he Sixth Sense

 

人は自分の思いをうまく人に伝えることを人生の一番の目的とする。

いい服着て,いい所に住んで,食べて,飲んで,眠って,それで本来はオーケーなはずだ。

だがそれで満足して死ぬことはできない。

 

思いを伝える事。他人に正しく聞いてもらうこと。

 

それがどれだけ大きなことか。

思いを伝えられなかった者,伝えきれなかった者は,死者となっても死にきれない。心に消えることなく渦巻き心を押し潰し,絞り上げ,引っ掻き,引き摺り回す,言えなかった思い。

それを抱いたままでは空へと舞うことができないのだ。地上へと落ちていく。

 

それを聞いてくれる者がいたならば,どれほどに彼らは喜ぶことだろう。

彼らはただ聞いてくれることを望む。

心に詰まった熱く燃え上がる黒い炎を静めることを願う。

その炎を鎮めるには,ただ聞いてくれさえすればいいのだ。その時炎は燃え尽き,体は宙へと浮かび上がる。重さが消え,魂となり,天へと舞い昇る。静かに目を閉じて。

 

静かに正しく聞くこと。

その事の大きさ。

自らも死にきれないゴーストであるマルコムが,気付く。

彼らは(自分は)聞いてほしいのだと。

 

それ以後,コール少年は恐怖をこらえ彼らの言葉に耳を傾ける。

 

芝居の出番の前,楽屋で談笑する相手が死者である事は彼の大きな成長を示す。

 

車の中,コール少年が母へと伝える,死んだ祖母の母への言えなかった言葉。子供の頃学芸会で踊る娘の姿は天使のようだったと。

 

言えなかった言葉とは,聞きたかった言葉のことだ。

 

母親は何十年も経った今,その言葉を聞き嗚咽する。

泣くしかないシーンだ。

 

 

 

 

時々思いはしないか?

我々も実は死んだことを知らずに,伝えきれなかったことを何とかしようとさまよっているゴーストの一人ではないのかと。

 

悲しいことだ。

 

 

聞いてくれる相手を見つけること,そして,話したがっている人の話を聞くこと。

人生はその二つを満足させれば終えることができる。

 

そして殆んどの場合,できはしないのだ。