引き  停止処分は行われず、事故の解消を待つことになります。この、事故手形による預託を行った上での不渡りを言います。

4 見せ手形   
 融通手形と同様の機能を持ちます。単に、他人に見せるために化したり、借りたりするための手形です。見せるためのものです。   
 ところが、現実には、見せただけではとどまらず、流通してしまうので、法律上困難な問題が生じます。   
 融通手形というのは、一時的な資金の融通に使うという目的で、使う手形で、資金の決済ではなく、貸し付けの意味を持つものです。

5 裏判   
 裏書きのことを言うことが多いようです。裏書きは、単に手形の移転を示すのではなく、裏書きをした人間がその手形の支払いを保障する問いう意思表示であって、支払いの保証なので、裏の保証と言った意味に使われます。