建築契約  もしも、あなたが家を建てるなら・・・


1、建築工事請負契約の基本

 家を建てたり、マンションを建てたりする時に、建築業者と締結する契約が、請負という範囲に属するこの契約です。
  請負とは、ある仕事の完成を約して、完成した仕事に対し報酬としての対価を払うという契約です(民法第623条以下)。
 ここに言う、ある仕事とは、建物の完成など、定められた仕事の内容を言います。設計図があって、その設計図に従って、建築するとか、コンピューター の設計仕様書があって、その仕様書に基づいてシステムを構築するなど、あらかじめ設計が決まっていて、そのとおりに実行するというものです。

 ところが、往々にして、いい加減な契約で、全部を丸投げする人がいます。
 何もかもお任せというパターンです。何をどの様に作るかということについて、設計から、建築、その他一切をすべて一つの請負契約書ですませるという、乱暴なことが、極めて一般的と誤解され、横行しています。
 日本では、かねてから、建築にまつわる紛争は膨大な量が発生していました。
  戦前戦後を通じて、建築紛争は絶えることがありませんでした。その様なことから、建設省の指導で、業界での基準作りが推進され、民間でも、戦後しばらくして民間の主要な団体が集まり、約款づくりを進め、「4会連合協定工事請負契約約款」というものを作成し、順次昭和56年9月まで改正を続け、完成させてきました。この約款によって、建築業界のコンセンサスづくりが進められてきたのです。約款は、大部なので、収録しません。
 ただし、業者は必ず持っていますので、見せてもらって、契約書添付の独自の約款(正式でないものが多いが)との違いを確認しましょう。
 こうした努力の成果として、今では、この約款を添付した統一の契約書によって建築契約が行われるよう指導されています。
    
 ところが、現実には、この統一様式を使いながら、おかしな契約が行われています。
 この約款、及び契約書は、設計図ができていることが前提で、その設計図、仕様書のとおりに作りますという内容になっているにも拘わらず、一切設計図を作っていない場合が、実に多いのです。
 設計図もなく、仕様書もないのに、どの様な家を造るというのでしょうか、請負契約になっていないものを、この契約書を使って契約するというのですから困ったものです。それを、実際平然と行う専門業者が圧倒的なのです。驚くばかりです。実に困ったものです。
 消費者は、自分の家なのですから、もっと真剣に設計し、建築しなければなりません。日本の家屋は木と紙だといっても、50年や60年は持つのですから、そして、一生に一度くらいしか建てることは出来ないのですから、精魂込めて進めなければなりません。

 請負契約の意味を考えれば、設計図を作って、仕様書もある段階で、はじめて、目的のものを作るという、正式な契約になるのです。

  建築契約書の雛形はこちらです

 

 
2、設計契約との違いを理解する
  

 それでは、設計図を作るという段階ではどうするのでしょう。
 建築士や、設計事務所との間で、設計契約(建築士業務委託契約書)を締結して行います。設計契約にはどの様な内容の設計を行うか、その様に設計をすすめるかに関する詳細が決められていますが、請負とは違って、あらかじめ「ある仕事」というものはなく、発注者(委託者)との話し合い、研究の中で創り上げていくということになるのです。

 従って、この契約は請負ではなく、委任もしくは準委任といわれています。
 こうしたものは、専門家のノウハウを、依頼者の利益のために遺憾なく発揮し、希望が形(設計図)になるように、手助けするという内容の契約なのです。

 こうして、設計契約がまず行われて、設計図が完成して、その設計図が様々な観点から、問題がないと言ったとき、初めて、建築請負契約を締結して、その完成した設計図どおりに作るという約束をするのです。

 ところが、現実には設計契約が行われず、極めていい加減な内容で進んで、いつのまにか建築請負契約がすんでいたといったことが多いようです。昔は、 大工の棟梁が大きな木の板に、設計図面を引いて、その通りに立派に建築すると言うことであったようですが、この伝統でしょうか。ただ、大変定式化された、画一的なものであったようです。
 民間建築では現在でも設計図は、大工や、建築屋が作るものと誤解され、はっきりした認識ができていないようです。
 設計は、資格のある建築士が行います。できるかぎり注意して、間違えのないようにして欲しいものです。

        

 
3、建築請負契約を締結する際の注意事項

  

  契約をする際の注意事項を項目事に列挙しましょう。

設計図・仕様書類はそろっているか
(建築概容、配置図、各階平面図、立面図、断面図、主要部仕上げ表、構造計画概要、設備計画概要工事費概算書など)
確認申請はとれているか
確認申請は、計画した建物が、法的な基準を見たいているかを確認し、確認のない工事はしてはならないので、工事契約以前に、確認を取っておかなければならない。
契約書の記入事項にはもれなく記入されているか
着工期日、工期、引き渡し期日、請負代金、支払い方法
見積もり内訳書・工事行程表は添付されているか
契約書上は、添付義務は明記されていないが、健全な業者は、添付するのが通例であるといわれます。
見積もり、内訳書は、請負代金の計算根拠であり、契約後の変更の基礎になるものでもあるので、必ず確認する。
 これがないような場合は、契約をしない。

以上の点は確実にチェックして、それから契約するのが、基本です。

 

 

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