建築 設計 法律相談

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よくある”問答”もんどう・・-9-




83 建築契約締結上注意すべき点
84 建築業者の資格
85 設計と建築は区別すべきもの
86 イメージと違うものができた
87 希望どおりの建物を作りたい
88 後で後悔しないために
89 設計のミスと、後始末
90 設計図に反する建築のミス
91 近隣の苦情に対して
92 建築確認が必要な範囲
93 改築と新築の違い、建築確認が必要な改築


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83 建築契約締結上注意すべき点
 

 家を建てたり、マンションを建てたりする時に、建築業者と締結 する契約が、請負という範囲に属するこの契約です。  
 請負とは、ある仕事の完成を約して、完成した仕事に対し報酬と しての対価を払うという契約です(民法第623条以下)。
  ここに言う、ある仕事とは、建物の完成など、定められた仕事の 内容を言います。設計図があって、その設計図に従って、建築する とか、コンピューターの設計仕様書があって、その仕様書に基づい てシステムを構築するなど、あらかじめ設計が決まっていて、その とおりに実行するというものです。

 ところが、往々にして、いい加減な契約で、全部を丸投げする人 がいますし、それを求め、前提としている業者もいます。何もかも お任せというパターンです。
  何をどの様に作るかということについて、設計から、建築、その 他一切を、すべて一つの請負契約書ですませるという、乱暴なこと が日常的に横行しています。

 これは法律家の目から見ても、適正な建築家や設計士、あるいは 建築業者から見ても大変異常なことであり、トラブルの温床なので す。 
  かねてから、建築にまつわる紛争は膨大な量が発生していました。
  戦前戦後を通じて、建築紛争は絶えることがありませんでした。
  昔は、住環境も貧困で、また建てる家もほぼ構造は同じ、間取り も同じというものばかりでした。したがって、荒っぽい図面だけで、 大工さんが、木の板に不思議な図面を引いて、どんどんたてあげて いったものです。

 ところが、最近では腕のいい大工さんが減ったのか、利用者の要 求が高まったのか、建ちあがったものが、要求したものと違うとい うトラブルが絶えません。  
 その様なことから、建設省の指導で、業界での基準作りが推進さ れ、民間でも、戦後しばらくして民間の建築関係の主要な団体が集 まり、約款づくりを進め、「4会連合協定 工事請負契約約款」と いうものを作成し、順次改正を続け、完成させてきました。
  この約款によって、建築業界のコンセンサスづくりが進められて きたのです。
  こうした努力の成果として、今では、この約款を添付した統一の 契約書によって建築契約が行われるのが一般的になってきています。     

 ところが、現実には、この統一様式をまったく使おうとしない業 者がおり、まったく勝手な契約書を作って、あたかもそれが統一約 款のよう「約款」などという表現を使って、その約款は一般的に承 認されているかのような錯覚を与えています。  

 こうしたことに手を貸している弁護士もいるようです。このよう に、業界標準の、明確な統一の約款がありながら、これを無視して、 あえて、いいかげんな、責任逃れの契約書を使いながら、おかしな 契約を行っています。

 最大の問題は、次の点です。

 この標準の、統一約款、及び契約書は、建てるものの設計図がで きていることが前提で、その設計図、仕様書のとおりに作りますと いう内容になっている点です。

 ところが、問題を起こす業者の契約書は、決まって、こうした基 本的な点を無視して、一切設計図を作らず、単に坪数とか、おおよ その建坪、二階建てとか、木造か、といった企画以前の、イメージ のみで、契約してしまうのです。そして、契約金と称して、工事総 代金(これも概算)の3分の1を取ってしますのです。

 設計図もなく、仕様書もないのに、どの様な家を造るというのか、 建てるべき物を特定しないで、この家を建てますという請負契約を 締結するのです。
 それを、実際行う専門業者がいるのです。驚くばかりです。   

 請負契約の意味を考えれば、設計図を作って、仕様書もある段階 で、はじめてこれを作るという契約になるのです。

 さて、設計図もない時点で、建築工事請負契約を締結する業者は、 建てる目的物を明示しないで建てる約束をするといういいかげんな 業者であり、法的な知識のない業者ですから、避けたほうが賢明で しょう。  



84 建築業者の資格

 まず、設計に関しては、建築士(一級、二級)でなければ設計が できないものが多くあります。  

 次に、建築に関しては、建設業の許可が必要となります。法人で も、個人でもとることができますが、2つの都道府県を超えるとき は建設大臣の許可、そうでない時は都道府県知事の許可が必要で、 この許可がないと、建築請負を行うことはできません。

 建築請負業に不誠実な点があったり、契約違反などが著しい時は、 建設業の停止(建設業法代28条)、許可取り消し(同29条)と いった厳しい監督もあります。

 大工さんに頼むのと、大きな企業に頼むのとの違いですが、一概 には言うことができません。まず、大工さんに頼むといっても、そ のかたは工務店をもち、建設業の許可は取っているでしょうから、 その点では大きな企業と何ら変わりはありません。大きな企業の場 合でも、現実の建築は地元の指定業者にやらせますので、結局、工 務店の大工さんが建てるので、その点での技量の差があるかといえ ば、必ずしも区別はできません。

 大きな企業のもとで働く工務店さんは、確かに、工事内容がしっ かりしていて、信用があり、工期を守れるだけの力量もあるなど、 きちんとした仕事のできる業者で、そうでないと次から仕事をもら えないということになります。その観点からいえば、しっかりした 業者が比較的多いといってもいいでしょう。

 工務店でも、きちんとした仕事をして、地元の信用のある業者は たくさんありますし、信用だけが地元業者の命ですから、その観点 で選択すればいいはずです。

 ただ、もう一歩踏み込んでいえば、現実に金槌を持って家を建て てくれるのは、いまだに「棟梁」と呼ばれる腕利きの大工さんとそ の仲間の職人(下職などというようです)さんたちで、そのチーム ワークで進めています。したがって、そのチームワークこそが、本 当の善し悪しを決めるもので、日常的に見ていて、意見交換して、 見守っていなければいい家は建てられないといっても過言ではあり ません。



85 設計と建築は区別すべきもの

 設計と建築はまったく別物と考えたほうがよいでしょう。

 まず設計は注文主の真意を理解して、イメージを形にするもので す。その建物を利用するもの、現実に居住して利用するもの、そこ で生活するものの生活スタイルなどをも考慮して、どのような設計 が最適かを研究して、その専門的な知識を総動員して、利用するも のにとっての最適な設計をデザインすることが、設計士の仕事です。

 企画から基本設計、そして実施設計と段階を経ながら、建物の実 際を細かく決めて行く作業が、この設計という段階です。  大きな建物は、一級建築士が設計する必要があります。高度な設 計はそうした専門家になせなければならないとされています。

 次に、建築とは、設計段階に出来上がった図面に基づいて、現実 に設計図どおりのものを作るのには、いったい何日かかり、いくら でできるのか、といったことを決めて、設計図どおり作ることを約 束するものです。したがって、設計図のない段階では、何を作るの か、まったく決まっていませんので、「建築請負契約」は締結でき ないのです。そこで締結できるのは、設計契約と、建築請負契約の 予約といったものの混合契約といったものでしょうか。ともかく、 内容のはっきりしない、「丸投げ」のいいかげんな契約にしかなり ません。

 設計と、建築をまとめて依頼するということもままあります。現 実の裁判になるような大変なトラブルも、ほとんどこうした、いい かげんな契約からで出ています。頼んだものと違う、イメージと違 う、言った内容になっていない、約束が違う、・・・・みな、契約 がはっきりしていないから生じたトラブルなのです。

 設計すらできていない段階では、何を建てるか決められませんね。  その段階で、どうして建築工事をお願いできるのでしょうか。そ れは、はっきり言って、本来的には絶対にできないことなのです。
  今、設計も決まっていない時点で締結されてるのは、正確には、 建築請負契約ではありません。その契約で、請負工事をさせると言 うのですから、紛争が起きて何も不思議ではありません。

 設計と、建築のこの性格的な違いをはっきりと認識して、事に当 たってください。  



86 イメージと違うものができた

 思い描いていたものと、現実に出来上がったものが違う、と言う事 態は実に深刻なものです。 
 この問題は明らか設計と、現実との問題です。

 まず、段階を追って検討しますと、次のようになります。
  イメージを設計士・建築士に話す。
  全体の構想が決まる。
  設計図の案が出る。
  その案を基礎にして、具体的な変更を行う。
  変更点を踏まえて、基本設計図(配置、内部の構造、仕様など)を  確定させる。
  実施するための詳細な設計に入る。
  実施設計の完了

 そして工事にかかり完成という工程を進みます。

 さて問題は、そのイメージと現実の違いがどこで生じたかというこ とです。
 設計図はイメージどおりでしょうか。現実の建物は、設計図どおり にできていますか。

 まず、設計図と現実の建物の間に、ずれがある時は、建築業者の間 違えですから、責任ははっきりしています。設計図どおり作らなかっ た建築業者の責任です。修補させるか、損害賠償を請求する事ができ ます。

 次に、設計図どおりにできているが、設計自体がイメージと違うと いう場合は、問題が複雑です。そこでは、設計自体の瑕疵なのか、そ れとも、注文者の責任かはっきりしないことが多いようです。
  原則として、注文者は設計図面に合意しているはずですから、そこ で承認された設計図面は注文主の意図、イメージどおりのものと理解 されます。  
  しかし、注文者は、設計の専門家ではないので、設計図書はよく分 からないのが実際でしょう。したがって、注文者が承諾した内容を詳 細に検討する必要があります。意味をわかって承諾した部分と、設計 士に任せた部分、注文主には判断できない部分というものは区別して 理解する必要があります。そして、設計士の判断が、妥当性があるか 裁量の範囲内の行為であったかは、客観的に検討される必要がありま す。そのように見て、注文者の意図に沿っているといえるかどうかを、 総合的に判断することになるでしょう。

 設計士の注意義務がきちんと守られておれば、設計士の責任ではな いので、あきらめるほかないことになります。反対に、設計士の責任 が認められるならば、出来上がったものの改修、撤去など、実損額を 請求できることになります。  



87 希望どおりの建物を作りたい

 希望どおりの家を建てたいのであれば、まず、設計段階から、希 望を出して、十分に練りあげなければなりません。

 イメージを具体化する、そういった設計図のないところに、いい ものはできません。
  では、設計図を作るという段階ではどうするのでしょう。

 まず、基本的には、建築士や、設計事務所との間で、設計契約 (建築士業務委託契約書)を締結して、設計を行うという内容の契 約の締結を行います。設計契約にはどの様な内容の設計を行うか、 どの様に設計をすすめるか、どのような要求があるのかなどに設計 の基本的事項関する詳細が決められています。  

 請負工事というのは、まず、建てるもの(目的物)が確定してい て、目の前に、設計図として存在していますので、迷うことはあり ません。
  しかし、設計というのは、請負とはまったく違って、あらかじめ 「ある仕事」という固まった、目に見えるようなものは何もなく、 発注者(委託者)との話し合い、建築現場や、現実の利用方法など との関係の調査、研究の中で、設計士の経験と知識を発揮しながら、 注文者の希望を具体化しながら、両者の協力で創り上げていくとい うことになるのです。この協力がスムーズにいけば、希望どおりの、 そしてイメージどおりの設計図が出来上がるはずなのです。

 設計の契約とは、専門家のノウハウを、依頼者の利益のために遺 憾なく発揮し、希望が形(設計図)になるように、手助けするとい う内容の契約なのです。

  こうして、設計契約がまず行われて、設計図が完成して、その設 計図が様々な観点から、問題がないと言ったとき、初めて、建築請 負契約を締結して、その完成した設計図どおりに作るという、次の 約束をするのです。

 設計の注意事項を挙げておきましょう。
 まずは、イメージを固める作業が必要です。

1 イメージの明確化    透視図、模型などで確認するとよい 
2 機能構成、レイアウト  図面で確認
3 インテリアプラン    内部のイメージの具体化
4 家具の配置、内装の色合いなどの確認
5 外溝、アプローチ、外観の確認  

 次に、法的な規制なども踏まえて、より具体的な図面での確認に はいります。

1 平面図  方位・階段の位置・間取り・構造物・動線・使い勝手・生活パターン
2 立面図  地面との関係・開口部の大きさ・採光・天井高
3 断面図、各部詳細図、電気配置図、空調配置などの詳細の検討

 こうした骨格をまず決めてから、インテリアなど、詳細の選択に 入るのが通常です。



88 後で後悔しないために
 

 家を建てたり、マンションを建てたりする時に、建築業者と締結 する契約が、請負という範囲に属するこの契約です。
 請負とは、ある仕事の完成を約して、完成した仕事に対し報酬と しての対価を払うという契約です(民法第623条以下)。
 ここに言う、ある仕事とは、建物の完成など、定められた仕事の 内容を言います設計図があって、その設計図に従って、建築すると か、コンピューターの設計仕様書があって、その仕様書に基づいて システムを構築するなど、あらかじめ設計が決まっていて、そのと おりに実行するというものです。

 ところが、往々にして、いい加減な契約で、全部を丸投げする人 がいます。何もかもお任せというパターンです。何をどの様に作る かということについて、設計から、建築、その他一切をすべて一つ の請負契約書ですませるという、乱暴なことが横行しています。
  日本では、かねてから、建築にまつわる紛争は膨大な量が発生し ていました。
  戦前戦後を通じて、建築紛争は絶えることがありませんでした。
  その様なことから、建設省の指導で、業界での基準作りが推進さ れ、民間でも、戦後しばらくして民間の主要な団体が集まり、約款 づくりを進め、「4会連合協定 工事請負契約約款」というものを 作成し、順次改正を続け、完成させてきました。この約款によって、 建築業界のコンセンサスづくりが進められてきたのです。
  こうした努力の成果として、今では、この約款を添付した統一の 契約書によって建築契約が行われるのが一般的になってきています。     

 ところが、現実には、この統一様式を使いながら、おかしな契約 が行われています。
  この約款、及び契約書は、設計図ができていることが前提で、そ の設計図、仕様書のとおりに作りますという内容になっているにも 拘わらず、一切設計図を作っていない場合があるのです。設計図も なく、仕様書もないのに、どの様な家を造るというのか、請負契約 になっていないものを、この契約書を使って契約するというのです。
  それを、実際行う専門業者がいるのです。驚くばかりです。   

 請負契約の意味を考えれば、設計図を作って、仕様書もある段階 で、はじめて、これを作るという契約になるのです。

 設計契約との違いを理解する  
 それでは、設計図を作るという段階ではどうするのでしょう。
 建築士や、設計事務所との間で、設計契約(建築士業務委託契約 書)を締結して行います。設計契約にはどの様な内容の設計を行う か、その様に設計をすすめるかに関する詳細が決められていますが、 請負とは違って、あらかじめ「ある仕事」というものはなく、発注 者(委託者)との話し合い、研究の中で創り上げていくということ になるのです。
  従って、この契約は請負ではなく、委任もしくは準委任といわれ ています。こうしたものは、専門家のノウハウを、依頼者の利益の ために遺憾なく発揮し、希望が形(設計図)になるように、手助け するという内容の契約なのです。

  こうして、設計契約がまず行われて、設計図が完成して、その設 計図が様々な観点から、問題がないと言ったとき、初めて、建築請 負契約を締結して、その完成した設計図どおりに作るという約束を するのです。

 建築請負契約を締結する際の注意事項   

  契約をする際の注意事項を項目事に列挙しましょう。   
■ 設計図・仕様書類はそろっているか     
    (建築概容、配置図、各階平面図、立面図、断面図、主要部仕上げ表、構造計画概要、設備計画概要工事費概算書など)

  
■ 確認申請はとれているか      
   確認申請は、計画した建物が、法的な基準を見たいているかを確認し、確認のない工事はしてはならないので、
   工事契約以前に、確認を取っておかなければならない。

■ 契約書の記入事項にはもれなく記入されているか    
   着工期日、工期、引き渡し期日、請負代金、支払い方法   

■ 見積もり内訳書・工事行程表は添付されているか    
   契約書上は、添付義務は明記されていないが、健全な業者は、添付するのが通例であるといわれる。
  見積もり内訳書は、請負代金の計算根拠であり、契約後の変更の基礎になるものでもあるので、
  必ず確認する必要がある。これがないような場合は、契約をしな いという勇気が必要である。

 以上の点は確実にチェックして、それから契約するのが、基本です。



89 設計のミスと、後始末

 設計自体が間違っていたため、できた建物が、使えないと言う問 題がおきます。それは、設計が間違っていたら、その後はみな間違 えてしまうものなので、当然と言えば当然のことなのです。

 それだけ設計と言うのは大切でもあり、基本中の基本なのです。  そこにミスがないかどうか、どのような注意義務があるかは、こ れまで判例の中で何度も議論されてきました。
  その中で、重要なものを指摘して、問題の方向を見てみましょう。

 木造の建物が建てられたが、大雨が降ったら、地盤が緩んで、家 自体が斜めによじれてしまったと言う事案。
  この事案は、設計士があらかじめ当該地盤は、一部分のみ盛土に なっていたことを知っていたので、少しでも地盤の調査をすれば、 容易に地盤が弱いので、不同沈下が起きる危険のあることを予測で きた点、また、加えて、当該設計士は工事監理の義務があるところ 建築現場を一切監理せず、建築業者が手抜き工事をして基礎の工事 をいいかげんにやっていることを発見できなかった点、の二つに、 設計士の過失を認め不法行為責任を認めたものです(大阪地方裁判 所昭和53年11月2日判決)。

 鉄筋コンクリート造のマンション建築に関して、地盤の強度に関 する間違えがあり、設計士が不十分な設計をしたこと、加えて、建 築業者が、いいかげんな溶接を行い、手抜き工事をしたので、結局 ビルが傾いてしまった。という事案で、設計に関して、地耐力の検 討において過失がある点で、設計士の責任があり、傾きの全体には 建築業者の責任があるとして、両者に不法行為責任を認めました (大阪地裁昭和62年2月18日)。

 有名のこの二つの判決は、いずれも設計士の責任を、不法行為と 言う形で認め、過失を認定しています。不法行為ですから、損害賠 償ですが、再築方式というもので再築できる金額を算定して、賠償 させるのですから、何とか、元通りにはなるのでしょう。

 こうして、設計のミスは大変重要な過失として、責任を追及する ことになるので、慎重な設計が求められていると言えます。



90 設計図に反する建築のミス

 設計図どおりに建築すべきところ、手抜き工事で、欠陥のある建 物を建てたと言う場合、建築業者が責任を負うことは明らかです。 
 問題はその内容でしょう。
  請負契約の欠陥の場合は、契約の目的が達成できないような場合 は契約の解除が認められるものの(民法第635条)建物にはこれ を認めず、注文者は請負人に対して、瑕疵(欠陥)の修補か、損害 賠償請求ができることになっています(民法634条)。これは、 建物が一度できてしまうと、取り壊すのは社会的に損失が多いと言 うことから、できるだけ修補と言う形で、有効利用しようとするも のです。   

 重大な瑕疵がある場合

 建築した建物に、使用できないほどの重要な瑕疵がある場合には、 本来は契約解除を行ってもいいはずですが、法はこれを認めていま せんので、瑕疵修補か、損害賠償請求をすることになります。
  重大な瑕疵の場合はどのように考えたらいいのでしょうか。判例 は大きく二つに分かれ、立て替え費用まで認め、更には弁護士費用 まで認めるものと、これらとは反対に建物の客観的交換価値の低下 分のみを損害と考えるべきだと言う考えです。
  建物自体が無価値と言うほどに瑕疵が大きければ、両方の考えは 一致することになります。後は、個別の判断にならざるを得ないの でしょう。

 通常の瑕疵

 瑕疵の修補の可能性を考え、その修補に要する金額が損害額にな ると言うことになるでしょう。ただ事案によっては、利用できなか った損害も加算して請求することも必要でしょう。

 請求可能な期間

 その瑕疵の修補請求なり、損害賠償の請求の期間はいつまできる でしょうか。
  民法上は、木造の家屋などは引き渡しの後5年間、コンクリート など堅固建物は10年間の間に、瑕疵担保請求(修補請求)をする ことができるとしています(同638条1項)。
  ただ、この期間は、契約で短縮できることになっていて、現実に は2年などに減縮されていることがあります。
  判例は、この期間に、瑕疵が発見されて、その修補を請求すれば、 その請求が裁判外のものであっても、瑕疵修補請求権は保存され、 以降民事債権の一般消滅時効期間10年が適用され、10年間は瑕 疵修補請求も損害賠償請求もできるとしています (福岡地裁昭和 61年10月1日判決)。



91 近隣の苦情に対して
 

 建築工事に反対して、抗議行動が起こることがあります。多くの 場合は、建築法規違反や、騒音問題などが中心でしょう。 
 さて、建築違反と言っても、いろいろなものがあります。安全上 の問題から制限禁止されていることに違反するもの(避難路の確保、 工場の建築、火気取り扱い施設の 建築規制など)、合理的な要請に 違反するもの(用途違反など)、健康のために望ましいという定め に違反するもの(窓の大きさの規定など)など様々です。
  以下、多く紛争となるものについて概観しましょう。
  マンション建築に関する紛争もいまだ多いようです。

当該建築は  
  建築基準法に違反していないか、  
  通路問題は問題ないか、  
  日照権を侵害しないかどうか、  
  ゴミ問題は支障がないか、  
  騒音対策は万全か、  
  眺望権を侵害しないか、  
  電波障害はないか、  
  駐車場の問題はどうか、  
  通学路の安全対策はどうか、

と言った存在自体に関する内容のもの、また、
  完成までの建築行為自体に関する騒音問題、  
  車両の通行上の問題、  
  振動や、  
  地盤の変化の問題、  
  地下水の変化の問題、  
  粉塵の問題
などいろいろとあります。

 現在では、行政当局がかなり整備された内容の行政指導を行ってい ることから、重大な違法問題の発生は減少しているようです。しかし、 日照の問題や、電波障害の問題など、住人に直接関係のある事柄につ いては、住民自身の判断が優先されることや、また住民の同意を条件 とする場合も多いことから、住環境の破壊は可能なかぎり防ぐ姿勢が 必要です。



92 建築確認が必要な範囲
 

 建物を建築する時、改築する時どうしても必要なのが、建築確認 です。建築確認は、確認申請を行い、それを建築主事が審査して、 適切なものと判断した時に、確認さ れるもので、この確認がないと、 建物を建てたり、改築したりできないのです。
  これに反して、確認申請を取らないで建築したり、あるいは虚偽 の確認申請をしたり、大幅に間違えた申請行為は確認申請がなかっ たものとして、建築した後に、除去命令(建築基準法第9条)など をうけ、建物を取り壊すことにもなります。

 確認申請は、当該建築行為が、建築主にとって安全な内容になっ ているか、健康な生活をするための条件を満たしているか、と言っ た点のほか、防災上、防火上安全な建て方になっているか、近隣の 避難路確保など問題はないか、そして更に当該地域の健全な発展に とって望ましいものは何か、と言った多角的判断を行うものです。

 さて、確認申請が必要なものとはどのようなものでしょうか。  
1 学校病院などの特殊なものの建築(同法第6条1項1号)  
2 三階以上の木造建物(同2号)  
3 二階以上の木造以外の建物(同3号)  
4 都市計画区域、その他指定区域内の一切の建物(同4号)  
5 エレベーターなどの設置(同法87条の2)  
6 煙突、広告塔などの設置(同法88条)
  以上に該当するものは、すべて確認が必要になりますので、注意 してください。

 10平方メートルの範囲内ならば、確認申請は不要か。

 常に可能ではありません。確認申請が不要なのは、   
1 防火地域でもなく、準防火地域でもないこと   
2 建物の増築、改築、移転の場合のみ(新築などはだめ)   
3 10平方メートル以下のもの という厳しい要件を充たしたものだけです(同法第6条第1項本文 但し書き)。  
  この範囲かどうかは、各行政庁の、建築課、建築指導課などにあ らかじめ確認する必要があります。



93 改築と新築の違い、建築確認が必要な改築

 建物を建築する時、改築する時どうしても必要なのが、建築確認です。建築確認は、確認申請を行いそれを建築主事が審査して、適切なものと判断した時に、確認されるもので、この確認がないと、 建物を建てたり、改築したりできないのです。
  これに反して、確認申請を取らないで建築したり、あるいは虚偽 の確認申請をしたり、大幅に間違えた申請行為は確認申請がなかっ たものとして、建築した後に、除去命令(建築基準法第9条)など をうけ、建物を取り壊すことにもなります。  

建築基準法によれば、確認申請が必要なものは、
1 指定建築物の建築、増築による指定建築物の規模への変更、大  規模修繕、大規模模様替え、
2 指定区域内での一切の建築     (建築基準法第6条第1項本文) についてです。

 さて、ここにいう「建築」という概念は何でしょうか。
  建築基準法上の「建築」というのは、次の概念です。
  「 建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転することをいう」 と規定されています(同法2条13号)。

 従って、増築も、改築も、建築の概念に入るので、すべて建築と して、慎重に検討しなければなりません。    

 では、「改築ならば確認申請はいらない」と、まことしやかにい うのを聞いたことがあるかもしれません。その話しとだいぶ違うよ うです。
  こうした俗説は、次の例外の、繰り返しということで、結果とし て新築と同様の結果になるというだけでしょう。 
  確認申請が不要な場合、すなわち例外というのは、   
1 防火地域でもなく、準防火地域でもないこと   
2 建物の増築、改築、移転の場合のみ(新築などはだめ)   
3 10平方メートル以下のもの
という厳しい要件を充たしたものだけです(同法第6条第1項本文 但し書き)。

 何年もかけて、このような、確認の要らない改築を繰り返すこと で、結局、何年か後には多くの部分の入れ替えができているという だけのことでしょう。すぐに全部を改築するには、どうしても確認 申請が必要となります。