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アーロン子育て奮闘記『子連れ狼(おとこ)はつらいよその1』
サヴタイトル〜涙のリクエスト〈爆)〜    uri
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どだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだ・・・・・・・・・

「こらぁ!!待て!!身体を拭け!!服を着ろ!!とにかく逃げるな!!」
「いや〜〜〜ん!!」

ここは機械都市ザナルカンドの一角にある小さな家。
ただ今ティーダ君(7歳)とその後見人のアーロン氏(享年(?)25歳)は今日も元気に入浴後の追いかけっこの真っ最中だ。ちなみに上記の擬音は二人が家の中を駆けずり回る足音である。(ドップラー効果って奴ですか?なんか違う気もするけど。)

 スピラからザナルカンドに渡っておよそ半年。
最初は驚き戸惑うばかりの 機械だらけの世界で、右も左も分かぬままに少年を探しだし、半場成り行きで一緒に暮らしだしてから、アーロンはそれはもう苦労の連続だった。
 先ず何しろ、機械の使い方が分からない。
最初のうちは、電子レンジに卵を入れて大爆発させてみたり、洗濯機に革靴を突っ込んでみたりするのはまだ良いほうで、揚げ句の果てには料理用のガスレンジでガス洩れを起し、既に死んでいるのに死にかけてみたり、真夜中に、部屋の電気のスイッチと間違えて、セキュリティ用の警報スイッチを押しちゃっりしたもんだから、ご近所中を、阿鼻叫喚の大騒ぎのどツボに叩き込んでみたりと、アーロンにとって、スピラの僧兵時代よりも、ブラスカジェクトとの珍道中(ひでえ)よりも、今の方が余程苦労と忍耐と試行錯誤に神経をすり減らす日々だったのだ。

 それに何より、無二の友から託された小さな子供。
初めて出会った時は、ジェクトの知人と言う言葉に敵意と反抗心しか表さなかった小さな子供。
機械との格闘と同時進行で、この子を手懐けるミッションを展開していたのだから、その困難さと言えば、
それはもう筆舌に尽くしがたいというもので。

 だが、機械の扱いにも慣れ、取りあえず平穏に日常生活をこなせるようになった頃には、この小さな子供も、すっかりこの黒髪で隻眼の青年に懐いてくれていた。

 まあ、懐いてくれたのはいいんだが。

 ここ数日、風呂上がりは毎日この調子でティーダ少年、素っ裸でアーロン氏との追いかけっこを楽しんでいる。
もっとも、楽しんでるのはティーダ少年ばかりの話で、黒髪強面の隻眼青年は必死の形相でバスタオルと下着にパジャマを抱えて、家中を駆け回るこのちびっ子ギャングを追いかけるだけで精一杯だ。
「いい加減にしろ!!明日のおやつはやらんぞ!!」
息切れ気味に、魔法使いサリーちゃん時代からの((?)と言うより、この意味の分からない年若いお嬢さん方ごめんなさい。作者古い人間です・・・)、対ワルガキ向け伝家の宝刀を抜いてみても、今一つ効果が芳しくない。
 それもそのはず。これはティーダにとって、最近発見した新しくて、これ以上ない位楽しい遊びの一つなのだから、それ位で素直におとなしく捕まったりなどしてやらない。
「こら!!そんなに部屋を走るな!!危ないだろうが!!」
「えへへ〜〜だ。あっかんべ〜〜〜☆」
ぴょんぴょんと飛び跳ねる様に奥の部屋にティーダが駆け込み、アーロンの視界から少年の姿が消えた瞬間。

どんがらがっしゃん★(爆)

「ふええええええええん!!!」
物凄い破壊音とそれに続く子供の盛大な泣き声。
「だから言わんこっちゃない!!」
慌ててアーロンが奥の部屋に駆け込むと、どうやら勢い余って飾り棚に激突し、その上に飾ってあった、かつてジェクトが数々の試合や大会で強奪違った獲得したトロフィーやら記念品やらの雪崩の下敷きになってしまったらしい。
やんちゃ坊主は、床にぺたんと座り込んで、身も世もあらぬ風情で泣きじゃくっている。
 自業自得といえばそれまでだが、この子が自分に懐くより早く、己の方がこの可愛らしい生き物に骨抜きにされてしまったアーロン青年、顔面蒼白になって、泣いてる子供に駆け寄ると、よしよしとばかりに頭を撫で擦る。
「・・おい、大丈夫か!!痛いか?!怪我は?!・・ ああもう。だから危ないと言ったじゃないか!」
「うええええん!!痛いよう!!」
アーロンのその言葉を聞いて、ティーダ(素っ裸)はアーロンの胸に縋り付いて更に大声で泣きだした。
「全くもう・・・。ああよしよし。何処をぶつけたんだ?おでこか?頭か?」
本当なら、ここは一発がつんと叱った方が今後の教育上、ティーダにとっても自分の立場にとっても建設的なはずなのだが、それより先にまだえぐえぐとしゃくりあげるいたいけな子供の背中や頭を撫で擦ってやり・・・

・・・オイ待てコラ待てちょっと待てアーロンよ、鼻の下伸ばしてる場合か?おい?
←・・てゆーか、誰のツッコミだ〈爆)

「こら、いい加減に泣くのを止めろ。男の子だろう・・・」
アーロンが出来うる限りの優しい声で言い含めても、縋り付いている子供の背をぽんぽんと優しく叩いてやっても、ティーダ(くどいようだが素っ裸。略してポン(byガックン))は一向に泣き止む様子を見せない。
 これには、流石にこの子供に甘くなり気味だったアーロンも、青筋モードに突入したらしい、つい我を忘れて声を荒げてしまった。
「いい加減にしろ!!悪いのはお前だろうが!!」
「 うわああああああん!!」
・・・・・・・泣き止むどころか、余計に泣かせてどうする、アーロン。

「ああああ。分かった悪かった。すまない俺が悪かった。だから泣くな頼む泣くな!!」
 子供相手におろおろしっぱなしの伝説のガードアーロン様。スピラの人間が見たら、10人中9.5人は顎を落っことすであろう光景だが、いかんせん本人はこれ以上もないくらい必死だ。
ある意味BOSSクラスのモンスター相手に戦うよりも必死かも知れない、アーロン的にはその位のレベルの緊急事態だったりするわけで。
 
 ・・・・・畜生。ジェクトめ、俺にこんな手の掛かる子供など預けやがって!!・・・・
虚しい悪態を心の中でどんなに喚いてみたところで、腕の中の子供が泣き止んでくれる訳も無く。

「ああもう一体どうしたら良いんだ!!頼む何でもしてやるから泣き止んでくれ!!」
・・・なんだかんだ言ってアーロン青年は、この子に泣かれる事が、最大級の弱点らしい・・・
そりゃもう必死になって、ぶつけたらしい頭をさすさす。背中ぽんぽん。
・・・すると、アーロンのシャツに齧り付いてわんわん泣いていたティーダ(ポン)が、しゃくり上げながらこう言い出した。
「・・・おっ・・えぐ・・おまじない・・えぐっ・・して・・」
「・・・おまじない・・・だと・・・?」
・・・このお願いにアーロンの血の気が一気にサーッと引いてゆく。・・そんなにスゴいおまじないなのか?
一体どうスゴいんだ?!ってゆーかティーダ少年よ、そんなスゴい(らしい)事、この男にお願いしちゃって良いのか!?
そんなギャラリーの(何処にいるんだ)心配をよそに、ティーダ少年(やっぱりポン)は、小さくコクンとうなづくと、涙いっぱいの大きなお目目で、アーロン氏(真性ショタ)をじっと見つめる。
「・・・この俺に・・・アレをやれと・・・・」
心なしか、アーロンの声が震えている。やっぱりそんなにスゴい事なのか!!(どきどき)
「・・えぐ・・・おまじない・・してくれたらえぐ・・もう泣かない・・・」
お目目うるうる背景は飛び交うお花&点描満載で、可愛い可愛いティーダちゃんにこうおねだりされちゃったら、漢の中の漢、アーロン享年25歳、んもう覚悟を決めるしかない。
「・・・・分かった。良いんだな。・・・・では目をつぶれ・・・」
 
 アーロンを見上げたまま、ティーダ少年(クドいがポン)は、目を閉じる、転がり落ちる大粒の真珠の涙。
可愛いったらありゃしない。
そんな少年の可愛さMAX犯罪級の仕草に、アーロンの鼓動が加速度的に早くなる。オーバードライブゲージも満タンだ。
大きく息を吸い、己に言い聞かせる。

 
・・・・・覚悟を、決めろ・・・・


・・・・・・・・・・せーの!

「・・痛いの痛いの飛んでけーーーー☆」
 
 途端に泣き止み、にっこり笑うティーダ少年。それに引き換え、HPもMPも殆どゼロに近くなるまで使い果たした伝説のガード、アーロン氏。哀れ。

・・・・・・・ナメとんのか、コラ。(怒)
 
 一瞬、この目の中に入れても痛くないほど可愛い少年に向けての殺意すら芽生えちゃう程、げっそり憔悴しきったアーロンだったが、
「アーロン、ありがとうっ!!」
ティーダ少年の、元気いっぱいのお礼の言葉と笑顔に、一気にHPが半分くらい回復してしまうから、もはや重症だ。(でもMPはそのまんま。もうどうだっていいけど(投げやり))

 しかしもともと、強面鉄面皮のアーロン氏、咳払いなど一つして保護者としての威厳を回復させる様努めると、改めてティーダの身体や頭を拭いてやりながらも、顰め面しくお説教を始める。
「・・・・大体、お前が風呂から出てすぐにパジャマを着ないのがいけないんだろうが。ましてや部屋の中を走り回るなど、以ての外だ。・・・罰として、明日はおやつ抜きだ。いいな。」
「だってぇ・・・・」
唇をとがらせて、必死に言い訳するティーダ。その姿は、まるで母犬に叱られて尻尾が垂れた仔犬のよう。
「すぐにおよふく着ると、暑いんだもん・・・」
ぷうと頬を膨らませ、舌っ足らずの口調で、そう言い募る。
でも、 
 ・・・本当の理由はアーロンが、必死の形相で自分を追っかけてくれるのが、スリル満点で面白いからなんて、言ってあげない。

 純真そうに見えても、子供って結構、小狡かったりするものである。
それに振り回されている伝説のガード、アーロン氏、やはり哀れな感は否めない。・・・まあ、知らない内が花でもある訳で。

しかし、ティーダのペースもここまでだった。
「・・・だが兎に角、明日のおやつは抜きだ。」
厳然と、そう言い放つアーロンに、ティーダはいやいやとかぶりを振って、
「やだやだやだやだ〜〜〜〜!!」
またじたばたとアーロンの腕の中で大暴れを開始する。ほんとにしょうもない駄々っ子だ。
「こら!ティーダ!!暴れるな!!おやつ抜きが嫌だったら、ちゃんと言うべきことがあるだろう!!」
流石のアーロンのこの一喝に、ティーダはぴたりと暴れるのを止めて
「・・・・ごめんなさい・・・」
ちょっと悔しそうに、小さな声でそう言った。しかし、
「・・・聞こえんな。」
鬼の保護者アーロン氏の冷たい一言。しかし、明日のおやつはこの冷徹な保護者の御機嫌一つにかかっているのだ。
すっかり形勢逆転されてしまったティーダ君。悔しそうに唇を噛むと、きゅっと拳を握りしめ、大きな声を
張り上げて、ぺこりと目の前の男に頭を下げた。
「ごめんなさい!!もうしません!!」
「・・・・よし。」
下げた頭の上から、笑いを堪えた男の声が降ってきて、大きな手がくしゃくしゃと、自分の頭を撫でてくれる。

ホントは、追いかけっこよりも何よりも、こうして頭を撫でてくれるアーロンが一番好き。
 ティーダはとても嬉しくなって、アーロンの逞しい胸板に自分の頭をすりすりと擦り付ける。
「こら、いい加減にパジャマを着ろ。風邪引くぞ。」
「はあい。」
 返事はしたものの、ティーダは自分でパジャマを着ようとしない。
何ともう7歳にもなっているというのに、この子供、一見傲岸不遜、冷血無情隻眼強面鉄面皮男に向かって、
にっこり笑顔で、『着せて♪』とおねだりと来たもんだ。
 しかもこの、傲岸不遜以下略男も、取り敢ずはやれやれと溜息をつきつつも、その実非常に嬉しそうに、
(顔には出さない所が、また更にやらしクサイ)ティーダにパジャマを着せてやる。

     おーい山田君、座布団全部持ってって、ついでにハリセン持ってきて〜。(by笑点)

 目の前の、紛れもない親バカ通り越した男に、誰がこうツッコミ入れても文句は言えないだろう。ってか、
文句なんて言わせねえ(誰)

そんな周囲の(どの周囲だ)思いをよそに、アーロンは、未だに取り敢ず保護者面で、お説教を再開する。
「・・・全く、七つにもなって、一人でパジャマを着れないとは一体どういうことなんだ。・・それにお前、俺と出会う前は、ちゃんと一人で洋服着れていただろう?」
「だって・・・」
「まただって。か?」
アーロンは冷たくそう言ってみるが、本当は理由は分かってる。

 この淋しい子供は、今よりもっと幼い頃に、親からもらい損ねた愛情をアーロンにに求めているのだと。
あたかもそれは飢え渇いた旅人が、貪欲に水を求める様に、7歳そこそこの子供がそれより幼く幼児返りを起こす程、この子は与えられるべき愛情に飢えていたのだ。
 だから沢山沢山、アーロンに構ってもらいたくて、言葉で、態度で自分を愛しているのだと表現してもらいたくて仕方がないのだ。そうしないと安心できないから。自分がこの男の側に居てよいのだという自信が無くなるから。
・・・・・そうなったら、前よりもっともっと淋しくなってしまうから・・・・

 ジェクトが悪いわけでは無い。あの男もあの男なりの方法でティーダをこの上なく愛していた。
ただその愛情がティーダに伝わらずじまいのまま、お互いが引き裂かれてしまったのが、この親子の唯一にして、最大の不幸だったというだけで。
その事を、アーロンは痛い程よく分かっていた。だからこそ、自分がジェクトの代わりに出来うるかぎりの愛情を、惜しみなく注いでやろうと、決意させていたのだ。
 
 ・・・しかしこの男のその固い決意が、か〜〜なり早い段階で、ちょっと間違った方向へ進展しつつある事に、本人気付いてないんだから、こりゃちょっとつーかかなり困ったもんだ。
・・・・・誰か気付かせてやってくれよ。マジで。(遠い目)

 しかもその上、ティーダ少年ったら、この男の親バカ暴走特急が更に加速するような事を、そりゃもう可愛い事この上ない言葉で仕草で伝えちゃうもんだから、手がつけられない。

「・・・・あのね。」
「・・・何だ?」
アーロンの、ごついが器用にパジャマのボタンを留めてゆく指をじっと見つめながら、ティーダが口を開く。
「・・・すごいなあって、思ったの。」
「・・・・だから何がだ?」
訳が分からんとでも言いたげな男の怪訝な視線を受けながら、ティーダはすべすべの頬ををほんのり紅色に染めてこう言った。
「だって、アーロンてば、こんな小っちゃいボタンをね、いっつもすごおく上手にあっという間にとめちゃう
 んだもん!!なんか魔法みたい!!だからすごいなあって思ってたの!!」
蒼い蒼い宝石の様な瞳を、この上なくキラキラさせながらアーロンを見上げて笑うティーダ君7歳を、アーロンは呆然と見つめて・・・・

・・・・か・・・可愛過ぎるーーーーーーっ!!・・・・(アーロン心の叫び)

 ・・・・これでまた一つ、アーロン氏の愛情表現の方向性が、間違った方向へ逸れてしまうであろう事が、確定ってか決定。  処置なし。
 
 「・・・・そうか。」
あくまで努めて表情変えず渋く冷静に・・・と、本人思ってるつもりかも知れないが、
おいおいおいおいアーロンさんよ、目尻下がっちゃってますよー。鼻の下伸びちゃってますよー。
・・・てゆーか、誰あんた。(爆)

その位のデレデレっぷりです。

・・・・・・終了。もはや手ェつけられません。

「・・・湯冷めしてしまったようだな。来い。ホットミルクを作ってやる。」
先程までのお小言モードは何処へやら、アーロンはティーダの指先が冷え始めている事に気付くと、立ち上って少年の手を取り、キッチンへと歩き出す。
ティーダも嬉しそうにスキップでついてゆく。こっちもさっきまでの尻尾垂れ仔犬モードは何処へやらだ。
「ねえねえアーロン!ふわふわミルクがいい!!ハチミツとバニラの味のやつ!!」
ちなみにふわふわミルクとは、温めたミルクをハチミツとバニラビーンズで味付けして、クリーマーで泡立てた、アーロンお手製のティーダの大好物である。
「ああ、分かった。」
「あとね、クッキー食べたい!いっこだけならいいでしょ?・・・ねえアーロン♪」
「・・・・・・・寝る前にもう一回きちんと歯を磨くならな。」

 ・・・この男、一体何処までこの子供を甘やかせば気が済むのか・・・
手遅れとは思うけど、一応顰め面しく、釘を刺してはみたけれど。
・・・・・・効果は余り期待できそうにないな・・・

 実際アーロン自身、その自覚は一応あるものだから、己のティーダに対する甘やかしっぷりに、頭痛を感じる事もしばしばで。
しかしティーダ本人は、アーロンのそんな密かな葛藤などまるでお構いなしに、うわあいと喜んでアーロンのまわりを跳ね回り、揚げ句の果てに、
「アーロン、大好きぃ!!」
思いっきりジャンプして、アーロンの首筋に飛びついて・・・・・・

  ほっぺにチュウ♪

「う・うわああああああああっ!!」
突然のティーダの奇襲攻撃に、固まるアーロン。
「な・な・ななななな何をするっっ!!!」
くどいようだが伝説のガード様の声が裏返ってます。どうやらこの攻撃には、石化効果と混乱効果の追加効果があったようです(爆)
ティーダは未だにアーロンの首筋に齧り付いたまま、嬉しそうにこう言った。
「だって好きなひとのほっぺには、チュウしてあげるのがお作法だって俺知ってるモン!!」
・・・・少年よ、そんなお作法何処で習った・・・・(爆)

アーロンはその場にがっくりと崩れ落ちた。・・・・いや、嬉しい事は嬉しいんだがな。そりゃもう
          
      神様ありがと〜〜〜〜〜〜うっっ!!!
 
と、心の中で絶叫する位に。まあ、顔には出さんがな。(やっぱりあんた誰。)

 それにしても。と、アーロンはその場でぐったり胡座をかきながら、一足先にキッチンへと飛び込み、早く早くと手招きする少年を見遣る。
父親の代わりに子供を見守る生活が、こんなに毎日毎日己の感情をかき乱されて、疲れるものだとは思ってもみなかった。・・・・聞いてないぞ。そんな話。
(いやそれは、アンタの気の持ちようの問題でしょうがと、おせっかいにも忠告してやる輩は、アーロンの刀の錆になるであろう事は必至。)

アーロンは心の中で、今や彼方の海に微睡む友に、溜息交じりに語りかける、と言うより、愚痴をこぼす。

・・・・この俺に、あんな、面倒で、手のかかって・・・いたいけで、愛しいものを俺に押し付けやがって。
お陰で俺は満足に、異界にさえ行けやしない。・・・・・・・・・・・・

そして、口に出してはこう、悪態をついてやる。

「このデカい貸しは、何時かきっちり返して貰うぞ。ジェクト・・・・」

 ・・・・勿論、現物支給でな。
 心の中でそう付け加えることを、アーロンは決して忘れていなかった。
                         
                          
                          END


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