田中外相, 「互いにしっかりと目を見詰め合って話し、友人になれたなら、相手の国に爆弾を落とそうとか、困っている時に援助をしないとは思わなくなるはず。」 実にロマンチックな言葉だ。 戦争はそんなセンチメンタルな感情とはいつも異なる次元で起こり、続いて来た。 人間の人間らしい感情を無視した戦争だからこそ、戦争を人は捨てる事ができない。 悲しい性。 身を捨てて人を助ける優しさに、人を殺さずにいられない。 思いやりの心が嬉々として、闇の穴に人を突き落とす。 天使だからブタになる。 ブタだから天使になる。 殺意と自滅の心を持っているからこそ人は愛を語れる。希望を望める。 裏切りと残虐な心が人を抱きしめる。 苛立ちと絶望がそっと手を握る。 そして互いの裏切りに微笑み、安心し互いを食いちぎる。 互いに頭を振り合い、互いに肉を食いちぎり、食い散らす。 これ以上はない喜び、互いを飲み込み、食い終わった時、消える。 喜びと悲しみが静かに地上近くを漂う。 ゆっくりと漂う。いつまでも漂う。 いつまでも、だ。 そしてだからこそ、田中外相の感傷が、今政治に必要になる。 2001.5.26
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