賃貸借 賃貸借契約 賃料 法律相談


法律相談形式

よくある”問答”もんどう・・−10−



94 賃貸マンションの賃貸借契約
95 賃貸マンションの修理
96 家賃の値上げについて
97 マンションの立て替えと、立ち退き
98 賃貸マンションの更新拒絶
99 敷金返還請求権はないのか
100 賃料を支払ってくれない
101 紛争中の賃料の支払い
102 中古マンションと地震倒壊


「もんどう」目次へ戻る

トップページへ





94 賃貸マンションの賃貸借契約

 不動産賃貸借契約書は、自宅の一間を貸すような貸間契約から、 アパートの貸間、貸家契約、マンションの賃貸など、様々な形態が あります。
  一般には、周旋屋さんと呼ばれる町場の不動産業の方が中に入っ て、仲介契約を行い、入居者の斡旋から、契約、多少の管理、契約 の更新、家賃の催促などしているようです。
  そこで利用される賃貸借契約の雛形は、昔から利用されていた、 定式化された契約書で、かなり古いものが多いでしょう。中には、 問題になるような規定が含まれているものもあります。契約時に良 く読むことが必要です。
  最近では、多くの仲介業者が「標準契約書」を利用するようにな りました。

 この標準契約書は、改正された新借家法下でも使えるように整備 され、従前の更新契約の他、新契約にも使えるものになっています ので、最新のものとして大変参考になります。
  またこの標準契約書は、建設大臣の諮問に従って、住宅宅地審議 会が作成、答申したものであって、民間賃貸受託の標準契約書の雛 形として普及させる目的で、公表されたものです。
  民間賃貸住宅は、全住宅の4分の1を占め、その規模が極めて大 きい上、契約を巡る紛争が少なからず発生し、その一つの原因が、 現在利用されている契約書の不合理な部分や、意味不明な部分によ るものであることも、明らかなため、この標準契約書を作成するこ とになったとのことです。

 この標準契約書は、法律の書式集には当然登載されていますし、 本屋でも関係書籍には収録されているでしょう。また、建設省住宅 宅地審議会の作成したものが、すぐに使える契約書として、日本法 令から出ていますので、文房具用品店で購入して、活用してくださ い。

 賃貸マンションの場合の特色としては、日常生活上に関わる問題、 たとえば、階上の騒音、ピアノや楽器などの騒音、深夜の安全状況、 ごみの処理や回収、駐車場の管理、利用問題といったこと。
  管理組合の活動、とくにマンションの運営や、管理上の問題や管 理費滞納者の処理の問題など、団体的な作業の問題があります。
  契約の更新、途中解約、退去時の敷金の清算問題などなど、多く の未解決の課題があります。

 こうした問題について、契約時にきちんと考えて、自分なりの意 見を持って、仲介人や、家主、貸し主と相談する必要があります。
  一般には、仲介人が、主導権を持って処理に当たるようですから、 仲介人との意思の疎通をかかさないように、注意しましょう。



95 賃貸マンションの修理

賃貸マンションに住んでいて困ることは数々あると思われます が、どのような処理をしていいか困ることが生じます。

 マンションの内部の小さな修理は、契約上賃借人の義務になっ ているようです。絨毯がはがれたとか、壁紙がはがれた、ガラス が割れた、換気扇が壊れた、ドアの鍵が壊れたなど、日常生活上 頻繁に起こるような問題は、賃借人のほうで直していいことにな ります。ただ、大きな範囲にわたるもの、費用がかさむものなど は、事前に賃貸人に通知して、事前の了解は取っておいたほうが 無難です。その際、修理費用の分担や、支払方法などについて、 話し合いができるといいでしょう。

 さて、大きな問題として、水周りの修理の問題があります。  生活上大変重要で、欠く事ができませんし、しかし同時にかな り大掛かりで、費用もかさむことが多いものです。
  水があふれたりとか、詰まって流れない、漏れている、といっ た場合、次にように処理しましょう。

 まず、原因をはっきりさせることです。専門の業者に頼んで、 原因を見てもらいましょう。その原因が、賃借人の利用方法によ るもの、たとえば、大きなものを流すので、パイプが詰まるとい った場合は当然賃借人の責任ですから、自分の費用と責任で処理 しなければなりません。
  しかし、原因が、パイプの老朽化とか、接続の不備、錆付きな どといった場合は、水周り自体の交換や修繕が必要になります。

 こうした場合は、かってに直さないで、直ちに管理人、仲介人、 賃貸人に連絡する必要がります。というのは、賃貸マンションは あくまでも、賃貸人のものですから、どのように処理するか、修 繕をするのか、それとも交換するのか、応急措置で済ませるのか、 すべての判断は賃貸人がするからです。

 こうした水漏れで、家具や洋服などが被害にあったという時は、 話し合いで賃貸人に負担してもらう範囲を決めたりします。原因 が、どちらにあるかわからない時は、折半など、交渉によってき めます。

 水周りの改修などで、大幅な工事が必要な時は、契約の解除に なることもあります。これは、賃貸人にとっても賃借人にとって も大変な苦痛ですが、修繕の必要がある以上、どうしようもあり ません。いったん契約は、合意解約になります。その際、敷金な どは基本的に変換されますが、部屋の利用方法に問題があれば、 通常どおりに清算されることになるでしょう。



96 家賃の値上げについて

 平成8年現在は、家賃が下がったままの状態で、動く気配があ りません。依然は大変高かったところでも、地下の急落に伴って、 次第に下げられ、特に新築の賃貸物件などでは、かなり優遇され た条件で、賃貸借契約が締結されています。

 こうした中で、部分的に賃料の値上げがあるという話しがあり ます。地価の上昇もないのに、何か不思議な感じがします。一般 的には、考えづらいことです。現在の標準的な賃料は、横ばいと いったところのようです。

 さて、こうした中での賃料の値上げは、どのように評価される べきでしょうか。まず、ありえないかを考えますと、可能性とし ては、次のような場合には考えられます。賃貸物件も、売買物件 も、その時点での需要と供給が値を左右することがあります。し たがって、都心や、新興開発地のような賃貸物件が供給過剰気味 のところでは、現在でも、若干ながら下降気味です。
  これに対し、中堅の都市などで、特別賃貸マンショウンの供給 が過剰でもなく、安定した推移を見せているところは、賃貸人の ほうが強気に若干の値上げを求めることもあるようです。新しい 物件も多くはなく、賃貸物件が増えないという状況では、賃料は 時代とともに、じりじりと増え続けるものです。

 このように、地域の特徴によっては、例外的ですが、むしろ上 昇傾向もありますので、そのことだけで、違法とか、供託とかい っていても始まらないでしょう。
  ただ、こうした経済状況、すなわち一般的な景気回復がなされ ておらず、給料が増えない、ボーナスも多くは増加しないという 中では、極端な値上げは許されないでしょう。
  従前よりも、1割も2割も値上げするというのは論外であり、 また、場所によって、値上げの幅も押さえられなければなりませ ん。こうした判断は、厳密には、鑑定をしなければなりませんが、 賃料で鑑定までするのは抵抗もあります。民事調停などで、話し 合いで検討するのが賢明でしょう。



97 マンションの立て替えと、立ち退き

 マンションの賃貸借をしていて、突然立ち退きを求まられること があります。その理由はさまざまですが、最近になって多くなった のは、立て替えをするということで、立ち退きを求めるものです。
  確かに、最近、賃貸マンショウンの老朽化も目立ち、取り壊して 立て替えるというもの、そこまでいかなくても大規模な修繕という ものが多くなっています。

 大きな地震になった時、耐久性に問題のある建物が多きなってい るのも事実です。20年を超えたマンションは、大きな修繕を必要 としますし、30年40年ともなれば、痛み具合を見て、立て替え も考える必要があります。

 一方、賃借人にしてみれば、きれいなマンションと思って入居し ていますので、立ち退き要求が突然だったりしますと、嫌がらせで しているのではないかと疑問に持つこともあります。現実に、立て 替えもしないのに、立て替えを理由にしているというケースもある と聞きます。

 まず、立て替えを理由にマンションの解約の解約の申し入れがあ ったら、建物の登記簿謄本を見てみましょう。これは誰でもとれま すので、一度とってみてください。その内容を見れば、立て替えが 必要かどうかは、あらかた察しがつきます。その築年数が、たいし たことがなければ、疑ってかかる必要があるかもしれません。そう した事実に基づいて、立ち退きを求める賃貸人に交渉することが必 要でしょう。大きなマンションでは、管理組合で、きちんとした判 断をしていますので、それを聞いてみればいいでしょう。賃借人は 管理組合に参加しないことが多いので、なかなか知りづらいのです が、管理人に問い合わせて、確認してください。



98 賃貸マンションの更新拒絶

 賃貸借契約の更新の際に、更新拒絶に会うことがあるようです。
  こうした事態は大変困ったもので、平成4年の改正になった借地 借家法ではまったく予定していないものです。

 まず、契約の更新の基本を覚えておきましょう。  

1 契約の更新    
  契約の期間の定めがある場合(契約更新が事実上のもので、 契約書によってはっきりと期間が定められていない時は、定めがないということになります)には、契約終了の1年前から6ヶ月前までのあいだに、更新拒絶を通知しなければならないとされています。   
  従って、契約書できちんと期間を決めている場合は、事前の更新拒絶のない限り、突然は出なくていいのです。   
  従って、契約期間中は間違いなくいられます。  

2 更新の拒絶の正当性   
  更新拒絶の通知が常に有効というのではありません。現在でも、正当性は必要とされています(借地借家法第28条)。  

3 契約の解除   
  契約が事実上更新されたが、新たな契約は契約書もなく、期間を定めなかったという時、契約は「期間の定めがないもの」となります。無事更新しても、次回の期間を定めなかった時はやはり、「期間の定めがないもの」になります。   
  この場合は、契約の解約申し入れは、いつでも出来、その通告があると、通告後6ヶ月を経過することで、解約は終了することになります(同法27条)。   
  ただし、旧借家法下の賃貸借契約が存続している場合は、この例ではなく、旧法の規定によります。

 これが、原則です。したがって、契約の更新の際に、解約の告知 があっても、そのことによって、直ちに退去するのではなく、6ヶ 月後までに退去するということになります。
  もし、更新料を支払って、契約を更新する話しで、期間の定めが あれば、その期間が、保証されることになります。



99 敷金返還請求権はないのか

 最近、おかしな事例が増えています。敷金をまったく返さないと いう事態が多発しています。以前には、なかったことです。

 マンションの賃貸が圧倒的になっていることと関係があるかもし れませんが、敷金は、部屋の改装を理由にして、ほとんどその中に 解消されてしまします。

 最初に賃貸借契約をする際、確かに真新しい、部屋になっていた のではないでしょうか。新築のマンションとまったく同じような、 前の居住者の住んでいた痕跡がほとんどない、気持ちの良いもので あったでしょうか。確かに、その後、住むことで、壁を汚し、床を 汚して傷つけてきたはずです。   
  昔のアパートの時代は、そのような汚したまま返還するのが普通 でしたし、何も言われませんでした。畳に焼け焦げを作った時はそ の場所の部分の交換を求められたものです。そして、畳が古くなっ た時は、更新料や、礼金など、一時的に支払うものを充当したもの です。

 現在でも、更新料や、権利金、保証金、礼金などの名目で、一時 金を徴収します。しかし、これらの資金は、多くは、家主の当該賃 貸マンション購入資金の返済に充当されたり、管理会社の経費に消 えてしまったりします。
  その分、改装費が出ませんので、賃借人にしわ寄せが出る結果と なってしまったようです。
  また、昔と違い、改装費用などというものが必要費になってきて います。マンションが、真新しくないと借り手がいないというのも また事実のようです。すると、賃貸人としては、内装をすべて改装 して、きれいにして貸すほかなく、改装費を敷金の中から捻出する という結論になるのです。内装費は、現在ではかなり高額になりま す。数十万というのはどうやら一般的のようです。

 この解決は、契約時の契約書によって、あらかじめ取り決めるこ としかありません。改装費は敷金から出さない、賃貸人の負担とす るという、明文を要求するほかありません。
  逆に、賃貸人のほうでは、敷金はそのまま返すということではな く、改装費を差し引くと明記すべきでしょう。

 このように、契約時点で、終了時の内容を取り決めない限り、円 満な解決は困難です。



100 賃料を支払ってくれない

 賃料は、賃貸借の基本です。
 賃料の不払いがあると、契約の解除に直結しますので、十分注 意する必要があります。  

 逆の立場でいえば、賃貸借の目的が、賃料の収入ですから、賃 料の不払いがあったときは、適切な法的対処が必要となります。
  不払いはしないこと、不払いがあったときは、適切な法的手段 を取ること、これが基本です。

 賃料不払いに対する対処としては、事実上の手段としては、カ ギを変えるということがあります。これは、かなり強力な手段で すが、その効果は高いようです。
  部屋の中に入ると、住居侵入とか、困難な問題になります。居 住者のプライバーシーは大切にしなければなりません。この方法 は、何度いってもわからない時、契約の違反状態が相当に強度で ある時などにかぎられるべきでしょう。

 法的な観点からは、催告、内容証明郵便による督促、支払命令 申立、契約解除・明け渡し請求訴訟といったものがあります。徐 々に、強化して行くことになりますが、一旦支払わないというこ とがありますと、不払いが繰り返されることも多いので、十分注 意を要します。
  不払いがあった時に、回復されたり、問題が解消することはま ず困難と見て、しかるべき手段をとりましょう。滞納は、ほとん どが、一時的なものではなく、収支の計算に無理があって、家賃 の支払いが最後になって、支払えないということが常態のようで す。相当な、決意を持って、対処するほかありません。
  保証人がいれば、保証人に責任を取ってもらうとか、しっかり した保証人をつけてもらうとか、担保を用意してもらうとか、し かるべき手段をとるべきでしょう。

 逆に、借りる側としては、家賃は最低限のものですから、それ すら滞るようであれば、生活自体を検討し直して、十分や賃料が 支払えるような、自分にあったアパートに引っ越す必要がありま す。見栄を張ったり、無理をすると、なけなしのまま、放り出さ れるという事態が起きかねません。



101 紛争中の賃料の支払い
 

 賃貸借関係に関する紛争中というのは、かなりあるものです。賃 料の値上げなどに関するもの、立ち退きに関するもの、契約条件に 関するもの、管理費や、管理規約問題など数限りなくあります。

 こうした紛争に関して、賃借人の側の対抗手段として、賃料の供 託などがあります。賃料の供託は、賃料の金額に争いのある場合が ほとんどですから、常にできるというものではありません。しかし、 争いの中で、どのような事態があっても、賃料を支払わなければな らないので、この供託という方法はどうしても守ってもらはなけれ ばならないものです。

 時々、賃料を支払わないことを対抗手段のように考えている人が いますが、これは大きな間違えです。もしこれを行ったら、簡単に 追い出されてしまいます。  

 賃料支払いは絶対に怠ってはいけません。遅れてもいけません。
  これは、賃借人の最低限度守らなければならない義務ですから、 これを破ってしまったら、もはやなんの言い分けもできません。
  ものを買って使ってしまったのに、お金を払わないのと同じです。

 逆の立場の時は、静かに賃料の不払いを待ちます。不安定な賃借 人の時は、どこかで躓くかもしれません。躓いたら、その時に始め て、賃借人の債務不履行がはっきりするので、自信を持って、契約 を解除するというわけです。
  賃料不払いの債務不履行は、言い訳できないものですから、もっ とも確実な解除原因となっています。

 以上からもお分かりのように、賃料の不払いは、対抗措置として の効果はなく、単に、契約の解除の効果をもたらすだけであること をしっかりと理解してください。



102 中古マンションと地震倒壊

 阪神大震災で、大変多くのマンションが倒壊しました。本当 に、大変な事態でした。マンションも多くが倒壊し、あるいは、 基礎が壊れて、取り壊すほかなかったものも大変多くありまし た。震災後の法律相談を担当させていただきましたが、本当に 大変な事態でした。

 さて、こうした大地震で、一瞬にして、全財産も住む場所も 失ったショックは、想像に余りあるものがあります。世界が消 えた、そんなショックでしょう。

 こうした時、マンションの構造を問題にできるかについてで すが、大変困難なようです。地震のメカニズムもまだまだ解明 は不十分であり、また、詳細なゆれの測定もまだまだできない でしょう。場所によって、大きな差があるとも想像され、どの ような被害生ずるかといった測定もできない状況です。
  高速道路が、ある範囲だけ倒壊しましたが、その構造上の問 題点はいくつか指摘されたものの、きちんとした原因は、特定 できませんでした。

 結局、自然の威力は、計り知れないものがあり、人間の予想 を越えるので、通常のマンションの構造上の欠陥という、客観 予測の範囲内の問題ではないといえます。

 従って、マンションが倒壊するような大型地震の際の、構造 上の問題は、まだまだ解明できないので、原因、責任の追求は まだまだ不可能というほかありません。

 可能なのは、どこも倒壊も、損壊もしていないのに、たった 1件だけ、もろくも倒壊したなどという場合は、問題が出るで しょう。しかし、その前に、古い木造家屋が倒壊するとも思わ れ、なかなか困難ではないでしょうか。地震国日本では、もっ と別の自己防衛の方法が必要に思われます。