親子 扶養義務 養育 法律相談


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よくある”問答”もんどう・・・−16−



151 子供の勘当
152 子供の補導
153 養子縁組み
154 養子の離縁
155 未婚の母の法律問題
156 離婚と子の親権
157 親権と監護権
158 親権者変更の申し立て
159 子の親に代わって祖父母が親権を持ちうるか
160 子の養育費
161 親の扶養
162 死亡した長男の嫁の扶養義務の有無
163  扶養義務の範囲

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151 子供の勘当

 子供の非行を原因とする「勘当」と言うものは現在は存在しませ ん。この制度は、我が国では江戸時代に、親が懲戒のために、子供 を放逐して、親族関係を断絶することを言ったようです。
  この行為は、役所に申し出でて、公的に登録しなければならない とされていました。そしてその法的な効果は、親族関係の消滅、相 続権の消滅と言うことでした。

 さて、これに似た制度としては、相続人排除の制度があります。
  遺留分を有する推定相続人(配偶者、子、孫など)が、被相続人 である親などに対して、虐待をしたり、重大な侮辱をおこなったり 又は著しい非行があった時、被相続人はあらかじめ、家庭裁判所に 推定相続人の廃除を請求することができるものとされています(民 法第892条)。

 このように、財産を残さないと言う方法としてのものはあります が、親族関係は戸籍上の科学的な関係を示すものですから、血縁関 係にあるものを勝手に切ったりすることはできません。

 勘当したいなどと言うことは、時代劇ならばともかく、現在では ありませんので、しっかりと教育に専念するようにしなければなり ません。



152 子供の補導

 子供が警察などに補導された場合、親としては大変驚き、気が動 転したり、感情的になったりして、冷静に対処できないことがほと んどであす。

 子供の補導は、問題の最初の端緒ですから、慎重に、冷静に対処 しなければなりません。問題点を明らかにする必要もあります。

 まず、警察等から連絡があった場合の対処から考えましょう。

1 警察から補導した旨の電話があった時は、直ちに親が自ら出頭するのが良いでしょう。電話で済まそうとか、そのうち何とかなるなどと言った無責任な対応では、親の監督状態も疑われます。きちんと対応できる体制があることをきちんと証明する意味においても、自ら説明を聞きにいくのが本則のはずです。  

2 補導に当たった警察官から、詳しい事情を聞きます。何かの事件に巻き込まれたのか、どういう状況で補導されたのか、第三者に被害があるのか、損害の程度はどの程度か、などを丁寧に聞きます。この会話のなかで、非行の全貌を明確にしましょう。警察官の意見も良く聞き、疑問をはっきりさせ、子供の行動内容をできるだけ正確に把握しましょう。  

3 子供の性格や、生活状況に関する端的な説明をします。わかってほしいばかりに、細細としたことをくどくど述べる必要はありません。子供の行動を理解する上で、どうしてその様な行動を行ったのか、日ごろの生活内容、生活態度、行動様式などで切るだけ正確に、愛情を持って説明しましょう。過大評価もおかしいでしょうし、かといって、変に厳しく表現するのもの誤解のもとです。警察官も親の言葉の中から子供の性格をつかもうとしているので、ひどいレッテルをはられない様に、慎重な言葉を選んで、正しく説明しましょう。  

4 被害の弁償や、示談交渉、被害を受けた方へのお詫びなど、どんどん進めましょう。親の解決能力を示す時であり、対処能力の見せ所です。被害弁償は一日も早く、できれば被害者に感じ良くしてもらえるくらいに丁寧に対処しましょう。  

5 最後に、全体を通して、おどおどせず、我が子を信じてあげるべきであり、その姿勢を一貫させられれば最も良いでしょう。
  しっかりと教育してきたので、誤りはないと言う立場であると同時に、謙虚に事実を受け入れられるように努力しましょう。



153 養子縁組み

 養子縁組には、一般の養子縁組と、特別養子縁組みと言うものと があります。前者は、一般にこれまでいわれてきた養子ですが、特 別養子縁組みとは、実の親との親子関係を切断すると言う特別なも ので、実の子として育てることが子の成長・教育上の観点から望ま しいと言う判断で特別に設けられてものです。

 一般の養子縁組みには、未成年者養子と成人の養子とがあります。
  未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可が必要です(民法 798条)。又、養子縁組みは、そもそも養子となるものが承諾し なければなりませんが、養子になるものが15歳未満のものの場合 にはその実の親など法定代理人が子に代わって承諾する方法も認め られています。

 特別の養子縁組みは家庭裁判所に対して、特別養子縁組み申立書 を作成して、提出する必要があります(同817条の2)。
  この、特別養子縁組みと言うのは実方の血族との親族関係が終了 するのもなので、次の厳格な要件を充たさなければなりません。  

1 養親は配偶者のあるもので、その両方が養親となること  
2 養親は1方が25歳以上、他方も20歳以上であること  
3 養子となるものが6歳未満  
4 実親の同意があること、あるいは実親による虐待などがあり子の利益のため必要と判断される時

 こうした条件が整っているここと、試験養育・監護の期間として 6ヶ月間養子と養親との監護養育状況を報告しなければならないこ とになっています。本当に親子としてやっていけるかどうかと言う ことです。

 こうした要件のもとで、申立が認められると、初めて実の親子と なることができます。これに伴い、戸籍の届け出など、所定の手続 きを行い、戸籍上の親子関係を整備することになります。    


154 養子の離縁

 養子を迎えたものの養子との関係がうまく行かないと言う場合に は、養子縁組みの解消、すなわち離縁ができます。

 これは、基本的には、親子関係の解消ですが、夫婦関係の解消で ある離婚と大変良く似ています。協議離縁と、裁判上の離縁があり ます。  

 協議離縁は、養親と養子との協議を行って、協議が整えば成立し ます(民法第811条)。この協議は、養子が15歳未満である時 はその離縁は、養親と、離縁後法定代理人になるべき者(実親など) との協議で行うものとされています(同2項)。  

 協議の離縁が整わない時は、家庭裁判所に協議に代わる審判を求 めることができます。その申請は、養親の方からもできますが、養 子の実親からも請求できます(同4項)。

 これ以外に、裁判上の離縁があります。離縁原因が制限されてい ます。  

1 他の一方から悪意で遺棄されたこと  
2 他の一方の生死が3年間不明であること  
3 その他縁組みを継続しがたい重大な事由があること
  こうした事由があると、養親、養子のいずれからでも離縁の訴え を行う事ができるとされています(同814条)。
  この場合、養子が15歳未満の時は離縁後その子の法定代理人に なるものから、あるいは、同人を相手に訴えを提起できることにな っています(同815条)。    



155 未婚の母の法律問題

 未婚のままで子を産むことは、様々な法律関係を生むことになります。
 子は、婚姻関係のもとで産まれると言うのが、民法が基本の形として いるものですからその場合は、きわめて単純に処理されます。しかし、 未婚の場合には、その子の父親をどのように定めるかを明確にする方法 を詳細を定めています。

 父親が、戸籍を同じくしていない女性との間で産んだ子を婚外子等と 呼ぶことがあります。こうして、婚姻中の子と差を設けることは平等の 観点から問題があると言われています。
  父親は、みずからこの子を「認知」することができます(民法779 条)。父親が認知すると、認知の効力は出生の時にさかのぼり、生まれ たときからその父親の子となります。

 父親が認知しない時は、その父親に対して、「認知の訴え」を行うこ とができます。この訴えは、その父・母の死亡後3年を経過するまでは 行うことができます。

 この争いは、男女関係に根ざすものなので、家庭裁判所で当事者の話 し合いを行うべきものとされ、まず、調停を行う必要があります(調停 前置主義)。
  従って、当事者が本件の訴訟を起こしても、まず家庭裁判所の調停に 付すことになっています(家事審判法第18条2項)。  

 こうして、認知の調停をおこない、調停の成立においては調停にかわ る審判を行うことになっています。
  合意が成立しないで不調に終わった時、審判に異議を申し立てた時は 審判が失効して、訴訟が可能となります。これ以降は、訴訟として審理 することが可能となるわけです。  

 こうして、父を明確にしておく必要性は、この教育費や、進学の費用 の負担、子が病気した時の治療費など、養育費用の問題にとって大変重 要です。
  また、相続権があるかどうかの基準になりますので、この観点からも 重要です。
  反対に、子に対して父親は、自分が老齢になった際に、扶養請求をす ることができると言う関係も生じてきます。
  こうして様々な関係があります。



156 離婚と子の親権

 離婚に際して、子をどちらが養育するか、子の親権をどのように するかは大変重要な問題です。  

 まず、離婚は、両親との間の血族関係、親子関係には影響を及ぼ しません。常に、実親子の関係であることには、まったく変わるこ とがありません。
  従って、養育義務は、いずれもが負担しますので、どちらかの負 担が軽くなるとか、重くなるとかと言うことはありません。

 問題は、現実に子供の教育監護を行うものは誰か、すなわち、親 としての権限行使はどちらが行うか、と言うことです。親権がある と言うことは、教育監護権、その他子の法定代理権を持つなど、多 くの権限と責任を持つことになります。

 さて、離婚に際するこの親権者を定める裁判では、母親が親権を 取ることがどうしても多いようです。これは、子が小さい時は特に そうですが、子の安定的な教育、成長には母親の母性がどうしても 必要とされ、裁判所の判断も母親の教育に関する地位を重視してい ます。  

 従って、親権の争いについては、この教育観後と言うものを中心 に、どちらがどれだけこの教育、監護に適しているのかと言う点を 中心に検討することになります。   



157 親権と監護権

 親権とは未成年の子に対して、この教育監護を行う権利、義務、 子の居所指定権、子に対する懲戒権、子の職業許可権、この財産 管理権などを有するとされています(民法第820条以下)。

 こうした広範な権利の総体を、親権とよびます。

 これに対して、離婚の際、子の「監護」をすべき者、その他監 護に必要な事項を定めることになっています(同766条)。
 これは、本来は親権の大変重要な要素ですが、特に監護権とし て幼少の子の保護、監護の観点から必要とされたものです。  

 離婚の条件として、親権を主張して譲らない場合に、離婚と同 時に監護権を定めるものとして、親権を一方に、他方が監護権を 持つと言う定めが可能になっています。

 こうすることで、現実の教育監護権を母親に残しておいて、親 権者としてのその他の権限と義務を夫の方が取るということが可 能になるわけです。

 この決定も、事情が変化する中で、親権とともに変更可能なも のですから、固定的に考える必要はないはずです。



158 親権者変更の申し立て

 離婚に際して子の親権者をいずれか一方に定める必要があります。
  しかし、長い期間の経過で、事情の変化、状況の変化が生ずるこ とがあります。その変化が激しい時、期待通りの監護教育、懲戒な どをしない時は、親権を持たない方の実親は、親権者の変更の請求 をすることができます。
  また、そこまでにならない時でも、この教育監護の実施の上で、 便宜がある時は変更申請が可能です。離婚の際、監護権を取得した 者が、さらに教育監護の観点から、親権を求めると言う場合がこれ に当たります(民法第819条6項)。

 民法は、父または母が親権を濫用し、又は著しく不行跡である時 には、この親族、又は検察官の申請によって、親権の喪失を宣告す ることができることになっています(同834条)

 多くの場合、現実には、親権の変更の審判申し立てと言う方法を 取ることになります(家事審判法9条1乙7)。
  この申し立てによって、どのように変更するのが良いのか、変更 しないほうが良いのか、慎重に検討することになります。     



159 子の親に代わって祖父母が親権を持ちうるか

 子の親権(教育監護権、懲戒権、居所指定権、法定代理権など) は、本来子の父母がこれを有し、その義務を負います(民法第8 18条)。
  従って、この親権は本来的にその子の親が行使するものです。  

 これに関しては、親権を行使するものの子が更に子がいる時に は、そのこの親権を本来の親に代わって、親権行使者が代行する と言う規定があります。要するに、自分の子が、未成年者である が、その未成年の子が子を持っている時は、祖父母に当たる親権 者が未成年者に代わって、親権を行使すると言うものです(民法 第833条)。

 問題は、成人した親がいながら、その親が、その親が的確に親 権を行使しない場合に、その親の親、すなわちこの祖父母が、そ の親に代わって親権行使をできるかと言うことです。  

 民法の規定に従えば、子の親の親権の行使が不適切である時は、 親権の喪失と言う宣言を行うほかなく、それでも、祖父母が親権 者となるわけではなく、後見の開始となるだけです(民法第84 2条)。
  もっとも単純な方法は、子と、その祖父母との間で、養子縁組 みができれば、祖父母は当然に親権者になるわけです。この方法 が祖父母が親権者になる方法でしょう。   



160 子の養育費

 子の養育の義務は、父母に平等にあります。親権者でないものに も、血族であって、親である以上、当然に養育の義務があります。
  この義務は、親子である以上、親権の有無に関係することなく、 子が成人するか、養育期間が終了するまでの間、当然に続くことに なります。

 また、この養育に関する費用などの請求権は、あくまでも子の固 有の権利ですから、子の権利として尊重し、守らなければなりませ ん。現実には、母親が行使するなり、法定代理人が行使することに なりますが、あくまでも子の権利であるので、間違えない様にしな ければなりません。

 養育費は当然に生じますので、まずは相手方に請求して、支払う ように求めることです。ところが、金額が定まらないなど、争う場 合には、家事調停で、扶養請求を行い、扶養料の決定を行わなけれ ばなりません。この決定により、具体的な金額が決まるわけです。

 この養育費を支払わないと言うことは、明らかな怠慢であり、違 法行為です。裁判所を通して請求し、取りたてることができます。  

 取りたては、この扶養料の決定に基づいて、支払請求を行い、も しこれに応じなければ、強制執行することもできます。過去の不払 い分も含めて、不払い全額について請求することができます。

 こうした裁判の費用がなければ、法律扶助協会で費用の立て替え もしていますので、相談するのも良いでしょう。 



161 親の扶養

 親の扶養は、子供たちの法的な義務です。子は、親を扶養する義 務があるのです(民法第877条)。ここから、もっとも近親の者 である子の義務が認められるのです。

 兄弟姉妹がいれば、基本的にはみな平等に扶養義務があります。
  ただし、扶養の順番を定めることもでき、その扶養の程度、扶養 の方法についても協議することが望ましいのです。

 ところが、扶養の順位や、扶養の内容、方法について協議が整わ ない時は家庭裁判所が、各人の資力その他一切の事情を考慮して、 それらを決定することになります(民法第879条)。
  家庭裁判所は、様々な事情を考慮しますが、基本的には、同居す るもの、もっぱら費用を負担するものといった分担をするようで、 それ以外の分担方法は現実的ではありません。資力あるものは資力 を出すと言うことが原則であるとともに、親の生活をどのように安 定させるかと言うことも同時に考えるわけです。

 ある子供が一人で負担してきたが、なぜ他の兄弟が負担しないの か、多少は負担して欲しいと思っても、これを拒否した時などは、 その負担を分担するために、扶養権利者を参加させつつも、それま で扶養をしてきた子供が申立人になって、他の兄弟を相手方にして 扶養の調停を申し立てることができます。  



162 死亡した長男の嫁の扶養義務の有無

 長男が死亡した後、長男の嫁が年老いた老父母の面倒を見ると言うも のが良くあります。他の兄弟は、何もしないと言った不均衡も出ていま す。さて、長男の嫁に扶養義務はあるのでしょうか。

 扶養義務は、直系血族および兄弟姉妹の扶養義務が規定されています。
  直系血族とは、正に血の繋がった肉親と言う意味です。親族と言って も婚姻によってむすばれた姻族は含みません。従って、この規定によっ ては、長男の嫁は、姻族ではあっても、血族ではないので、扶養義務は ないことになります。

 ただ、老父母に他の子供、次男、三男、あるいは長女、次女と言った 子供たち、あるいは老父母自身の兄弟姉妹があるのであれば、その人た ちが、扶養義務を負います。
  この範囲は、不思議に相続人の範囲に一致しています。相続財産をも らう以上はきちんと養育せよと言うことでしょうか。

 また、長男の嫁に、子がいる時、その子は老父母の関係では孫にあた ります。従って、直系の血族ですから、孫には老父母の扶養義務がある わけですから、その義務を長安の嫁が尽くしてくれていると理解するこ ともできます。

 ただ、扶養義務ではありませんが、民法には同居の親族相互間には互 助義務があるという規定があり、ここでは、広く「同居の親族」として いますので、ここには長男の嫁が入ることになります。
  また、きわめて例外ですが、家庭裁判所が特に必要として場合には、 三親等の親族が扶養義務者となると言う規定がありますので、例外的な ケースでは義務者となる可能性もあります(民法第877条2項)。

 この観点で、互助義務と言うものはあると言えます。
 いずれにしても、長男の嫁は、相続権もない代わりに、扶養義務もな いわけですから、過度に負担をかけるのは問題なのではないでしょうか。



163  扶養義務の範囲

扶養義務がある範囲と言うのは、まず、

1 直系血族
2 兄弟姉妹
と定められています(民法代第877条1項)。 

 この範囲は、血の繋がった親族、直系ですから、当該扶養を必要と している人の直系尊属(親、祖父母)、直系卑属(子、孫)が入りま す。次に、傍系血族そのものではなく、本人の兄弟姉妹(二親等の範 囲)について扶養義務があるとしています。

 つぎに、家庭裁判所は、必要とする特別の事情がある時は「三親等 の親族間」においても扶養の義務を負わせることができるとします。
  三親等の親族間と言うのはかなり広くなります。  

1 配偶者  
2 3親等の血族(曾祖父母、祖父母、親、本人、子、孫、曾孫、以上直系。
  傍系では兄弟姉妹、従兄弟、叔父、叔母、姪、甥など、相当広い範囲まで入ります。)  
3 3親等の姻族(前同)

 ここまできますと大変広範囲に扶養義務者が出てきます。しかし、 これは、家庭裁判所が特に必要として人がこの範囲に入っていればそ の人を義務者とすると言うだけで、この範囲の人がすべて義務者と言 うわけではありません。  

 この範囲での、扶養の順序など、協議が整わない時は家庭裁判所で 決めることになります。