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よくある”問答”もんどう・・・−18−



176 入社契約と実際が違う
177 二年契約が一年で解雇
178 会社の倒産の危険
179 会社を止めて、他で働けるか
180 役員などの対立業者への就職
181 セクハラへの対抗


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176 入社契約と実際が違う

 会社に入社する際には、契約書を作成することになっています。そし て、少なくとも、給与、賞与、その他厚生福利の関係は、書面で確認が なされます。  
 ただ、中小零細企業では、明確な書面での確認ではなく、口頭の説明 があるだけで、その内容も、いいかげんなこともあるようです。  
 しかし法律ははっきりと、賃金に関する事項は労働者に明示する必要 があるとし(労働基準法第15条)、これを受けた労働基準法施行規則 5条2項により、書面の交付による明示が義務づけられています。  

 こうして、労働条件の明示、書面による特定は必ずなされなければな らず、これに反する行為は、労働基準監督署によって、監督、指導され ることになります。    

 賃金は、我が国の通貨によって、全額が直接支給されなければなりま せん(同24条)。銀行振込や、何らかの経費の控除は、過半数の労働 者を代表する組合もしくは代表者との書面による協定が必要です。  

 入社の契約に違反して、約定の給料がなされず、一方的に給料を減額 される等の待遇を受けるということは、こうした賃金の支払いの規定に 反する違法なもので、到底許されるものではありません。こうした賃金 の紛争に関しても、労動基準監督署の指導、監督を受けますので、違反 行為に関しては直ちに申し立てを行い、調査してもらうようにすべきで しょう。  



177 二年契約が一年で解雇

 労働契約の内容は、労働基準法に従うことになります。労働基準 法に反する部分は、いかに定めようと労働基準法が優先的に適用と なり、これに反する部分は、無効になります(労働気基準法13条)。  

 労働契約の期間に関しては、次のように定められています。  
「 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完   了に必要な期間を定めるもののほかは、1年を超える期間について締結してはならない。」  
 との明文を置いており、労働契約の期間は、原則として1年を超 えてはならないとされています。  

 こうして、各雇用契約においては、2年契約、5年契約など様々 な定め方がありますが、問題になった時はすべて、原則どおり1年 の雇用となり、それ以降は期間の定めのない契約になるとされます。  
 大学の講師の2年契約を、労働基準法第13条、14条の規定に より、期間は1年に短縮され、そのごは期間の定めのない雇用契約 として継続されていたと認定した判例があります(札幌高等裁判所 昭和56年7月16日)。  

 こうして、労働基準法による定めがある以上、これに反する定め は有効とはならないのです。



178 会社の倒産の危険

 不況が長引きますと、あちこちの職場にも大きな影響が波及しま す。自分の働いている会社自体にも倒産の危機が迫ることもあるで しょう。倒産時に、もっとも深刻な打撃を受けるのが、労働者です。  
 従って、労働者としては、こうした不況下には、倒産の危険をあ る程度想定した準備を整えるような努力が必要でしょう。  

 会社の倒産というのは、ある日突然やってくるものです。資金繰 りが行き詰まって、手形の不渡りが出るというのがもっとも一般的 な倒産の始まりです。    

 労働者が自己の権利を守るために、その事態をできるだけ早く知 り、具体的な対策を取ることができれば、これにこしたことはあり ません。こうした兆候が見えるというのはなかなかないのですが、 十分注意しましょう。    

 まず、仕事量の低下とか、注文の減少という事態が想定されます。
 売り上げの減少もあるかもしれません。会社の内部での、実際の 生産調整や、残業の減少といった状況は、黄色信号でしょう。  次に、出向の増加、希望退職、解雇の増加、アルバイトの大量採 用と社員の解雇の進行、役員の減少、新入社員の減少など、人員面 での締め付けも、黄色信号でしょう。  給料の支払いの面で、遅配、欠配が始まると、もう赤信号でしょ う。危機的状況がきているということです。回復は相当困難な状況 でしょう。  
 役員が銀行周りばかり始めたり、頻繁に出歩くようになれば、資 金ぐりの困難に直面していると読めます。  

 さて、会社が困難な状況になっている時は、労働債権を守る手段 を検討することです。労働組合があるならば、組合での対応を考え るべきでしょう。組合のない時は、そうした状況を共通の認識とで きれば、会社側と協議にはいり、対策を検討すべきでしょう。  
 最悪の場合には、工場の封鎖、労働の確保、仕事の継続など、会 社の倒産に対応できる体制が取れるのであれば、労働債権を守り、 仕事も守ることができるでしょう。



179 会社を止めて、他で働けるか

 労働者は、ある仕事をしていて、その仕事を退職して他の職業に、 あるいは同様の仕事に就くことができます。このように、労働者は労働基本権を持ち、どこでどのように働くのも自由とされています。  

 ところが、これには、きわめて例外的な、制限が加えられています。たとえば、当該職種について、高度の技術的な秘密があり、そ の秘密を体得した職員が、対立業者の同様の開発に携わったりしま すと、企業の秘密が社外に流出し、対立業者は開発費をかけずに、 社員を引き抜くことで、その秘密を手に入れるということになりま す。これは、とても、適正な競争とはいえません。引き抜き自体が 企業秘密の侵害、盗取に等しいものと評価されます。これは、不正 競争行為として違法とされます(不正競争防止法第2条以下)。    

 こうした企業秘密の防御の観点から、就業規則や労働契約上、特別な規定が加えられることがあります。  
 一般に協業禁止規定、競業制限規定と呼ばれるものです。これは、 ある特殊の職種に就き、その職種が高度な企業秘密に属するものを 有し、その秘密に対き「秘密保護義務」があり、「秘密保護に関す る特別手当て」のようなものが支給され、かつ退職後、一定期間同 種の事業に就職しないことに関する労働制限の対価としての特別の 報酬の支給、といった規定が用意されている場合、きわめて制限的 に、他業種への就職を制限されることがあります。  

 こうした厳格な要件にもかかわらず、一般には、かなり広範囲に わたって、同様の制限が加えられていますが、それは違法であり、 無効です。こうした制限はあくまで、例外規定ですから、厳格に制 限されなければなりません。



180 役員などの対立業者への就職

 企業の高度の業務上の秘密を持ったものが、会社を突然辞めて、 対立業者に就職して、業務を再開するということは、当該企業の 業務上の秘密を持ち出して、対立業者に利用させる危険があり、 極めて危険な行為です。  

 現実に、企業の重要な業務上の秘密を持ったまま会社を退職し て、他の対立企業などの就職した場合などは、大きく分けて二つ の対応策があります。    

 まず第一は、就業の禁止、差し止め行為です。  
 これは、企業秘密を利用されてしまったのでは手遅れで、とり 返しがつきませんので、当該役員などの再就職先での就業、業務 の開始を止めを請求することができます(不正競争防止法第2条、 第3条)。これは、緊急の保全処分としての、仮処分という方法 で行うことができます。数回の審尋を行い、理由と必要性、緊急 性が認められれば、認められ差し止めを行うことができます。  
 このほか、本案請求として、損害賠償請求とともに、行うこと ができます。  

 第二は、事後救済方法です。  
 これは、実際の損害の発生に対して、損害賠償と、名誉回復の 措置を取ることを求めることです(同4条以下)。当該損害が、 対立業者も関与して、拡大した時はその業者にも請求することが できます。 



181 セクハラへの対抗

 職場での性的な嫌がらせが行われた場合、これまではきちんとし た対処がなされていませんでした。我が国独特の、男尊女卑思想や 女性差別、閉鎖的な労働条件など、セクシャルハラスメント(性的 嫌がらせ)が横行していました。  
 いまだに、忘年会や、新年会や様々な会合においては、お酒の勢 いに乗って性的な嫌がらせが横行しているようです。   

 こうしたセクハラに対しては、毅然たる態度をもって対応する必 要があります。セクハラを許すような、あいまいにするような、また時には喜んでいるような対応をするケースが見えます。こうした あいまいな対処を取ることで、セクハラを助長することにもなりま す。まずは、セクハラを許さない、はっきりと厳しく指摘すること が第一です。  

 さて、セクハラに対しては、二つの側面で、責任が問題になりま す。行為者個人の問題と、会社という場所、勤務時間中ということ、 あるいは、仕事の上下関係を利用した場合であっても、雇用・勤務 関係を利用しているのは明らかなので、会社の管理責任というもの が当然問題になります。会社にたいしても毅然たる態度を取ること が必要です。  
  まず、セクハラの事実を特定して、管理責任者に対し、的確なる処分を行うように請求します。企業、職場としてそうしたセクハラ という「違法行為」を禁止して、再発防止をする必要があります。  
 それでも、はっきりしない、禁止されない時は、そのセクハラ行 為を裁判に訴えて、事実関係を公にした上で、個人と、会社にたい して、財産的な損害賠償を要求して下さい。  
 すでに、個人だけではなく、会社の管理責任を認める勝訴例が多 くでいますので、裁判の道は開かれているといえます。