日本の取るべき道−6

 

では日本はどうすればいいのか?

 日本の「憲法」から考えてみよう。

 憲法の第2章,第9条には

    日本は国としてもめごとがあっても,武力で

    解決はしない。

 とある。戦争放棄(せんそうほうき)だ。

 

これまでは(今もだが),話し合いで解決しない場合は,政治の1つの手段として,「戦争」があった。「戦争」は実は認められていたのだ。

 

それを日本はしないと憲法に定(さだ)めた。

だがこれはとてもむずかしいことだ。

 実は今から70年以上前,1928年,昭和3年に,アメリカが言いだして,フランスのパリで,イギリス,ドイツ,ソ連,日本,フランス,全部で63国が結んだ条約があった。

 

「パリ不戦条約(ふせんじょうやく)」という。

戦争放棄を決めた条約だ。

 

しかし第二次世界大戦は,そのあとに,起きている。

 

 

それほど人類にとって戦争は,やめることのできないものなのだ。

 

相手が自分の言う事を聞かないとき,暴力でいう事を聞くよう,なぐりかかる。

 

それは人間の,本能なのだろう。

でなければ戦争がこんなに続くはずがない。

 

これまでの人類の歴史の中で,戦争のなかった日は1日もないという。

 

悲しい人間。

悲しすぎる人類。

 

 

ナチスのユダヤ人の虐殺(ぎゃくさつ),アメリカの広島,長崎への原爆投下(げんばくとうか),

 他の多くの国々で民間人(みんかんじん  兵隊,軍人ではない普通の人々)が,無抵抗(むていこう)なまま数多く殺されていった。

 

赤ん坊も子供も,老人も殺されていった。

  

悲しみと憎しみしか生み出さない戦争。

 

それを捨てることのできない人間。

 

 

そんな自分を愚(おろ)かだと自覚(じかく)し,まちがっていると思い,正(ただ)そうとする。

 

 

そんな気持ちが第二次世界大戦後,若いアメリカ人たちに集まり,それがアジアの敗戦国,日本の立て直しに「憲法」という形をとり,現れる。

 

そう先生は考えたい。

 

この憲法を誰が作ったのかはどうでもいい。

 

アメリカの若造が,コーヒーを飲みながら1週間でテーブルの上でさらさと書こうが書くまいがもどうでもいい。

 

できたものは,人間の悪を押さえようという,正しいものだ。

 

 

もちろんアメリカは,同時に太平洋戦争で戦い,思っていたよりもはるかに手ごわかった日本から,軍事力(ぐんじりょく)を奪(うば)おうということも考えていた。

 

物事には裏と表がある。

弱く愚かなのが人間だ。

 

事実,ソ連がアメリカのライバルとして力を伸(の)ばしてきた時,アメリカは日本を盾(たて)にする事を考えた。

 

ソ連がアジアから太平洋,アメリカ本土へと出てこられないようにと考えたのだ。

 

そして,まず警察予備軍(けいさつよびたい)という名前で日本に軍隊を復活(ふっかつ)させた。

 

それは次に保安隊(ほあん)と名前を変え,さらに昭和29年,自衛隊(じえいたい)となり,現在では規模(きぼ)としては世界で5本の指に入るほど巨大な軍隊となっている。

 

 

しかし「憲法」で「戦争」は「放棄」したのだ。

 

「武力行使」はやめると言ったのだ。

 

憲法の理想はやはり理想でしかなかったのか。

 

戦争のない世界を作る。

 

これは夢物語(ゆめものがたり)でしかないのか。

「戦争放棄(せんそうほうき)」という理想(りそう)。

「戦争のない世界」という夢。

 

 

でも理想や夢は,何回も見るものなのだ。

 

どこまでも愚(おろ)かで悲しい人間,人類であればこそ,理想と夢は何回も繰り返し,語り続けなくてはならない。

 

ここが人類の正念場(しょうねんば)なのだ。

日本は問われている。

ぼくたちはそれぞれの場所で,考え答えて行かなくてはならない。

 

 

 

そして気をつけること。

 

戦争はいつも平和のために行われてきた。

 

平和のために人は人を殺してきた。

 

たがいに平和のために殺し合いをしてきた。

 

 

ということ。

 

 異常な病気だ。

治らない人類の病気。

  

だから人類は理想と夢をなくしてはならない。

  

そしてその理想と夢を守るために人は人を殺す。

 

このトリックにかからぬよう注意深く,理想と夢を語り,追う。

 

それが大事だ。

むずかしいことだと思う。

 

日本は「戦争放棄」を定(さだ)めた「憲法」の精神を世界にはっきりと言う,宣言(せんげん)する。

 

「憲法あるから,いっしょに戦争行けなくてごめん。」

 

と小泉さんは言うのではなく,我々日本人は戦争をやめた。戦争はしない。

とはっきり宣言すべきなのだ。

 

戦争で多くの子供たちが原爆(げんばく)であっというまに死んでいった。

 

 

戦争はもうしない。

戦争ではいつも弱いものが死んでいく。

弱く正しいものが死んでいく。

 

 

 

これまで人類はさんざん戦争やってきたじゃないか。

何も良い事なかったじゃないか。

ここらへんで,方向を変えよう。

何回もやってきて,失敗してきた事,「戦争放棄」をここでもう一度考えよう。

世界で考えよう。

 

悲しい人類の治らない病気,「戦争」についてもう一度考えよう。

 

 

 

日本は戦争はしない。

「戦争放棄」を決めた憲法を日本は持っている。

そして日本は戦後一度も戦争をしていない。

これからもだ。

 

日本は戦争放棄を世界に訴えたい。

 

これまでの歴史の中で,何回も言われ,できなかった「戦争放棄」をここでもう一度訴えたい。

 

 

そう小泉さんは言うべきなのだ。