売買契約
1 売買契約の基本ルール
売買契約を行うときは、不動産や車についてはほとんど定型の契約書があ
り、それを利用すれば、基本的に安全に売買契約が締結できます。
しかし、それ以外の個人売買の場合、売り主と、買い主が次の要件を十分
に検討して、十分話し合って、合意が成立してから契約する必要があります。
契約書に書く必要のある事項
■売買対象物の特定−−商品名・商品番号・型番・製造番号・製造年月
日などによって、売買の目的物を明確にする。
なにが付属品か、どこまでの範囲か、売り物の
範囲を確定する。これを欠くと、後で大問題に
なる。
■売買金額の確定−−−いくらで買うか。数量単位で決めるか、定額か。
■支払方法の確定−−−いつ払うか、分割するか、利息は付くか。
目的物の引き渡しとの前後関係、同時履行かの
関係も考えて、明記する。
■売買対象物の品質−−どのような品質のものとするか、新品か、いか
なる保証が(性能の保証)付くのか、中古なら
ば買ったときの品質を保証するのか、保証がな
いのか。
■解除条件−−−−−−約束の性能が出ないとき、物品に問題があると
き等、文句があるときには、目的物は引き取る
のか、引き取らないで賠償金を支払うのか、精
算はどうするのか。
■アフターサービスをするのか、しないのか。
■クーリングオフ制度(一定期間内の解除権)の適用があるのか、合意
解除ができるのかどうか
■紛争が生じたときはどうするのか。裁判の合意管轄は。民事調停で解
決することの合意ができるか。仲裁契約(第三者を仲裁人と定め、そ
の人、団体の意見に従うとの合意)を取れるか。
といった内容は、最低限話し合って、契約書に盛り込む必要があります。
できれば、そうしたことを約束事として、メモしておく必要があります。
初めての人の間ならば、こうした事柄を書いて、売り手と買い手が合意
した上で、契約書としてお互いに署名するのが一番です。問題が起こらな
いことが一番なのですが、問題が起きたときにも、きちんと、大人として
解決できるように、こうしたルールを確立して、お互い守りようにしまし
ょう。
参考までに、契約初案を作ってみました。参考にしてください。
2 売買契約書案
売 買 契 約 書
本日、売り主 (以下甲という)と、買い主
(以下乙という)とは、下記の通り、売買契約を締結した。
第1項(当事者の表示)
売 主(甲)の住所:
氏名:
買 主(乙)の住所:
氏名:
第2項(売買の対象)
甲は、本日、下記物件を、乙に売り渡し、乙はこれを買い取ることに合意し
た。
売買物件の表示
品名
その他商品の詳細
リスト一覧:
第3項(売買代金)
甲は、本件物件の売買代金総額を と定め、乙は左記
金額を支払うことに合意した。
ただし、右代金総額の範囲は上記第2項の全商品すべての代金である。
第4項 売買代金の支払い方法の定め)
乙は、右売買代金を、次の方法によって支払う。
1 手付金 円を契約締結時に支払う。
2 中間金 円を 年 月 日に支払う。
3 残 金 円を、 年 月 日に、本件物件
の引き渡しと引き替えに支払う。
第5項(商品の引き渡し方法)
1 本件商品は 年 月 日までに、次の方法で引き渡す。
・ 残金と引き替えに引き渡す。
・ 残金入金を確認した時点で、郵送する。
・ 分割払い金の第一回分の確認をした時点で郵送する。
・ 分割代金のうち 回目までの入金を確認した時点で郵送する。
・
・
2 商品の所有権移転時期:
本件商品は、現物の引き渡しと同時にその所有権が移転するものとする。
第6項(中古品の場合)
1 甲は、本件商品につき、下記の内容であることを表示し、乙はこれを承
諾した。
本件商品の品質の表示
・使用期間(購入時期)
・使用方法(商品の程度)
(通常の使用か、未使用か、かなり使い込んでいるか、等)
・保証の有無
保証有無 有り 無し
保証内容
(6ヶ月間は修理費負担、修理費折半、1ヶ月間は引き取り、等)
・本件商品の瑕疵(不良)
・本件商品に瑕疵(不良)を発見したときは次のうち、 とする。
A 速やかに代金全額を返還し、売主が商品を引き取る
B 売主が商品修理の責任を負う
C 買主の費用で負担で売主が修理する
D 代金の 割を買主に返還し、商品は引き取らない。
E 代金の 割を買主に返還し、商品を引き取る。
F 買主がメーカーに直接相談する。売主は責任を負わない。
・本件商品の瑕疵(不良)が原因で、損害が広がったときは、次のうち
番とする。
1 拡大損害全額および商品代金を支払う。
2 拡大損害のうち、代金の 倍までの金額及び商品代金を支払う。
3 拡大損害の パーセントの範囲で支払う。
4 商品代金の返還のみ行う。
5 一切の責任は負わない。買主の負担と責任で処理する。
第8項 契約解約
本件契約当事者は、本件売買につき、次のいずれかの内容であることを
確認した。
1 本件売買は、訪問販売であり「訪問販売等に関する法律」に従うこ
とを当事者双方とも認める。
本件商品について、買主は契約の日、もしくは契約の日を含めて8
日間のあいだであればは何らの理由なく、本件契約を解除することが
できる。
解除後は、売り主は直ちにその費用負担において、現品を引き取り、
かつ受領済みの金員全額を返還するものとする。
2 本件売買は、純然たる個人売買であり、代金支払いの後、2週間は、
本件契約の解除(撤回)を行うことができる。
甲は、右解除の意思表示があったときは、ただちに、受領した代金
を返還する。
3 本件売買は、純然たる個人売買であるが、買主の責任で本件商品を
受領するものであり、解約権は放棄し、以後いずれの当事者からも、
本件契約は解除できないものとする。
第9条 信義誠実の原則
本件契約は、当事者双方信義に従い解釈し、誠実に履行することを約し、
ここに契約したものである。契約内容に疑義が生じたときは双方誠実に話
し合い、円満解決を図るものとする。
第10条裁判管轄の合意
本件契約につき紛争が生じたときは、第一審の裁判管轄を、東京地方裁
判所、もしくは東京簡易裁判所とすることに双方合意した。
第11条 特 約
以上締結したので、契約書を二通作成し、甲と乙とは各自各1通ずつ所持
することとする。
年 月 日
住所
売り主 氏名
住所
買い主 氏名
以上
3 売買契約の締結
売買契約は、様式契約ではないため、口頭だけで契約が成立すると言われ
ますが、言った言わないという問題も生じますので、できるだけ書面にして
おくべきです。また、よほど大きなものでない限り、分割にせず、一括で決
済した方がお互いにとってよいでしょう。
契約書を作ると、堅苦しいような感じで、もっとラフに、融通をという考
えもあるのでしょうが、とかく日本人は、物事を曖昧にしたり、いい加減に
してそれを信頼と勘違いして信じようとする癖があり、いったんトラブルに
なると、小さなことが深刻になると言う傾向があります。
いい加減な契約はさけて、できるだけしっかりと、すっきりとした契約を
締結するように考えましょう。